270 食人村忌譚
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[そう帳面に書かれるのはまだ先の話だ。
自宅から何も書かれていない紙束と 幾何かの私物を改めて持ち込み、朝 宴の間。 >>16横たわった、色の失せた、櫻子と それの無実を宣言した巫女を、と 視線は行き来した。]
(39) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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― 翌朝 ―
[櫻子が死んだと聞かされた時、また人殺しが出てしまったのかと、驚いた。 けれど、櫻子は咎人として殺められたのだと聞き、二度驚き。 そしてゆりから、彼女は無辜の者であったと聞かされ、三度驚いた。]
なんてことだ……。
けど、あぁ……そうだね。 丁重に弔ってあげないと……。
[しかし、まだ愛理に肉も残っているだろうに、どうしたものか。 まぁそのあたりは、料理上手たちがどうにかしてくれることだろう。]
(40) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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− 朝 −
[俺の家も同じように薄っぺらい布団だし、 女の所にそのまま泊まる事もある。 それでも慣れない夜具は体が痛む]
身体痛むとか、歳かよ。
[体の筋を伸ばすように動かしていると鉄錆の匂いがする。 まさか此処でも死人が出たかと慌てたが、 そこにあったのは肉となった櫻子と巫女>>16]
下手人ではありませんでした、って。 ゆり様が殺したのか?
何でまた。
[あの女に愛理を殺す理由も手腕もあったとは思えない。 石動さんは何故とは聞かなかった>>24 かわりに弔い肉の扱い方に話は流れていく]
(41) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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塩漬けならこの冬持たせる位にしないとな。
[確かに昨日の愛理に続いて肉が多すぎる。 冬を過ごすのに肉は皆を潤すだろう]
血が足りてない奴はいるか? まだ殺して間もないんだろう? 肝を生で食える良い機会だぞ?
[腹を裂けば胎児眠る胎の他に、鮮やかさは 落ちるが血を溜めた肝はまだ生で食するに 足りるだろう]
(42) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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昨日は江津子さんに頼りっきりだったから、 少しは手伝わせてもらうとするよ。
[四肢を落とすのは力仕事。 後で腹を裂いた時に、肝を少し貰うつもりだが。 食べてみたかった乳房と胎は遠慮した。
何故なら、俺より櫻子に近い男たちはいるだろう。 子の父親ではない事は確かだから*]
(43) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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―夜明けへ― [神社、村の入り口、其々の家、集会所と、村の中を見回りにゆく。 三人の口数は、夜という時間帯か左程多いものではなかった。 万一の時には瞬時に動けるように警戒し 少しの物音にも立ち止まる]
……平和なものですね
愛理を殺して目的を果たしたから――? 後は、自分が殺されるのを待つだけ、なのかな。 なら、名乗り出てくれれば話も早いのに。
[それとも、本当に集会所に集められた人の中に犯人が居て 夜回りの話を聞いたから、動き出せなくなった、のか と。 そう続けようとして口を開いたが、声に出すのはやめておいた]
(44) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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[流石に長時間緊張を張り巡らせていては 疲労が貌に浮かぶ。 村の中をぐるりと廻ったけれど 結局、村から逃げ出そうという人も 村の中で意味のない殺人が行われる事もなかった]
江津子さん、リツさん 次もまたこうして見回りますか? [次があるかどうか。 彼らがどうすると答えたにしろ ススムは次の見回りを辞退する]
僕は別の方法を考えます。 抑制じゃなく、犯人を発見する方法 それを考えなきゃ、この状況は変わらないでしょう?
[そう告げて*]
(45) 2017/11/27(Mon) 22時頃
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[学生の時は、聡明などとは言い難い学力だったろうに。 私は彼の言葉>>30にへらりと笑みを零す。]
目ざといのだけが取り柄だからね。 手掛かりは見つけたと思う。
ただ、確信ってほどでもないんだよね。 ……誰かが殺されてるのを見たわけじゃあないし。
[息を、吐く。]
……正直、その人が下手人だとしたら、 信じられないって思う。
[もっと決定的な証拠があったら、もっと楽だったのに。 未だ、その人―彼が、愛理を殺したかもしれないなどと 信じられない自分がいる。]
(46) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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先生だって、私と同じ気持ちになると思うよ。
[自嘲を孕んだ笑みを浮かべた。]
(47) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[―だって、考えもしないでしょう? 毎日顔を合わせている、 優秀な教え子が、 愛理を殺したかもしれない、なんて。]
(48) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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何でまた巫女が櫻子を殺したんだか。
まぁ胎の仔と一緒に間引く手間が省けて助かった。
[容を殺せなかったのは残念だが、目的も判らず 攪乱させるには丁度いいか、と考えを早々に変えた*]
(*18) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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―翌日・集会所― [>>16ゆりの話が耳を通り過ぎていく。 何を言っているのか、櫻子の遺体を見ても理解できなかった]
…………どうして?
