213 舞鶴草の村
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[辰次にィと別れて僕はすこぉし早足で家へと。あまり遅くまで外を出歩いているととっちゃんに怒られちまうから。けれど家の戸をそっと開けてみたら何時も鍛冶場にいるはずのとっちゃんの姿は見えなくて、抜き足差し足布団へと戻ったんだ。 とっちゃんに優しいにィ達の報告が出来なかったのは残念だけれど――、こっ酷く叱られるのや拳骨食らうのに比べたらまだ良い方だよね。
そのまま安全に布団に潜り、次に目覚めれば平穏な朝を迎える筈……だった。]
『おィ! 春松起きろィ!』
(24) 2015/01/20(Tue) 04時頃
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[平穏な朝はとっちゃんの怒声によって何処かへ消えて。眠い目を擦る暇も無く鍛冶場へと引き摺るものだから夜に門限を破ったのが暴露たのかと覚悟を決める。 鍛冶場へと下りて真っ先に目に入ったのは何だか高そうにも見えるどぉんとでっかい黄金の置物。其れはお世辞にも裕福とは言えない寧ろ貧困層に近いボロ屋には似合わない物で驚く以前に『売ればお金になるのかなァ』なんてことを。 だけどとっちゃんはそんなつもりはないようで『どうやら鼠小僧とやらの仕業らしいが余計なことをしてくれやがって』と顔を林檎みたいに真っ赤にするんだ。だから正直僕は拍子抜け。 “悪いこと”が大嫌いなとっちゃんらしい反応だけどさ、――決して多くない収入の中の生活は無理が出て来ているんだもの。有り難く受け取っておけばいいのにね。]
……とっちゃん。 其れ、どうするんでィ?
[返さなくていいよ、と訴えるように問うてみたけれど『持ち主の所に返したらァ!』ととっちゃんの考えは変わりそうにない。 思わず口を尖らせて拗ねた表情を浮かべて『なんでィ、貧乏がそんなにいいのかィ!』と声を張り上げて家を飛び出した。
――初めてとっちゃんに反抗した。]
(25) 2015/01/20(Tue) 04時頃
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[ぴしゃりと戸を閉めると、ひゅんっと風を切って何かが此方へ飛んできた。其れが何かを判別するよりも早く額への痛みで]
うァ……ッ!? いで!……あッ!
[目を見開き派手な音と共にその場に尻餅をついて。額を小さな掌で抑えながら元凶である何かを拾い上げた。]
あァ? ……かみひこうき?
[眉間に皺を寄せながら異様に先の尖った紙飛行機を手にして首を傾げる。あれれ、可笑しいな。]
(26) 2015/01/20(Tue) 04時半頃
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――ちゃァんと真っ直ぐ飛ぶように折った筈なんだけどなァ、
[不器用なのに慣れねェことをするもんじゃないな、と頬を掻いて。]
(*0) 2015/01/20(Tue) 04時半頃
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[躊躇うこと無く紙を広げれば噂の鼠小僧からの手紙で、『あァ』と一言声を漏らす。都市伝説だと思っていた存在からの手紙に驚きはしなかったのはきっと、もう既に此処まで奴が来たのだと知っていたからだろう。 それすらも知らなかったら驚いて取り乱すくらいは出来たかもしれないけれど。――何だかこれじゃァ、誕生日を迎える前におめでとうって言われたみたいだ。何と言うか、驚きがすごく中途半端でやるせないよ。]
ちぇっ、つまんねェの、
[ぽつり、呟くと不貞腐れた態度で足を引き擦りながら伍区の方面へ。途中女の人>>19と一緒の明之進>>16にィの姿が見えたけれど、僕も逢引の邪魔をするような無粋な男じゃねェ。にこやかな微笑みを向けて]
(27) 2015/01/20(Tue) 04時半頃
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明之進にィの裏切り者ォ! ――ずりィぞ!自分だけ抜け駆けだなんてェ!
[思い切り叫び、相手が何かを言うよりも早く走り出した。]
(28) 2015/01/20(Tue) 04時半頃
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丁稚 春松は、メモを貼った。
2015/01/20(Tue) 05時頃
丁稚 春松は、メモを貼った。
2015/01/20(Tue) 05時頃
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/* にこやかな微笑みって日本語としておかしかったね((
(-14) 2015/01/20(Tue) 05時頃
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― 伍区・商店街 ―
[伍区へと差し掛かったあたり、普段の運動不足のせいか胸がぎゅう、と苦しくなって足を止めると昨日の団子屋のとっちゃんの高笑いが聞こえてきたんだ。 『どうしたんだィ、声が遠くまで丸聞こえだよ!』と店の外から声を掛けてみると『鼠小僧がウチにも来んだよォ!』とやけに浮ついた声。]
なんだってェ!やったなァ、とっつぁん! ――きっと、美味い団子を作っているからだな!
