213 舞鶴草の村
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[声を掛けようにも、胸の気持ち悪さが言葉を押しとどめる。 唯々混乱したように視線を揺らしていたのなら、背を向ける薬師は何やら紙に文字を書いてはいたようだけれども。
そうして書き終えた薬師がくるりと此方を向いたなら、思わず一歩足を引き。 嗚呼、嗚呼。何だこの心地の悪さは――まるで、昨日川辺で覚えたそれのような。
――しかしそれにしても、どうして。 どうして薬師は自分とここまで目を合わそうとしないのだろう。]
……田楽、そんなに気に入らんかった? それでも無視することはあらへんのと――
[言葉をひとつ、部屋の出口に向かう薬師に、流石に眉を寄せて手を伸ばし。しかし肩へと掛けた手は、するりとその白衣を擦り抜けていく。
其処へきて、女は混乱の中も何処か冷静に思考を巡らし。 薬師も、女将も。自分が声を発そうと、絶対に自分と目を合わそうとはしなかった。 …そう、まるで自分が、そこに存在していないかのように。
――ぱたん。扉の閉まる音を聞きながら、女はその場を動く事も出来ずに。 擦り抜けた手を――かすかに震えるその手のひらを見つめたのなら、苦々しくひとつ、舌を打った。]
(42) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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………耳飾りは返してやるから、代わりに命でも寄越せいう事やろうか。
[ギリ、と奥歯を噛み締め、開いた手のひらを握り締め。 机の上に放られた田楽と――その上に乗せられた一通の文を見たのなら、眉を下げて顔を顰める。
態々、女の国の言葉で書かれた文字に。 あぁならあの時の言葉はちゃんと伝わっしまっていたんやね、なんて。 何とは無しに気恥ずかしさを覚えて零した苦笑は、何処か自嘲を帯びており――この田楽を渡す事は、もう叶わぬのだろうかと。
あゝ、まったく。何処の御伽噺だこと。 ここ数日で起きた不思議な事に――今、自分に降りかかっている事実に。 どくどくと震える鼓動を落ち着けようと息を吐けば――そのまま、旅籠を後にした。]*
(43) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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―回想・陸区への道―
[カラン、コロン。下駄を鳴らし、街を歩く。
――あれから何人かに声を掛けたり、触れようとしてみたけれど、やはり此方に気付く者は一人もおらず。 やれまた鼠小僧が盗んで行ったとざわつく町の中を、ただ何の目的も無く歩いて行く。
…こうして"盗まれてしまった"のだから、きっと近いうちにあの部屋も他人に貸し出されるのだろうと。 あの薬師が粋な世話>>4:29を焼いてくれていた事など欠片も知らぬ女は、旅籠に戻る事も出来ずに。
――あゝ、こんな時こそあの三味の音でも聴ければいいのに、と。 今日もまた聞くことが出来なかったと、宵の降りてきた空を見上げながら、ふと溜息を吐いた。]
………あ、瓦版。 先生がうちに来たって事は…私の事も載っとるんやろね。
[そうして昨日の道を辿り、川辺を歩いていれば落ちていた瓦版が目に入り。 その場にしゃがんで文字を追えば――あゝやはりそこには"芙蓉"の文字が。]
(44) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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[この国で名乗っていたその名を見つけ、ふ、と嘲笑じみた息を漏らしていたけれど。 ――もうひとつ目に入った名には、喉がか細い音を立てた。]
