197 獣ノ國
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 01時頃
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― 明け方・邸宅 ―
[部屋をひとつスザンナに用意するつもりであったが、 同衾を避ける意味を探しても見つからない。 寝室にて腕を枕にし、共に眠った。
朝食を知らせる下男の声が響けば、 大學へ行く前にシャワーに入るかと耳元で告げ、 スザンナの髪を梳き乍、娘が覚醒するまではそうして過ごし]
「――それと旦那様、ポストに本が入っていました。」
[明け方に新聞を取りに出た下男は、一冊の本を攫った。>>2:396 スザンナが起きても起きなくとも、風呂も含め支度は急かさずに ただ、布団をかけ直しておく。
寝室の障子を開け、差し出されたハードカバーを受け取った。]
(1) 2014/10/07(Tue) 01時半頃
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―――… あいつ… ?
[タイトルもカバーも書店で見覚えのあるものだった。 よもや抜き身の本だけを置いていくなどと。 其れは「別れ」としては長年の付き合いも有り、それ「らしい」が 「別れ」を知らぬ者にとっては、あまりに不自然で。
―――携帯を見るが返信は特に無かった
空気を噛み、PDAで一通電子文を拵え、送信する。]
(2) 2014/10/07(Tue) 01時半頃
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―――――――――――――――――――――――― From:錠 To:ルーカス
本文: おい、お前なんかあったのか。 ――――――――――――――――――――――――
[本の貸し借りの折には、必ずといって良い程に、 「無駄話」を楽しむのだから。 あまりにも不自然な返し物に、違和感は拭いきれず。 朝見ても殺しては為らない神の使いが、 糸を伝い、障子を伝い、ぽとりと木床に落ちる。 そのまま蜘蛛は長い節足を動かし、何処かへ消えてゆく
――――気付いたのが、数時間遅かった**]
(3) 2014/10/07(Tue) 01時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 01時半頃
[走る汽車の窓から外をぼんやりと眺めていれば、景色の向こうに見えたのは見慣れた大きな科学塔。
朝陽を浴びて遠くに見えるそれは、とても、とてもゆっくりと窓の外を走り行く。
――あの國で過ごしたのは、果たしてどのくらいの間だっただろう。故郷と呼ぶには短く、旅と呼ぶには長いその年月。徐々に遠くなるその塔の影を追ってしまうのは、やはりそれだけの年月を其処で過ごしたのだと、言うことなのだろうか。]
………ん、
[そうしてふ、と。震えるポケットに気付き。其れを開いて見たのなら、そこには二通のメールの通知。何方も、差出人はあの歳の近い友人だ。
先に来ていた一通は、昨日の昼の"デート"を揶揄る一言と、"今日"より先の晩酌の誘い。
応える事の叶わぬそれには、小さく、小さく苦笑を漏らす。
最後に付け加えられた一文には、呆れたように肩を竦めはしたけれど。]
……フン。自分の方こそ、十分にお楽しみだったじゃあないか。
[大学で見かけた時に、彼の隣に居た少女を思い浮かべ。"唯の生徒と先生"ならば、この言葉の限りでは無いのだろうけれど。
懐かしむように目を細め、呟いた言葉はあの國に残る友人には、決して届く事は無いだろう。
借りた本は、結局返さぬままに持って来てはしまったけれど。まぁ、あの友人の事だ。もしもこの先会うことがあったのなら――酒の一つと此方の話とで、きっと許しては貰えるだろう。
そうして最後の追伸に、ふ、と――嗚呼、何時だっただろう。まだ自分の歳が二十の前半だった頃、酔った勢いで悪戯に詐欺を装い、彼に電話をかけたりもしただろうか。]
…出来るなら、最後にまた一度お前と酒でも交わしながら…話でもしたかったんだが。
[二通目のメールに目を通しながら、ポツリと漏れたのはそんな一言。このメールを飛ばして来たと言うことは、恐らくはあの本は無事に持ち主の元へと届いたと思っていいのだろう。
此方から本を貸す時、或いは彼方から本を借りる時。返すと言うのを理由にして、数え切れない日々を共に朝まで語り明かしたかの友人。神話の生物の事を主に研究している男と、民俗学から神話や都市伝説まで幅広く精通している友人と。
大学に用事がある時は、その授業風景を時折覗きに行った事もある。そして彼の話す話は、男の興味を酷く惹きつける物だったから。
自分があの國で最も近しいと言える友人は、今頃何をしているのだろう。]
………、あぁ。
[メールへの返信は行わぬまま、携帯端末に登録されている全ての番号からの着信を、拒否に設定する。全てを置いてきた中で、この小さな機械だけは置いて来ることが出来なかったのは――それは果たして、あの國への未練故か。
