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こわれた、おにんぎょー…?
[言われた言葉を反芻する。
そして想像するのターン]
……。
でろでろのギパギパよりはマシじゃないかしら…。
[想像し終えた頃には、それをいった男は居なかった。
しかし意に介さずに首を振る]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
[辺りを見渡す姿に、口元を覆った。
少しだけ上がった口元が見られない様に。
男の口調はいつも静かなもの。ただこのときは、微かに面白がるように。]
大分。怯えているようですね。
死んでから、なおも怯える必要はあるんです、か?
なんで。どういうこと。聞かれても、あまり面白い答えは返せません。
知りたいから。俺にはあの人が人間に見えていたから。ってところです。
仲間かどうかは……
[考えるように首を捻るが、答えは割と早く見つかった。]
多分、違うでしょ。彼は俺とも戦おうとしてました。
さ。俺は答えたんだから教えてもらえません?
食われるのはどんな、感覚でした?
[一歩下がる相手を見つめる目は微かに潤む]
貴方は、とてもあまそう。
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……お、俺は……そう、だよ。
死んで……でも、だから、……
[死んでから怯える必要はあるのか、と問う言葉。きっと、ないのだろう、と、頭の何処かでは考えられた。が、感情がそれを上回り、押し留めていて。そのせいで言葉はただ混乱したように]
あの骸骨が……人間、に? ……
……冗談、だろ? 人間、だったら……
そういうの、カニバリズムって、言うんだぜ……?
[告げられた内容に目を見開く。震えた声で言ってから、冗談だろ、と繰り返した。死ぬ恐怖。殺される恐怖。喰われる恐怖。人間に喰われたのではないかという、その可能性は、新たな恐怖の現出だった。共食いへの忌避。原始的な恐怖。
また一歩、後ろに下がり]
……い、嫌だ……思い出したく、ない……
[呟くように言葉を発する。実際には、未だに頭の外から追いやれずに、断続的にその追想が続いていたが]
っ、……!!
[黒衣の男の瞳が、何かの感情を宿す。あまそう。その言葉を聞いた瞬間、男は驚愕を表情に浮かべた。そして、叫び声もあげられないままに、その場から走り出した]
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うー……わからない、けど……
[すっかり頭を抱えてしまう
どうして、と聞かれても分かる訳が無い
でも、一つだけ言える事は]
自分が殺されるのはイヤだから、かな。
自分がされてイヤな事はしちゃいけない。
……コリーンさんは、ちがう?
[コリーンの話はどれくらい理解出来ただろうか
少女の「世界」はまだ街の中
学校と、友達と、街の中の一部
まだまだ狭い、「自分の世界」]
やっぱり、わからないよ……
[その「世界」も、自身の死と共に崩壊しているのだけれど**]
そうですね。カニバルでしょう。
俺にはあなたが死ぬとき、人間が人間を食べているように見えました。
路地裏が、甘い匂いでいっぱいでした。
[口元を抑えていた手はもうない。
屋根に手を付き、身を乗り出すような格好で男は口を開く。
拒否する言葉は小さく、力がこもらない様にも聞こえる。
その言葉に男はゆるゆると首を傾げた。
相手は一言も言わずに、走り出す。]
……ああ、振られてしまったようです。
でも、逃げたということは。
思い出したということ、ですか?
