208 【突発誰歓】ーClan de Sangー【R18薔薇】
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─自室─
[鈴の音は鈍く沈む己の意識に、それでも確かに届いて。 まだ眠っていたいという願いと、それでも食事を摂らねばならぬという、何処か義務感めいた思いと。
外は暗いか、己が夕餉を眠り飛ばしたなどとは微塵も思わないまま。
新しいシャツと菫色の上下に着替えたなら、甘い香りを放つ小瓶の中から鮮やかな緑のそれを一つ摘み上げて。 蓋を少しばかり傾ければ鼻腔を擽るのはその中にあって慎ましく異彩を放つ深い森の香り。 何か落ち着きたいと思う時、常にそれに手を伸ばすが己の知るところではなく。 眠り過ぎて浮腫んだ目元を誤魔化す様に掌で擦れば、部屋を後に。*]
(38) 2014/12/27(Sat) 16時頃
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理性子 参休は、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 16時頃
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ー朝・食堂ー
[いつもなら吸血鬼はこの後自室に戻って寝直すところだが、昨晩の何人かの薬を摂ったか不明の者の様子を見るために食堂に留まっているようだ。
>>37>>38チョウスケやニコラスが食堂に姿を現したなら朝の挨拶を投げ掛けた。]
おはよう。
(39) 2014/12/27(Sat) 16時頃
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[指先で、そっと泡を立てる。 きめ細やかとは言い難い、荒い泡が掌を滑り落ちる。
背に触れていた湯の流れから庇うかのように、床で冷えたタオルが触れる。 寒いと思う間もなく、触れる体温。]
……ぅ、わ、
[弾みで指から離れた石鹸が床を滑っていくのに、何処か間抜けな声を上げる。]
(40) 2014/12/27(Sat) 16時頃
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……クアトロ?
[声色が、違う。 声色だけではなく、口調すらもか。
腕の力が強くなる。 折れてしまうような華奢さは無いものの、それでも息苦しさはある。 この苦しさは、単に物理的な要員から齎されるものなのか。
命令でもないのに、自らの身を洗い流す理由。 告げられる言葉、眉をきつく寄せて。]
んなこと言われて、……俺に、どうしろっていうんだよ……
[今はまだ、寝台の上、交わした言葉は覚えている。 けれど、一晩、二晩とすぎる内に、あっというまにその記憶は遠のいていくのだ。
自分が誰に抱かれたのか。 正確な人数も数も、全くといっていい程に覚えていないというのに。]
(*19) 2014/12/27(Sat) 16時頃
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[泡の洗い流された掌は、抱きしめる腕にそっと触れる。 この腕の暖かさも、苦しさも。 きっとどこかに忘れてしまう。
ほんの僅かに、傷跡のような違和だけを残して。]
クアトロ、……
[細い声で、名前を呼んだ。]
(*20) 2014/12/27(Sat) 16時頃
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─食堂─
[食堂へ入るなり、丁助と主の姿を見れば何時ものようにジャケットの端を摘み。]
ご機嫌……
[何時もの挨拶を最後まで口にすることはなく、首を傾げて金髪をさらりと流す。]
……もしかして、朝なのかしら?
[夕餉の時には姿を見せるものの、朝餉に姿を見せることは少ない主がいたので、何の疑いもなく夜だと思っていたのだが。 彼から掛けられた挨拶>>39が、今まで惰眠を貪っていた己への皮肉でないと気付いて。 それでは昨日の夕餉はなんだったのだろうと思うと同時に、過るのは薬のこと。]
もしそうなら、お館様。 アタシお薬飲んでませんわ。
[目的に近付く為には必ず飲まなければならないと、ただその事はしっかりと覚えているから。 主が何を思って朝餉の卓にいるのかは知らねど、その理由をやすやすと白状した。]
(41) 2014/12/27(Sat) 16時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 16時半頃
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えっ。
[食堂に入ると主様がいて挨拶をしてきたので>>39吃驚して飛び上がりかけた。何故このような刻限に。]