そうして再び窓の外へと視線を移し。既に見えなくなってしまった科学塔に、知らずのうちに声が漏れる。
向かう先は、長年使っていない別荘へ。きっと埃に塗れて"仲間"の巣も沢山張られているだろう其処を思い浮かべ…男はひとつ、諦めたように息を吐いた。
ガタン、ゴトン。
揺れる汽車に運ばれて、《蜘蛛》は漸く國の外へと。]*
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― 昨晩の話・下男とやり取り ―
――書殿掃除の手が足らない? …ああ、そうか。二人に暇を出してしまったのだったな。
[実家の母親が病気になってしまったと申し出を受け、、 奉公で来ていた兄弟二人に貨幣を包んで返してやったのだ。 学士の書庫は、相当に本の量が多い。 手入れをせねば古いものは虫に食われてしまうし。
買い出しで出かけた下男が風の噂で耳にした 便利屋の話>>0:289を思い出し、顎に扇子を宛行い一考する。]
そうだな、一度電話をしてみてくれ。 二名程臨時で駆り出しができればと。
[便利屋がひとりで仕事をしているとは判らぬまま。 尤も、その人物に手を空かせている者の心当たりがあれば また事情も変わってくるのだろうけれども*]
(32) 2014/10/07(Tue) 08時頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 08時頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 08時頃
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― 早朝・寝室 ―
[メールを送った後、思案していた。
そういえば花屋の配送を頼んでいるのだ。 普段は墓花のみで終わらせてしまうのだが
スザンナは何か入り要がないかと問おうとし、 振り返ろうと畳に落とした足裏を擦れば、 背の辺りを摘む指先>>34に一時目を丸めさせ。]
やぁ、おはよう、スージー。 寝辛くは無かったかな。
(43) 2014/10/07(Tue) 10時半頃
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[きちんと振り返り、前方から腕を伸ばす。 嫌がられなさそうなら、腕の内へ納めようと
ただ一日だけでも彼女を招いた喜びは強く。 ずっと此処に居て欲しいと思う反面で、 先日語られた夢の話を思い過ぎらす。
大事な愛犬を離したくない気持ちと、 留学の後援を預かりたい気持ちは半々。]
スッピンの方が愛らしいんじゃないか。 化粧している時より、柔らかく見える
[そんな話も今日出来たらいい、と考えていた。**]
(47) 2014/10/07(Tue) 11時頃
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― 朝・寝室 ―
うちの洗髪料の匂いが、する。
あぁ、――通学前にシャワー使うなら好きに使っていい
[>>51腕の中に閉じ込めれば、香水とはまた違う薫りがふわりと浮き、鼻腔を擽る。
昨晩風呂に連れて行った事を思い過ぎらせ。 客観で置いてしまえば教え子を我欲に任せ 爛れさせたという事実は拭えまいが、 何故か後ろめたさは背徳感は巡る事なく。]
そうか、俺も久しぶりに熟睡できた。
……君は、余程俺を悪い講師にさせたいと見える。
(69) 2014/10/07(Tue) 12時半頃
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[今までと代わらず先生、と呼ぶ腕の中の存在に 眉を下げ、苦く笑ってから額と頬に唇を寄せ。
それでも訂正を命ずる事なく、 抱きしめた手をゆるり下方へと降ろしてゆけば 寝着の隙間から飛び出した尻尾が暴れており。 犬の部分ごと愛でるべく、揺れる尾を優しく撫で]
なんだなんだ、 俺にはちゃんとした所を見せなくていいのか
貴重な素顔も俺だけにくれるなら、 その方がうんと素敵な話だがね。
[女としてのスザンナだけではなく 獣としてのスージーも求めている。 飾らない彼女をも、総てが欲しかった。
形の良い唇のラインを指でなぞり、 此処にもお早うの接吻を、と小声で囁く**]
(70) 2014/10/07(Tue) 12時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 12時半頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 13時頃
[――ゴトン。
乾いた音と共に、床へと置いたトランクの周りで大きく埃の渦が舞う。
其れが肺に入るのを嫌うように――そもそも服に埃が付くことがそもそも我慢ならない事ではあったのだが――男は大きく眉を顰め、荒れるに任せるその別荘を見回した。
埃の絨毯はそれはそれは高く積み重なり、"仲間"の巣は至る所に張り巡らされている。必要最低限の家具はあるが、それでも暮らして行くには足りない。