………、ぇ、
[其処に記されたその名に、小さく小さく声を漏らす。 思わず瓦版へと伸ばした手は、やはりそれをすり抜けるばかりだったけれど。
そうしてまたひとつ、ぐらり。 傾ぐ意識に寸刻目を伏せ、地に落ちた瓦版へと手を着いてゆっくりと息を吐き出す。 ――まさか、彼女も。"鼠小僧"に盗まれたとでも言うのだろうか。]
………、
["盗まれた"のであれば、彼女が其処に居るとは思えなかったけれど。 だけれどどうせ、行く所もありはしないのだ、と――そしてもうひとつ。この瓦版が嘘であってくれればいいのにと。
近くを通った男が、"此方を見た"事には終ぞ気付くことは無く。 そうして無言のままに、女はその場を立ち上がり、陸区の方へと少し急いた足取りで進んで行った。]*
(45) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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―現在・陸区―
[あれから陸区を歩いてはみたけれど、やはり三味の音を聴く事は叶わなかっただろう。 宵も過ぎ、暗い暗い闇の中では当然の事かもしれないけれど。
あゝ其れにしても、幽霊というものも腹が減ったり眠くなったり、寒さを感じたりするものなのだろうか、なんて。 寝床代わりに見つけた廃屋の床に転がりながら、いっそ何もかも感じなければいいと寒さに震えていたけれど――いつしか、眠ってしまって居たらしい。]
………、お腹空いたなぁ。
[姿見も何もないその廃屋。 埃に塗れた床で眠った自分は、きっと今酷い格好をしているだろうけれど、其れを確認する術も無く。
腹も減るし、寒いし、喉も乾くし散々だ、と。 自分が"返された"事など知らぬ女は、落ち込むようにひとつ息を吐いたのなら、顔でも洗おうかと近くの井戸へと向かった。]*
(46) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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―陸区・井戸の側にて―
[井戸の側に着いたのなら、からりからりと滑車を回し水を汲み。 寒さに冷えた体には、その水はあまり嬉しくは無かったけれど――少なくとも、目は覚めてくれた。]
………戻ろうにも、どうやって戻ろうか。 あぁ、そうや。見えへんのなら…無賃で帰れるんと違うか。
――戻っても、誰にも見えへんけど。
[そのままトボトボと陸区の道を歩き、そんな事を考え。 あゝ其れなら一層、意識も何も消えてくれればよかったのに、と。"鼠小僧も気が効かへんね"、と恨みがましく思いながら。
広がる田園を見つめ、幼い頃は弟とこんな景色の場所を散歩したりしたかしら、なんて。 田舎の街に育ったから、たまに来る露天商の店を覗くのがとても楽しみだった事を覚えている。 ――あゝ、そうだ。この赤い耳飾りもまた、その露天商から買ったものだっただ。子供の小遣いで買った物だから、さして高価な物では無かったけれど。
揃いにしようか、と二つ買ったその飾り。 まだ穴の空いていない弟が、意を決して開けてくれと頼んで来た時の強がったあの顔には――何とも微笑ましかっただろうか。 そんな郷愁に浸っていたのなら、慣らしていた下駄をはたと止める。]
(47) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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………覚えてる…?
