208 【突発誰歓】ーClan de Sangー【R18薔薇】
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― 自室 ―
[――クランに残るのは、ここに居着いてからの記録だけ。主とライジ、その二人と海を越えた頃の事は記憶にも記録にも残っていない。 けれど部屋のあちこちに残る赤黒い日記達が、意識の端に残るものを繋ぎ合わせるとどうなったのかは十分に示してくれた]
……
[赤茶けた染みに覆われた文字をゆっくりとなぞる。 半紙の量から推察した時の流れ、薬を抜き血を流して尚餓えが訪れないという真実、かつて繋がれていた片割れの存在。会いたいと焦がれても到底戻れないという事実が、血の流れるに任せて何度も意識を刈り取っていた]
[ただ――胸の奥が時折疼く理由を教えられた所で、あの頃よりも記憶の滲んだ今となっては寂寥を覚えるだけだ]
(13) vdspuren 2014/12/31(Wed) 00時半頃
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……うん、
[短な相槌に、自らも頷き返す。 口篭る様子に、やはり負担だったかと不安げな色を滲ませる。 包帯に触れる指先は、視線を感じれば自然と力が籠もるか。 見上げていた視線を逸し、瞬いて。]
お前が、忘れないって、言ってくれたから。 ……俺は、思い出したい。
[決意のように、そう言葉にする。 そして、意を決すように、唇を開いて。]
けど、……一人だと怖いから、傍にいて欲しいと、思った。 ……誰でも、じゃなくて、お前に。
……迷惑か。
[手を伸ばし、その掌へと重ねて。 祈るように目を閉じる。]
(*12) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 01時頃
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[触れた掌は、微かに震えていた。 理由はわからない、けれどきっと触れるこの掌に関わること。 重ねる指に、微かに力を込める。
零された笑いの意味は何だろう。 常ならば閉口していたであろう疑問を、言葉にする。]
なぁ、……お前のことも、知りたいって言ったら、……嫌か。
……お前のことも、書いて貰えるか。
[そう言って、示すのはそのスケッチブック。 忘れてしまっても思い出せるように、自分のことだけでなく、二人分を。
やがて閉じられるスケッチブックに、綴られた記憶は何人分だったか。]
(14) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 01時頃
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……じゃ、明日にでも言いに行くかな。 薬、飲んでないの怒られるかもしれねぇけど。
[そこは仕方のないことだよな、と苦笑して。
甘えではない、その言葉に安堵したように目を開く。 離れていく体温を置い、手招きのままに立ち上がる。
カンバスの前、嗅ぎ慣れぬ匂いがこれらの道具からと気付けば、その顔を見上げる。 首を傾けるのに、小さく頷いた。
カンバスに広げられた青色は、見上げる晴れ空によく似ている。]
(15) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 01時頃
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…、……。
[相槌と相槌。 けれど逸れた視線。 暫くの間の沈黙は、きっと不安を抱かせる。 それは男にも、彼にも。
───打ち破ったのは、彼の唇であった。]
……そ、れ は
[一瞬、いや何度も、聞き間違いか何かではないかと。 もしくは頭が都合のいいように解釈しているのではと。 けれど彼へと向けた視線は、彼の赤色を瞳に映す。
掌へと重ねられる、掌。 閉じられた瞳。]
(*13) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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……阿呆。
[迷惑なわけがない。 負担なわけがない。 伝えたいのに無駄に喉が渇いたようになって 言葉のひとつ、唇が紡ぐことが難しい。
まだ指先は震えている。 それでも、彼の手を握り返して。
顔を寄せて、閉じた瞼の上に口付けを落とす。]
それは『お願い』で、ええんよね?