あぁえっと、おはようございます。 昨日のけぇきとても美味しかったですよ。
[取り敢えず彼の料理の腕前を褒めておいた。 其れから何時もの席に着く。 果たして隣に赤毛頭の姿は常通りあったか。]
(42) 2014/12/27(Sat) 16時半頃
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[湯に流されていく。 荒く泡だったシャボンが、つるりと逃げた石鹸が。 目もくれず、抱きしめる腕は少し強くなるばかり。]
… …、ヒュー
[震えるなと裡で何度言い聞かせても この時ばかりは声が震えた。]
(43) 2014/12/27(Sat) 16時半頃
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半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 16時半頃
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クアトロ、じゃない。 本当の、名前は……ボリス。
[今の今まで忘れていた名前を口に出す。]
……そう、だな。 謂われたところで、迷惑なだけか。
[掠れて震える声から、飾りもしない言葉が落ちる。 それもきっと泡のように消えてしまうのだろう。 息苦しさを与えていると判っていながら 抱きしめる腕を、離せない。 緩めてやれる余裕など、部屋の前で嬌声を聞いたときから とっくの昔に失っていたのだから。
何回目の『初めての男』なのだろう。 それでも、構わないなんて馬鹿にもほどがある。]
(*21) 2014/12/27(Sat) 16時半頃
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[触れる掌に、手を重ね。 慈しむように撫でる。]
何度でも、謂う。 お前が忘れるなら、俺が何度でも謂う。 わしが、何度でも謂うけ。
じゃけ、忘れてええよ。
[忘れたのならまた囁こう。 見えぬ傷を、何度心に負ったとしても。]
ヒュー、愛しとる。
[報酬でも、対価でも、見返りでもなんでもなく。 ただ君を愛してると囁いて。]
(*22) 2014/12/27(Sat) 16時半頃
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石工 ボリスは、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 16時半頃
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そうだよ、朝だよ。随分長く寝ていたんだね。
[吸血鬼は金髪の我が子>>41に穏やかに声を掛けた。]
具合は大丈夫かい?薬ならここにあるよ。 すぐ飲めば遅過ぎるということはないからね。
[ノブに掛けた薬に気がつかなかった子の為にここにも薬を持ってきていた。 ニコラスに紅い錠剤を差し出す。
それから、>>42チョウスケにケーキが美味しかったと報告されると吸血鬼は明らかに嬉しそうな笑顔を浮かべた。]
ありがとう。
(44) 2014/12/27(Sat) 17時頃
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[水音には決して掻き消えぬ距離の中、本当の名と囁く理由。 抱きしめる力は緩まない。 腕に触れた手にその掌が重なるのに、息を呑む。]
……ボリス、
[その音が、口に馴染まないのも当然か。 何時の日からか、彼は自分の中ではクアトロという存在だったのだから。
忘れてもいい。 本当に、忘れてもいいのだろうか。
本当に忘れてもいい言葉を、こんな声音で囁くものなのか。]
………、俺は、
[応える想いを、自分は持っているのだろうか。 忘れ、遠ざかることで自らを守っている、自分に。]
(*23) 2014/12/27(Sat) 17時頃
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……何度も口にしなくても、いい。 俺を愛する必要は、無い。
きっと俺は、また忘れちまうから。 ……そしたら、……お前が、傷つくだけだろ、?
[言葉を、一つ一つ、選びながら。 知らず、腕に触れた掌に力を込める。
忘れられても、何度も、何度でも。 この空間で時間が続く限り、何度も、何度も、永遠に。]
……お前が傷つくことで成り立つ永遠なら、 そっちのほうが、俺は、嫌だ……。
[自分の知らぬところで、深く誰かを傷つける。 そんなことを、喜ばしいと思う者が、何処にいようか。 互いを守ると口にしながらも、それは酷く、独り善がりの思いだ。
―――ならば、他にどうしろと?]