――一先ず掃除は後回しにして、先に家具を揃えに行くか、と。この時間なら、無理を言えば夕方には届けて貰えるかもしれない――とそこで、ポケットの中で震えた端末に目を瞬かせる。]
………、待ち遠しいよ。
[家の外へと出ながら開いたメールに、漏れたのはそんな言葉。自分の声音に微かに滲んだ寂しさに苦笑しながらも、見慣れぬアドレスに僅かに目を見張り。
貰った名刺に書かれていたのは、"ジャニス"の名。そこに書かれたアドレスとは別のアドレスと…彼の名前に、男の顔には先とは別の笑みが浮かぶ。]
[そうして、そのまま返信は行わぬままに男はタクシーを拾って乗り込む。行き先を伝え、シートへと身を預けて窓の外を見たのなら、そこに広がるのは見慣れぬ景色。
最後にあの國で見た車からの景色は、あの図書館からの景色だっただろうか。]
……――――。
[そっと動かした唇が紡いだ名は、静かな車内に響く事は終ぞ無く。ぼんやりと外を見つめながら、夜が明けるまでのあの時へと、ゆるりと意識を向ける。
ポツリポツリと、幾つの話をしただろう。此方の話に相槌を打つ彼の姿を浮かべたのなら、その指先にはあの柔らかな髪の感触すらも蘇った気がして。それを掻き消すように――逃さぬように、男は強く、拳を握った。]
……泣いていたな。
[去り際に彼が初めて見せた、その涙。此方の言葉を拾った運転手には"何でも無い"、と手で制しておきながら、また意識はあの夜の時間へ。
演技に自信を持つ彼が、あの時だけは笑顔すらも演じられなかった事。その事に胸に痛みと…ほんの、ほんの僅かな充足感を覚えたのは、男にしか知り得ないだろう。]
[彼の口からは、ついには"行くな"という一言は出はしなかった。男を困らせるような言葉は、一つたりとも出なかった。嗚呼、本当に――聡い子だ。もしも次に相見えたのなら、思い切り、我儘を言わせてやりたいものだ――あの時伝えられなかった言葉を、捧げながら。
そうしてふ、と手にした携帯端末に視線を落とす。
電話は拒否に設定したけれど、メールはそのままこの端末へと届く。そんな事を――相手からの一方通行だけを許すなんて、それは酷く未練がましい行為だとは…自覚はしているとも。
――嗚呼、だけれど。彼からのそのメールは慰みになどなりはしない。
更に募る恋しさに焦がれながらも、しかし今後ももしかしたら届くかもしれないそれを拒否する事なんて…どうしても、出来はしなかった。]*
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 16時頃
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― →朝・居間へ ―
無理に呼ばなくても良いけどなァ 癖付いて大学で名前で呼ばれたらアレだし。
…へぇ、尻尾も感じるのか。 電車とかバスとか、痴漢に気を付けないと
[>>85無理には呼ばなくて良いと告げる傍ら、 尻尾が柔らかい毛並みを奮い指から遠ざかれば 外に危険が多くなるのでは、と一抹の不安が過ぎり]
や、冗談。 流石に寝る時まで化粧されてたら落ち着かんし。 顔も態度も、此処に居る時は飾ら無くていいから
[真面目な様子で主張を受ければ軽く吹き出す。 繕っていない部分も見られたいという願いは、 そのまま自身の願望へ直結しているのだから 断る道理も拒む道理もある筈が無く。]
(102) 2014/10/07(Tue) 18時頃
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つっても普段からパンツ一丁うろつかれッと困るが
[目のやり場に、と付け加え。朝食の用意された居間へ誘う]
いただきまーす
[一汁三菜の用意に、生卵と焼き糊が足された繕。 うち一つの前で腰を落とし、胡座をかく。]
ン?あァ、来たい時に勝手に上がり込めば良い。 下働きの連中にはそう言っておくから、さ 日が暮れる前に合流できれば、それで。
[>>86生卵に醤油をかけて箸でときながら、 白米の上へぶっかけて、適当に掻き込み。 焼き鮭の身を解しつつ、残したいものは残せと合間に告げ。]
花と言えば、飾っといて欲しいモンある? もう少ししたらトレイルが配送に来てくれるけど
(103) 2014/10/07(Tue) 18時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 18時半頃
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あぁ、それなら良いがね。 若い時痴女に遇ったことはあるぞ。可愛く無かったけど
ぅわッエゲツねェー。 それ男が一番地味に傷つく攻撃だわ
[>>109黄色い悲鳴の代わりに小馬鹿にされるとあっては、 露出狂も出した甲斐が無いというものだ。 からからと笑って、解した鮭を口蓋へ放ってから、 茄子と玉ねぎの汁物で風味を整え、はたと気付いた。]
(110) 2014/10/07(Tue) 19時半頃
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……ッあー、コレ玉ねぎ入ってるんだけど。 口付けたらまずいんじゃないか?
