88 吸血鬼の城 殲滅篇
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― 地下聖堂 >>62 ―
[擦り寄る仕草は、まるで猫か小動物のよう。 頬に残る甘い感触に心を溶かしながら、 抱き上げた腕に、もう一度そっと力をいれる。]
誰がおまえの代わりになるものか。 おまえ以外には、いない。
[上目に見上げる深紅の瞳。 願いを紡ぐ、花弁の唇。 そのひとつひとつが、愛おしく、たまらなく、]
置いていくものか。 おまえを残していったりするものか。
二度と、おまえを悲しませるようなことはしない。
[力強く、約束の言葉を口にして―――]
(68) nekomichi 2012/05/05(Sat) 01時半頃
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[ ――― 誓いの印を、口付けた。 *]
(69) nekomichi 2012/05/05(Sat) 01時半頃
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―……なる主よ、求める者の声をお聞き下さい。 主の慈しみに生きる人に癒しの…力を……
[馴染んだ聖句。 能力は高くないが、常日頃から使い続けた癒しの言葉。 その発音を、上手く発することができないことに気づいたのは、癒しの白い光が、淡い灰色の闇の力となり目の前に発現した時だった。*]
(70) uyuki 2012/05/05(Sat) 01時半頃
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―― 地下聖堂>>68 ――
[主の腕に籠もる力とその言葉に 必要とされている悦びを感じる]
そんな風に言って貰えるなんて、嬉しい まるで幸せな夢をみているようで……
[幸せだと言わんばかりの笑みが零れた。 力強い約束に安堵したのは一瞬。 名を呼び言葉紡ごうとしたくちびるには 薄くもやわらかな感触が伝う]
――……ン、
[甘く鼻に掛かる音色を漏らし 女は主からの誓いの印を受け入れ眸を閉じた]
(71) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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[誓いに誓いを返すかのように 僅かに首を傾け角度を変えて押し当てる所作。 女の手が触れる首に近い肩の傷から 服に隠れた脇腹、胸から背にかけての傷に 白といわれる魔力が干渉し其れを癒そうとする。
どちらからとも知れず離れるくちびる。 とろりと蕩けるような深紅が再び主の双眸を見詰めた**]
(72) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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―― 大広間 ――
[献花の如く亡骸に散る白百合。 女はエリアスの器へと歩み寄り傍らに膝をつく。 手を伸ばしエリアスの頬をなぞれば 白百合の花粉が指先を金に染めた]
――…エリアス 私の血をあなたに
[紡げば風が女の掌を裂き深い傷を残してゆく。 漂う百合の芳香に生々しい鉄錆の匂いが混じった。 溢れる薔薇色が指先を伝いを青褪めたエリアスのくちびるへと落ちる。 吸血鬼の血が人であったエリアスに満ちるまで其れは続けられた]
(73) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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[満ちたと感じれば掌の傷は塞がり流れた赤が残るのみ。 エリアスのくちびるに残る赤を親指の腹で拭い取り]
エリアス……、私の愛し子 目を覚まして、私の許へ――…
[眠る我が子に目覚めを促す親のように優しくその名を呼んだ**]
(74) helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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手伝い クラリッサは、メモを貼った。
helmut 2012/05/05(Sat) 02時頃
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[三階の画廊から、二階への螺旋階段へ。 何処に行く当てもなく歩いた。 ――何故、俺を。 その言葉に答えは返らなかった。 伝わったのはいつもの、 揶揄するような笑みの気配だけ。 だが]
(75) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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……望んで、血を捧げた、か。 [ゆっくりと足を運びながら、 ヒューの言葉を反芻する。
……何故、ヒュー・ガルデンが吸血鬼になったのか。 最初に出会った時の彼は人間だったように思う。
心底『クラリッサ』が 人間であると信じ込んでいたようにも] …… クレアを甦らせる為…、なんだろうな。
(76) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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[苦笑して足を止める。 あの騎士ならば、其れを躊躇う事は絶対にないだろう。 おかしな程にすんなりと納得がいった。 手すりに寄り掛かり、 ぼんやりと吹き抜けの天井を見上げる。
其処にいるであろう騎士に、 …それを持ちかけたのは、誰なのか。 当然その対象は、ひとりしかいないのだ。]
(77) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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………、…。――ッ…
[肩が、揺れる。 喉を駆け上るものに顔を歪める。 ぐしゃりと、髪を掻き上げた。 嗚咽に似た声が、螺旋階段に響く]
……。 …っ、……はは…
(78) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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…そっか…俺の血が、 クレアの為に必要だった、って事か…。
[隻眼の男は笑っていた。 酷く可笑しいことに思い当たったように 身体を折り、手摺に身を任せる。] 復讐兼ねた実益…っ、て、すげえアンタらしい。 絞りカスで愉しむ事まで出来んだもんな、 さぞや満足だろうぜ…っ、くく、
――…ッ、
(79) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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[足がぐらりとよろけ、踏み外す。 ――男は派手な音を立て、一番下まで転げ落ちた。 がつんという衝撃。激しく頭を床にぶつけ、 目の奥から火花が出た気がして、低く呻く。] ……ぅ、…っ、…てて…、…
………。
(80) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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[仰向けに倒れ伏したまま、ひくりと、喉が鳴る。 それを耐える様に唇を噛み締め、ぎりぎりと天を睨んだ。 『声』にしない、聞かせるつもりのない恨み言を 呪詛のように、脳裏に浮かばせる]
(……なぁ。満足したか? そうだよな) (アンタも甦れたし、クレアも)
(それなら)
……っ…。…
(81) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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(俺は、もう)
[――酷く惨めで。 今度こそ腕で顔を覆い、隻眼をぎゅっと瞑る。
怒りよりも、屈辱よりも先に