[ぽつりと零した言葉には、何の感情も無く。脈打つ心臓に舌を打ちそうになりながら、幾つかの記憶を辿っていく。
叔父の元で働くと言った時の、父の激昂した顔。 珍しく料理などしてみて失敗した時の、母の呆れたような笑顔。 ――昔は何処へ行くにも着いて来た、三つ下の弟の顔。]
………、覚えてる。
[そっと、耳の飾りへと手を伸ばし。 着いで自分のほっぺを軽くつねってみれば……当たり前だが、痛い。
――あゝ、まったく。無情なものじゃあないか。 もう二度と会えぬようになって漸く、其れを思い出すだなんて。 其れでも、これから何れだけの長い間こうして一人で過ごして行かねばならないのか――生き甲斐にしていた仕事も無く、誰とも話す事も出来ず。 其れを思えば、思い出した家族との記憶は慰みにくらいはなるかもしれない――かえって辛くあるかも、しれないけれど。]*
(48) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 15時頃
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『鏡 居るか?』
[声 自分を呼ぶ声 朧兄さんの声 化粧道具を補充して 楽屋に直しに戻った折 やたらと騒がしいそのまわりから 真っ直ぐに耳に届いた その声]
兄さ ん
[>>23声のした方を見れば 手に持っていた化粧道具箱の中身を床に撒き散らしたか ずっと探していた彼の顔を見れば どうしようもなく 涙がぼろぼろと零れ落ちる
彼がどこへ行っていたのか 真相がどうであったか 彼が何を感じているのか 聞きたいことはたくさんあるけれど 浮かされるように 両手を求めるように延ばせば歩み寄って 受け入れられるまま彼を強く抱き寄せた]
おかえりなさい おかえりなさい 朧兄さん
[変わらない 安心する彼の匂い しばらく涙は止まりそうになかった**]
(49) yucca_eleph 2015/01/30(Fri) 18時頃
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[内緒です、と言われれば>>30少し残念そうに、そうですかと返す。聞いてみたい気もあったが、そこまで気にしていたわけではなかった。
ぱちり、と一瞬瞬いてから気まずそうに返事をする彼に、ああと息を漏らす。どうやら勘違いさせてしまったようで、落ち着いた声音で訂正をする。]
ああ、いえ。母のことはそこまで残念でもないんです。蔑んだ目でも、僕を見てくれたわけですし。…それよりも、今の母に思い入れがなかった自分を嘆いてたので。
[昔のように何も無い、知らないという目で見られるよりは確実に意識を向けられたという喜びがあった。だから、会えたことはそこまで残念では無いのだ、と微笑みと共に言葉にした。]
(50) purin3 2015/01/30(Fri) 18時半頃
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[彼が苦笑を零した様子をちらっと見て、そして彼の湯呑みの持ち方を見て気恥ずかしさを覚え、少し頬を染め目を逸らす。…なるほど取っ手をああやって持つのか、なんて思いながら湯呑みを持ち直す。 …と、そこで聞こえた彼の言葉にふっと顔をあげた。 普段なら、いや今のような状況でも恐らくこういった誘いには乗らないはずだった。仕事が全て、と。そう育ったから。 …しかし今は自然と、それもいいかもな、なんてぼんやりと考えていた。どのみちもう江戸にいる気は無かった。…江戸にいれば、思い出の中の母がどんどん汚れてしまうような気がして居たから。 僕は彼をじっと見つめると、不束者ですが、と微笑んだ。…彼がこの答えにどんな思いを抱くのか、と好奇心に揺られながら。]
(51) purin3 2015/01/30(Fri) 18時半頃
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― 回想 ・ それから ―
[どれ程の間、地を這って探し続けていただろう。 不意に頭上から掛けられた声に、遠い過去へと馳せていた思考を 現在へと引き戻す。 舌足らずな声を聞くに、年端もいかぬ少女か もしくは少年か。]
…ああ、大事なもんを失くしちまった。
[声の方へ顔を上げて、へらりと笑ってみせれば。 年相応の素直さで以て掛けられる、好意の言葉。 ――嗚呼、あたしにもこんな頃は在っただろうか。 人の声を聞くのなんて、暫く振りであったような気さえするのだから。その善意を跳ね除ける事も憚られて、そうして地を探す目は、零から二つになっただろう。*]
(52) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時頃
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そうさ、綺麗だろう? 昇ったお天道様に透かしゃあ、きらきら光って さぞ美しい筈さ。 けどね、…あたしには見えやしないから。
[そうして、長く長く 時間を掛けて。 あぜ道にぽつりと転がっていた鼈甲仕立ての櫛を見つけて取り上げたのは、幼い一対の瞳。 少女の言葉に自慢げに笑いながら、指先に触れる湿った土を丁寧に取り除いて。
そうして、ほんの僅か 思考を飛ばす。]
…欲しいかい?