[犬は葱系を与えてはいけないという話を思い出し、 大丈夫なのだろうかと心配そうな視線を送る。]
小さな向日葵、かぁ。 確かに置いてるか分かんないよな。一応聞いてみるよ。 …そういえば、日中パソコンで仕事してたンだが 君の名前の語源を調べてみたら、 百合とか薔薇の意味があるらしいね。
成程、花が似合うはずだ。
[目を細めて笑い、彼女の願いを聞き入れると 飯時に少々行儀も悪いが、メールを打つ。]
(111) 2014/10/07(Tue) 19時半頃
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―――――――――――――――――――――――― From:錠 To:トレイル>>61
本文: おぉ、ずっこけて無残な姿にもならずに済んだ。 ついでに可愛い少年を送り狼したぞ。 嘘ですウソウソ。 とにかく助かった。
ちょっと届けて貰うもん増やしていい? 小さな向日葵って今の時期、店にあるもんなん? 急だし、駄目なら駄目でしゃーない。
んでは、家で待ってるぞ。 ――――――――――――――――――――――――
(112) 2014/10/07(Tue) 19時半頃
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「――旦那様、「便利屋」と連絡がつきました。 本日来られるそうです。」
[茶の代わりを注ぎに来た下男より一報>>78を受ける。 一人で来るという話に首を傾げさせて]
え?便利屋って派遣みたいな何かじゃねーの? まァいいか、着いたら通せ。 ジャンル分けと本の手入れもあるし、 一人でやってたら数日は掛かりそうだがなァ
[訪れるなら一度書殿の状態を見せてみて、 しんどそうなら増員の張り紙でも出さねばなるまいと思いつつ。]
君は埃とか厭だろう? 一ヶ月放置してただけで酷い有様だよ
[苦笑を浮かべ、スザンナを見遣り。 「灰かぶり」には喩えようも無い様相の彼女に 本の手入れを頼むのは流石に酷だと。 何より繊細な指を、本で切ってしまっては頂けないと。]
(113) 2014/10/07(Tue) 19時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 19時半頃
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[掲示板に書き込んで思うことはひとつ。 奇妙な本の返却をした友人のこと。 メールを確認するが、依然として返事は来ず。 豆か豆でないかと謂えば、返信は豆だったような。
自分以上に彼の方が獣人と接触している可能性は高く思えた。 半獣だとばれたら、半獣を匿っていると知られたら、 何処かへ連れていかれてしまうのではないか 国府に監禁されるだとか、追放を受けるだとか リアルに考えるならそんな辺りが脳を掠めるけれど。
それとも、「ありえない」扉を開けてしまったことで 「ありえない」次元に呑まれてしまった、だとか。 神社で過ごしたあの日のこと。 鳥の羽音と木々の騒きに紛れ、狐の鳴き声を聞いた気がする、
――ああ、こうして半獣と生を共にしてしまえば。 傍に寄り添って、愛おしいと思ってしまえば。
獣に連れていかれるなら、悪くないかも知れない。]
(118) 2014/10/07(Tue) 20時半頃
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ダメージでかいと思うぞ。 男には胸のカップみたいなもん無いのが救いだよなぁ。
ホントに?結構肝っ玉据わってる感じがするし。 [>>132自身を痴女に喩えているなどと露程にも思わず。 銭湯で「あぁ…」なソレを目にすることはまああれど、 膨張時を比べない限りは判断もつかない。 経験豊富な目に聞いてみようかと一瞬思ったが、 トンデモな感想が返ってきそうなのと、 再び変態と罵られかねないのでやめておこう。]
って言うよな。飼ったことないから解らんが実際どうなんだ? ――あっ、待て待て、そんな一気に…
[給仕に吸い物でも作らせるかと考えていた所で、 玉葱を食べていく口を見詰め、驚嘆の声をあげる。 これから学校なのに体調を崩したら…というよりも 具合を悪くさせたくないという一心で。]
(140) 2014/10/07(Tue) 22時半頃
