25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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―広間― …はい。
[舞台袖から現れぬ花。 視線を天満月へと戻し]
お気に召して、何よりです。
[豚に関しては同感だったが、 あえて何も謂わなかった。褒めるのは、癪だ。]
明之進の主様は――
[一拍、間]
…まだ私もお会いしたことがなく。 彼を伴って来た後、何かしらあって、遅れて居られるのやもしれません。
(317) 2010/08/03(Tue) 18時頃
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祭りはまだはじまったばかり、 …戻ってこられれば、 お話もできましょう。
[――出来事を繕いながら、口にする]
――天満月様は 花祭は初めてでいらっしゃいますか…?
[傍に控えながら、 首を傾げれば――りん、と鈴が 鳴った*]
(319) 2010/08/03(Tue) 18時半頃
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―大広間―
―――失礼を、 芸を所望される方が居りますれば。
[天満月にそう云ってから、 その場を離れ舞台へ向かう。 手にしたのは翼がごとき白い絹。 鈴の音ふえて涼やかに ちらと高嶺を流し見る紫苑色。 高嶺のいう“ありきたりの芸”のありきたりでなさを見せんと思えど表情は澄ました余所行き。 共に舞台に上るものは在ろうか。
―――りん。]
(329) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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呉服問屋 藤之助は、負けず嫌いな面がある。長い腕を差し伸べて飛べない翼を広げ。
2010/08/03(Tue) 21時頃
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/* 認めてもらうしかないと思っている。 空回りしたりする。
(-67) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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―大広間・舞台― [鵠の舞いに歌はない。 彼自信が歌わぬからだ。 煽るような視線に返す紫苑色。
大きく広げた白く透ける布、 鈴の音ともない空へと舞った。
――――りん、
鈴の音が揃い地にあるからだが鳥のようにふわりと飛んだ。
白き鳥の舞の“動”。
布を手に巻き取り地に降り立つときも音は少なく。 ]
(349) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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[この舞の物語、 最後に白い鳥は地に落ちる。 惑う人の手により討たれるのだ。
死の縁で歌う“白鳥の歌”を、 鵠はこえではなく 竜笛で奏でた。
―――天高く。
其処までで、 舞は終わる。]
(352) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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―広間・舞台― [夜光が合わせてくれていたのは 舞に集中する中でも気づいていた。 笛の音、鈴の音。 けれど白鳥が事切れるこの音だけは ――譲れずあったから。
りん。
鈴の音鳴らして向いた先、 華月が居る。]
…――
[少し上気した顔で小さく頷き 彼に場所を譲る態]
(369) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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[苔色と紫苑色交わし、 その笛の音を耳にする。
――悲鳴のような。
じっと、舞台を見つめた。]
(372) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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[――鵠は混沌を 見る]
―― … かげつ
[小さく呟く。 ――微かな鈴の音が、 笛の叫びに掻き消されそうになりながら在った。 紫苑は瞬き忘れたかのように、ただ一心に]
(376) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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[――白鳥は/鵠の名は 死に近い名だと 他でもない“白鳥”が謂っていた。 白い、鳥は――混沌と混乱在らば翼を折られる。 あれに垣間見えるは狂人の、 地獄の焔に誘う腕(かいな)]
…――華月?