[ちらりと持ち上げた櫛と言葉に、小さく呑まれる少女の呼吸。 この辺りを通るとなれば、そう裕福な家の子ではないはず。 未練がましく探し続けてようやく見つけ出したのは、その “宝物” だけじゃあない。 今はすっかり、何もかも取り戻した気分だったのだから。]
(53) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時頃
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[ややあって “綺麗だから、欲しい” と。 弾んだ声音で聞こえた、子供らしく率直で素直な言葉に ゆるりと頬を緩めた。]
上手に言えたじゃあないか。 優しくて素直な人間にゃあね、相応の何かが、必ず返ってくるもんさ。
――良いよ、持ってきな。
[そうして小さなもみじの手を取れば、その上に櫛を重ねて、握らせる。
少女であった自分には、言えずにいた言葉。 真っ直ぐなきらきらした言葉に 酷く満たされた心地になりながら、――姐さんも、もしかすれば そんな答えを望んでいたんじゃあないのか などと。
きゅ、と握っては離れる体温に、曖昧に俯いては微笑んだ。]
(54) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時頃
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[ “――でも、姉さんの大事なものなんじゃあないの” と。 去り際に掛けられた声には、子供が気を遣うもんじゃあないよと ふんと鼻を鳴らしては。]
あたしには、もう別の “大事なもん” があるから、構やしない。 ちゃあんと 礼を言いに行かにゃあね、…あんたみたいに。
[耳の上に収めた硝子と真珠の髪飾りを指先で探り当てては、口角を上げて柔らかく笑ってみせた。 一度外れたそれは、少々不格好だったやも知れないけれど。手元に在るならそれで良い。
そのままひらひらと手を振って、今度こそ背を向ける。 “ありがとう” と。背後から聞こえた瑞々しい子供の声に、敵わないねぇと 眉を下げた。]
(55) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時頃
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[――本当に、いつだって “子供には敵わない” 。 ふと遠く聞こえた 先の少女とは違う子供の軽い足音は、そのまま何処かへ 駆け去って行ってしまっただろうか。
その主が誰であれ “何者であれ” 。 全て取り返した自分には、知ったことではないけれど。]
…子供は素直なんが一番さね。
[詰まることのなくなった “鼠小僧から返された” 言葉を――喉を 押さえて。 ふらふらと、道を歩いた。
語り継ぐ “鼠小僧” の音程は。 もう少し――明るく弾む音色に変えてみても良いだろうか と。 それは只の気まぐれか 何処かへ残る足跡の旋律か。*]
(56) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時頃
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― 陸区 ―
[続く騒ぎの所為か はたまた――幸か不幸か、自身は他のことに手一杯でさっぱり気付いてもいないけれど――街で起きた失踪騒ぎの所為か。 すっかり人気の無い道を進みながら、ふと 耳に届く下駄の音。>>47 この数日ですっかり耳に馴染んだ音に、おや珍しい事もあるものだと 草履の向きを僅かに逸らした。]
こんな辺境に、姉さんみたいなお人が何の用かね。
[足音を頼りに向かいながら ぴたりと止まった下駄の音に、僅かに首を傾げて。 其れでも口をついて出た言葉は、今更戻し様が無い。
途方に暮れた子供のような声には、嗚呼やはり “らしくない” と。>>48 さて、まだ彼女は失くし物を取り戻してはいないのだろうかと 思考を逸らしかけるけれど。]
(57) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時頃
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こんな場所、姉さんみたいな女が一人で歩くもんじゃあないよ。 鼠小僧の他にも、せこったらしい盗人は溢れるほど居るんだから。
[さて、彼女との距離 如何程か。 揶揄めいた言葉を掛けてしまうのは、彼女に対してはすっかり慣れた物。 嗚呼やはり、“言葉を盗まれた” 自分が それでも尚 詰まる事無く話せたのは 彼女だからだったのか と。
独り納得しながら、杖を抱えて腕を組んだ。 今はもう、――文字通り “詰まらぬ” 言葉だけで 済ませる積もりも無いのだけれど。]
(58) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 20時半頃
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―陸区・路上―
[鳴らす下駄の音は、何時もよりもずっと低く。ともすれば引き摺りそうになる足を何とか持ち上げながら、重い重い音を鳴らす。
――さぁて、此処から何処へ行こうか。 下駄の音は、心の音。鼠小僧から"返された"ものが何か知らぬ女はただ、行く当ても無くあぜ道を進む。]
………何処へ、行こうか。
[溜息と共に呟いた言葉は、どうにも情けない響きを孕み。 瓦版に名のあった、あの瞽女は無事だろうかと陸区を歩いてはみるけれど、あぁこの時間ならきっと肆か伍の方だろうか、と肩を落とす。
とぼとぼ、とぼとぼ。 昨日も、その前も。結局あの唄を聞けはしなかったから。 行く先の見えぬ絶望と、彼女の安否の分からぬ不安と。 そしてこんな時でも小さく鳴る腹に、更に気分を落ち込ませていれば、唐突に"声を掛けられた"。>>57]
(59) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 21時半頃
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――……志乃!