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薔薇が似合うとなると、高級感溢れる美人ってことかな。 なぁに言ってんだか。 今のままで充分、君は若くて綺麗だよ。
あぁ、でも。歳を重ねて大人っぽくなった君も見てみたい。 …半獣は時間をどう経ていくんだろうな。
[>>134同じように同じ速度で歳を重ねるのだろうか。 今見ている限りでは耳と尻尾がある以上の変化は見られないけど しかし、美男という形容には首を傾げさせ。]
美丈夫ってのはそれこそトレイル君や ルーカスみたいなヤツに飾る言葉だと思うがねぇ
あ、そういえば紹介し損ねたな、あいつのこと。 カフェテラスで若いお姉ちゃんと一緒に居たヤツな
[彼女の目を通すと自身がどう見えているかよりも 彼女が自分を好いてくれているかどうかがずっと重要で。 リップサービスの一環程度に聞き流してしまう。]
(141) 2014/10/07(Tue) 22時半頃
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[それこそこの男を照れさせるなら、表で抱きつくような 暴挙に出るより他に無さそうなもの。]
んぁ、そうかぁ? いや中紙の硬いやつもあるから、指や爪が傷んではと。
[箸を握る細く白い指を目で追いながら、小松菜のお浸しを咀嚼し しかし、ポルノ雑誌を探したいと言い出す無邪気さには、 ちょっと突っ抱えて、軽く咳き込んだ。]
……そんなん興味ある? スッチーさんとか好きだぞ、わりと。
[冗談とも本気ともつかない呟きを落としてから。 ごちそうさまと此方も手を合わせた。
下男が来客を応対する声が聞こえる。 50分とあったメールの記載よりはやや早いが、 恐らくはトレイルが到着したのだろうと。>>139]
(144) 2014/10/07(Tue) 22時半頃
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喜べ、向日葵あったらしいぞ。 今見たいか?
[スザンナに笑いかけ、腰を上げる。
わたわたと動揺する様子>>142を端目に置き、 取り敢えず耳は隠せと告げて。
まあトレイルなら見られても大丈夫ではと思う反面、 向日葵を所望した時点で、自身が望むような花ではないと 何かを察せられていそうなものだから。
特に助言は与えずに廊下を歩き、玄関まで足を運ぶ。]
いやぁ、荷物を増やしちまって悪いねぇ。 今、茶と菓子を用意させてるから、どうぞ。 最近はどうよ? 繁盛してる?
[上がるように促すのと同時に、縁側のある居間へ案内する。 膳は下げられていたが、愛犬の姿はそこにあったか。]
(145) 2014/10/07(Tue) 22時半頃
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錠は、ジャニスの姿を最後に見たのは大通りだったはず*
2014/10/07(Tue) 22時半頃
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― →居間 ―
[廊下を進んだ所で、手荷物のやり場を考え。
白い大きな華を基調とした墓花は、いつもの通りに 池の直ぐ脇にあるスタンドへ供えるように下働きに言いつけ。
贈り物だと意図を汲まれたらしき向日葵のブーケは 両手で受け取り、面白そうに目を細め。]
小振りだがちゃんと向日葵だ。 秋を忘れるね。
[大輪とは言い難いが、慎ましい大きさがいっそ愛らしく思え。 綺麗な黄色に、自然と表情も綻んだ。 居間と廊下を隔てた襖を開くがそこには彼女の姿は無く。]
(153) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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これは花瓶に活けて貰うとするかな。
[片腕でブーケを抱きながら、下男が茶と饅頭を揃え顔を出せば 下がるのと同時にブーケを預けてしまう。]
一番花が売れやすい時節は三月と四月だっけか。 いまは少し落ち着いてる位なのかな。
へぇ、新規客は大事にしねぇと。 新しい風は福も一緒に運んでくれるというからね。