[眸を覗き込む。――其処に今、焔はない。]
……水がほしいか。 ……慣れぬ事をするから。
[いつも通りで、何処か、ほっとしたように]
(383) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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―大広間―
[高嶺の方を向けば鈴の音も続く。]
花は…見られるが故に花、 その裡は様々で御座いましょう。
[高嶺を見る、余所行きの顔。 華月の視線の意図と其れは似ている。 そうそう、教えるものでもない。 たとえば、この白鳥の舞の、伝承なども。]
(390) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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…芸の道は積み重ねだからな。
[と、常の調子に戻そうとし。]
…いや。 ……――なんでも、ない。
[水を飲み干す華月の横顔を見]
……飲み込まれそうになる、音だったから
[それだけ静かに呟き、 女舞を舞い始めた夜光の方を、見た。]
(393) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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――なよやかに、ひらくばかりが 花では在りますまい。
[高嶺の文句に笑みで、紫苑を細める>>392 唇に人差し指をあてがい]
…… 秘密もあればこそ こめる想いも想像しうる。 それもまたひとつの、たのしみかと存じます。
[首を傾ける。りん、と鈴が鳴る。 ほんの少し、余所行きが解けて]
……ひとことでは、とてもいえないような。
(399) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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[答えが重なる、華月との馴染みの理由。 此方は苦笑と謂うか、咳払いと謂うか。 本郷へは静かに礼を向けた。]
――、…同じ気持ち、か
[それはとても危ういことのように思え>>412 一度、窺うように華月を見た。 >>417 その華月を高嶺が呼び止める。 茶を、と所望するのに一つ瞬く。]
(444) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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――、…庭の
[庭のみどり、と謂われて少し考え。 尋ねる華月に視線を向けるが。 あの時飲んでいたのは蓮茶だったが――さて 指し示した其れは、どうであったか。]
…、はい
[>>435 高嶺が己の名を呼ぶ。 結い紐について注文がつく。 一瞬真意を測りかねて瞬くが]
(449) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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――…、…
[黒壇を見つめる。 紫苑色は少しばかり見開かれた。 ふたつの花に、高嶺からの申し出。 図らずも、苔色を此方からも窺うような形となる。 ――胸内ざわつくような心地。 されど、どうこうと、今謂えるわけもない。 黒壇へと視線を戻し]
…――承知 、いたしました
[――花もまた花主を選ぶのだと、 そう謂ったのは他でもない高嶺だった。 見極めるべきだろう。方から髪が流れりん、と鈴が鳴る。]
(454) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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[>>461驚いたな、という華月に 澄ました顔をまだしていた鵠は 少しだけ眉を動かした。 本郷が主たち用の棟へ向かっていくのに、 丁寧に頭を下げた。
――去るのは花主たちが去ってからだろうと 考えたのは、同じらしい。>>467
ほんの僅か覗いた高嶺の憂い顔が気に係りはしたが 其れは本当に、僅かの間。 場を辞するときまで彼の顔は高嶺の主の者。]
――よき夢を。
[>>469 高嶺へそう謂い、頭を下げれば、 りん――と微かに鈴が鳴った。]
(489) 2010/08/04(Wed) 07時半頃
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―大広間― [月傾けば夜も更けて、 花祭り1日目の宴はお開きとなろう。]
……、 …… ――「それが 高嶺」か…。
[花主たちが去って 漸く鵠は、そんなことを謂った]
…… 少し、驚いた。
[華月の方を流し見る。 かれは、どう思うて居るのだろうか。]
(490) 2010/08/04(Wed) 07時半頃
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まだ、祭は始まったばかりだが
[両の手を、膝の上で組み合わせる]
……高嶺の主は “芸”を見てくれそうではある、かな……
[花も花主を選ぶ場、という高嶺。 煽るような眼、己の芸事で鼻をあかしてやりたくもあるが。 髪結い紐を思うて触れれば 鈴の音と、ただの紙に戻った紫蝶々。]
…どう、思う?
