276 ─五月、薔薇の木の下で。
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[ 長い睫毛が包む瞼が開く。 咄嗟に退かせた髪に触れる指先が宙に彷徨った。 空から降って来るピアノの音色の感想を溢す相手>>3:274は 笑みすら浮かべて、酷く呑気で、 一時、自分が犯した過ちを忘れた。
気が抜けて眉尻が下がる。 きっと今まで誰にも晒したことが無いような 間抜けな顔をしていただろう。]
(21) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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[ 漠然とした視線>>3:275が絡み合った瞬間、 我に帰って肩をビクつかせた。
想像をしたのは失望の顔。 どうして、と問い詰める怒りの顔。 ……──" 彼 "では無いのかと 落胆する顔。
は、と零した呼気が荒い。 震える眼は、次にどんな感情を浮かべるのか分からない 薄い青色の眼から離せなくなる。 脳裏に一瞬チラついたのはマークの姿>>3:56。 怒声すら上げる度胸は無いまま、 苦しげに自身の胸元へと手は伸びて、]
(22) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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[ 伸びた手を辿る、熱っぽい指先>>3:275。 心臓が止まるような錯覚。 短く呼吸を繰り返して待った言葉に瞠目する。]
(23) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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………、何に 脅えるって言うんだ。
[ 泡沫に消える言葉は熱に浮かされたように漠然としている。 どうして急にそんな事を言い出すのか。 揶揄おうと笑おうとした相貌が崩れる。
確かに呼ばれた" オスカー "という名前に、片耳を抑える。]
……だまれ、黙れ。フェルゼ。 それ以上喋るな。
[ それでは無い。 君が言いたい事>>3:277はそんなどうでも良いものではないだろう。]
(24) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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何で君が笑ってるんだ。
[ 底の底に沈んでいた汚泥。 苛立ち。優越感。重苦しい安堵。叩きつける様な情動。 東屋で二人、傾倒しかけた行為>>1:267。
ひとつ、またひとつ、 自分の中に落ちていく。]
……頼むから、 気付かせないでくれ。
[ 誤魔化せるものが此処には無い。 擦り切れそうな何かを繋ぐように、 言葉とは裏腹にフェルゼの指に自分の指を絡めて、 強く握った。]
(25) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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僕を……見ないで…
[ 搾り出した懇願は、俯いた地面に吸い込まれて消える。]
(26) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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( いっそ 死んでしまいたい。 )
(27) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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[ 此処には誰もいない。
蹲る様に俯く姿を見る者は、何処にも。]*
(28) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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[ 結局、永遠にも思える時間を抜けて 上背のある相手の肩を担ぎ医務室まで運んだ。
相変わらずヒューとモリスは寝息を立てている。 担いだ相手も二人同様にベッドへと寝かせて──不意に聞こえた「しさいさま」という声に、 また増えたのかと辟易すると同時、 そろそろこの狂気じみた夜の終わらせ方を悟った。]
………もしかしたら、 このやり方で救われるのは僕だけかもしれないな。
(29) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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[ 自暴自棄気味に漸く笑う。 誰かの夢に見た、歳上の共犯者を探す爪先は当てなく廊下へと向かった。 其れはほんの少しの確認のため。
とりあえず人影に当たりはある東屋から探ってみようと。 其処にもしも、ピアノの弾き手が倒れているならまた脚を引き摺りながら医務室へ運ぶ事になる。
医務室扉横に『フェルゼ・アーレンス』の札を下げながら、 目覚める事だけは、未だ望めない。**]
(30) 2018/05/23(Wed) 03時半頃
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─現実、医務室での─
[ フェルゼをベッドに寝かせてから ずっと医務室で寝ているモリスとヒューが気に掛かって、 仕切りの隙間から顔を覗かせた。 まだモリスは寝息を立てているだろうか。
一度起きたのだろう、 また床に落ちている包帯をヒューの腕にそっと巻き付けていく。 彼が痛みで目を覚まさないのなら、 今までの悪魔的な治療が態とであった事を物語っているだろう。
