75 サプリカント王国の双子
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― ある青年の話 ―
[語られるのは、一人の青年の、話。
青年には父と母がおらず。 唯一の肉親は年の離れた姉だけであった。 しかしその姉も青年が12の時にこの世を去った。
姉が居れば暖かかった毎日も、ひとりぼっちになったその日からは地獄のようだった。 生きる為に汚い事もしたし、時には悪い事もした。
「生きていればきっといい事があるから。」
姉の言葉だけを胸に、必死に毎日を生きた。 けれどある日ふと、疑問が沸いた。
自分はなんの為に生きているのか、と。]
(11) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[生きていれば良い事がある。 良い事、とは何を以って良い事と言うのだろうか。 愛?富?名声?それとも?
どんなに願っても一番欲しいものは二度と手に入らないのに。
何をこんなに必死に生きていたのだろう。 何の為にこんなに苦しい思いをして生きていたのだろう。 急に全てが馬鹿馬鹿しくなって。 全てが虚しくなった。
一度崩れてしまった足元は簡単には戻らなくて。 招かれるように、空を飛んだ。
僕が死んでも、誰も泣かないだろう。
それが14の時だった。]
(12) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[再び目を開いたのは、ベッドの上だった。 病院、と言う訳ではなく、見た事も無い家の中。
次に目に映ったのは、髭がもじゃもじゃの老人だった。
「生きてるか?」
老人はそう、尋ねた。 川辺で拾ってから、3日も眠っていたのだと老人は言った。]
(13) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[それから会話も無く、沈黙だけが続いて。 暫くすると老人は食事を運んできた。
食事と言っても、運ばれてきたのは質素な器に盛られたかぼちゃのスープ。
はじめは手をつける気になれなかったが、腹の虫に負けてスプーンを取った。 ひとくち、スープを口へと運ぶ。 暖かいスープは、あまくて、やさしくて。 自然とスプーンは次のスープを掬う。
ふたくちめは、染み渡るよう。
みくちめは、美味しいと。 そう、感じた。
堰を切ったように、涙が溢れて。 駆け込むように、スープを平らげた。
老人は何も言わなかった。]
(14) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[一週間程もすれば体力はほぼ戻っていた。 老人は何も聞かず、世話をしてくれた。 何故赤の他人にそこまでするのかと尋ねると、拾ったものの面倒を見るのは当然だと返ってきた。
更に一週間経った頃。 此処を出て行くと言えば鋤を渡され、食った分だけ働くのは当然だと返ってきた。
何故か世話になり始めて半月後。 「そちらの方はどなた?」と近所の人に問われると、老人は「せがれです」と当然のように答えた。 お互いに深くは干渉せず、そんな設定を決めた覚えはなかった。]
(15) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[もっと経って一年後。 得体の知れない奴を一年も養うなんてどうかしていると言うと、同じ事を二度言わすつもりかと返ってきた。 何の事かよくわからなかった。
三年後。 庭の菜園の世話と、老人の仕事の手伝いで少しだけ土いじりに慣れた。 その年の差に首を傾げていた人もいたが、この頃にはもうすっかりファトマさんちの息子が定着していた。 形だけのものだと、誰も気付いていなかった。
それから数日が経ったある日。
老人が、倒れた。]
(16) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[倒れてからはあっという間だった。 身寄りの無かった老人。 青年は恩返しのつもりで、息子として葬儀を執り行った。
静まり返った家の中。 また、ひとりぼっちになった。
思い返せば奇妙な話。 川で拾った子供を何も聞かずに養って。 結局最後まで何も聞かないまま、自分の事も何も語らないまま、老人は逝ってしまった。
一緒に暮らした四年間。 あまりにもあっけない日々。
青年は涙も出なかった。]
(17) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[せめて最後に綺麗にしていこう。 家を出て行く前に、青年は大掃除を始めた。
まずは自分が使っていた部屋を。 生活していた空間を。 そして雑然とした老人の部屋をこつこつと片付けていく。
散らばった本の大方が植物に関するもの。 特に花の交配に関する書物が多かった。
壁で埃を被った額縁には、大層な賞状が飾ってあった。 日に焼けて傷んでいるところを見ると、それなりに古いものだった。 埃を払って書いてある文字を読み、青年は目を丸くした。
そこには、宮廷庭師 ウォーレン=ファトマ と書いてあった。
覚えのあるその名は、亡くなった老人の名だった。]
(18) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[もっとよく読もうと額縁を外すと、かさりと何かが床に落ちた。 落ちたのは、埃が被った額縁とは魔逆の、真新しい封筒。
「息子へ」
宛名は、それだけ。 開けて良いものなのか少し躊躇った後、青年は封を開けた。
中には手紙が三枚と、書類が数枚。]
(19) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[一枚目の手紙には、老人の半生が綴られていた。
若い頃に夢を失った事。 奥さんがとても綺麗だった事。 子宝に恵まれなかった事。 奥さんに先立たれた事。 病にかかった事。
生きる意味を、見失った事。]
(20) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[二枚目の手紙は、青年への感謝が綴られていた。