(*24) 2014/12/27(Sat) 17時頃
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……お前が、風邪を引く。 もう、上がろう、……俺、薬飲んでないし。
包帯は、……後で、図書館行くから。 その時、巻いて。
[無理矢理に形作った笑みを浮かべ、微動だにせずとも腕を剥がしにかかったか。 タオルに擦れた赤の跡。 傷の刻まれた背は、未だ赤を滲ませるばかりだ。
腕が離れれば立ち上がり、濡れて重くなったタオルを軽く、絞る。 腰に巻きつけた冷えたタオルというのは、足に張り付きあまり良い心地ではない。]
悪い、……でも、俺も少し、真面目に考えてみるから。 ……お前も、……考えてみて。
[そう告げるのは、真っ直ぐにその瞳を見つめて。]
(45) 2014/12/27(Sat) 17時頃
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参休は、良い物を手に入れるより先に鈴の音が響いたので、食堂へと向かった。**
2014/12/27(Sat) 17時頃
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─食堂─ [目覚めると隣には、誰もおらず、いたずらされたシャツと寝乱れたシーツ。目をこすりながら身なりを整え食堂へ。]
ん、今日は割と人いる? [主が薬を飲んだかどうかを気にしているなら、飲んだと答え。メニューは何かと見渡すが、朝は簡素なものばかりだったか。]
(46) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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紐 ジェレミーは、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 17時半頃
理性子 参休は、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 17時半頃
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にこ、お前さん昨日はすっかり眠りこけていたのかい。 そんな軟弱そうな身体付きをしているのだもの、 無理もないねえ。
[主様とにこの会話を聞いて、あっしは何時もの人を馬鹿にする笑みを顔に貼付けて声を掛けた。]
もしも体調を崩したのだったらあっしとかに 頼ってくれてもいいんだよ。 余り主様のお手を煩わせるものじゃない。
[誰かが体調を崩す度に主様が付きっきりで看病していたのでは、美しい吸血鬼殿は寝る暇も無いだろうと思って口にする。
そうこうしていれば食堂にじぇれみが顔を出す。>>46]
おはよう、寝ぼすけさん。
(47) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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[重ねた手を、強く握り締める力などない。 いや、そんな勇気などない、が正しいか。]
クアトロは、昔殺された『俺』の、名前じゃ。
[今はそこまでしか思い出せないけれど ここへ来て、その名前しか名乗っていなかったように思う。 だから謂いにくいのも口馴染まないのも仕方がないと 苦笑を零すのが精一杯の強がり。
零される音は、温かな雨粒よりも鮮明な声。 音量はさしたるものでもないのだろうが 反響して落ちるのは、浴室にでは、きっとない。]
(*25) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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うん、そうじゃの。
[必要不必要で、誰かをここまで想えるものか。 不要と謂われ、そうですねと切り捨てられるものか。 そう思いながら、吐き出すのは了承の意。
傷付かないわけはない。 それでも、きっと気持ちが揺らぐことはないのだろう。
だから、頷いてみせる。
彼をこれ以上、傷つけないために。]
お前さんは優しいねぇ。 わしなんぞいっくらでも、傷つければよかろうに。
[ふは、と笑みを零し。 それでも顔はまだ見せられなかった。 きっと、きっと歪んでいよう。]
(*26) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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[心裡を吐き出せば。 誰にとも知らず流れていく、灰色の排水溝。
腕が剥がされるのなら、それは容易だっただろう。 籠もっていた力はすっかりと、シャワーで流されてしまった。 無理やりの笑顔が見えれば、遠慮もせずに額を軽く叩こうか。]
ぶっさいくじゃのぉ。 わしゃ馬鹿じゃけ風邪なんか引かんわい、余計なお世話じゃ。
しゃーなし、図書館でまっといたるよ。
───『また今度』な?
[見上げられる瞳。 殺された【クアトロ】の左目と、ボリスの右目とが見つめ返す。 作るのは笑み、緩やかで優しい弧を描いて。 この館では意味を成さない『また今度』を囁けば。 包帯を巻き直す時の手つきで、優しく彼の頭を撫でた。]
(48) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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― 昨夜:シュロの自室 ―
[またひとつ。更にひとつ。 捲り続けて写真を数枚抜き取った。
知らない自分がそこに写ってる。 主人に聞かなければ…そんな気がして。
それでもいざ夕食の場へと戻れば、口には出せずそそくさと自室に戻って其れを眺めるに留まった。 錠剤だけ流し込んで眠りにつけば、朝陽にまた目が覚める。
彼の部屋には開かれたアルバムがぽつんと残ったまま]**
(49) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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ちゃんと体拭いて、あったかいまま寝るんよ? お前さんこそ風邪引かんように。
あと、はよ傷治し。
[治らないものだとわかっていても、どうしても口にしてしまう。 傷が治れば、包帯巻きなんて必要がなくなるだろうから。
男は濡れたままの服で、部屋へと戻った。 一度足を止めたが、それも一瞬のことであろう*]
(50) 2014/12/27(Sat) 17時半頃
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[彼から離れる間際、そっと落とすのは額への口付け。 昨夜の『おやすみ』のような、微かな。
そして背を向けて、一度だけ立ち止まる。]
……のぉ。
[振り向くことは出来ずに。]
愛さなくていいのは『命令』?
それとも『お願い』?
[どちらであっても───*]
(*27) 2014/12/27(Sat) 18時頃
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石工 ボリスは、メモを貼った。
2014/12/27(Sat) 18時頃
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―回想:食堂―
[>>34 吸血鬼の素気ない返答に鼻白む]
長いつきあいだというのにつれないことだ。
[ワインで喉潤し、フォークひとつで鴨の肝臓を切り刺す。 共にクランで過ごすようになり、どれだけの時間が経ったのだろう。 記憶はないが、こうしてふたりでいるのは随分久しぶりに感じる]
皆と、一緒に写っている……写真だったか、 見た。 あれは何だ?
