215 【誰歓】エンドローグ
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
パルックが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、ケイイチ、ポーラ、イアン、ミルフィ、ネイサン、チアキ、リー、マユミの8名。
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[ 男自身の間抜けた声に続くように(>>1:199)、 ミズキと名乗った少女からも声が漏れたのだった。
立ち止まるその姿。 男へ向く眼差しは穏やかとは言い難いもの。>>1:201 男は少女の事情(>>1:13)や、その胸中を知る由はない。
だから、剣呑なその面差しが自分へと向いていても、 虫の居所が悪いのかねェと考えたのはその程度。]
――…さぁて、どうかな。 そうだとしても俺には関係がねェやな。
(0) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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ま、無粋だったのは謝るさ。
[ 男は肩を竦め、少女の鋭い視線を受け止めた。 その際、少女の顔立ちを少しばかり見遣った男は、 見事に左右対称だなァという印象を抱いた。
――それでも、綺麗だとか、可愛いだとか。 そういった感想は抱かなかった。 整っている、と、……それだけ。]
(1) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2015/02/06(Fri) 00時半頃
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なんか、このくらいめちゃくちゃな状況から始まると、カッコつけたり気を張る余裕がなくて、 落ち着いてくると今更カッコつけるわけにもいかない分、かえって楽だなっておもいますけど、わたしは もう、なんか、取り繕ってらんないじゃないですか
ここでカッコつけてられるなら、それはすごいですよ なんか、びっくりした拍子に、ぽろって素に戻っちゃいません?
……ああ、でも、付加価値的なのがついてこないのは、楽かもしれないです
[歩きながら、他愛のない会話>>1:200のつもりで、はあと溜息をつく。]
でもほんと、ここって一体なんなんだか
[いくら居心地がよくたって、異様な状況にあるのには変わりない。]
(2) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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一人暮らしで食に困らないなら、充分じゃないですか
[ネイさん>>197の言葉に、なんだかレベルの違う話だと、不貞腐れたような声を上げる。 カレーを作ったら>>202って、作ることがあるだけでも別次元の話だ。]
……お二人にお任せします 皿洗い要員だとでも、思ってもらえれば
[もとより味に関わるところには手を出すつもりはなかったのだけれど。
それよりもカレーだ。 自宅では食卓にほとんど並ばないメニュー。 その匂いを思いだして、少しだけ心が浮ついた。]
(3) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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[ 暫く少女の相貌に目を止めていた男であったけれど、 やがてはついと視線を逸らし、足元の下駄を見下ろした。
男にとって人間の顔とは、 ただその人物を表す記号やマークに等しいもの。
それらの見目が幾ら整っていたとしても、 中身が空っぽであったり粗悪であるのなら、 並みの程度にパーツが揃っているよりも尚、悪い。
矜持というには形の脆いそれは、 男の好みと言い換えてもいいかも知れない。
何れにしても、少女の内面を知る機会のなかった男は、 世間一般では可愛らしいと評される顔立ちであったにしても、 その顔を見たところで特に何を感じることも無かった。]
(4) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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声を聴き 掴むナイフで 突き刺せば