俺はまぁ、ぼちぼちだなぁ。 本の印税はそれなりに入って来るし…。 センター試験が近づいて来ても、俺の学部は関係ないしねェ
[朝食のデザートに残したむかれた柿の皿に気づき、 饅頭は後にしてこちらを先に食おうと。 テーブルの上に用意された灰皿は、真ん中に置き。]
(154) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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[さて、スザンナは何処へ行ったのか。 家人に視線で問うも、首を横に振るだけで。
ふと目についた物置の襖>>152に視線を向け。]
(頭隠して尻隠さずとは、このことだな。)
[取り敢えずは何も居ないふりをしておこうと思うも、 トレイルが気付くようなら、隠しだてるつもりは無く。
適度な大きさに切られた橙の実に爪楊枝を立てて、 口にいれては、笑いを咬み殺す。]
(156) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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―街中の喫茶店―
[あれから、開店直後の家具屋へと向かい。必要な家具を取り揃え終えたのは丁度ブランチの時間くらいだった。
大口の買い物を多くしたからか、店の店主が男の無理を快く聞いてくれたのは嬉しい誤算だ。頼んだ家具は、夕方には届けてくれるらしい。
それまでにせめて、あの埃まみれの家の掃除を終えておかねばならぬのだけれど――取り敢えずは珈琲が飲みたい、と。
しかしヤカンもミルも全て置いてきてしまったので、ひとまずは近くにあった喫茶店に入ってみたのだけれど。]
…珈琲を。豆は…
[カウンターに座り、注文を済ませ。豆の種類は、取り敢えずは目に付いたものを。
時間が時間だからか、人のあまり居ない店内に、レコードの音が静かに響くのが心地良い。煉瓦造りの壁の前で、コポリコポリと丸いフラスコの中で湯が湧く様をぼんやりと眺め、このひと時を堪能する。
火から降ろされたフラスコに、ミルで挽かれた豆が入ったロートが差し込まれれば。湧いた湯が、その筒を伝って上へ上へと昇って行く様は、何度みても面白い。
ゆうるり、ゆうるりと竹べらで回されていく豆と湯と共に香る豆の香りに目を細めていたのなら、ひとつ、ポケットが震えた。]
[取り出した携帯端末に表示されていたのは、先程手に入れたばかりのアドレスと"彼"の名前。思わず口元が緩んだのは、男の意識の外だったけれど。
――だけれど、その文面を見たのなら。柔らかく細められた男の目は、怪訝そうに見開かれる事となっただろう。]
――……殴られた?
["兄に殴られた"、と。その一文を見るなり、男の眉は至極不満げに寄せられる。
しかしすぐにそれの――殴られた理由を理解したのなら。嘆息と共に、こめかみを指で押さえはしただろうか。]
……"責任"、か。
そんな物は…幾らでも取ってはやるさ。
…帰りに氷を買っていくか。
[彼が、家を出ると言うのなら。それはきっと、渡したあの紙に書かれた場所へと――自分の居るこの場所へと、向かう為だろうから。
彼が自分を追い掛けてくれるのだと言うそのメールの文を、何度も、何度も目で追い。焦がれる想いを誤魔化すように、運ばれて来た淹れたちの珈琲を、一口口に含む。]
………、美味いな。
[はた、と。手にした珈琲を、もう一口。
珈琲を出す店は星の数ほどあれど、美味い珈琲を出す店は少ない。男の目に敵う珈琲を淹れてくれた店主を見たのなら、白髪の奥の瞳を小さく細め、柔和に笑っていただろうか。
嗚呼、遠く離れたあの國で、彼もまた今この時に…自分と同じく、珈琲を味わっていると知れたのだ。身を焦がす想いは強くはなれど、その小さな繋がりを感じたのなら、じわりと胸に熱さも広がろうと言うもの。
返事を打ちかけた手を無理矢理に止め、開いた返信画面はそのまま保存もせぬままに閉じ。本当であれば…彼のその声が、聞きたくて仕方が無いのだけれど。
――だけれどどうやら、彼は珈琲が苦手なようだけれど。最後に加えられた一文を眺めながら、またいつか会えた時は…彼にこの珈琲を、味わわせてやりたいと。
最初は、甘い物と共に飲むのが良いかもしれない。嗚呼しかし彼は甘い物は好むだろうか?