包帯で痛ましい肌の隙間を埋めながら、 声はモリスの方へと向いた。]
(53) 2018/05/23(Wed) 21時頃
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モリス、さっきから見えてるのは君の夢かな。 人の頭に入ってくるのは流石にやめて欲しいんだが…… まぁ 君は嫌がらせをしないし止むを得ないんだろう。
けれど少し、 少しね、 頭が痛くなる。
[ ベッドに横たわる彼は着の身着のまま。 香るのは薔薇。 しかし彼らしい、木の匂いにふと羨望の色を映した。]
(54) 2018/05/23(Wed) 21時頃
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君が見る夢は 綺麗だ。 本当に、
[ 目を逸らしたくなる。 言葉に仕掛けた音を飲み込んで、 思い出すのは撫でられた指先の熱>>3:275。 後輩の腕に爪を立てそうなのを耐えた。]*
(55) 2018/05/23(Wed) 21時頃
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─廊下─
[ 医務室帰り。 ベネットが倒れていたとしたら、もう医務室へ運んだ後だろう。 もしかしたら未だ見つけてもいないかもしれない。 廊下で当てなく歩いていると、向こうから現れてくれた探し人>>36。
彼と顔を合わせたのは久しぶりの様に思えた。]
こんばんは。また居残り? [ 一目見た彼の姿は何時もの生徒会長からは想像も出来ない。 けれど余り驚かなかったのは、もう誰かの夢でその姿を垣間見ていたから。 正解を見つけた優等生らしく、 努めていつもの様に正しく笑う。]
(56) 2018/05/23(Wed) 21時頃
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また 全部済ませようとしてるんだ。 ひとりぼっちで。
[ 遠くからでも香る薔薇の芳香>>3:61。 首元に咲くのは痛ましい程赤い花>>3:3。 呼吸を置いて、「おかしな事を聞くかもしれないけど」と嘯く口。]
此処からでも、 貴方からかいだことのある匂いがするんた。 さっきまで一体何に触れてたの?
[ 相手とは対照的に、爪先にこびり付いた血以外、見た目は小綺麗な顔で笑いかける。 思い出すのは、医務室にいる彼の木の匂い。]*
ねえ それは誰の匂い?
(57) 2018/05/23(Wed) 21時頃
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モリスがいるのに、答えるのも躊躇わないんだね。
[ 先程かいだばかりの木の匂いは、 まだ、遠のくことは無い。 笑いもせずに放った言葉は自分でも気付かない程温度が無かった。
まぁいいか。と間を置いて、 繕ったのはいつもの顔。]
それを僕に言って貴方はどうしたいんだ。
(67) 2018/05/23(Wed) 22時頃
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僕は貴方が現状の鍵を握っているかと思って話しかけたんだけど、 「皆が眠れば」とは、つまり?
[ 側にあったベンチに腰を下ろす。 立ち尽くす相手を手招く事はしない。]*
夜から解放される為なら 僕は飛び降りもするし、腹にナイフを入れよう。 教えて欲しい、何をすればいい。
(68) 2018/05/23(Wed) 22時頃
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[ 此方の誘い水に乗らない相手に笑みを浮かべたまま首を傾げた。
水面下でどのようなやり取りがあったのかは分からない。 ただ目の前で立ち尽くす姿は共に生徒会室でコーヒーを飲んだ時とはかけ離れていて、 思い返して緩みそうになる気持ちを振り払った。]
疲れているのは貴方だろう。 貴方がハードワーカーで疲れ知らずなのは知ってるけどね。
人の心配までするものじゃない。 それより先に自分の格好を案じるべきだ。
(85) 2018/05/23(Wed) 23時頃
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[ 汚いよ。 無遠慮にかける言葉は初めて会った頃から何ら変わらないだろう。 ベンチから腰を上げる。]
でも貴方の言う事も一理ある。 物は試しだ、目を瞑ってみよう。
………それでなにも考えなくていいなら、
[ 元より、希死念慮に悩まされる事もないのだけれど。 言葉は続けずに自嘲気味に笑った。 相手が呼び止めなければそのまま立ち去ろうとする。]*
(86) 2018/05/23(Wed) 23時頃
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あ、そうだ。寝つきは悪い方だから、 もしかしたら寝るのは僕が最後かもな。
(87) 2018/05/23(Wed) 23時頃
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オスカーは、何処かで自身の自殺疑惑が囁かれていたとしても、夢の囁きだけしか聞こえない自分が知る由はなく。*
2018/05/23(Wed) 23時半頃
オスカーは、また降ろされなかった衝動に苦しむ生徒会長の姿は、相手が声を出さない限り気づく事もない。*
2018/05/23(Wed) 23時半頃
オスカーは、ユージンから香る匂いを思い出して顔をしかめた。
2018/05/23(Wed) 23時半頃
オスカーは、イアンから漂う匂いにも同様に。
2018/05/23(Wed) 23時半頃
オスカーは、メアリーがまだ勘違いをしたままとは知らず、一人談話室で瞼を閉じた。**
2018/05/24(Thu) 00時頃
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