60 ─昨夜、薔薇の木の下で。
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…その方が、いいんだろうか。
[迷ったのは、先ほどのセシルとの件もあったから。 今になってみれば、どうかしていたと思うくらいに…自分は常軌を逸していた。 おかしい。何かがおかしい。
一番おかしいのはきっと…自分自身。]
(190) 2011/08/05(Fri) 21時半頃
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…あ、いや…一応、な。
[深い仲ではないけれど、彼の自分への態度は公然のものではあったし…というのは建前。
勘のいいものには、罪悪感まで悟られてしまうだろうか。]
手伝おう、か? [差し出した腕には、まだ赤の乾かぬ包帯。]
(199) 2011/08/05(Fri) 22時半頃
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…いや……
[あの頃からずっと気まずい相手。 たとえそれが万が一、彼の意志では無かったのだとしても、思い裏切られた事実と、その後に奴らから笑いながら聞かされた彼の末路。 互いに、後ろめたい事実を知っているがゆえに、普段は顔を合わせるのも避けるけれど。]
痛くは、無いんだ。
[ついつい視線が行くのは、奴らが「お仕置きしてやった」と語っていた背中。]
(205) 2011/08/05(Fri) 22時半頃
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…あぁ、でも…
[利き腕に片手で申し訳程度に巻いたそれは、既に緩んでいて、
胸の奥で軋むのはきっと、さっきとは違う痛み。]
(212) 2011/08/05(Fri) 23時頃
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[ルームメイトに頼もうとしても、相手が相手だし。 迷ううちに鉢合わせるセシルの姿。]
…ランディ、頼むわ。
[どっちにも気まずくて、その場から逃げるように背を向けた。]
(215) 2011/08/05(Fri) 23時頃
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[足音を残して離れていく廊下に、ふわりと漂うのは薔薇の香。
それはきっと、ランディのほうがもっと濃厚なのだろうけれど。
行き場を探して、部屋からギターを持ち出し屋上へ。 先客は、まだいるのだろうか。]
(220) 2011/08/05(Fri) 23時半頃
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…あれ、開いてる……
[屋上への扉は半開き。 不思議そうに首を傾げて、ドアを開けた。
嵐の過ぎ去ったあとの夏の日差しは、白々しいほどに強い。 渡る風の香りと太陽の眩しさに目を細めて、お気に入りの場所へギターを…]
…何、して……
[雨水に濡れたシャツの背中と、乱れ髪。 遠慮がちに、ルーカスに声をかけた。]
(231) 2011/08/06(Sat) 00時頃
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…あ、いや、こっちこそ… 音出したら邪魔になるかな?
[寝てる子がいるからと思って、外でと思ったのは本心だけど、 逃げ出したかったのも、否定できない。]
まだ、昼寝するには早かったんじゃ。 水たまり、乾ききってないのに。
[なんだかその姿が痛々しく見えて、 どう言ったらいいかわからなかったから、茶化すくらいしか出来なかった。]
(243) 2011/08/06(Sat) 00時半頃
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…あぁ、これは……
[包帯を巻いた腕に手を伸ばされるも、ギターを抱いたままでは制することは出来ず、 ただピクリと身を固めた。 触れられそうになっただけで、何かが背筋をぞわりと駆け上がるような、おかしな感覚。]
昨夜…ランディ探してる時に、木に引っ掛けちゃって、ちょっと。
[嘘はついていない、口にしてない事実はいくつもあるけれど。]
何やってんだか…。ディーンじゃあるまいし。 [そういうドジをやらかしそうなルームメイトの事を口にして僅かに笑う。]
(251) 2011/08/06(Sat) 00時半頃
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あ、はい…
[貸せ、と言われて半ば渋々ギターを抱え直し、腕を差し出す。]
多分…。 ランディ、あそこに居たんで。
利き腕にって、案外巻きにくいんすね…
(258) 2011/08/06(Sat) 01時頃
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[腕を診る視線から目をそらす様は、悪戯を咎められる幼子のよう。]
…打ち付けたか、 それとも…アレルギーだったりしたら、やだなぁ。
[そんな単純なものになど見えぬほど、文様は育って蔓を広げていた。 どす黒く青みがかった鬱血の色で。
開けた空間だというのに、甘い薔薇の香りは辺りに篭るよう。]