(5) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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跳ね返される 最後の勇気
(6) 2015/02/06(Fri) 00時半頃
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[叫び声虚しく 奪ったナイフはまっすぐと首に進み 喉を突き刺す……
…はずだった……
しかし思いは果たせず手前で反発し
ナイフは宙に舞い 跳ね飛ばされる。
この空間は死ですら脱出を良しとしない。
絶望に打ちひしがれて再び崩れ落ちる私の身体]
(7) 2015/02/06(Fri) 01時頃
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― 回想 ―
[須藤太一が神田瑞希に抱いた第一印象は。 おいおい、こんなレベルの高い子来るって聞いてねーぞ。 という身も蓋もないものだった]
あ、次の曲。俺でーす。
[合コンという名目のカラオケ会。マイクを受け取って、当たり障りのないポップスを歌う。 隣の友人に肘でつつかれる。 可愛い子を連れてきただろ、喋る努力しろ。と耳打ち]
そう言われてもなあ……。
[携帯電話をいじる瑞希に、ちらりと目を遣って]
こちとらあのむさ苦しい野球部育ちだぞ。 可愛い女の子となに喋ったらいいか分からん。
[正直に白状した。結局いつもの通り明るく元気に、いじられ役に徹することになった]
(8) 2015/02/06(Fri) 01時頃
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― 2階 ―
はは。期待しとく。
[気になってた子が居たなら、仲取り次いであげる。>>1:190 まさか、よりにもよって瑞希の口からそんな言葉が出てくるとは。その提案に思わず苦笑する。 正直あの中で1番可愛かったのはキミです、なんて言えるはずもない。それに]
(こんなヤク中と仲を取り持たれても、相手の女の子が不幸だろ)
[心の中で自嘲したが、それを口に出しはしなかった。 ちょうどその時、前方からカランコロンと下駄の音>>1:177]
ええと。五十嵐さん、でしたっけ。
[おぼろげな記憶を頼りに、名前を口に出す。 言いながら。先程腕まくりした制服は元に戻していただろうか、とか。手の震えはまだ治まっているよな、とか。 様々な不安に駆られる]
(9) 2015/02/06(Fri) 01時頃
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……なっ。
[逢引か>>1:178、と五十嵐に問われれば。顔を真っ赤にする。 別にそういのじゃあ、と。ふるふる首を振って、慌てて否定しようとして。そこで初めて、瑞希の様子に気付いた。 投げやりに答える瑞希の声>>1:201は鋭く、思わず目を丸くする。 なんとなく良からぬ雰囲気に、一瞬だけ眉を寄せて。 すう、と息を吸い込むと。いつもの朗らかな笑みを浮かべた]
逢引きの邪魔とは、五十嵐さんも趣味悪いですよ。
[冗談めかして五十嵐に明るく肩をすくめてみせた。 ほんの少しだけ、瑞希に体を寄せることも忘れずに*]
(10) 2015/02/06(Fri) 01時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2015/02/06(Fri) 01時頃
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[目の前の光景に、息を呑む。
──神鳥の喉へ向けられたナイフは。 止めようと手を伸ばすより早く、何かに反発するように彼女の手を離れた。>>7
からん、と床に転がったナイフの音で、は、と我に返る。 銀色に光るそれを、すぐに拾い上げた。両手で、……彼女が万が一にも自分からそれを奪おうとしても抵抗できるように、胸の前でしっかりと抱え込む。 崩れ落ちた少女の身体を見れば、その心配は無用だという気もしたけれど。
蹲る少女の横顔に視線を落とす。 もともと体調があまり良くはなさそうだったが、涙の跡が痛々しいその表情は白く絶望に染まっているように見えた。
……絶望。 何に。──死に損ねた、ことに?]