[不器用な言葉で、問う。]
(*14) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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[重ねられた指を引き寄せて、握り返す。 触れているぬくもりを確かめる。 ああでもきっと今は、男の方が体温が高いだろう。
スケッチブックを閉じる前、零された言葉に 男はゆっくりと頷いて。 新しい頁に文字を連ねる。 覚えている範囲の罪を、思い出した範囲の記憶を。
書こうとしてやめた言葉が一つだけ。
閉じたスケッチブックには、二人の記憶が綴られる。]
(16) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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んったら、一緒に怒られにいくかのぉ。 わし今日飲む気ないけ。
[苦笑していた彼が、立ち上がってやってくる。 傍まで来て、小さく頷くのを見られたなら。 カンバスの前に座り、その膝の上に彼を乗せて。 後ろから抱きしめるようにして、筆をとる。
筆を彼に握らせて。 その手を後ろから包み込んだ。
筆先をパレットに導いて、赤い色を掬い取る。
晴れ渡った青空の中に描いていくのは いま、筆を握らせている彼の姿。]
(17) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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ずっと他人の絵しか描いてこんかった。 じゃけ、インスピレーションなんか沸くわけなかったんよ。
それがの。 余計な世話焼いてくれるやつが居って。
『すきなもん』でも描け、ちゅて。
[広がった青空の下に共に描いていく赤髪。 その体に、白い包帯を巻くことはない。]
描いてみよう思たんじゃ。 『すきなもん』と、見たい景色を。
[やがて、そこに『ヒュー』が描かれたなら ゆすいだ筆をまた握らせて、今度はパレットを差し出した。]
(18) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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傍に、居らせてくれる? 誰でもじゃなくて、『わし』を。
青空だけじゃない。 星降る夜も、霧雨の朝も。
───隣に。
[下手でもいいなんて、謂わずとも通じるだろう。 ヒューのその横に描いてほしくて。 何色を乗せるのかが、見たくて。 自らの手で、記憶を、カンバスに刻んでほしくて。]
(*15) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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何度でも、謂わせてくれる?
ヒュー、『愛しとる』って。
[スケッチブックに書かなかった言葉。 思い出せるようにじゃない。 忘れないようにじゃない。
贋作でないその言葉を この先、いつだって、囁きたかったから──…]
(*16) anbito 2014/12/31(Wed) 02時頃
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─あの後─
[あの夜、屋敷を出ようとした時、 ハワードに引き止められ、 手渡されたものはパスポート。
主人から渡す様にと言われたとの事 それを見せれば身元は保証されるから そう、言われた。
一番の懸念がそこだったから、本当にありがたい 主人が色々な国を旅できていたのは この様な力があったからなのだろう]
(19) suikei 2014/12/31(Wed) 02時頃
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[その後、ふもとの町で宿をとった。 丁助の身なりはやはり目立つ。それでも彼はどこ吹く風なのだろう。
彼を知らずに見たものは、役者か何かだと勘違いしている。普段も仮装している役者がいるものか。]
明日、明るくなったら 服装を現代のに合わせたら?
それくらいは余裕あるだろ
[悪目立ちはしたくないと伝えるが。 彼は、自分なんかより肝が座っているから、あまり効果は期待できそうにもない。*]
(20) suikei 2014/12/31(Wed) 02時頃
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[それから、旅をしたいと、宿の者に旅行会社を教えてもらい、そこで丁助がいきたいという場所へ手続きを済ませた。長い船旅になると思っていたら、いまは飛行機というものがあるらしい。]
でも、…最後だし、 ゆっくり船旅でもいいのかもね [そう言ってしまったのは未練なのだろうか 少し良い客室を取ってと強請って。 どうせ片道だけでいいから*]
(21) suikei 2014/12/31(Wed) 02時頃
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ー道中ー
へ?服装を?
[じぇれみから為された提案は随分と意外なものに思われた。]
其れって、お前さんみたいな格好を すればよいということ?
[それなら……]
いいよ、そうしよう。 但しお前さんが選んでおくれ。 あっしには良し悪しなど分からない。
[若しもあっしの尻に獣の尻尾が有ったのなら、じぇれみと同じ格好が出来ると喜びに悶えてるのが一目瞭然であったろう。]
(22) mikeru 2014/12/31(Wed) 07時半頃
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[彼はてきぱきと手続きやらなんやらをしてくれるので、甘えて其れらの事を任せる。]
ひこぅき? あっし、そんな面妖なものに乗るのは嫌だよ。 お船がいい。