チョコレートケーキが好物だなど、男は未だ、知り得ない。
そうしてその時には、自分とあまり仲の良く無い堅物の兄の話でもしようか…そして彼の兄の話も、聞いてみようか。
――なんて。そんな事を、思いはしただろうか。]*
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 00時頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 00時頃
[そうして、淹れられた珈琲が無くなった頃。机の上に置いたままの携帯端末が震える音が、レコードの音へとジワリと混じる。
端末の画面を覗いたのなら、見慣れぬアドレスがひとつ。メールを開いてみればそこには、一昨日始めて話したあの小さな郵便屋の名前と…一通の文。]
…成る程、参ったな…手紙を入れておくべきだったか。
あぁ、すまない。同じ珈琲をもう一杯頂けるかな。
[書かれた文章には、困ったように肩を揺らし、浮かしかけた腰を戻して追加の珈琲を頼みながら。
何処か律儀な所がある彼女らしいと言えば、彼女らしいとも思うけれど。
このメールが来たと言う事は、あの家の時が止まった事は、知れてしまったのかもしれない。
自分が可愛がっていたあのサボテンとそのお友達も、彼女の手には渡ったのだろう。]
…届け物なら、もう届いているんだが…どうしようか。
[昇る湯を見ながらポツリとそんな一言を。困ったように呟かれたその声は、何故だか何処か楽しげなもので。
サボテンも、その友達も――そしてあの時計も。確かに彼女の言う通り、大切なものだが、それはどれも他でも無い彼女へと宛てたものだったのだけれど。]
[――そう、彼女は郵便屋。
宛名が無い荷物は、きっと届ける事は出来ないだろう。
そして宛名を書かなかったのは、自分の失態に他ならない。]
…君には。
礼を欠いてばかりだな…クラリス。
[彼女がくれた花の贈り物が、あの時の止まった時計へと贈られた事など、遠く離れた地に居る男には知る由もなく。
幾日経っても届く事の無いその花を見て、彼女が何を想うのか――それすらも知り得ないのは、それは酷く残酷な事かもしれないけれど。
初めて言葉を交わしたのは、あの最初の休みの日。向けられた反応が愉快で、ついからかってしまったあの日。
二度目は同じく玄関で。まさか菓子折りを持って詫びに来るとも思わずに、借りを作ったままにしてしまった。
――そうして最後に、宛名の無い贈り物。
結局、あの"優しい郵便屋"への礼は、最後まで…出来なかったのかもしれない。
…だけれど、きっと彼女は自分を見つける事は出来ないだろうから。
その間、あの時計はずっと彼女の手の中で時を刻むのだと思えば――それもそれで、悪くは無かった。]*
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そうか、行きおくれみたいなもんだな。 買い手になれて良かったよ。
そうか、ならば浮いた分で君は本でも買うといい。 賄賂のことはミナカタさんにはシークレットでね
[>>171此処からは伺えない台所では、 恐らく花瓶に水を満たされ、 飾り花として支度がされている事だろう。
人差し指を立て、秘密だと緩く笑う。 花屋のバイト代が高くない事は知っている。 はした金でも何かの足しに為ればそれでいい]
(175) 2014/10/08(Wed) 00時半頃
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それに退社や移動の時期でもあるからなぁ。 サラリーマンも学生もご苦労様だな、ほんと。 勿論君も、よく働いてる。
あの花屋で働き出してから、 何年目になるんだっけ。
そう言ってくれて嬉しいな。 トレイルみたいな好青年が教え子なら 答案用紙と解答用紙をうっかり間違えても良いんだがなぁ
まー、テストってのは頭に入ってるかどうかを 確かめる為にやるものだから、な。 あんまり重要視していないんだけどね
[掲示板に書かれた、好きでやっている仕事、 という記述を思い出し、腔内へ納めたものを飲み込む。 適当につけたHNをふと過ぎらせたが いまは男の胃袋の中だ。]
(176) 2014/10/08(Wed) 00時半頃
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[興味があれば覺えは良いだろうし、 そうでなければ抜けていく分野だ。 社会で飯を食うのにさして役に立たないものだから 試験よりも必須提出のレポートが面白い生徒に色をつける。
伺い立て>>172には是を返し、煙管を取ろうと一瞬考えたが、 トレイルの出した煙草の箱から一本を貰うことにし。]
あぁ、外で吸う時はコレだな。 他も試してみたが、これじゃねーな感が強くて。 刻み煙草と紙巻は大分別物感あるからね。 教えて貰って得をしたよ。 そうなんだよなァ、スタンド灰皿は街からどんどん消えてくし、 飲食店はこぞって禁煙ブームに巻き込まれてくし。
(180) 2014/10/08(Wed) 00時半頃
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喫煙者が離れていくのは、増税が一番でかいんだろうけど。 俺は千円になっても吸うだろうな〜…
