94 眠る村
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[キッチンでおべんとうを包んでいると、知っている声。 顔をのぞかせればラディスラヴァの顔も見えて、包みかけた手を止めおべんとうに少し足す。]
お待たせ、しました。
[客人との会話の終におべんとうを渡し、代金を受け取る。 いつになく低いラディスラヴァの声は気になったけれど、おはよう、と言ってくれた声はいつも通り。]
おはようございます。 ラディスラヴァさんも、森へ?
[森といえば熊が結びつき、ふる、と首を振る。 礼を言われればはにかむように微かに笑み、 いってらっしゃい、と二人を*見送る*]
(213) 2012/06/12(Tue) 20時頃
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―朝・自宅―
うー、うー。
[姉の起床よりも遅い時間、もぞもぞと布団からはい出る。 眠い目をこすってから、眼鏡をかける。 くせっ毛はくるくると好き勝手な方向を向いている]
つきー。おつきさまー。
[姉が料理を作っている間、一人きりの部屋で広げる白い紙。 取り出すのはいつもの絵の具。 拙い手つきで絵筆を握り、ぺたぺたと描く世界。 まだらな紺色で塗られた空に浮かぶ、 ぐるぐると真っ赤なお月様]
(214) 2012/06/12(Tue) 20時半頃
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―朝/自宅 雑貨屋―
[パンの焼ける香ばしい匂いが部屋の中に広がっていく] [食卓テーブルの上に籠に乗せたパンを置く]
おじぃちゃぁーん。 朝ご飯よぉ。
[店でいつもと変わらないように常連客と話す祖父へ声を投げる] [話が弾んでいる時は常連客を食卓へ招く事もしばしばある事だ]
ハナはぁ、まだ寝てるのかしらァ。
[ハナの部屋へと向かえば>>214いつものように絵を描く妹の姿]
あらあら。 おはよぉ、ハナ。
…それ、は?
(215) 2012/06/12(Tue) 20時半頃
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[ぐりぐりぐり。 夢中になって描いていたら、 赤い絵の具がはねてほっぺたにとんだ]
ローズ姉ちゃー。
[扉が開けば香ばしいパンの香り、いつもの朝の気配]
おつきさまー。
[現れた姉に、描きたての絵をかかげて見せる]
あかい、おつきさま。
わるいこが、いるの。ごめんなさい、するの。
[昨日、祖父から聞いた話のことを言っているのだが、 言葉足らずで意味がどこまで通じるのやら]
(216) 2012/06/12(Tue) 21時頃
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―回想―
[ティモシーの手をぎゅうと握って帰る道すがら。 後ろを歩くケヴィンは、何処か普段より落ち着かなかったか。 それでも変化はごくわずか。いつも通りの、村の風景]
おつきさまー。きれーきれー!
…う?
[小さい歩幅でとたとたと歩きつつ、祖父の話に耳を傾ける]
わるい、こと? こわいのー…?
あうう。それなら、ごめんなさいして、ゆるしてもらうの。
[吹いた風は、季節の割には妙に冷たかった。 おびえるように、祖父の身体にしがみついた]
(217) 2012/06/12(Tue) 21時頃
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―朝 ハナの部屋―
赤い月、
[碧の瞳をはたはたと瞬かせながら絵を眺める] [昨晩、1人で帰った時を思い出す][赤い月明かり]
でもでもぉ、 ハナは悪い子じゃないわァ。
[祖父の迷信話を昔は自分が良く聞いていて] [幼い頃は怖くて泣きべそをかいていた事もあった]
あらあら、 絵具が顔についてるわ。
ほぉら、行きましょお。
[朝食と、妹の顔の絵の具を拭おうと手を伸ばす]
(218) 2012/06/12(Tue) 21時頃
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なんでもないんじゃよ。
[常連客と別れ、店の奥へと老人は姿を消す。 やがてタオルで手を拭きながら二人の居る部屋の前を通ると、 昨夜のケヴィンを思い出して、少し困惑したように言葉を掛けた。]
のうローズよ。 歳を取るのも善し悪しよのう。 気を使わんようになったのは楽じゃて、 いつのまにか遣いたいときに遣えんようになってしもうた気がするわ。
[独白するように、そうして席に着くのだった。]
(219) 2012/06/12(Tue) 21時頃
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― 森 ―
[深緑の香りが鼻をくすぐる。 木漏れ日の中、従兄弟が話す言葉に短い相槌を打ちながら歩くのはいつもの事で。
ふと、宿でお弁当を受け取ったときのクラリッサ>>213を思い出す]
――ナタリアお婆様が心配性というけれど。 クラリッサも、同じ、ね。
[ふふ、とおかしげに笑いを零した]
(220) 2012/06/12(Tue) 21時頃
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[従兄弟であるブローリンの仕事を手伝いだしてもう8年たつだろうか。 手伝いをはじめた理由はたいしたことはない。 家にいるのが嫌で、外にいる理由を欲しただけ。 その理由を与えてくれたいとこには感謝している。
香りの良い草の見分け方も、 人に害となる草も、
すべて、従兄弟から貰った知識 ]
(221) 2012/06/12(Tue) 21時頃
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お使い ハナは、メモを貼った。
2012/06/12(Tue) 21時頃
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ハナ、わるいこ、ないないー?