(@0) 2015/02/06(Fri) 01時頃
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―台所へ―
[見た目だけは古びた廊下を歩いて少し。 やはり記憶と違わぬ位置にあった台所に、ひょいと足を踏み入れる。]
ああ、なんか、やっぱり懐かしい感じしますね 食べ物がこんなにあるって、変な感じ
[懐かしい、とは言いながらも、以前ここを訪れた時に、瑛美が料理をすることなんてなかった。 それはいわゆるマネージャー役で合宿に参加している部員たちの仕事で、 マネージャーというのも、つまりは選手として脱落して、それでも部に留まった生徒を指していて。
ふと、コーチの指示で彼女たちが作った薄味の料理と、自宅の空っぽの冷蔵庫を思いだした。 目の前の光景とくらべて、あははと笑う。わざとらしく口を開けて。 ここには自分を否定するものもあまりなくて、いつもより随分と気楽なはずなのに、それでも時折心臓を直に掴まれたように胸が痛い。
帰りたい。なんにも楽しくなんかない、ばかげた遊びで人生を浪費しているだけの、それでも良いから日常に帰りたい。]
(11) 2015/02/06(Fri) 01時頃
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……梶さん。
[崩れ落ちた神鳥に、更に現状を追及することは躊躇われた。 そもそも、問いかけたところで、今の彼女に冷静な説明が出来るかどうかも怪しい、と思う。
代わりに、梶の名を呼ぶ。 真っ直ぐに、彼の目を見つめる。
……こんな、人が目の前で今にもナイフを突き立てんとする状況に直面したことなんかない。 たぶん自分はもっと取り乱してもいいはずだと思う一方で、奇妙にしんとした心持ちだった。
有無を言わさない声で、梶へ、短く問いを投げた*]
説明、して。
(@1) 2015/02/06(Fri) 01時半頃
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子守り 日向は、メモを貼った。
2015/02/06(Fri) 01時半頃
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ー回想:北仲瑛美が、どうしてここにいるのかー
[北仲瑛美の【これまで】は、すべてひとつの上に培われていた。
その事実に気付くこともなく、それを投げ出してしまった理由とは、ありふれたつまらないものではあったけれど。 そのせいで、空っぽだった。 15年間も生きて、ひとつ諦めただけで、身体の中がすっかり空っぽになってしまった。 諦めた、ではなくて、投げ出した、と言うべきなのかもしれないけれど。]
(12) 2015/02/06(Fri) 01時半頃
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[母は過去、偉大な選手だったという。 彼女は自らの経歴に誇りを持っていたので、 同じ経験をさせてやろうと、期待がその子どもに向くのも自然な話だ。
記憶も怪しい頃からの訓練は確かに効果的ではあったし、才能が全く遺伝しなかったわけでもないようで。 なかなかの成績を収め、競技自体も好きだった。 長い間、好きなだけだった。
それでも、じわじわと理解し始める。 中学に入学して、新体操部がそれなりに名を馳せていたことを理由に、母の送迎で妹と通ったスクールをやめて、部活に入った。 誰よりも力強い目で踊る、あの子と距離を置かなければ、潰れてしまいそうだった。
3年間は充実していたが、中学最後の年に入る頃には、もう決めていた。 努力や根性や気合といった何かだけで、これから先はどうにもならない。 どれだけ構成に忠実に演技をこなしても、古き日の母や妹と、同じ競技をしているように思えないのだ。 輝く才能がなくても、ずっと見てきた世界で、自分の限界をなんとなく察してしまう。 表面的に褒めるなんてしない母の苦笑が耳に刺さる。]
(13) 2015/02/06(Fri) 01時半頃
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[夏。全国の晴れ舞台。最後の大会で、盾を抱いて一礼。 今となっては恥ずかしくてとても言えないけれど、次の代の部長を指名して盾を手渡すなんて、前時代的な儀式もやった。 号泣しながら立ち上がる後輩に、昨年の自分が重なる。
それで終わりで、良いはずだった。 高校は人知れず競技での知り合いがいなさそうな学校を選んだ。 教室にいたたくさんの人たちみたいに、ふつうの楽しい3年を過ごすつもりでいた。