[考えるよう、人差し指を口元で立てる。
唇が緩く開きかければ、除くのは尖った歯。
男は立ち上がってゆっくり歩き出す。
到底追いつこうとは考えていない速度で、建物の上から見える背中を追うように]
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……い、嫌だ……
嫌だ……
いやだ……
[走りながら繰り返す言葉は、何に対してだったか。思い出される死に際に対してか、同じ人間に喰われたのだとする話に対してか、あまそうだと口にした黒衣の存在に対してか。
あるいは、その全てだったか]
助けて……助けて、くれ。
誰か……助けて、……
[尽きない悪夢の中にいるような気分だった。誰にも届かないだろう助けを求める言葉を零しながら、男は走る。路地裏から路地裏へと、生前に何度もしたように。壁や建物など、今ならすり抜けられるのだったが、そうはせず。出来ず]
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[屋根から屋根へ伝いながら、長身の男の背中を追いながら
男は声をかける]
怖いんですよね、今も。
もう死んでるはずなのに。
ねえ、助かりたいんですよね。
[届いても届かなくても。
男はそう声をかける。
「助かるかも、しれませんよ」
愉悦の混じった静かな声は路地裏に反響する。]
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[黒衣の声が後ろから聞こえてくる。
怖いんですよね。そうだ、俺は怖い。死んでも、怖い。
助かりたいんですよね。そうだ、俺は助かりたい。助かりたい。
内心で応えながらも、止まろうとはせぬままに走った。
けれど]
……っ、……
[助かるかも、しれませんよ。
そう響いた声を聞いて、足を止めた。
足を止めて、しまった。冷静に考えれば、あの黒衣が助けてくれるわけなどない、と判断しただろうが。強い願望に関わってくる言葉に、反射的に、揺り動かされてしまって]
[長身の男が足を止めたのを屋根の上から見下ろす。高低差を抜きにすれば隣り合う、そんな位置。
けれどすぐに降りていくことはせず、少し考えるよう男は首を捻った。
屋根に触れる手、触り方を変えるように撫でて。「ふむ」と一言。
実体のない存在ゆえか通り抜けられることを確認すると
屋根を、建物を通り抜けるようにして1階へと降りる。]
[この壁の向こう、恐らくあの男がいるのだろうと目を向けた。
もうすでに爪の、粘着質のない右手を開いて閉じて、確かめると。
壁越しの男を目がけて、伸ばす。
攻撃目的でも、なんでもないその手は首を捉えるか、否か。
もう一度繰り返すのは]
「助かるかも、しれませんよ」
[助かるかもしれない。本当に、そんな事があるのだろうか。俺は、助かる事が出来るのだろうか。まとまらない思考で考えながら、揺れる瞳で屋根の上の黒衣を見つめた。
ふっと屋根をすり抜けて視界から消える様には、瞬き]
……
……――!?
[それから間もなくして、突然に、壁から何かが伸びてきた。目を見開く。手だ、と、気が付いた時には、それは男の首を捕らえていた。背筋が震える。揺らぐ指は、その手に触れようとして]
……な、……に、……
[繰り返される声に、暴れ出す衝動が抑制される。
ぽつりと、声が漏れた]
[捕えた首は、もううたない脈の震えでも伝えるかのように
震えている。そう男は思う。
人差し指でその首を真横になぞりながら、壁のこちら側から男は問いかける]
ここ――食われたんでしたっけね。
ああ。
死んだら、生きながら食われた苦しさは無くなったでしょう?
……もう一度死んだら、
[もう片方の手も壁から突き出て、長身の男の首元へ]
もう苦しくはないのかもしれません、ね?
[右手で首を抑えながら、左手は首筋をなぞるよう]
それか、痛い原因をすべて取ってしまえば。
良いんじゃないでしょうか。
食われた指が、後を引くなら。指を。
千切れた皮膚が泣くのなら。皮膚を。
[ね?
静かな、低い声は壁を通り抜けて。ただ根拠のない発想を投げかける。
口調も視線もどこか酩酊に引き込まれたように、蕩けかけて]
……あ、……あ……
[首を指先でなぞられる。男の体は、瞳は、声は、震えて。体を強張らせたまま、もう一本の手が首に触れるのを感じた]
……お、……俺は……
俺は、……もう……
[死にたくなんてない。死んで尚死にたくなんて、ない。そう口にする事は簡単な筈だった。だが、喉が詰まったように、言葉が出てこなかった。本当に、この恐怖から、絶望から、悪夢から、開放されるのだろうか。開放、されるのなら。
そんな、泡沫のような思いが浮かんできて]
俺は……
[首を横に振りも、縦に振りも、相手の手を払いも出来ず。
ひ、と、引き攣った吐息のような音が口から漏れた]
「俺は」……?