[あまりにもとっつぁんが嬉しそうに話すもんだから僕もつられて嬉しくなって「それじゃァ、お揃いだな!」とにかり。 義賊の鼠小僧もなかなか良い奴じゃァねェか、なんて思うと昨日まで居るわけねェと言い張っていたのが少し申し訳なくなる。 もし会うことがあるのであればとっつぁんの団子をお裾分此処のけして礼のひとつくらい言いてェんだけどなァ。きっと、鼠小僧の奴も此処の団子の味を気にいる筈さ。
――いや、僕が気に入ったんだもの。気に入らないわけがないよ。絶対に。]
あーあ、とっちゃんもこれくらい喜んでくれりゃァいいのになァ。
(82) 2015/01/21(Wed) 03時頃
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――此処まで世話をしてくれた恩返しをしようと思ったのに。
[残念そうに口を尖らせて溜息をひとつ。 素直に受け取っておけばいいのに、と呟いては履き古した草履を見下ろして。]
(*1) 2015/01/21(Wed) 03時半頃
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[そうぽつりと呟くと、『そんなに好んで貧乏して何が楽しいのかねェ』と首を傾げて。]
それなら、これから景気が良くなるんだろ? だったらさァ、今度来た時にゃァ団子をおまけしてくれよな! ――約束だぞォ!
[そう声を張り上げると絶対また来るからな、と腕をぶんぶんと振り、商店街を肆区の方面へと再び歩き始めた。 さっきまで苦しかった胸の痛みは大分和らいだから走ろうとおもえば走れるんだけど、好んで辛い思いはしたくないからね。そりゃあもうゆっくりと歩いたのさ。]
(83) 2015/01/21(Wed) 03時半頃
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[肆区の方へ向かう途中、旅籠の前で誰かが噂話をしているのが聞こえたんだ。]
『江戸城に鼠小僧が現れて宝を盗んでいったらしいねェ。』 『あァ、盗んだ宝を貧乏人の家やどっかの店に散蒔いたってェ話だろう? 羨ましィよなァ……待ってりゃ俺の家にも鼠が来てくれるのかねェ……、』
『ばァか、お前が貧乏なのは勝てもしねェのに賭場に入り浸っているからだろうが。』
[そう言って高笑いをする男達は楽して金持ちになることばかりを考えている。こんなに格好悪りィ大人初めて見たよ。 鼠小僧は弱い貧乏人を助ける義賊なんだ、宝を持っているのに無駄遣いする奴を助けるようなことなんかしないに決まっているさ。]
お前らみたいな欲に溺れた人間にゃァ、鼠小僧は来やしねェやィ!
(106) 2015/01/21(Wed) 19時頃
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ええいっ!これでもくらえ! お前らにゃァ、金よりもこっちの方がお似合いだァ!
[威勢良く男達の近くへ寄って、其奴らの顔を目掛けて足元の砂を被せてやる。いい気味だ、と笑おうとして――気付いた。 ここまでやれば奴らも反省すると思っていたのに、どうしてかとっちゃんみたいに顔を真っ赤にしていて。あれ、可笑しいな。
こんな時に取るべき行動はひとつだよね。 奴らが声を発する前に、今来た道を走って引き返す。あァ、でもこのまま家に帰るわけにはいかない。 こいつらが家まで来ちまったらとっちゃんにまで怒られて――その先を想像するのも恐ろしいや。 どうしようか、と顔を上げるとさっきも見かけた見知った顔。>>98 思わずぱぁ、と明るい顔をして叫んでいたよ。]
明之進にィ!良い所に! ――ねェ!僕を助けておくれよォ!
[答えを聞くよりも先ににィの背中へとがっしりへばりつくと内心『勝った、これならなんとかなるかもしれねェ』とほくそ笑んで。 逢引のことを黙っててやるから頼むよォ、なんてにィに向けて呟いた。]
(107) 2015/01/21(Wed) 19時頃
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丁稚 春松は、メモを貼った。
2015/01/21(Wed) 19時頃
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[ かちり。かちり。
絡繰の針は狂うことなく時を刻みます。
一定の速度で命果てるまで。
時を刻む、筈でした――、
“鼠小僧”が絡繰の歯車を盗むまでは。
いや、それだと少し語弊があるね。
“僕自身が僕の老いを盗んだ”せいで
規則的に動いていた絡繰は動きを止めたんだ。
恵まれない人間が、心優しい善人が、
莫迦を見る世の中を変えたくて。]
(*2) 2015/01/21(Wed) 23時頃
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