25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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―花主の棟に向かって・本邸廊下―
[高嶺の若干の注文に、魔法瓶で湯を運び、その場で茶を淹れるという手段を取った華月は飄々と目的地へ向かっていた。
と、脚を止める。 本邸の何処からか、琵琶の音が聴こえた。]
霞月夜様の音やないなぁ。誰やろか。
[少し彷徨わせる視線、窓を見やれば、月昇らぬ空の色が苔色を焼く。]
(233) 2010/08/05(Thu) 16時頃
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まぶしっ……
[カタリと持った盆の上、茶器が小さく音を立てる。 細めた視界、青に白が1つ過ぎった。]
白鳥は哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
[その風景の鮮やかさに、思わずその短歌を口ずさむ。 舞や唄で習う時代より、随分若い世代の唄。 識った時、胸中に走った衝撃(感情)を、どう表せばよいのか、未だにしらない。
悲しい(かなしい)だけではない 愛しい(かなしい)だけではない
二つを合わせた、哀しい(かなしい)……。]
(234) 2010/08/05(Thu) 16時頃
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― B棟 ― [湯で名残を流し、薄灰の着物に袖を通す。 取り替えた足の包帯、最後に貰ったばかりの眼鏡をかけて 椅子に座る法泉の元へ戻った]
……
[花が礼を言いに向かうを 主は共に連れ歩いてくれると謂う 隣に人の立つのを、気恥ずかしげに見上げる 目元に朱が残る 視線を交え、つと逸らす仕草]
主さま 問うても?
[花弁が残る白雪の項が着物の襟に見え隠れ 間をおく静寂 漂う花の色香]
(235) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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―廊下・窓際― [遠ざかる足音。 また誰もいなくなる。
窓の向こう、鳥が見えた。 彼方の蒼。遥かな白。]
――ぁ
[傍にまだとまっていた蝶が羽ばたいた。 思わずといった態で少し身を乗り出して 空へと手を]
(236) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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……。
[届かない。 緩やかに、手は戻る。 なにもない、自分の掌を見て]
――… なにを…してるんだか
[呟いた。火傷の痕はもう微か。]
(237) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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私を、本当に御気に召されましたか? このままでは、 味見だけで済まぬほどと自惚れてしまいそうですよ。 何故……手折ってくれたか…… いえ、応えは未だ。 満月の夜にまた、お伺いしたいですね。
それよりも、急ぎましょう 主さまの手を煩わせることは、早く済ませてしまわないと。 逢えるでしょうか 少し気がかりですが。
(238) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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/* メモ
露の身は ここかしこにて 消えぬとも 心は同じ 花(蓮)のうてなぞ
草葉の露のようにすっと消え行く人の命は儚いものである。 互いの身が何時、何処で、どちらが先に果てようとも、 共に極楽浄土の蓮の台で又お会い出来る事を忘れてはならない。
(-60) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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[そうして、花主の半歩後ろを連れ添い歩き 部屋を後にする]
→ B棟/回廊 ―
(239) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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ま、白鳥(しらとり)は 白鳥(はくちょう)さしとる訳やないらしいけど。
[誰を思うたか呟いて、そして歩き始める。 その先に、手を空に掲げる人の姿は、あるやなしや。
あるならば、空を見詰めたと同じように、眩しげに苔色を細め、見やる。]
(240) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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―廊下・窓際― [風が吹いて、りん、と鈴が鳴る。]
…、――
[掌から視線を上げて 歩き出そうとしたその先]
…華月、
[その苔色を見てから、手にしている茶器に視線を移した。]
(241) 2010/08/05(Thu) 17時頃
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[りん――聴きなれた音が、静寂を裂く。 見える紫苑色に、微笑む苔色の眦。 彼の人の視線が、茶器に落ちても、普段と変わることのない表情。]
何、捕まえようとしてはったん?
[声音は少しだけ、幼く見えた仕草を揶揄う風に響く。]
(242) 2010/08/05(Thu) 17時頃
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[揶揄るような調子に眉寄せて]
…、……別に、
[なんでもない、と言いかけてから 視線を苔色に戻し それから窓の外の方を見た。]
…蝶がいたから。
(243) 2010/08/05(Thu) 17時頃
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―椿の間・前― [>>109涼やかなる白鳥の人、 案じる言葉には、茫洋とけれど微笑みを作って向ける]
……鵠殿、 昨日と続いて本当に――
体調が優れぬわけではないのです。 身を案じていただくのも申し訳なくて……
[そう、身は軽く。舞うには何も支障はない。 まるでそれだけの為に、あるように。 退いた指先を、そっと小袖の中に隠した。]
(@13) 2010/08/05(Thu) 17時半頃
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[窓辺へ寄る人の視線の先を見やる、 “主”は行ってしまったのだろう――ふ とかき消える瞳の彩。 椿についての詫びにはただゆるく首を振る]
そのように落ちるが、 あの花のさだめにありましょう。
散花のことなど、どうぞお気に留めることなきよう。
[部屋につぶれた白花を思う、 八重の牡丹に咲いたあの椿の名は――名は、
―――りん、と鳴る。 沈んだ眼差しのあがる。
何を見たのか。 何に触れたか。]
(@14) 2010/08/05(Thu) 17時半頃
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蝶?