[勢い良く振り返り、其処にある姿に眉を下げ。 次いだ言葉>>58を聞きながらも、思わず伸ばした腕はこの距離ならば――きっと。腕を組んで此方に顔を向けている彼女に届くだろう。
唐突の事だったから、彼女はもしかしたら驚いたかもしれない。その腕を、振り払おうとしたかもしれない。 もしも振り払おうとしたのならそのまま手を離し、そして振り払われ無かったとしてもまた、何かに気付いたように身体を離しただろうけれど。]
………、キミ、私が視え…いや、聞こえるの?
[ポカンとした顔で、自分よりも僅かに下にある顔を見つめ。 肩に置いた手でペタペタと無遠慮に、彼女の顔へと触れる事は許されただろうか。]
(60) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 21時半頃
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[あゝ、まったく。鼠小僧も人騒がせなものじゃあないか。 盗んだものを、ちゃあんと返してくれるなんて――それともこの数日の事は、唯の夢だったとでも言うのだろうか、なんて。 だけれど、そう。ならば思い出した記憶は――これが夢ではないと。そう、物語っているのではないだろうか。
もしかしたら、盗まれた者同士ならば言葉を交わす事も出来るのかもしれないけれど、そんな事を知る術など無い。 それに例えそうだったとしても、ひとまずは。]
――……はぁ。無事で良かったわぁ。
[苦笑交じりに微笑みながら、ほっと安堵の息を吐き。 許されるのなら、もう一度。 今度は先よりも力を込めて、艶やかな髪の流れるその頭を抱いただろう。
抱きながら、指でその髪を少しだけ乱暴に梳き。耳のすぐ上に付けられた髪飾りを見つけたのなら、"付けててくれたんやね"とさも嬉しそうに言ってみせただろう。]
(61) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 21時半頃
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ふふ、心配してくれてはるの?