[苔色を紫苑を交わすこと叶ったか。 聞きたかったことは様々。出たのは一言。 はたと、声のするほうへ顔を向けた]
刷衛 様。
(493) 2010/08/04(Wed) 08時頃
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[瞬いた。噂が広まるのは存外早い。]
……いえ、何と申しますか、 まだ纏まったというわけでは…。
[首を横に振れば 鈴が小さく鳴る。]
(494) 2010/08/04(Wed) 08時頃
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お耳が早いことです。 …高嶺様は“望むならば祭りが終わるまでに来い”と仰りました故。
…複数花を抱えるのは 力在る花主様には珍しくないようではありますが。
[例えば、あの豚もそうだ ―――とは胸の裡。 随分美味しそうにものを食べるひとだ、とも思いながら]
…―――
[二輪買いの話しに、 僅かの間黙って]
花の扱いを決めるのは、 花主様でございますから…ね。
[澄ました顔で、答えた。 ほんのすこし、華月の方を窺うようにもした。]
(497) 2010/08/04(Wed) 09時頃
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―大広間→自室へ― [幾らかまた言葉を交わしもしたろう。 夜も更け、部屋に戻ったはいつ頃か。 ―――りん、と 鈴の音が夜に染みる。 髪をほどいて結い紐を指に絡める。]
…いざ、相対すると戸惑うものだ。
[華月にだけ溢す裡。 彼は虎鉄を探しに行くかもしれないが。 止めもせぬし ついてもいかぬ。 ただ、―――少し黙って、流し見る。
傾く月は、地からのひかりを受けて紅色を帯びていた―――*]
(503) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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呉服問屋 藤之助は、「高嶺の花は、高嶺の花、か」と、人伝の謳い文句を歌うでなく呟いた*
2010/08/04(Wed) 09時半頃
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―朝・自室― [外で鳥が鳴いている。 華月には茶の種類を伝えた。 彼はもう、決めている。そういう花なのだ。
きっちり着込んだ寝間着は 乱れ少なく鵠の性格を現すようだ。 柘植の櫛で黒髪とかし、 鈴のついた結紐でいつものように束ねる。
――りん。
もう一つ、手にしたのは 檳榔染の髪結い紐。 それに鈴の音はない。 見つめ、考えるように眼を伏せた。]
(514) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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―A棟廊下― [寝間着から紫を基調とした着物に着替えて廊下へ出た。 懐には、己のためではない髪結い紐が眠る。 窓からは、うつくしい庭が見える。 押し開ければ風が吹きこみ、 ――りん と、髪を束ねた紐の先、 鈴を鳴らした。]
――…、――
[誰かが歩いているようだ。 宴席で見た――霞月夜と去った華花だった。]
(527) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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/*
心境の変化なのか なんなのか なにがあった…!!
[唐突な見事な演奏で お兄さんびっくりだ!]
(-123) 2010/08/04(Wed) 14時半頃
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―廊下― [庭から、聞きなれぬ楽器が 歌う音が聞こえた。 笛ではない、唄でもない。]
……――胡弓…?
[呟きながら、違う、と思う。 見下ろせど此処からは春の訪れを 眼にするには至らない。 その調べに、耳を傾ける。
懐の髪結い紐に、手を触れた。]
(546) 2010/08/04(Wed) 15時頃
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―廊下→本邸へ向かう途中渡り廊下― [高嶺に逢うためか、どうか。 鈴の音伴って歩く渡り廊下で思い出す。]
(――嗚呼、そうだ)
[時折は明之進を見てやれと頼まれていたと足を向けたのは本邸の梅の間へ。]
…、――
[――りん、と鈴が鳴る。 渡り廊下から庭を見るころにはあの不思議な胡弓にすこしだけ似た音色は途切れていた。 代わりに見えたは寄り添う桜色と冬色と。
――ほんとうに仲がいいのは 彼らのほうではないのか、と。
昨日宴席で華月が視線で問いかけてきたのを、ふと思った。]
(563) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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きっと
私は。
華月を何も知らぬ。
(-133) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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馴染みというだけで
凭れかかりすぎるのは
それぞれのためにならぬ。
(-134) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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―廊下→庭>>564―
…、…
[手招く手が見えた。一つ瞬く。 近づかれるのを厭うのではなかったか、と 怪訝そうに思いながらも、 一度窓を過ぎて、 一番近くの出入口から庭へと降り立った。
――りん、と鈴の音伴って。]
(567) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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