(270) 2011/08/06(Sat) 01時頃
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[気づかない。いや、無意識に気付こうと目を背けていた。 背中はきっと、もっとひどい事になっている。 幾度も自分の足元で蹂躙されるさまを見てきた薔薇は、感じる場所を知ってでも居るのか、 背中から滑り降りた蔦は腰のあたりまで。 尻に届かぬ程度のギリギリの箇所を愛撫するかのように這い回っている。
眠るランディの肌に刻まれたものは、もっと鮮やかで扇情的な赤だけれど、この身体に刻まれたものは、青黒くくすんで醜い色だ。]
(274) 2011/08/06(Sat) 01時頃
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……っぁ! [強く掴まれれば、思わず身を竦めて漏らす上擦った悲鳴。
あの頃、そんな声で誘われたらたまらないと、そう言われた声。]
いや、香水は……
[自分から薫るその香りは既に染み付いて自然なくらい。]
大丈夫です、なんでもない。 痛くは、ないから……
(277) 2011/08/06(Sat) 01時半頃
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[嬌声にも苦痛にも聞こえるような短い悲鳴は、イアンにも届いてしまっただろうか。
手当を受けながら、長身の身体は微かに震えていた。]
…えぇ、まぁ……医務室係とは、あんま…仲、良くなくて……
[気まずくて、あんな奴なんてと恨んですらいるのに、 あのあとアイツらに彼が酷い目に遭わされたのは、まるで自分のせいにも思えてしまっていて。
胸の中に大事に育てていて踏み躙られた思いの蕾は、まだ潰れたまま胸の中に残っているのか。]
(288) 2011/08/06(Sat) 01時半頃
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[触れ合うのは、得意じゃない。
全てが下心混じりに思えてしまうから。 心配も、好意も、結局最後は下卑た欲望につながるのだろうと疑ってしまう。
だって自分も、心なく欲情する穢らわしい生き物だと思えるから。]
(290) 2011/08/06(Sat) 01時半頃
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のっくすwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
(-70) 2011/08/06(Sat) 01時半頃
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…どうせ、こいつも…… [ポツリと心から零れる、歪んだ疑念。
何処か遠くで、快楽に流される嬌声を感じれば、 やはり人という愚かな生き物は、結局そこに行き着くのだとしか思えなかった。]
(*15) 2011/08/06(Sat) 01時半頃
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…悪い。 手間かけさせちゃってすまんね、イアン。
[古いギターを大事そうに抱えたまま、片腕をルーカスに掴まれている。
そういえばこれを気に入ったのか、幾度かイアンに被写体になることを頼まれたのだったか。 ギターを抱えてざらついた声で歌ったのは、花散る季節か、天の川の下か。]
(299) 2011/08/06(Sat) 01時半頃
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[あの時、見渡すかぎりの花を咲かせようと歌った声は、 きっと庭の木々たちも聞いていた。
解いて巻き直すと言われて、身を縮めたまま殊勝にうなづく。 その所作も表情もきっと、そういう行為の時のものに似ている。]
(301) 2011/08/06(Sat) 02時頃
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[甘い愛の言葉など信じてはいないから、 幾度か縋って共にした欲情を処理するだけの行為は、 ただ酷く壊してくれとそれだけを望んで、強請った。]
…へい、き……
[弱々しくそう漏らしても、傷痕撫でる手には思わずぴくんと身体が跳ねる。]
(314) 2011/08/06(Sat) 02時頃
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[捕まえるように捕らえる手のひらや、じくりと滲み入るような痛みは、 きっと優しい愛撫より、ずっとずっと自分を煽ってしまう。
虐めなどという言葉では括れぬような行為を、 その中の快楽を探り当てて縋ることでやり過ごしてきたのだから。
顔を上げてイアンを見た瞳は、僅かに潤んでいたか。]
(322) 2011/08/06(Sat) 02時半頃
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…いえ、今は……
[こちらは気まずそうにしていても、いつものように別け隔てなく接してくれていた先輩。 愛だの恋だのという口実を振りかざすでもなく、そういう仲になったことを意識させもせず、 割りきって重ねるだけの行為は、お互い気楽ではあった。