………、瓦版でね、キミの名前を見かけたものやから。 鼠小僧に盗まれたって書かれてあって、無事かなぁて思うとったんよ。
[彼女の心の中など、知る由もなく。 揶揄の言葉は勝手に心配と受け取り、髪飾りの付いた耳をそっと撫ぜ。
"あぁ、やっぱり似合うてるね"、と。 混乱やら安堵やら、その他にも色々な理由で浮かびそうになる涙を堪えるように、ツンとその鼻をつついてみせた。]
(62) ねこんこん 2015/01/30(Fri) 21時半頃
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[聞こえていた重々しい下駄の男からは打って変わった、弾かれる様な声に、弾かれたように顔を上げ。>>60 声を上げる間もなく伸ばされた腕に驚く事は有っても、振り払う理由は無い。そうして直ぐに離れて行った手に 何とも不思議げに首を傾げた。]
…視え、はしないが、何時も通りさね。 姉さんは何だい、現実感か何かでも、盗まれやしたんかね。
[その言葉の理由も、驚愕の理由も 理解りはしなかったけれど。ぺたぺたと確かめるような手のひらは、好きな様にさせておく。 改めて寄せられた身体に、嗚呼 何て大きな子供が居た物だと 呆れ混じりの息を吐いた。>>61]
盗まれた?…あたしが? そりゃあまた、可笑しな話も在ったもんだ。
[だけれど、彼女が自分の揶揄を “心配” と受け取ったのは、他ならぬ彼女が 自身を慮って居たが故だろうかと 続いた言葉から思い至れば。>>62 先の少女も、そして何処か子供じみた目の前の女も、さらさらと告げる事の出来た言葉を。 それすら上手く伝えられぬ自身が、どうこう言えた物じゃあない。]
(63) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 22時半頃
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……何処へも消えやしないよ。
[彼女らしくもなくぞんざいに髪を梳く手に 居心地悪く身動きしては。 けれどどうにも其の声は 泣き出すのを我慢している子供の様に、聞こえてしまったのだから。 僅か上に目星を着けて、その目元へと指を伸ばせば、共に頬を包む。
彫り深い彼女の瞼は、指先に濡れた感触を伝えたか、どうか。 何方にせよ、その頬の冷たさに眉を寄せて。慣れぬ癖して、どれだけの間外を歩いて居たのだろうかと 溜息を落とした。]
あんたとあたしの縁なんざ、あんたに其処まで言わせる程 深いもんじゃあ、無かった筈だよ。 だってあたしは、姉さんの名前だって知りやしないんだ。
[吐き出した言葉は、突き放すようなものだったけれど。それでも寄せられた身を離す積もりはない。 慣れているとは云え、自身だってこの寒さには辟易していたのだから。]
(64) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 22時半頃
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[鼻先を突いた手は取り上げて、頬と同じく冷えた其れへと 暖を分ける様に包み込む。
彼女に此処まで “心配させた” あれやこれやを、自身はさっぱり理解していない。――のだから、ほら、何も言えやしない。 口に出せぬ慰めの代わりとばかりに 回し込んだ腕で一度 二度 その背をあやすように摩っては。
さて、彼女は先の自身の言葉に、どういった反応を返しただろうか。 何にせよ、言葉を留める積もりは無いのだけれど。]
(65) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 22時半頃
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――だから、あんたの名前を教えておくれよ。 そしたら此れも、立派な縁だ。
[草履の踵を上げて、鼻先で探り当てた耳元へと落としながら――触れた硬い感触に、おや、と疑問は内心で。 以前触れた時には無かった筈の耳飾りの存在は、だけれどすんなり馴染んで思えた。]
其れもね、…あんたの為に着けるとは言ったけども、気が変わった。 あたしのもんにしたい。
[そうして 彼女が触れる髪の上、僅かな重みを伝える髪飾りを示すように、緩く頭を振る。 大切な物を増やすのは好きではなかったけれど――ひとつ減らして、そして増やす位が、自分には丁度良い。
改めて、自分にくれ と、伝えはしたものの。 元々 彼女はその心算だったろうから、否定が返ることはそう無いだろうと 予測しながら。]
(66) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 22時半頃
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[――嗚呼、もしも肯と伝えられたのなら。 何時かの自分が言えずにいた言葉を、瞽女の姐さんに伝えられずにいた言葉を。 だけれど今は彼女の為だけに、必ず伝えようと。