――もう、あの男にとって自分は用済みなのだ、と
そう知らされた事への絶望が先に立つ、自分が。]
(82) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時頃
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[どれだけそうしていたのだろう。 ――ぼんやりと、身を起こす。 嵐の様に波立っていた心は、 酷く静かに、凪いでいた。]
……。
[ふたつの部屋に囲まれた、螺旋階段の部屋。 辺りを見回し、ひとつの扉に目がとまる。]
――そっか。
[行き先を見つけたように、微笑する。
男はゆっくりと膝を突き、立ち上がった*]
(83) tatsuru 2012/05/05(Sat) 04時半頃
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(最初に与えられる血は 力と渇望 を生み) (二度目に与えられる血は 忘却と服従 を強い)
(三度目に与えられる血は ――――)
(84) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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……三度目は、…なんだっけ。
[古い書物に綴られた詩。 確か吸血鬼の生態を書いたものだったか。 美しい其れを無意識に口ずさみ、 火掻き棒をつかう手を止めて、 ふ、と首をかしげる。]
…どっかで聞いたみたいな詩だな。 よくあるハナシ、ってことか。
(85) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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[可笑しくなって肩を竦め、 再び、炉を混ぜる作業を始める。 男によって彼が得たもの。 最初の血は魔物としての力と、飢えを。 ――次の血はヒトとして抗う心の、 なにもかもを奪った]
(86) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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――…ああ、やっぱな。 残ってる。
[柔らかに幸福そうに笑んで、 狂った下僕は火掻き棒をとめる。 炉の灰の中に残る、銀の杭。 聖別された其れは、熱に溶け歪み 伸ばした掌を、焦げる様な音を立てて焼いて 其れでも抗わずに、手の中に納まる] …っつ、…
[流石に小さく眉を顰めつつも、 立てかけていたボウガンを、取り上げる]
(87) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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…手伝ってくれよ、相棒。 最後がこんなんじゃ悪いけどな。
[苦笑し、燻した銀色の弦を辿る。 ひそやかに鐙に刻まれている十字架はその所属の証。
――己の命を幾度も護ってくれた。 だから此れに預けるのもいいだろう、とそう思った]
(88) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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………。
[杭の先端を持ち、 銃身に差し込んで固定する。
慣れた手順。
歪んだ其れも、何度か差し込み直せば …かちり、と聞き慣れた音を立て、 一番奥に、収まった]
(89) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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[とても簡単なことだった。 其れは、禁じられては居なかったから。 だがら多分其れがあの男の望みなのだと、 酷く晴れやかに、思う。]
……ああ。
[ゆっくりと、身体を折り。 覆いかぶさるようにして、 其れを心臓の上に当てる。] 思い出した。 ……三度目の――血は、
[与えられなかった血が齎すものが、なんなのか。 それに気づいて、小さく喉を鳴らした。]
(90) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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そう、…与えられてないんだ。 だから俺には永劫はない。
おまえを、
[腕を伸ばし、引き金に手をかける。 最後に上る思考は ――勝ち誇った様な、艶やかな色を宿して]
(91) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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(―――愛してなど、いない。)
(*17) tatsuru 2012/05/05(Sat) 07時頃
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―地下聖堂・クラリッサ復活前>>5:+43― [時間を望むか?と尋ねられ、 掬い取った亜麻色の髪をさらさらと、指の間からこぼしながら]
……ああ。 今のこの私にそのようなことを問うあなたを、八つ裂きにしたいと感じる程度には、
望んでおりますよ?
[にこやかに嗤う。細めた瞳には拭いようもない狂気がますます色濃く]
(92) wuming 2012/05/05(Sat) 11時頃
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[復元された肉体に戻りつつあるクラリッサの、流れる髪は死せる錬金術師の指をすり抜けて、もう幽体である彼には触れることが適わない。]
時間を得るために己を売り渡そうとした私に、 今更他に何があるのですか?
[嗤いの裏で食い縛った歯から、呪詛じみた声を搾り出す。 明るさを繕い、最後にゆると手を振った。]
さようなら、姫君。 続きはまた再びお会いした時に――
(93) wuming 2012/05/05(Sat) 11時頃
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学者 レオナルドは、メモを貼った。
wuming 2012/05/05(Sat) 11時半頃
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[血をあらかた吸い尽くして、青白くなったムパムピスの肌が、 ゆっくりと血色を帯びてゆく。 そっと噛み付いた首筋に手をやると、 規則正しい脈拍が戻ってきていた。
やがてその瞼が開き、再び彼の優しい眼差しが、 己の視線を捕らえると]
……目覚めたか?
[そう声を掛けた。 人としてはなく、 神の摂理から外れたもの、という想いを言外に込めて]
(94) el900m 2012/05/05(Sat) 12時頃
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[口元の血を指摘されれば、 慌てたように服の裾で、ごしごしと擦る]
この程度、大したことはない。 それに君はよくやってくれた。
[こちらを気遣うような言葉に、 頭を左右に振って、否定する。 落ち着いて柔らかな声が紡ぐのは、 ハンターとして、これまでも受けてきた 耳に馴染みのある回復の聖句。
だが、もうそれに安らぐことはない。 声の魅力そのものは一欠片も損なわれることはなくとも、 神の慈悲を乞う辞は、今や何の意味もなさない 戯言でしかなかった]
(95) el900m 2012/05/05(Sat) 12時頃
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ムパムピス。 もう……いい。いいんだ。
[力無く笑い]
私も君も……。 もう……。人としての道は歩めないのだから。
済まない。 [それだけをぽつりと零して]
(96) el900m 2012/05/05(Sat) 12時半頃
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