25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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― 表座敷 ― [表座敷の障子を引いた。 独り、そこに先客が寝ているのを見て そういえば高嶺が赤が散る布を持っていたのは この部屋のあたりかと思い出し嘆息一つ]
…………お前はこの祭りの何を知る?
[思い出すのは大広間での表情 今、篭る熱に魘される姿からは 想像はつかないけれど]
(406) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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― 本邸/表座敷 ― [寝床には相変わらず少年一人。 夜も更けてきた頃か
宴の席はまだ続いているよう 漏れ聞こえる多種多様な音
技術こそあれど表現に感情が乗せられない 自らの芸妓にせめて花の色香でもあったなら]
――…ぅ、ン
[静かな其処に混じるひとの気配。 独白に 額に汗浮かべた少年の意識が揺らぐ]
(407) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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― 表座敷 ― [寝床の姿からは足の傷は見えぬから あの朱がこの花のものかはわからないが どうやら熱を出し苦しんでいる様子 今も小さく声が零れて
屋敷のものに水を張った桶と手ぬぐい 水のみを用意させれば 緩く手ぬぐいを絞りその額へと]
……獣かどうかわかるまでは人扱いだ。
[呟くのは自分への言い訳か]
(408) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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― 本邸・庭 ―
っかしーな…。
[来た道を辿れど、探し物は見つからず。 口をへの字に曲げながら、辺りを見回す。 風にでも飛ばされたかと、庭の方へも出てみる。 仄暗さを宿す池には、月光が降り注ぎ。 風に漣立てば、水面を煌かせていた。]
何処行ったんだか。
[そんな光景に見蕩れている暇も無く、虎鉄は溜息をつきつつ、捜索を続ける。]
(@33) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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[気安さから、自然とまた選ぶ位置は高嶺に近くなる。 差も平然とした顔でこちらを見るものだから]
…相変わらずお前の面の皮の厚さは三国一だな。
[そんな下らない言葉が出る。 天下一、ではなく三国一、と言う辺りはきっと己の僅かな良心。 その脇にある花達を見たあと、何やら息を一つ吐き出してから 薄青をした干琥珀を一つつまむ]
(409) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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― 表座敷 ― [入ってきた彼に見えるのは、熱を出した子供ひとり。 怪我は布団のした、眼鏡は未だ届いておらず]
……気持ち…ぃ
[やがて、ひやりと冷たい布があてられる。 掠れた声で呟いた。 呟き声は意味を取れず 意識は夢うつつ 薄ら開いた視界に映るは、相変わらずぼやけた世界]
……何故、戻って ?
(410) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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―B棟・本邸へ続く渡り廊下― [庭を見ながらゆっくりと歩く。
見ていた庭のほうへ動く影を見つけた。 草や土、石を踏む足音]
このような時間に誰が。
[無論、誰がいても不思議ではない。大広間ではまだ祭りが続けられているのだから。
庭へと足を踏み入れる。声はかけず、音を追った]
(411) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[少しばかり、今は亡き人を語るには、 ぶしつけな物言いだったかと、 一瞬降りた沈黙に、目蓋を伏せる]
――申し訳ありません。 舞のことなれば、つい遠慮というものを忘れてしまって。
[酒精と共に何か飲み込むように、 口唇の杯に寄せる様を見つめれば。一度広間を見渡して]
あの、では私は主様の元へ――、 本郷様、どうもありがとうございました。
[傍らを辞することを願い出る、 その鉄色の飲み込んだ何かは気になっていたのだけれど]
(@34) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[こんな時にも、こんな時だからこそか、鵠と答えが重なり、苦笑が零れる。その表情のまま、気配が増えたことに気がつけど、しかりと舞台を見終える。
笛と同様、舞も個性が表れるか、静かに咲く前の花の舞を見届けると、賛美の後、再び口を開く。]
また、同じような気持ちになりよったら、吹けるかもしれへんけど。どやろか?