身を焦がして焼け落ちるなど、そんな殊勝な生き方は 自分には似合わない。 寒い冬の空気の中では、潜めた声ですらしっかりと響くのだから、態々声を上げて鳴く必要すら 無い。
何の力も借りず――唄も借りず。 自身の言葉で伝える思いだって、無くちゃあ堪らない。
嫌に熱を持ち始めた手のひらで、その柔い背を改めて抱き込んでは――小さく微笑った。*]
(67) g_r_shinosaki 2015/01/30(Fri) 22時半頃
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―手ぬぐいの記憶―
カーン、カーン、カーン 半鐘の音が火の見櫓から町中へと鳴り響く。江戸の町は大火に包まれようとしていた。 皆が江戸の外へと逃げ出す中、俺は大火の中心へと向かっていた。仲間からは危険だ、お前も死ぬことになるぞ、と散々止められた。しかし引き返すことは出来ない。 「あそこには女房と息子がいるんだッ...!」 物凄い熱風が身体を襲ってくる。早くしなければ。
ドンッ!! 一瞬の気の緩み。集中力を欠いた俺の身に容赦なく建物が崩れ落ちる。身動きが取れなくないながらも必死に体を起こそうともがき叫ぶ。 こんなところで時間を潰している暇はない。こうしている間にも火の手は江戸の町を包み込む。脚の感覚はないが腕の力だけで抜け出そうと試みる。
『そこで寝そべって何をしている?』
(68) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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奴は俺を見下ろす様に見つめていた。 久しぶりの出会いがこんな形とはな。
『今助けてやるから待っていろ』
奴はそう言い俺の元に寄ってきた。火の手の勢いは増し旋風となって押し寄せてくる。早くしなければここもすぐ...。 「俺はいいからあいつらを...家族が残っているんだ。頼む...お前にしか頼めない」 後生一生の願いとして奴に懇願した。これしか方法はない。自身の無力さや悔しさから手に砂を握り締めた。 そんな俺に目を合わせるように奴はじっと見つめていた。
『....分かった....約束しよう。私に盗めないものは無い』
俺もここまでか。家族を最後まで守ってやれなかった。息子に教えてやりたいこともたくさんあったのに。せめて命だけは救ってほしい。 「頼んだぞ...相棒」
(69) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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―簪の記憶―
私の愛した人は旗本の家の者だった。 私とは身分が違う。故に結婚には反対された。 子を身籠った私はお腹の子を守るため逃げるように身を隠した。彼との間の子が見つかれば子を堕胎せと言われるかもしれない。
身を隠す生活に彼も協力してくれた。彼の家の家紋の刻まれた簪を貰ったことが何よりも嬉しかった。私達は婚姻こそできなかったが夫婦として過ごす日々を送ることにした。 大望の赤ん坊、元気な男の子が生まれ、私たちは親子3人で堂々と生活出来る日々を夢見ていた。 そのような希望が脆くも崩れる出来事が起こった、江戸が大火に見舞われたのだ。
夫は火付盗賊改として働いていた。重罪である放火や盗賊を取り締まる役職だ。そんな夫からある義賊の話を聞かされていた。 「アイツは他の盗賊とは違う。でも俺は認めねぇよ」そう話す夫はどこか嬉しそうだった。
『この屋敷の者なら生活を見てくれる。頼るといい』
私たち親子を助けてくれた彼から夫の最後と面倒を見てくれるという屋敷を紹介された。彼が何者かは聞けなかったが、きっと夫が話していた人だろう。
(70) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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江戸の町を焼き尽くした大火で夫を亡くした私は我が子と親子二人で屋敷に住まわせてもらうことになった。屋敷の主人は何も言わなかったが命を救ってくれたあの方から何かしらの見返りや口添えはされているのだろう。
夫に子がいることが夫の実家の耳に入ると息子の捜索が始まった。夫が亡くなり跡取りがいなくなったため明之進を引き取ろうというのだ。私は息子の身を隠すため他人に夫の正体を明かさないことを決めた。 他者に何と言われようともこの子が側にてくれるだけで私は耐えれる。 大人になった時にこの子自身が進むべき道を選択すればよい。ただし今はまだその時ではない。できるだけ親の愛情をこの子に、亡くなった夫の分まで。それがこの子にしてあげれる事であり私の役目。夫と私の宝物―明之進
(71) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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