[何故下手人でない事がわかるのか。 何故、櫻子が死んでいるのか。 何故]
櫻子さん。
[>>17告げる巫女の姿にあからさまに眉を寄せた]
下手人でない、というのなら 何故殺す必要があったんでしょう 腹には村に新たに生まれる命があったというのに。
(49) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[>>25調理の手伝いをと謂う話。 ススムは死体とゆりに背を向け、その場を出る。 >>24途中、石動の言葉には静かに頷きをひとつ]
櫻子さんを食べるのなら、僕も頂きます。 調理の手伝いは出来ませんから 一番最後に残った処を。
[容が野菜を取りに行くという>>28から それなら手伝おうかと名乗りでようとしたのだが 石動に頼む声を聴いて、自分は不要だと口を噤んだ。
さて――――]
(50) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[今宵こそ、容を殺しに出かけなければ。 昨晩は無駄な用事が入ってしまった。
今日は、失敗するわけにはいかない]
(51) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[石動と共に、櫻子の身体を運ぶ。 突如声をかけられたなら、 私は慌てて振り返る。
そこにいた姿>>38に、少し安堵した様子を見せただろう。]
どしたの、志乃ちゃん。 手伝ってくれる?
[足を止めたなら、櫻子の身体が、命の抜けたそれが、 のしかかってくるような気がした。
けれども、私にとっては、懐の中― ―愛理の血で汚れた、見覚えのある学生服の 釦(ボタン)の方が、もっと、重い。*]
(52) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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容が生きているじゃないですか……
嗚呼でも、一晩何も起こらなかったのなら 油断も生まれている事でしょう 今宵こそ。
(*19) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[行きつ戻りつの視線の後 筆先に眼差しをおとし、無実を宣う、を文字にする]
―― 俺には、何が違うかわからん
[そうごちて 墨の滲むをそのままに筆をおき、]
胴体の焼くのは任せた 塩漬けの下処理は手伝おう
(53) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[一番に殺そうと思った櫻子は、勝手に死んだ これで、村に生まれる命が一つ減る。
次に殺すのは、容 大声で江津子が犯人ではないと叫んだ彼女を。 疑いの眼差しが自分に向く前に、消しておかなくては。
その次に、ゆりを、志乃を、江津子を。 仔を宿す恐れのあるものから、順番に。
女が消えたら、次は男を。 順番に縊って、処分していこう。
この腐りきった家畜場は、人間の自分には不要である*]
(54) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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おい、“ミナカタ殿”
[>>43「手伝う」と宣言した薬師へ歩み、 その役割を呼んだ]
切り落とすなら斧かなんかだろ さきに用意しといたほうがいい たしか、炊事場の道具は洗って乾かしに出してある
[仏頂面をのこした貌は、呼びかけの名は 昨日>>22を少しばかり引き延ばして]
(55) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[>>52櫻子を運ぶ止まった手、ススムも>>42ミナカタでさえも>>50みんな弔うことしか考えていない。 私がおかしいのだろうか。昨日から続くどことなく覚える不思議感。 平静で冷静で現実味が帯びないような違和感。その正体にようやく気付いてその声に応えるように口を開く。]
(56) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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[どれだけ丁寧にやったところで、そも研ぐ面積の少ない短刀は夜が更け切らないうちに仕上がった。月明かりに透かす――というほどではないが、少ない明かりを集める輝きは、やはり何物にも代え難く美しかった。
人が一人死んだ。 疑われているらしい、とわかって、それでもまだどこか他人事のように考えていた。 己はただ、作物の世話をし、時折刃を研ぐだけ。 人が死のうが産まれようが変わらない]
(57) 2017/11/27(Mon) 22時半頃
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弔って何になるの?自然死でも病気でもないんでしょ? 愛理に続いて櫻子まで手にかけた人がいる。 死んだってことだよね?
殺されたのに産まれ変わることを二人は何より望むのかな? 私だったら殺されてすぐに食べられる前に 何してもいいから犯人探して殺してよってなるよ。 今すぐに解体するのは食べるため?腐敗するから調理するの? 塩漬けにして。 どうせ食べるなら抵抗の傷がないかとか何で殺されたとか、 ひょっとしたら毒も飲まされたのかもしれない。 そしたら櫻子を食べる私達も死んじゃうよ? 殺されたんだよ?目的もわからない 一気に殺されるかもしれないよ? そういうことだよね?