[鵠の応えに、嗚呼――と一つ息を吐けば、華月は悪戯を思いついた子供の顔をする。]
まだ、居るやんか。 ほら、鵠さんの肩口に……。
[盆は持ったまま、何時の間に飛ばしたのか。 白い和紙の蝶が、窓の外を見る人の肩口で息づく。]
……どうするん?
[今までの揶揄うような声音が不意に色を変える。 問いかけは、その蝶を捕まえないのか意味するだけなのか。]
飛んで行ってしまうで?
[染まらぬ白を、声音とは裏腹。 苔色は常と変わらぬ微笑を湛えて見詰めた。]
(244) 2010/08/05(Thu) 17時半頃
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―――人の業を。
[去り行く人に頭を下げる。 ―――りん、と。 涼やかなるその音は鳴っていた。
傍らの友人は、その言葉をどのように聞いただろう。 眼差しをそちらへ向ける]
庭に出るなら、 部屋を抜けて行けば早いと思う……
[誘えば、その室内に潰れた白椿はあったか。 あるいは、葉月の陽炎が如く消えていたかもしれず]
(@15) 2010/08/05(Thu) 17時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 17時半頃
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/* は、華月殿挟んでしまった。 本郷様とイアン殿がはじまったのを把握…!
>>225 あ、祇王ですね、ちょっと痛い…!
(-61) 2010/08/05(Thu) 18時頃
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― B棟/回廊 ― [怪我と、下肢に残る違和 歩みの遅さは朝の比で無い ふと窓の外、日は傾く]
……セシルは もう、流石に――起きた頃か
[ぽつり、零す。 目覚めの音で眠り、冬の傍にあった桜の姿は庭に見えず]
高嶺さまのお部屋は ここで間違いないですか?
[漸くたどり着いた扉前。 確認のように法泉を見上げた**]
(245) 2010/08/05(Thu) 18時頃
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―廊下・窓際― …――、?
[瞬き、ひとつ。悪戯な馴染みの顔。 彼が見る先に視線を流すと白い蝶が止まり。 紫苑色の眼を丸くする。]
――…。
[ふと、変わる声色に 蝶に伸ばした指先を止める。 肩の白から、笑み浮かべる華月へ視線を戻し 少し、間があく。]
…捕まえる。
[蝶に指先を触れる。 生きている。生きていない――生きて。]
花は、…咲かないと
(246) 2010/08/05(Thu) 18時頃
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呉服問屋 藤之助は、記者 イアンらが庭にいた事などは、つゆ知らず。
2010/08/05(Thu) 18時頃
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―庭・椿の間前― [陽光に影は濃く、涼を求めて木陰が下に。 虚ろな黒は友に向かえば、けれど笑みを浮かべてみせる。]
久しぶりなのに、ごめん。 もっと良い話が出来ればよかったのに、
[詫びながら俯けば、髪の零れる]
――その 私は、 また主様に手放されて……
[“また”と零れた言葉、ゆるりこめかみに指を当てれば、 重なる記憶がぐらりとゆれて、ふたつに割れた。 ――そう、手放されるのは2度目なのだと、 記憶と共にゆらいだ体は、幹にそっと手をついた]
(@16) 2010/08/05(Thu) 18時半頃
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[かけた言葉の意味合いを、相手は知ってか知らずか。 蝶に触れた手に、器用に盆を片手で支え、もう一方を伸ばす。]
そやな。 折角、結んだ蕾なら、咲かなもったいないやろ。
[触れるか触れないか。 蝶は蓮を思わせる花に変わる。]
(247) 2010/08/05(Thu) 18時半頃
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手妻師 華月斎は、呉服問屋 藤之助に、「蝶のままのが佳かったかいな?」と手妻の披露後、微笑んだ。
2010/08/05(Thu) 18時半頃
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―廊下・窓側―
…――、…
[蝶は、ふわりと花に変わり、咲く。 紫苑色の双眸は、一度驚きに見開かれた後、 緩やかに細められた。
視線は華月に移り、指先と指先は 触れるか触れないか。 躊躇い、華に唇寄せた。]
…ん。そう、…だな。
[それから、尋ねる声にはこう答え。]
花も、蝶も、好きだ。
(248) 2010/08/05(Thu) 18時半頃
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―庭・椿の間前― [小さな混乱、最初に誰が己に言ったのだろう。