[こてりと首を傾ける。髪の毛が、ふわふわと流れる]
あううー。
[姉に顔をぬぐわれれば、くすぐったそうにした後、 きょとりと大きく瞬いた]
おなかすいた!いちごジャムー。
[姉にぴっとりくっつくようにして、 そのまま食事の場所へと向かうか。 先ほど描きあげたばかりの絵は、しっかり手に持ったまま]
(222) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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―深い森―
[従兄弟の娘の問い>>190ににんまりと笑みを口許に見せたまま。 どうせ歩き始めれば、何時もの採集場所だとは知れるのだ。]
…そうそう、心配性なのさァ。 ――でも、心配しないよりは、「愛」があって佳い、さァ。
[ケラケラと笑いながら、話す語調は羽毛程に軽い。 村から少し離れた森の中、目当ての香草を見着けて笑み浮かべ 共にいる手伝いにも指を差し、今日の仕入れは上場だ。]
(223) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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[ぷちり、根は取らぬ様葉だけを注意しながら千切り、籠へと入れる。 香り違う色々は湿らせた布へと包み、そっとその上から。 仕事の間は、肩の小猿は無駄口(?)を叩かない。]
……そういえば、ラディは、さァ。 ――他にしたいこととか行きたい所とか、無いのさァ?
[頼めば何時だって来てくれる、仕事も手伝って呉れる。 そんな従兄弟に向けて、ポツリと零すのは、きっと昨日の酒のせい。]
(224) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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あらあら、 おじいちゃ ん…
[>>219 独り言のように呟いた言葉が耳に入ってくる] [ハナの手を引いて食卓へと向かいながら]
やぁね。 急にそんなことォ、どうしたの?
家族の中で、隠し事なんてなしでしょォ?
(225) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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―回想―
[その日の夜は、暖かく眠れた。 傍にぬくもりを感じて、ぎゅうと抱きしめていた。 それが姉であったのだとは、気がつかないままに。
少女が物心ついた頃には、母は病の床についていた。 少女を生んでから体調を崩したのだと、聞いた。 思い出を積み重ねるまもなく、彼女は逝った。
母が次女に残した言葉は、]
" "
[悲しいことに、記憶の水底]
(226) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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―朝・自宅―
[祖父の声は、心なしか元気がないように感じられた]
ティモ爺ちゃ、いいこ、いいこよー。
[とててと近づき、 椅子に座った彼の頭を撫でるようにぺちぺち叩く。 慰めている心算]
ハナの絵、あげるー。
[赤いお月様の絵を、差し出した]
(227) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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― 深い森 ―
[笑みを答えとした従兄弟>>223の足が向かう場所はなんとなく分かり。 それ以上問いかけることはせずに静かについていく]
そう、ね。
心配してもらえるのは―― 嬉しい事、だわ。
[ゆっくりと頷いたときに目的のものを見つけ。 足を止めてしゃがみこむ]
(228) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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[一つ一つ、丁寧に摘み取る指先は細いけれど、それでも働く手だ。 小猿も静かにしている中、木々の間を通る風と、草を摘む音が響く。 仕事の合間、従兄弟の珍しい問いかけ>>224に、ゆるり、首が傾いだ]
あら……
私は、したいことをしているわ……
村に居るのが好きだもの。
[さらり、流れた前髪の間。 普段はあまり見えることのない菫色が不思議そうに瞬いた]
ブローリンには、感謝しているの、よ。
[仕事を与えてくれて、生きる為の術を教えてくれた。 両親がなくなったのは2年前だけれど――それより前から、一人で居たようなものだった]
(229) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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んん? なんでもない。なんでもないんじゃよ。
[ぺちぺちと頭を叩かれながら、目尻をさげた老人は同じ言葉を繰り返す。]
んんん? これは…林檎じゃな? おいしそうな林檎じゃのう。 ハナは絵が上手じゃの。
[手渡された絵をしげしげと眺めながら、老人はそう言うのだった。 たとい何度違うと言われても、がんとしてそれは、赤い林檎なのだった。]
(230) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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―朝 食卓―
うふふ、 ハナはお爺ちゃん大好きね。
[余熱で温まったトマトベースの野菜のスープ] [人数分陶器の深皿へよそって机に並べていく] [赤い月を思い出してしまい失敗したなと反省する]
[ミルクを注ぎ終えれば、食べましょう、と笑う]
(231) 2012/06/12(Tue) 21時半頃
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―深い森―
[森は鬱蒼と茂り、重なりあう木々の葉は陽光を遮る。 薄暗い森の中、香草に紛れてひっそり生える木苺にも手を伸ばす。]
…なら、好いんだがさァ。 ――ああ、調子狂うのはティモ爺さんのせいさァ。
[片手で帽子をとると、ガシガシとアッシュグレイを掻き回す。 肩の小猿が、キィ、と声を立ててラディスラヴァの肩へと退避した。]
(232) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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[帽子を被り直し、大きな石にどかりと腰を下ろす。 細く長い足を投げだす――ズボンは少し短くて、靴までの隙間。]
…俺こそラディには感謝、してるさァ。 ――だから、遠慮はしねぇで欲しいのさァ。
[ぽつり、落とす言葉は地面に落ちる。 くくく、と喉の奥でわらう音が、森の中柔らかく、消える。]
(233) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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うー…?