嗚呼、ふつうであることの難しさを説いたのは、どこの誰だったか。]
(14) 2015/02/06(Fri) 01時半頃
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[思った以上に、自分の中にはそれしかなかった。
高校に入学してすぐ、愕然とした。 この場所で何をすれば良いのか、分からない。]
(15) 2015/02/06(Fri) 01時半頃
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[クラスで浮いた存在になるのに、時間はかからなかった。
もう、演技に使う曲を繰り返し聞く必要も、短い休み時間を自主練習に充てる必要もない。 ああ、でも、そのために使っていた時間を、何をして過ごせば良いんだろう。
同級生たちの話は、異語のよう。 思えば、家にはテレビがない。 漫画や小説は禁止されていたし、体重制限を徹底するために、食糧の買い置きも全くなかった。 中学時代の友人は皆同じ部員で、会話も競技のことばかり。 趣味が何もない。人と共有できるものがない。 競い、互いの上を行こうとする、そんな人間関係しか持たずにここまで生きた。
そんな状態では友達などできるはずもなくて、 気付けば、自分の席に前を向いて座っている内に1年が過ぎていた。 それでも、教室の片隅で、からかいや揶揄にも負けないように、いつだって背筋は凛と張っていた。 今度は、『人を馬鹿にしている』と非難された。 それはあながち間違いじゃなかったのかもしれない。 ばかにするなよ。と憤慨して、より一層姿勢を正した。 だから、ずっとひとり。]
(16) 2015/02/06(Fri) 02時頃
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[関係ないと言い切る男は、言葉通り然程興味もない様子で。>>0 軽い謝辞を聞いて、刹那、臨也と視線が絡まれば、少し、気まずさを感じて目を伏せたか。>>1
自身を量る臨也の視線に気づかない侭、>>4 初対面にも近い男性に、自身の態度は失礼だったかと、今更ながらに後悔を覚えて。
逡巡を見せて、臨也に何と声をかけようかと躊躇っていれば。 太一から臨也の苗字を耳にして。>>9 今度は間違いなく、彼の名前が心に刻まれた。
そうだ。ここには9人しか居ない。 これからこの、五十嵐という男とも。 この宿舎で共に過ごすのだと改めて、感じて]
別に、無粋なんかじゃ……
[そう、躊躇いながら口にした頃――]
(17) 2015/02/06(Fri) 02時頃
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[隣から落ちた驚きの言葉に言葉を止めて。>>10 驚きを見せる太一へと、視線は移る。 今までの彼の性格から、きっとこういうからかわれ方は、 また耳を赤くして狼狽える事だろうと思っていたから。 その大きな声は納得の行くもので、想定通りの彼の動搖を見て、思わず様相が崩れそうになる。>>0:96>>1:173
なのに。 その後に続いた言葉を聞けば、みるみる目を大きくさせて]
……えっ…!?
[漏れた言葉は、とても気の抜けたものになり。 詰められた距離に驚きと動搖が浮かぶ。]
いや、違うでしょ!?
[思わずツッコミを入れる。 笑みを浮かべた太一に狼狽えたその声は僅かに、裏返ったかもしれないが、取り返しの付かないもので。
少ししてから、その真意を計るようにおずおずと太一を見上げただろう。**]
(18) 2015/02/06(Fri) 02時頃
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[2年になって、受験を意識する頃合いになってわかったこと。 意外なことに、模試の結果が、なかなかに良かった。 競技に打ち込んでいた頃は、授業についていくのにもやっとだったのに。
救われたような気持ちの一方で、どんどん、これまでの自分の人生の価値が下がって行く。 何も知らないくせに、「やめよかったんじゃないの」なんて言わないでくれ。 そんなもののために、わたしはずっと、他の全部を知らなかった。
『最初っから、やんなきゃ良かったのに』とはっきり言葉にしたのは妹で、『15年、お金と時間ムダにしただけじゃん』とも吐き捨てた。 たったそれだけのことで、辛うじて生きていたこれまでの自分が死んだ。 楽しかったとか、充実していたとか、ちっぽけな感想なんかゴミ箱行きで、結局は無駄なものだったのだと、その考えから逃れられない。 あの子みたいにうまくできなかった、わたしがぜんぶ、ゴミにした。]
(19) 2015/02/06(Fri) 02時頃