貴方は、どうしたいでしょう?
[首を締める手はあくまでも、力を込めずに添えるだけ。
身体の緊張が喉元に全て集まったような、そんな音が聞こえて。
左手はゆっくり上がっていく。
途中戦慄く唇に触れることはあったのだろうか。
途中ピアスに触れることはあったのだろうか。
恐らく目のあたり、そんな曖昧さが支配した世界で男は左手を止めた。
視界を覆ってしまうよう、暗闇に引きずり込むよう。]
もう一度死ぬか、思い出すものを
[首触れたままの右手が肌をなぞる]
取ってしまうか。
どちらが、助かる道だと思いますか。
[その二つしかないのだとでも言うように、繰り返して
選択をしろと迫る。波風たたぬ声のまま]
……、
[左手が体に触れていく。クロスのペンダントの鎖に、顔の輪郭に、揺れる髪に、薄く開かれた乾いたような唇に、ピアスを失った左耳に。ふっと、視界が奪われて]
あ、……
[闇に落ちた世界。かちかちと己の歯が鳴る音が聞こえた。荒い呼吸や鼓動の音が聞こえてくるかのように錯覚した]
……俺、は。……
……何……だよ、……思い出す、もの……って。
なんて、……
わかんねえ、よ……
[弱々しい、半ば涙混じりのようにも聞こえる声を零す。迷子になり、途方にくれた小さい子供かのように]
【人】 楽器職人 モニカ[左手の中で、握り込んだ“モノ”を転がす。 (84) 2011/10/29(Sat) 03時半頃 |
【人】 楽器職人 モニカ (殺せない相手なんて、いるわけない……――!!) (85) 2011/10/29(Sat) 03時半頃 |
あの男に、食べられたところ。
取ってしまえば、食べられた痛みなんて
思い出さないんじゃないですか。
[困惑に塗れた声に返すのは、それまでと同じ静かな音。]
首、噛み切られてましたよね
指、無くなってましたよね
[男はその死体を観察まではしていないから
自然、部位もあやふやで。
けれど左手で視界を覆ったまま、呼吸の必要のない気道を探るよう
右手は緩く首に爪を立てる。]
甘い匂い、させてましたよね。
[けれど声に反するよう、右手はその首を離れる]
……食べられた……とこ、……
[そう繰り返した時には、声の震えは一際増して。首、噛み切られて。指、無くなって。損なった部位を並べていく言葉を聞くと、映像が鮮明に浮かんで、苦痛が半ば反復されて、強く歯を食い縛った。結局下ろされた拳も、握り締められ]
……甘い匂い、なんて……
俺は、……
[なんで、あいつも、こいつも。俺を、おいしそうだなんて、あまそうだなんて、いうんだ。だから、俺は、あんな羽目に。こんな羽目に。どうして、俺は、こうなった、んだ。
切れ切れの恨みめいた思考が渦巻いて]
……本当に、……思い出さなくなるって……
怖くなくなるって、……言うのかよ……
助かるって、……言うのかよ……
[言葉は、独り言のように]
[未だ視界を覆ったまま。壁のこちら側で、男は口端を持ち上げた。ゆる、と口を開きかける。
声だけでも理解できる震えは、喉に触れていたらより知れたことだろう。離した右手を少しだけ後悔した。
尋ねられる言葉に、男は視界も解放させた。すうと壁にのまれて消えていく両手を、長身の男は見たのだろうか。
選択肢だけ与えて、それ以外は知らないと。
少しく開いた口元で男は言う。声音にも少しの笑いが混じるよう]
さあ……?