(58) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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― 翌日 ―
[実際に、変わらなかった。 朝はきちんと早起きをし、畑の世話をした。 干し柿の様子を見て、またひとつ集会所へ持っていくことにした。 予感があったわけではなく、依頼の品を届けるのに、集会所が適当だと思ったからだ。まだ、何も解決していない。それは、村の空気から知れた。 ―――また一つ、死体が増えたことは察することが出来なかったが]
(59) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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―集会所、縁側― [胴体を焼く、塩漬けの下処理、頭を焼く 死体を運ぶ、切断処理をする 仕事は山ほどあるけれど、ススムは自分から手伝いには向かわず、縁側に座って項垂れた。
櫻子は、自分の昔話を聞いてくれる相手だった。 時には抱いて寝る事も出来た 愛玩動物が死んだなら きっとこんな気分になるのかもしれない]
……寂しい、のかな……僕は。
[肉親はいない。 近しい者も居ない。 錠たち兄弟のように、互いを想う感情を知らない。 彼らは、互いを食べ合いたいという。 自分は、けれど櫻子を食べたいとは思わない。 人肉などという臭くて硬くて不味いもの、どう調理したって 小さく千切って呑み込めるまでにしないと、食えないのだから]
(60) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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殺すのが恨みかどうかもわからないのに食べるのは危険だよ
[殺されたことに対しての無力が、私の口をつい流暢にさせた。 昨日から食べていない身体は少しやつれているけれど、殺意を認識するように口を挟んだ。*]
(61) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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[容のこちらへ向ける笑みに笑みを返す事はなく。 真顔で彼女の話を聞いている。]
手掛かりですか。 現場を見たわけではないと。 確かに昨晩は誰も殺されていないわけですから、見るはずもありませんね。
[櫻子は殺されたわけではない。 巫女による儀式によって死を迎えたのだから数に入れはしない。]
で、それは一体誰なんです? 私が貴女と同じ気持ちになるという事は私のよく知る人物となりますが……。
[真っ先に思い浮かぶのは錠で、次に思い浮かぶのはゆり。 しかしゆりは昨晩は櫻子といた事は疑いようもない。 そうなると思い浮かぶのは教え子たる男のみ。]
(62) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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[それはない、と否定の言葉を口にしかけたその時か。 志乃の声が耳に入ったのは>>38]
どうかしたのか。 手伝うというのならありがたく手伝ってもらうが。
[そう志乃に声を掛けるが顔は浮かない表情をしている。]
(63) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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ああ、その前に一つ君に質問が。 志乃、君の目から見て容は信頼に価すると思いますか?
彼女はとある人物が愛理を殺した下手人であると言う。 しかし私はそれがとてもじゃないけど信じられません。 彼女が確たる証拠を出すわけではない。 ですから、どうしても
容が保身の為に誰かを貶めている、 そうとしか思えなくて困っているんです。
ですから志乃、君に助けてもらいたい。 容の話を聞いて、彼女の言うところの下手人の話を聞いて、どちらが正しいのか。 それを判断してもらいたいのです。 私はどうしても日和ってしまうのでね。
[憂いを浮かべながら並べる言葉は僅か震えていた。 まさか、そんなわけないと信じられない気持ちが声に出ている。 そして容を見る視線には疑惑の色が滲んでいた*]
(64) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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[村人たちは、馬鹿だ。
皆でよってたかって、食い物にする 死体をばらし、辱める
言い伝えというだけで 魂が無事に転生出来ている証拠なんて何処にもない。 誰にも喰われなかった人間が、 源蔵のようになって生まれてくるという では、源蔵の生まれる前を誰が証明してくれるのか。
古い考えを頑なに守り、向上心のない村人たち 自分だけ、自分だけが、何処かがきっと違っていた。 苦悩の声を聴いた愛理 詩を吹聴して回る処を見たその晩、最初の得物にした。 理由のない殺人? 違う、理由はしっかりとこの胸にある。 人ではない村の皆には理解できないだけの事]
(65) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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弔い食す事は当たり前の事でしょう? 櫻子もそれを望んでいる。 食べなければ櫻子も愛理も転生出来ない。 それは可哀想だ。
[そこに疑問の余地はない、と断ずる*]
(66) 2017/11/27(Mon) 23時頃
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