[高嶺の言葉に、ただ笑う。 混沌は、そのまま混沌だ。 本来裡に秘めたものは、呑みこむを望むのでなく……。]
さて、わいは、そろそろお暇しようと思います。
[そんな裡を出さぬようにか、暇を告げる言葉を告げた。]
(412) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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― 表座敷 ― [掠れた呟きは以前聞いた声よりも弱弱しいもの 向ける眼差しは熱で濁ったか どうやら青年を青年と認識していないのは 尋ねる声から判断がついた]
――……寝ろ
[表座敷の傍にいた高峰を思い出し 彼の声色を思い出す ……物まねの修行は積んでいないが 眼を伏せて鍛えた聴力で聞き取った細部を 出来るだけ真似て口にしその眼を覆う]
(413) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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―大広間―
[舞台を降りれば数人の花主と傍にある花。 その中に割って入る気力は、残されていなかった。
明之進の姿も確認できれば、少しだけ微笑んで。 それぞれの主に会釈をしながら壁際へ]
お目を楽しませることは出来たでしょうか。
[一人離れて見えた、名に夜を持つ主にそう声を掛けた。 折を見て退出の許可を得るつもりもありながら]
(414) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[本郷が近くに座ることを気にはしない。 まんまるは酒で潰れて転がってでもいるのだろう。 演舞が終わった中、すぴょぴょと男の寝息が聞こえ]
お前の天下一の口の悪さよりかは、幾分マシだ。
[折角の本郷の良心を打ち砕くような言葉を返す。 近くに来たということは、何か話でもあるか。 そんな視線を本郷へと向けてから見るのは辞そうとする花。]
(415) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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いや、構わん。 詫びのかわりに、また舞を見せてくれるなら、それでいい。
[二つ目の干琥珀を摘み上げたところ。 謝罪の声が聞こえたので首を緩く横に振った。 指の上に僅か残る欠片に舌を這わせて舐めとり]
ん?…ああ、ずっとお前を借り受けていては お前の主殿に怒られてしまうな。戻るといい。
[主、という言葉に想うことがあったとしても それを引きとめる理由も必要も今はなく、 明乃進の望むままに]
(416) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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―――…華月、
[名を呼ぶ。 此方を見たのなら、黒檀が細まった。]
……使う茶器の色は白だ。 種類と茶葉が判らぬ時は、鵠に訊け。
[暗に茶を淹れろ、と。 口にするのは、使い走り紛いの言葉。 先日――…鵠へと告げたものと同じもの。]
(417) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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……このまま、目覚め なかったら
[これは独り見る夢の続き。 少年の視線は定まらず 冷たい印象はすっかりなりを潜めている。 掠れ声は変わらず、ぽつり呟く]
前を 向いても――何処にも 道……が
[舌が喉に張り付いて、上手く伝えられず 口を噤む]
(418) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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それは褒め言葉としてもらっておこう。
[涼しい顔をして高嶺の言葉に返事を返す。 特に話があるわけではなく、 向けられた視線に首を軽く横に振るばかり]
何、そちらの進捗を聞いてみようかと思ってな。 他に他意はない。
[丁度のタイミングで下がっていこうとする華月を見やってから 再び高嶺へと視線を戻す。 会話をする相手の目を見て話すことが多いのは、男の癖だった]
(419) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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樹に引っかかってたらアウト…、池に沈んでてもアウトだな。
[幾ら夜目が利く方だとはいえ、それらの状況に陥っていれば今見つけるのは困難だなと頭を掻いて。 そも、天女ではあるまいし、あの薄布が無くても別段困る事はないのだけれど。 物は大切にしろと主から教わった虎鉄は、すぐに諦めはつかなかった。]
――――…?
[あと探していないのは、と立ち止まる。 しかし止まぬ足音。 ふと振り返ると、そこには―――見覚えのある球。]
………何か?
[虎鉄以外に誰も居ない庭。 己に何か用なのかと、虎鉄は男――乾へと声をかけた。]
(@35) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[自分と同じ、夜の名を持つ花。何処か少し疲れているようにも見える]
ああ。……途中からであったのが残念だったけれどね。
[ふわりと微笑み、それから小さな声で]
……祭りは未だ半ばだ。 あまり気をはりすぎてこんなところで倒れてしまってはいけないよ?
(420) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[声をかけるその姿は、昼間に会った時とは一変。 整えられた髪、きっちりとした服装は、利発そうな印象を与えるか。 尤も、中身は変わってはいないので喋れば台無しなのだが。]
(@36) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[闇の中に人影。仄かな明かりの中、浮かび上がる姿]
虎鉄、ですか。いえ、足音がしたものですから このような時間に誰が、と思い追ってきたまで。
…何か、お探し物ですか?