[唯一乗り物にだけは口を出して。 未知の物に乗ったりして、怯えじぇれみに縋り付くあっしの姿を最後の最後に彼に見せることになってしまうのは、なんとも情けない事だと思うもの。*]
(23) mikeru 2014/12/31(Wed) 07時半頃
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[瞼を閉じて暫く。 言葉が返ってくるのを待つ間、自分は何を考えていたのだったか。 瞼に触れた柔らかな感触に、はっと目を開く。 震える指が自らの手を取って握り返すのを、赤い瞳は確かに見ていた。
瞬きの間の後。 僅かばかり笑めば、頷いて。]
……命令がよきゃ、そうする。 けど、……俺には、そういうの向いてねぇから、やっぱり。
……傍にいて欲しい、……お願い。
[そうして再び目を閉じれば、その掌の暖かさに浸るように。
薬を断ち、夢を恐れる夜も、きっと乗り越えられるだろう。 そうすればきっと、頁に文字を、増やしていけるのだろう。
安堵するように、詰めていた息を吐き出した。]
(24) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 08時半頃
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[そうして手招きの後、青いカンバスの前、彼の膝の上に座ることになるか。 彼よりも体格は劣っている、けれど決して小さな身体ではない。 重くないかと問うより先、伸びてきた筆に身体は硬直する。
それは、思ったよりも軽く、簡単に折れてしまいそうだと思った。 恐る恐るといった風に筆を握れば、包まれた掌に導かれるままにカンバスに色を置いていくだろう。 一色、一色。 はじめは荒かった絵も、細部が書き込まれていく内に精密なものへと変化していく。 硬直していた身体から、だんだんと力が抜けていくかのように。
青い空、揺れる赤い髪、肌に微かな古い傷跡。 もしかしてを問うより先に、彼の描きたかったものの事を語られれば、口を噤んだ。
そうして絵は出来上がる。 清涼な青空の中佇む、一人の青年の姿を。 驚くほどに鮮やかな手付きで描かれたそれを見ていれば、筆とパレットとを差し出されるか。
きょとん、とした顔でそれを見下ろすも、その内に意図を察して困ったように眉を寄せる。 それでも、手を伸ばして受け取って。]
(*17) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 08時半頃
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……後で、ちゃんとフォローしてくれよ。
[浮かべた苦笑の顔のまま、受け取った筆とパレットとを両の手に持ち向き直る。 朧な記憶とはいえ、人の顔の造形までは忘れない。
とはいえ、それをカンバスに描いていけるかといわれれば、また別の問題になるのだが。
ゆっくりと、ゆっくりと、色を選び、色を置いて。 歪に、それでも、描き進めて。]
……おう、何遍だって、聞くから。 俺が忘れても、……忘れなくても。
[そう告げて笑えば、筆を“ボリス”へと返すだろう。 子供の落書きの方がずっとマシであろうそれに、改めて向きあえばじっと見つめて。]
なぁ、 ……絵、教えて?
[“お願い”、と、付け加えて笑った。*]
(*18) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 08時半頃
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[瞳を閉じた顔も、驚きに瞬く顔も。 僅かに笑む顔も何もかも。 隣でこれからも見ていたいと思う。 繋いだこの手を離したくない。]
ふは、確かに向いとらんの。
………ん。 おらして、ずっと……お願い。
[再び閉じられる瞳、指先を指先に絡める。 温もりをわけあうように。 怖い夢を見る夜は、忘れさせてやりたい。 隣で、いつまでも。
こういうのをプロポーズというんだけれど。 そんなことを思いながら、吐き出される息にくすくすと微笑んだ。]
(25) anbito 2014/12/31(Wed) 10時半頃
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[膝の上の体は決して軽くなどないけれど それでもその体を後ろから抱き締めていた。 硬直している時も、肩から力を抜いた時も。
やがて描き上がるのは歪な橙。 落書きのようなそれに、また笑みが落ちる。]
初めての割には、うまいもんじゃで? でも、教えようかのぉ。
[忘れても、忘れなくても 嫌になるくらい愛を囁きながら。 それを聞いてもらいながら。
受け取った筆でカンバスに記すのは“Boris,Hugh” 筆をそっと置いて*]
(*19) anbito 2014/12/31(Wed) 10時半頃
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[そんな時間が過ぎ去れば、そろそろ月も上る頃になろうか。 抱き締めたまま、頬と、耳朶とに口付けを降らせて。 低い甘さで囁く。]
明日、怒られに行くんじゃったら。 今晩はお前さんの部屋に行ってもええじゃろか?
……『また今度』の続き、せんとの?
[きっと忘れているだろうと、囁いたが。 さて、彼は思い出すか否か。]
(26) anbito 2014/12/31(Wed) 10時半頃
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―食堂―
[銀髪の少年は主の元へと。 己が去ることを告げれば、 参休は思案の素振り見せただろうか。 共にいる時間は長かった筈だが、記憶にある限り常に冷静な男だと謂う印象は変わらない。 それは今、この時も。 黒髪の青年はどうあったろう。 気になったのは、ニコラスの抜け殻のような姿。 ぎらとした、熱い野心を持った青年は、 このような狭い世界ではなく、外の世界の方が似つかわしいと、唇描かれる弧を見るたび思ったものだが。 今はその口許に優美な曲線は見られない。 軽く頬を叩く]
確りせよ。 やっと、出られるのだぞ?