[何でもないといわれれば、こてりと首を傾ける]
あううー。りんご、ないない。
[お月様をりんごだといわれて、反対側へ首をこてり。 でも、褒められたので、まあ良いかと思い直す]
ティモ爺ちゃ、すきー。 ローズ姉ちゃ、すきー。
[姉の言葉にこくりと大きくうなずいて、自分の席へ]
いただきまー。
[昨日のお弁当の話などをふと思い出しつつ。 お弁当も良いけれど、姉の温かいご飯もやっぱりおいしい]
(234) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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[赤いスープに少し浸したパンを口に運んでいた老人は、 ふと思いついたようにローズマリーへ顔を向けた。]
ローズや。 今日は店はいいから、外で遊んできたらどうじゃ? で…。ついででええから、ナタリアの様子も看てきてくれんかの。
[ローズに見返されれば、ふと目を逸らしてつぶやくのだった。]
あれもいちおう、儂も幼馴染みじゃからな。
(235) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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― 深い森 ―
[緑の隙間から顔を出す赤い粒。 それに伸ばされる手をぼんやりと見やり]
ふふ。
ブローリンまで、心配性になったのかしら……
[髪をかき乱す仕草に、口元に手を当てて笑う。 やってきた小猿の頭を宥めるように撫でた]
(236) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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[石に座り込んだ従兄弟を、しゃがんだまま見上げる。 背の高い従兄弟は何時だって見上げる対象だ]
遠慮……は、してない、と思う……わ……
[声が頼りない。 どこまでが遠慮で、どこからが遠慮じゃないのか。 その境がよくわからない]
私、こうしているの、好きよ……
[だから、ぽつり、と呟いた]
(237) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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あらあら、 ありがとぉ。
わたしもハナのこと、 大好きよォ。
[歳が離れすぎたせいか妹というより娘に近く感じる相手] [パンを丁度口に入れて味わっている時声が掛かる>>235]
えっ…、どうしたの急にィ。
[突然の言葉に、はたはたと瞬く間] [逸らされた視線に祖父の思いを感じ取る]
あらあら、うふふ。 ええ、わかったわァ。
(238) 2012/06/12(Tue) 22時頃
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あれも昔は、勝ち気な娘じゃったんじゃがのう。 やれやれ。歳々年々人同じからずとは…よう言うたもんじゃ。
[ため息混じりに、実のところ照れ隠しにそう言い置くと、 いつものようにローズマリーに淹れて貰ったティーポットをトレイに載せ、 かちゃりかちゃりと音をさせながら店へと歩いていった。]
(239) 2012/06/12(Tue) 22時半頃
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うー?ナタリアちゃ、むすめ?
[ティモシーの言葉に、きょときょとり]
ごちそうさー。
[今日も元気に朝食を食べ終える。 お皿とカップを持って、たどたどしい足取りで洗い場へ]
(240) 2012/06/12(Tue) 22時半頃
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じゃあ、ハナは今日は お爺ちゃんと一緒にいるのよォ。
[残っていたパンを食べ終えて思案する] [遊ぶ、といっても無邪気に遊ぶ歳でもなく]
[果実の入った籠が底が見え始めていると思い出す] [自然と蒼い羽飾りへと手を伸ばす仕草]
少し、森に行こうかしら…
[食器を片づけながら湯を沸かして紅茶を用意する] [身支度を整えればハナと祖父へひと声掛けてから外へ向かう]
(241) 2012/06/12(Tue) 22時半頃
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[石の上に座って、従兄弟を見る眸は見え無かろう。 対する彼女の眸の色だって、アッシュグレイの向こうで見えにくい。]
…ならいいのさァ。 ――俺も、歳かねェ…なんて、…さァ?
[くくく、とわらう様子は何時もの男の軽いもの。 腹が減った、と弁当の包みを開けば小猿が嬉しそうに鳴く]
(242) 2012/06/12(Tue) 22時半頃
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