[己が丸めて何処へと捨てた撮画。 身勝手で粗放な性質のせいで、目の前の男に悲しそうな顔をさせたことが幾度もあった気がする。 それも曖昧な記憶を補完しようとする、脳の働き所以がもしれないのだが]
(51) 2014/12/27(Sat) 18時頃
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[薬はワインで流し込む。 長い間に身体に馴染んだ習慣は、 主との話の種にはなろうとも抗う気は初めから無く]
そうだ。 久しぶりにピアノを触りたい。 悪いが、調律をしていてもらえまいか。
[忙しければ執事にでも、と品の良い初老の男を思い浮かべ。 ピアノのある部屋を確認し、食事を終えれば部屋を出る*]
(52) 2014/12/27(Sat) 18時頃
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[自室に戻れば今度こそ、先の微睡みより深い眠りへ落ちる。 響く朝の鈴の音への反応は、身じろぎひとつ**]
(53) 2014/12/27(Sat) 18時頃
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ー昨夜・自室に帰ってー
[自室に戻ってきた吸血鬼は閉じていた筈のアルバムが開いているのに気付いた。更に数枚の写真が抜き取られているのにも。
吸血鬼は焦った。 持ち出した者が数々の写真の中に吸血鬼が写ってる物が一枚もないのに気付かなければいいが。 もしくは、気付いたとしても写真を撮ってるからだと思ってくれればいい。
何故なら、吸血鬼は鏡の中に写る事が出来ないのと同様、写真にも写り込むことは出来ないのだから。*]
(54) 2014/12/27(Sat) 18時半頃
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[クアトロと、その名の経緯を語る声に、眉を下げる。 何故、その名を名乗るのか。 殺されたのは『俺』だという、ならば今の彼は何者なのか。
馴染みの筈の者だというのに、明かされるの面々は知らぬものばかりだ。 踏み込む勇気は、膨らむ戸惑いに圧倒され、それ以上の言葉は紡げない。
踏み込んだところで、理解者になれるというのか。 またそれも、忘れてしまうかもしれないのに。]
……話なら、 いつでも、聞けるから。
[口にしながら、その言葉が今この場には全くそぐわないものだと思う。 それでも、何かを口にしないと、押し潰されそうだった。]
(*28) 2014/12/27(Sat) 18時半頃
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[了承の返事を得た時、わずか安堵したのは事実だった。 その言葉の裏、真意がどうであれ、言葉という形で示されるのは、有難かった。
傷は、癒えるべきものなのだ。 忘れていい、ものではない。 忘れたところで、傷が無かった事になるわけではない。
そう思うと同時、背の傷がじくりと疼く。
優しいと、自分を称す言葉に首を横に振る。 何度も、何度も、首を横に振って。]
……臆病なだけだ、
[零れた笑い声に、涙が零れそうになる。 けれど、彼が無理矢理にでも笑うのであれば、自分もきっと笑うべきなのだろう。
そうして、作り笑顔を貼り付けて。]
(*29) 2014/12/27(Sat) 18時半頃
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[容易に解けた腕の拘束から離れれば、脱衣所へと真っ直ぐに向かうだろう。
額を軽く叩く掌の調子は、きっと“いつも”と変わらないもの。 触れた名残に、手を添えて。]
……お前が馬鹿なら、俺も馬鹿だよ。
また後で。……早く着替えとけよ。
[笑む瞳に、微か目を細めて返す。 また今度と、その言葉を失う前に、重ねたのは『また後で』。
最も、その“今度”に待ち受けるものが、一体何にかかっているのかは、知らないが。 彼の背を見送れば、乾いたタオルに手を伸ばした。]
(55) 2014/12/27(Sat) 18時半頃
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[『命令』と、『お願い』と。 どちらかを問う声に、返したのは。]
……好きな方を、取ればいいよ。
[そんな、『選択肢』。 傷つきたくないからど、命令することで身を守ることもできたのだろう。 けれど、そちらを提示しなかったのは。]
……っ、
[唇を噛み締めながら、体を拭い、部屋を出た時と同じ服に袖を通す。 酷く時間をかけながら、釦を留めて。
浴場を出たのは、きっと随分後になる。*]
(*30) 2014/12/27(Sat) 18時半頃
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