[かけられた声に足を止める]
辺りを覗っているようでしたので。 よろしければ共に探しましょう。
(421) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[蓮殿の主より辞することが叶えられれば、 またひとつ頭を下げて――面を上げたところで、
名を伺い損ねた、 その花主と一度目があった。]
――……あ、
[言葉を交わした時は、覚えなかった何かがざわり湧き上がる ――それをこらえて慌てて高峰の君へと頭を下げた。
似ているから、なの だろうか]
(@37) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[暇を告げれば、呼びとめられるように名を呼ばれた。 細まる黒檀に合わすように、苔色も細まる。]
茶、でっか。 それは、今やろか。それとも、時間指定やろか?
[別段、茶を注ぐこと、使い走りにされることを気にしての言葉ではない。ちらっと本郷の方にも視線を向けるのは、今なら彼にも淹れるべきなのかと窺うもの。 天満月の姿が見えるならば、そちらにも。]
(422) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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― 表座敷 ― [童花が見たい者とは違うと気付かせないで済んだ? 熱に魘される幼子の夢を壊さないですんで 内心軽く安堵するも、 ぽつり、ぽつり、呟かれる声は…… 状況は違うのだろうが一年前の己の心を思い出させる]
――……目覚めたくなるまで休め。 それまでは寝ていていい 道がないのなら、眼を閉じ眠ろう。 ――……水は飲むか?
[あの高嶺がこのようなことを口にするだろうか? そう、思いながら言葉を落とす。
途切れる言葉には塞ぐのとは違う手で 水のみを手に取り尋ねた]
(423) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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……今でなくとも、 祭の間ならば、何時でもいい。
[茶汲み、其の言葉が何を意味するか、 それは華月は察するだろうか。 本郷や天満月を気にする姿に笑みは零れて]
(424) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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[華月の視線がこちらに向かったので]
庭の緑。あとは鵠に聞け。
[そういえば今ここで初めて名前を知った気がする華月に向かって 言ってのけるのはある意味高嶺よりも注文が難しい。 庭の緑と言って、正しいものを果たして彼は持って来れるのかどうなのか。 鵠に聞け、とはいったところで鈴の花が先日の自分の様子を逐一覚えているのかどうか]
(425) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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始末屋 ズリエルは、部屋で寛いでいる。
2010/08/04(Wed) 01時半頃
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ん、…まあね。 肩にかけてた衣を無くしてさ。
[問いかけに隠す事はせず、少しばつが悪そうに答える。 共にと聞けば、え、と琥珀を丸くして。]
いーのか? そりゃ、一緒に探して貰えんのは有難いけど…。
[こんな夜更けに、花主にそんな事をさせて良いものかと少しばかり考えたようだ。]
(@38) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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休 む――ひま な、て
[首を振る。 先ず可笑しなほどの介抱 労わる言葉も、先ほどの続きならば在り得ないが 夢の続きならば]
みず
[じくじくと痛むのはどこだろう 身体が熱い。 重い身を両肘で支え起きようとしたけれど、半身に力が入らず、少年は自身の身を持て余す]
(426) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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[虎鉄の格好には一度目を瞬かせ]
着飾れば花となるか。
[それでも口から出る言葉遣いは変わらず。ため息にも似た息を吐く]
(427) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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― 表座敷 ―
……――
[咲くにせよ、散るにせよ、花の命は短い 童花の言葉はそのことを指すのだろうか? のろのろと身を起こすその小さな姿に 彼が普段眼鏡を入用としていることを 知らない青年は気付かれぬよう願いながら 覆う手を背に回し起こそうとする半身を支えて。]
……無理はいけない
[高嶺が使いそうな言葉と、我が主なら こんな時どんな言葉をくれたかを考えながら そっと、”みず”の言葉に 水差しを咥えさせようと]
(428) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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嗚呼……
[高嶺の言葉に、少しだけ驚いたように苔色を見開いて、息を吐いた。間違えていないなら、そういうことか……と。]
なら、折を見て持って行きますわ。 今宵はもう随分遅いさかい、飲んだら寝れへんなりますから。
[と、謂った矢先に、本郷の言葉がかかる。]
本郷様は、今、飲む茶が入用なんすか。 寝れへんなりますよ?
[此方に関しては、裏の無い意味合いで、唇の端に浮かべるのは艶ではなく苦笑。仮初そこに裏の意味が含まれていたとしても、今、気がつけるキーワードはこちらにはない。]
庭の緑……なんやろ。 鵠さん、判りはります? 高嶺様のん併せて教えてくれんやろか。
[それでも本郷が茶を所望するなら、汲んでこようと、庭の緑の謎かけを鵠に問う。]
(429) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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