[其れを望んでいたかは判ぜず、一声かけて、 食堂を出た*]
(27) CANNABIS 2014/12/31(Wed) 16時頃
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―自室―
[碌に物のない部屋。 中央にあるベッドに腰掛けて。 何時もの如くぼんやりと過ごすうちに、窓の外の景色には夜の帳が下りる。 ジェレミーとチョウスケは既に発ったのだろうか。 死を仄めかしていた金髪の男。 既に朦朧とした記憶だが、数日前風呂場で会ったのは二人であったように思う。 ――独りを厭う主の呟きが重なる]
(28) CANNABIS 2014/12/31(Wed) 16時頃
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[朝に出る、と主には謂ったが、 己には取り立てて準備するものもない]
死に往く為とは謂っても 流石にこの姿で出て行くわけには行くまい……?
[今の世のことは知らなかったが、 其れくらいのことは朧な理解を持って。
只今は、もう少しだけ、此処での時間に浸ろうと目を瞑り**]
(29) CANNABIS 2014/12/31(Wed) 16時頃
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ー島国での或る日ー
[人よ月の紅い一夜に外を歩くなかれ。
充分注意をしていたと思っていたが吸血の瞬間を町人に見られてしまった。 暗闇の中で提灯に照らされた顔が驚愕と恐怖の表情を浮かべているのが見える。 遠く、ブケだったかアキンドだったかの屋敷の二階の一室にも灯りが灯っているのが星明かりのように見えた。 身を翻し晦冥の中に姿を消すと、背後から町中の人間を起こして呼ばわろうとする絶叫が轟いた。
“化け物だ、人の血を吸う妖が出た”
命を奪うまで紅い命の源を貰ったことはないというのに。]
(*20) mikenek 2014/12/31(Wed) 18時半頃
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この国の人間は月の無い夜には 家に火を放って灯りとするのか……?
[いつの間にか先ほどの屋敷は煌煌と燃え盛っており、 朔の晩をまるで紅い月のように照らしていた。
物陰に隠れて様子を見ていると、二階の窓から二人の人間が身を乗り出すのが見えた。 それはいかにも頼りない危なっかしさで、誰かが手を差し伸べてやらねば今にも命を落としてしまいそうに見えた。
そう考えるや否やこの身は既に動き出しており、 あっという間にその屋敷の元へ。 そして二人が転げ落ちるその寸前に 抱き留めることができた。]
大丈夫か?さあ、安全なところへ行こう……
[屋敷に火が付けられたのを見て、きっとこの二人も自分のように迫害されているのだと思った。 だから手を差し伸べた。二人を虐める屋敷の中から早く連れ出してやらねばならない。
一人は、その手を取った。]
(*21) mikenek 2014/12/31(Wed) 18時半頃
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君の手は温かいのだな。
[我が子と比べて私は笑いを漏らす。 だがもう一人の手の温度は痛かった。
彼に向かって差し伸べた手は払われたのだ。 私を見て叫んだ町人のように、 彼はその顔に恐怖を浮かべている。 そんな視線には耐え切れない。人間の顔だ。
二人を繋ぐ紐が目に入った。*]
(*22) mikenek 2014/12/31(Wed) 18時半頃
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[月の昇る頃。 夕餉のベルに応じずとも、そして薬を口にせずとも、咎める主は現れず。 微かな違和を胸のどこかで感じていた中、筆は置かれたか。
抱きしめられるままに、そっと手をその背に回して。 服越しに聞こえる、心臓の音。]
……あ、ぁ。 それは俺もお願いしようと思って、……続き?
[夢を一人で乗り切る勇気はなかった。 だから、部屋に呼ぼうかとは考えていたのだけれど。]
悪い、……あんまり覚えてなくて。 ……部屋で聞かせて貰えるか?
[そう言って、回していた腕を解き、その手を引いて自らの部屋へと誘おうか。]
(30) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 21時頃
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[交換したばかりのシーツは、不格好に敷かれていながらも完璧に近い程真白だ。 先立って自分が腰を下ろせば、ぽん、と隣を叩いてみせる。 彼が隣に腰掛けたのに、その顔を見上げればに、っと笑ってみせて。]
……ほら、続き。
するんだろ?
[そう言って細まる瞳の奥に、『また今度』の記憶は映っていただろうか。*]
(31) kirisame1224 2014/12/31(Wed) 21時頃
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