肌に痕を残しても、どうやら心には残っていないと知ってからは、少し寂しく思うこともあったけれど。]
大丈夫、だから。
[胸の奥、心臓を絞め上げ棘穿つどす黒い荊棘。 溜息をひとつ零して、ギターを抱え直す。]
ありがとう、ございました。 [手当に感謝するように、頭を下げる。]
(326) 2011/08/06(Sat) 02時半頃
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ヴェスパタインは、熱帯びたため息を、ひとつ。**
2011/08/06(Sat) 02時半頃
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…えぇ、いつもすみません。
[どうしても寝付けぬ夜が幾夜も続いた時だけ、最後の手段として縋る先輩。 同じ部屋で眠る相手には、そんなことなど相談できなくて。
所詮、処理しきれぬものを何とかするだけの道具としての関係でしかない。 それでも、そんなことをさせてしまっているという引け目はあったから、 相手もいい思いをしていると言っても、やはり気まずくはあった。
幼さ残る下級生が口にした恋という言葉に、深い色の瞳を瞬いた。 誰かと居たという話に、誰のはけ口にでもなるルーカスならばありうることだろうと、それだけは納得が行く。]
(338) 2011/08/06(Sat) 09時頃
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…恋なんて。
[そんな淡い想いを抱いていたのは、この下級生よりもっと幼い頃。 そんなものに惑わされなければ、あんなことには…]
慎重になることだ。 一刻の思いにのぼせると、目が曇る。
…うっかり無防備なところを、食い物にされても知らんぞ。 [思いなどいつかは裏切られる。 そう思い込んでいるから。 忠告めいた言葉を残して、屋上を離れようとした。]
(339) 2011/08/06(Sat) 09時頃
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…何?
[呼び止められて、ふわりと振り向く。 風に揺れる長い髪と、香る甘い薔薇の罠。 散り落ちて黒ずみ朽ちた花弁の色で、訝しげにイアンを見つめた。]
(344) 2011/08/06(Sat) 09時半頃
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─ 風渡る晴天の屋上 ─
[ザ…と音立てて流れる、嵐の名残りの強い風。 色褪せて艶の無い銀髪が靡き、阻むように表情を隠す。]
…平気だ。
[弱みを見せたくはない。つけ込まれるのが怖いから。 利害の一致だけで関係を持ってる相手の前だったから、うっかり油断してしまっていた。
目を合わせぬまま冷淡に告げて、錆び付いたドアへてをかけた。]
(385) 2011/08/06(Sat) 15時半頃
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[キシリと胸の奥、蔦は育ち侵食は留まらぬ。
シャッター音に、僅か目を見開いた。]
何を、撮って……
[流れる風と、そのコンマ数秒の時が、切り取られてフィルムに焼き付けられる。
ゆっくりと染み渡るは、薔薇の甘い毒。]
(391) 2011/08/06(Sat) 18時頃
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…おい、薔薇の精。
お前…一体何を…
[日常が狂っていく。 寮内に満ちるのは、妖しく誘うような薔薇の香りと…
おかしい、何かがおかしい。 このまま流されてしまえばきっと…]
あぁ、でも…それもきっと…
[楽しいことに違いない。 染み込んだ甘い毒はそんな思いを胸の中に注ぎ込む。]
(*20) 2011/08/06(Sat) 20時頃
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…イアン……?
[こめかみを押さえて目を閉じる姿に、不思議そうに問いかける。 屋上の強い日差しにやられたのだろうか?
そういえば自分も、少しふらふらしているような。]
暑いなら、日陰か…中へ行ったほうが。 俺も少し…陽射しに当てられたかも……
[気づかない、肌の下で薔薇の呪いが侵食を続けていることに。 中庭の無残に折れた薔薇の木へと、精気は砂時計の砂のように流出していく。
腕に刻まれた傷からは、肩へとその蔦を伸ばす荊棘。 既にその先は、鎖骨を通って首筋へと…]
(393) 2011/08/06(Sat) 20時半頃
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[錆びついたドアをギイと引き開け、階段へ。
先輩の姿を見れば、軽く会釈した。]
あぁ、フィリパさん。 …ちょっと外で弾いてたんだけど、陽射し強くて…
[血色の失せた顔。 体調崩すのは珍しいことじゃないけれど。
ギターを抱えたままひと声かけて、階段を降りていく。]
(395) 2011/08/06(Sat) 20時半頃
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