『明之進殿は、遠く外つ国の主の元に――』
そう、そのように言われたのに、と。 黄泉花は、その透けるような掌でそっと顔を覆う]
――そう、あの方は前の主とは違う、新しい遠く外つ国の主で。前のあの方とは違うから、舞うことも禁じられずに―― 触れも、せず。
[ひとりごちるようなそれは友にも気が触れたと、見えるだろうか、 乱れる前髪にくしゃり、とその指先の通れば、撫でられた手を思う。 ――まづかきやりし人、唇を小さく掠める呟き。]
けれど、手放されたのは、おなじ こと……
[友が知る学院に戻された事実と、刷衛の知らぬその事実。 噛みあわぬ事実が揃えば新たに浮かぶ何かもあろうけれど。それはいまだ繋がらず**]
(@17) 2010/08/05(Thu) 19時頃
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/* 黒髪のみだれも知らずうちふせば まづかきやりし人ぞ恋しき
臥せってると髪を撫でてくれた人が恋しい、とかそういう。
(-62) 2010/08/05(Thu) 19時頃
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[鵠が花に唇を寄せる様を、先の紫苑色を引き継ぐように、苔色が一度驚いたように開き、細まり]
……ほな、わては高嶺様ん部屋行くわ。
[そして、尋ねの答えが出る時、まるで何かに耐えられないと云う風に紫苑色から逸れた。 触れるか触れないかの距離に在った指先も、弾かれたように盆に戻り、本来の目的が、まるでその場を去る口実のように唇から零れ落ちる。
咲けと、暗に謂った。 何にも染まらぬ白は、哀しいから。
けれど、何かに染まろうとする白もまた
――哀しい。]
(249) 2010/08/05(Thu) 19時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 19時頃
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―庭先・窓側―
…、…――華月?
[ひとつ、瞬く。 そらされた苔色に少し戸惑ったように。 手には彼の手妻の――蓮の花。]
…、――
[行くといい、とも謂えずに そらされた顔を見たまま 手を、伸ばしかけて―― 躊躇って、]
(250) 2010/08/05(Thu) 19時頃
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― 稽古場 ― >>158>>165 [こちらに気がつくと、花はこけた。 その様子は噴かざるえず……。]
ノロノロしたのは好きじゃないのか。 ジャズダンス?ほお……。
[袖を捲り上げ笑みを見せる様に、よしよしと子どもをあやす様に促す。 でも実際にはじまると、それは吃驚した顔をするが、くるくるした動きにはおーっと手を叩きはじめた。]
なんだ、面白いぞ?ああ、面白い。 芸にはならないのか?
いや、たいしたものだろう。
[芸としては荒削りなのかもしれないが、その躍動感は十分楽しませるものであり、また手を叩いた。]
(251) 2010/08/05(Thu) 19時半頃
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>>169 [終わったあとにふらふらと隣に座り込むと、うとうとし始めるので、そのまま寝かせておく。 桜色の髪は、実は染めたものだとわかると、ふむ、と考える。 根元の茶が本来の色なのだろう。] >>177 [そして、寝ぼけた声は自らの名を解き始めた。]
ふむ、幸せを得るのか。 なるほど、じゃ、お前はあれだ、招き猫のようなものだな?
[名前を呼んでいいよといわれ、そうか、じゃそう呼ぶかと返した時はすっかり熟睡っていたか。] >>180 [ただ、その本当に寝入る寸前にその口から漏れた言葉には、眼をぱちりとさせた。 以前、殴られ、放置されたことがあるのか。 そう考えると、桜色の髪が、明るいはずなのに、なぜかせつなさを生み出す。]
よう寝とけ。
[とりあえず、起きるまではそのまま、時々首をこきこき鳴らす。*]
(252) 2010/08/05(Thu) 19時半頃
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……なんやろか?
[去ろうとした足は、止まる。 名を呼ばれて振り向かないは情知らずだと、思ったからか。 否……。]
[沈黙が場を支配する。 視線を受け続けた苔色が、堪らず紫苑色を見詰め返す
―――そして、囚われる。]
…………っ
[カタリと手に持った茶器が鳴った。 伸ばせない手は、華月も同じと示す音。]
(253) 2010/08/05(Thu) 19時半頃
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/* おぉう(*ノノ)(何かに気がついた
(-63) 2010/08/05(Thu) 19時半頃
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