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[その翌日、登校しようとすると、視界の中で目前の校門が歪んで、どうしてもそれをくぐれなかった。 単純に、くぐりたくなかったのかもしれない。 どんどん良くない方向に向かっているのは頭でわかっていたけれど、身体が戻ってこなかった。
15年間生きて、白紙に戻って、空っぽだった。 なんだか気力が湧いてこない。]
(20) 2015/02/06(Fri) 02時頃
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[学校に行くのをやめた。ひどく無気力だった。 久々に話した兄が、お下がりと称して漫画やパソコンをくれたので、それを使って時間を潰した。
画面の中に、今の自分と然程変わらぬ年の母を見つけた。 古い映像の中で跳ねる母に、それでも妹と同じものを見る。 そんな時間の使い方をしている自分に嫌気がさして、素性も知らぬ相手とのやり取りにのめり込むのはすぐのこと。
面白い話も何もなくても、性別と年齢だけで持て囃される気分は悪くなかった。 「かわいい」って、言われたことがなかった。いつも何かと競っていた。戦っていた。 甘ったるい言葉に乗せられ、煽てられて、顔を晒す。 べとべととした欲望や中傷も、画面越しなら痛くもない。 馬鹿なことをしている自覚はあったが、気づいた時にはもうブレーキは効かなくなっていた。
簡単に崩れ落ちるお城でも、少しは空っぽな自分をごまかせる気がして。 安く自分を切り売りして、ふと冷静になる。 知り合いにバレたらどうしよう。ああ、死んでしまいたい。 無為な1日を終え、夜が訪れるのが怖い。
北仲瑛美が目を覚ましたのは、そんな夜を迎えた直後だった。]
(21) 2015/02/06(Fri) 02時半頃
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[この場所で思うのは、やっぱり空っぽは空っぽのまんまだってこと。 誤魔化したつもりになっても、やっぱり何の意味もなかったのだ。
そして、ここでもきっと、空っぽが埋まることはない。 それは、直感のような何か。
時折、何も困ることはないこの空間なのに、どうしようもなく不安になるのはどうしてだろう。 不安定だな、と頭の片隅、辛うじて冷静な部分が考える。 自分がどうしたいのかも分からないまま、誤魔化すように笑うしかなかった。
ああ、本当に。ここは一体何なのだろう。**]
(22) 2015/02/06(Fri) 03時頃
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[ 見下ろした下駄はそんな覚えもないというのに、 鼻緒の解れ以外は替えたばかりのように真新しかった。
一度、床へ音を立てて。 上げた顔へ飛び込んだのは真っ赤な少年の顔。>>10 少女へ僅かに寄せる体を眺めながら、 ]
初心だねェ。――少年。
[ 敢えて名前ではなく、そう呼んだ。 続く言葉>>10と次の言葉>>18は相反するもので、 男はにやにやと口元を緩めて二人を見遣った。]
――そうかィ。そりゃあ気が利かねェで。
[ 床を軽く下駄の歯で叩いてからからと笑う。 逢引が事実でもそうでなくとも。
心の支えになる存在が居るというのはいいものだ。 それが男の未だ知らぬ歪なものであったとしても。**]
(23) 2015/02/06(Fri) 03時半頃
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えっ。違うの。 俺はそのつもりだったんだけども。
[瑞希のツッコミ>>18に、にやりと顔を歪める。 今まで散々思わせぶりな態度でドギマギ>>0:185>>0:268>>1:166させられてきたのだ。これくらいやり返したっていいではないか。 動揺した瑞希を見遣ると、すっかり険が取れた様子で。五十嵐との微妙なムード>>1:201は霧散していた。 もうこれで大丈夫かな、と瑞希から一歩距離を取る]
ごめん。ちょっとやりすぎた。 ……嫌だった?
[へらりと微笑んでみせた。 初心だね>>23、という五十嵐の言葉には。全てを見透かされてる気がして]
そうですね。慣れないことはするもんじゃないです。
[気恥ずかしげに頷いておいた。こうしておけば変な“邪推”>>1:178も起きないだろう。 だが実のところ、瑞希に身体を寄せる時すげー緊張したのは秘密だ**]
(24) 2015/02/06(Fri) 05時半頃
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