出会えた事へ。 此処へ留まってくれた事へ。 仕事を手伝ってくれた事へ。 老人の戯言に付き合ってくれた事へ。
夢を見せてくれた、事へ。
読み進める青年の手が、震える。]
(21) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[最後の手紙には、書類の事が綴られていた。
出来る事は、これ位しかないと。 せめてもの礼だと。
重荷になるなら、破り捨てて構わない。 元々この手紙を読まれる事がなければうやむやになる話。 無かった事にして、思うように生きて欲しいと。
「我が息子の行く先に、大きな幸あれ。」
手紙はそう、結ばれていた。]
(22) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[ぽたりと、紙に雨が降る。 眺める書類にも、ぽたぽたと雨は降った。
同封されていた書類は、養子縁組の書類と遺産相続の書類。 老人は、残った全てを青年へと。 青年は、バカだと、笑った。
そして、声をあげて 泣いた。
一緒に暮らした四年間は、あっけなくなんかなかった。 形だけなんかでは、決してなかった。
老人にとってその日々が宝物であったように、青年にとってもそれは掛け替えのないものだった。]
(23) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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[それから二年後。 青年は苦難の末に、宮廷庭師になった。
義務感でも、哀れみでもなく、自らの意思で。
義父の夢を、継ぐ為に。
語られた青年の名は、ベネディクト=ファトマ。
絶望の果てに、宝物を手に入れた青年の―――お話。**]
(24) sunao 2012/01/19(Thu) 02時頃
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ベネットは、(=^ェ^=)
sunao 2012/01/19(Thu) 21時半頃
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― ??? ―
[さあさあと、水滴が舞う。 花達は水を得て、嬉しそうに身を揺らした。
綺麗な花が咲き誇る、庭園。
ベネットはブリキの如雨露で、花に水を遣っていた。]
―――…、…わ。
[急に後方から風が吹いて。 花弁が、舞い上がる。
風が吹く事なんてあるはずのない、この場所。
何事かと、振り返る。]
(30) sunao 2012/01/19(Thu) 23時半頃
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…へ、…?
[そこに在ったのは、見た事のある後姿。 いつから、其処に居たのだろうか。
そも、何故あなたが此処に。]
…―――ハンス、さま?
[存在を確かめるように。 ベネットはおそるおそる、彼の名を呼んだ。]
(31) sunao 2012/01/19(Thu) 23時半頃
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[振り返った姿も、返る声も。 それはやはり、間違いないもの。>>34
あの時見たままの、姉王女の、世話係。]
……僕の事、覚えていてくれたんですね。
[死んだはず、との言葉にベネットは微笑む。]
不思議ですよね…。 僕も、不思議だと思います。
確かに僕は、死んだはずなのに。 こうして、僕は在り続ける。
(35) sunao 2012/01/20(Fri) 00時半頃
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[生前の記憶ははっきりと、残っている。
『――本当に、運の悪い。』>>4:22
最期に聞いた声も未だ、鮮明にそこにあった。
一瞬の事で、叫ぶ暇もなかった。 痛みを感じなかったのが、唯一の救いだったか。
ぶつりと記憶はそこで途切れて。 気がついた時には、花に囲まれていた。
ちりちりと首が焼けるような感覚はあったけれど。 目が覚めてからも痛みを感じることは、無かった。]
(36) sunao 2012/01/20(Fri) 00時半頃
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[ハンスのもうひとつの問いかけには、瞳を瞬かせて。 ベネットは首を横に振った。]
ハンス様は、まだ死んでいませんよ。
[確かに、言い切る。]
…その、赤い血が。 何よりの証拠です。
[示すのは滴り落ちる赤。 ベネットはことりと地面に如雨露を置いた。 そして腰袋から剪定鋏を取り出す。]
(37) sunao 2012/01/20(Fri) 00時半頃
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[取り出した鋏は手に納まるやいなや。 反対の腕をじょきりと、切り裂いた。
舞い散る赤は、雫ではなく、花弁。
溢れるように、ひらひらと舞い落ちる。]
どうやらこの身体、花で出来てるみたいなんです。 ……面白いですよね。
死んだら花になるなんて、思ってもみませんでした。
[花弁を見つめながら、そう告げて。 視線をハンスへ戻せば、今度はベネットが問いかけた。]
それにしても、ハンス様は何故こんな所へ?
[大体の予想がつかない訳ではないけれど。]
(39) sunao 2012/01/20(Fri) 01時頃
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ベネットは、シルヴァーナさまにおやすみなさい。
sunao 2012/01/20(Fri) 02時頃
ベネットは、シメオン様おかえりなさい
sunao 2012/01/20(Fri) 02時頃
ベネットは、ただいなーん
sunao 2012/01/21(Sat) 00時頃
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