俺には、保証できません。
ですが。
死んだはずなのにこうして“生きて”
いつ終わるか分からない、苦しい思いをするよりも。
[とん、と壁際から離れる。声はさらに遠く、静かに。]
救われるのでは、ないでしょうか。
……試すときは、教えてくださいね。待ってますから。
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……っ、……あ、……あ……
[視界が開ける。体から手が離れていく。壁に消えていく手が、刹那、見えた。震えの一端のように視線を彷徨わせる。口からは、呻きとも喘ぎともつかない、弱く掠れた声が漏れて]
……お、俺は……
俺は、……俺は……っ、……
[呟く。ぐるぐると捩れ回る思考を、そのままに]
……っぐ、……ぐえ、
っえ……は、……かは……っ、
[不意に、口元を押さえ、前のめりになった。体中に激痛を、胃の奥に甚だしい吐き気を、喉に熱さを感じて。
えずく男の口から、吐瀉物や胃液が零れ落ちる事はない。代わりに、肉片や内臓の欠片のような得体の知れないグロテスクな物体が、赤黒い血のような大量の液体と共に、幾つも吐き出されて]
……が、……はあ、……
ひ、……あぁ、……ひ……っ、……
[吐き出された全ては、床に落ちると間もなく跡形もなく消えていった。男は口元を押さえたまま、よろりと踵を返し]
い……いぃ、……あぁ、……
[呻きながら、蹌踉と何処かへと歩き出した。男の内は黒き思いに、絶望に満ちて。死して尚、気が触れそうだと、思った。もう、触れているのかも、触れかけているのかも、しれないと、思った。死しても開放されない、地獄。
呪いのかけられたお菓子を口にした男の陥る、
それはまさに、*呪いのように*]
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【人】 理髪師 ザック[何かが、光るのが見えた。 (86) 2011/10/29(Sat) 10時頃 |
【人】 理髪師 ザック[右腕は、今度こそ駄目になったようだ。その手から、斧が落ちる。 (87) 2011/10/29(Sat) 10時頃 |
[すうと引いた手が可視範囲に帰ってきて、男は一度緩く握る。
開きながら、再びの屋根の上を目指して歩き出す。今度は通り抜けるのではなく、階段を使って。
途中キッチンを抜けた。誰もいないのに掛かっていた薬缶は暖かかった。途中寝室を抜けた。赤ずきんよろしく、狼の化け物が寝台で寝ていた。途中子供部屋を抜けた。クラウンの布人形が落ちていた。]
子供には、クラウンは人気なんでしょうか。
[止まってしまった足はなかなか歩き出さない。ふ、と手を伸ばすが決して触れることはない。
埃の被った白い肌と赤い口、頬には涙と星のペイント。彩り鮮やかなクラウンは、にっこりと笑っている]
[メイクが為されているような手付きで、男は頬に触れた。赤い笑んだ唇を、全てを隠すペイントを想像した。なぞるように、反対側まで引っ張ってから。
力を抜いた。]
[男は再び歩き出す。階段を登り終えれば、天井を抜けて屋根の上に出た。足音を立てない散歩を開始しながら、ゆっくりふらふらと。]
【人】 理髪師 ザック[突き立てたナイフは黒猫を捉えただろうか。 (88) 2011/10/29(Sat) 12時半頃 |
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【人】 楽器職人 モニカ[振り抜いた右腕に手応えはあったが、 (89) 2011/10/29(Sat) 15時頃 |
【人】 楽器職人 モニカ[だらだらと血が右腕を伝い落ちていく。 (90) 2011/10/29(Sat) 15時半頃 |
【人】 楽器職人 モニカ[頬や額に紙が張り付くのを払う余裕もない。 (91) 2011/10/29(Sat) 15時半頃 |
[歩きながら、爪を心臓付近の皮膚に立てる。だいたいこの辺だろう、突き刺さったのは。
凍えるほどに熱かった一瞬を思い出そうとして、男は眉を寄せた。]
――ああ、やはり分からない。
思い出せるのは、少なくて。
……あんなに怯える気持ちが分からない。
[この手にまだ爪があったなら、皮膚を引き裂き体験出来たろうか。まだ粘着質が溢れ出ていたなら、染み込む毒液から辛さを思い出せたのか。]
ねぇ、貴方は何にそんなに怯えていますか。
[言葉を放りなげた先は、
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