254 東京村U
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……桜井安吾。東大の博士課程在籍中に交通事故で死亡。 当時は上野中下アパートの5階に在住していた。
あの部屋に居住中に死んだ3人のうち、最も最初に死んだのがそいつ。 研究内容は文化人類学。研究対象は……
[同僚も桜井安吾という人間の友人とかそういったものではなく、一度共通の友人を介して一緒にコンパをやった事がある程度だったらしい。そんな人間の名前を一一覚えているのはさすが東大といったところか。]
研究対象は北米先住民族……ネイティブアメリカン。一度出かけると何か月も向こうで滞在し、現地の人間の家に泊まりながら研究を行っていたらしい、か。
(289) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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[静謐な明治神宮の敷地内で昼食のカツサンドとカフェオレを頬張りながら考え続ける。]
ともあれ、わざわざ赤門くぐりに行かなくて済んだのは幸いだったが……
[あの通風孔の中に何かあるのだろうか。もし全てを霊の仕業とかそう言ったもので片づけるのなら、こんな疑問には何の価値もない。 しかし、この不可解な現象を人間の世界の出来事の中で解釈するのであれば、最も有効な説はやはりあの部屋に何かがある、という事だった]
……ドッペルゲンガー。消えた知らない街ニキ。 東京で人が蒸発するのはそりゃあ珍しい事でもないだろうが… ここは本当に、俺の知っている東京なのか?
(290) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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[空を見上げる。カツサンドの最後の一切れを頬張ろうとして…… 妙に辺りが静かなことに気が付いた。 誰もいない。平日とは言え、高齢者や小さい子供連れの母親はいるのだ。境内に人はいる。
それが、空間を切り取られたようにふと、誰もいない。
―――その一瞬。 周囲に羽音が響き渡った]
(291) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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『K H A A A A A A ――――――!!!』 『G Y H A A A A A ――――――!!!』
[けたたましい鳴き声が聞こえる。見ればいつの間に傍にいたのか、10羽ほどのカラスが山岸五郎の周りを取り囲んでいた。 大カラスはいない。恐らくは明治神宮周辺に元々住んでいるカラス達なのだろう。
それが束になって、こちらに舞い降り、鋭い爪のついた足を伸ばしていた]
(295) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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ちょっと……待て!! おい!どういう事だこれっ……!!
[考える間もなく手を振り払う。持っていたショルダーバッグを振り回す。その手の甲に激痛が走った。]
くっ……そおぉっ……!!
[カツサンドを持ち直す余裕などない。ショルダーバッグだけをもって、その場から走りだす。カラスの一群がなおもこちらを追撃し、髪を引っ張り、嘴で突こうとしてくる。]
確かメトロは……!
[原宿の明治神宮駅前に向けて必死で走り抜ける。地下鉄の駅に逃げ込もうとして……しかしその手前、人が多い道路沿いまで走り抜けた頃には、カラス達の追撃は止んでいた]
(296) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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はあ、はあっ………
[全力疾走して息が切れている。思わずガードレール沿いにへたり込んだ。それなりの値段した服が所々むしられている。それによく見ると糞も2か所ほどにかかっていた。手の甲は嘴で突かれて出血している]
カラスは知能が高いから他の個体とコミュニケーションを取れたり、共感めいたものまで示せるってのはわかってたが……
にしてもこんな事ってあるか?あの大カラスならともかく、今のは多分全然違う群れだったんだぞ…… そんなの、もう野生の生物の領域を超えてやしないか…?くそっ…
[早く家に帰りたいのはやまやまだったが、この分だと直接アパートに戻るのは少し危険そうだ。メトロで上野までは行けても、そこから自分のアパートまでは結構距離がある]
(298) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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……とは言えさすがにカラス、さすがに夜になれば寝るしかない連中だ。いくらなんでも生物としての生態には逆らえんだろ……
[さりとて、夜まで待ってから帰ったのでは今度は隣室を覗きにくい。何より、明日は面接なのだ。下らない事でコンディションを崩してはならない]
……ひとまず、手当はいるよなあ……
[服も替えた方がいいだろうか。ひとまずメトロに入る。まだ日は高いし予定はない。考えられる場所が欲しかった。]
(299) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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―新宿周辺―
[ひとまず人が多そうな場所、そして近くにカラスの集まりそうなものがない場所。 考えつつ、ひとまず新宿まで来た。]
……これからどうすっかな。
[不動産屋が昨日アパートに様子を見に来ていたらしいという事は聞いている。もっとも、直接話はできなかったが。]
状況は把握してるんだろうが…どうするかな。
[カラスの件は不動産屋とは直接関係のない事だ。 とは言え、カラスの被害に困っているようなら連絡を、という東蓮寺の言葉もあった]
(309) 2016/10/02(Sun) 23時半頃
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…連絡だけ入れておくのもいいか。
[確実に大カラスはこちらを尾行しているだろう。となれば、すぐにアパートに戻るのはどのみち憚られた。考えた末、新宿不動産の方に足を運ぶことにした]
(311) 2016/10/02(Sun) 23時半頃
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……ああ。鈴里さんか。
[不動産に直接向かう前、目当ての顔を見つけて少々ほっとする。辺りを気にしつつ、走り寄った。といっても服や手の負傷は隠せないが。]
なんか、昨日うちのアパートに来てたそうで。 俺もそん時に会えたらよかったんスけどね。
……これからどっかお出かけっスか?
(329) 2016/10/03(Mon) 00時頃
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そうっスか……別のマンションで。 どうも、こういうのって多いんスかね。 それとも鈴里さん、そういう担当で? だとしたら貧乏くじっスねえ……
[とは言え、目の前の女性の心情が推し量れるわけでもない。 事件が続けて起こっているという割に、それを特段気にしているようには見えなかった。]
俺の方は…ちっとカラスにやられまして。 つってもアパートから外に出てる時にっスけど。 ひとまず、アパートに戻るにしても傷の手当てしてからになるかなと。……まあ、血は止まってるんスけどね。
[ひとまず今までの状況について簡単に説明する。べランドの通風孔の事については伏せておいたのだが。]
(337) 2016/10/03(Mon) 00時頃
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