肺をやられて死ぬのが早いか、 肝臓で死ぬのが早いかってとこか
[からりと笑いフィルターを銜え込み。 ライターを向ける指を手で制し、顔を寄せて火種を貰う。
ニ指の合間に煙草を挟み込んで、紫煙を口腔から身体の奥へ招き。 唇から離して、紫煙を燻らせれば独特のフレーバー。]
15から吸ってるんで、もう止めらんないだろうな。 習慣は恐ろしいね。
(181) 2014/10/08(Wed) 00時半頃
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[喩え肺や肝臓を病まなかったとしても、 スザンナより長生きする事は無い気がする。 己が老いて死んだ後、彼女がどう過ごすかが気掛かりだった。 孤独に胸を痛め、寂しくいつまでも想われるよりも 若くて良い男と始まればいいのだと。 顔を歪めて目を腫らし泣いている顔よりも、 向日葵のように笑っている方が好きだから。
隠り世で彼女の行く末を見守るにも 倖せに包まれていてくれる方が、ずっと安心できそうで。
泣き顔も笑う顔も見せない処>>174へと赴く 決意を固めている事など、知る由もなく。]
(183) 2014/10/08(Wed) 00時半頃
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五年か、君の顔にも見慣れて来る筈だ。 来たばかりの頃は、もっと髪が赤かったがね。
[>>186荒んでいた時期を本人の口から聞く機会は無かったが、 時間の経過と共に、彼は接客に熟れて来た気もする。 店主の明かした彼の素性も、ほんの少しだけ小耳に挟んだが 無駄に吹聴はせず、いまに至る。 過去が後悔に染まったものであろうとなかろうと、 今は色取り取りの風物と共に生きているのだから
寝物語と己の語る小咄への解釈が 青年に何かを結びつけているのかは解らないが、 話に耳を傾けている時のトレイルは穏やかに見えた。]
人間の縁とは奇妙なものだね。 同じ釜の飯や一杯のかけそばを食えば腹も頒かつというが、 同じ銘柄を吸えば、信を預けて良いと思えるなんて。
(189) 2014/10/08(Wed) 01時半頃
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[男が吹聴を好まないのと同じように、 青年もまた無駄に痛みを広げないのでは そう感じる処が或る。
喩え接客に慣れて来たとしても、 厳しくも甘い店主の下で働いて来たからこそ、 今の彼は好青年として「生きて」いるのだろう、と。]
あぁ、或るな。 身近なところに棲んでいるものらしいぞ。
[掲示板にもそんな句が綴られていた気もするけれど。 青年の視線がある一点を捉えていることに、 もはや取り繕う事はせず、出ておいで、と軽く声をかけて。]
(190) 2014/10/08(Wed) 01時半頃
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うん、つい昨日からな。 此れもシークレットにしてくれよ?
[>>188人差し指を立てて唇の前に押し当てる。 ゆらゆらと紫煙が灰皿から上り、視界を濁らせ歪めた。
よくは解らないと告げられた手前、 青年のヘーゼル色の瞳を横目で見遣り]
ところで、――
(191) 2014/10/08(Wed) 01時半頃
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君はこれまでに、半獣を見たことがあるかい。
[与太話の途中で色合いを変えるのは、 早朝の肌寒さも消え失せ、雨を忘れた陽光が包む時刻。]
先程メールに書いた送り狼にも由来があるんだよ。
これは人に憑いて回る獣とも護り神とも呼べる存在で、 獣の通るテリトリー区域を歩む者を護衛するのだと。 他の狼が獲物と解して飛びつかないように 自分の匂いを寄せているのだとか。
ただし、転んだり振り返ると食い殺されてしまう。
[一般的な送り狼にも共通しそうな最後の句を告げて、笑い。]
君からも獣の匂いがするのだけど、 君の耳は普通の耳だな。
[半分カマをかけて告げ、転ばぬようにと助言する。**]
(192) 2014/10/08(Wed) 01時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 01時半頃
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[物置に続く襖戸をを自ら開けないのなら、 この手を伸ばし、横に引いて促そう。
こんな狭い場所に閉じこもっていれば 身体も痛くなってしまったのではないか。
トレイルが声をかけるのを小耳に挟む。>>197 そうしている間に花瓶に飾られた向日葵が 下男の手により運ばれて来た。]
うん、そう見えているよ。
動物に纏わる小咄を、楽しそうに聞いている君が 獣人に害を与えるようなことをしないというのも。
[スザンナが気にしていただろう事は恐らく其処だろう。 彼女が獣人だった、なんて言い回しで吹聴する事は まず無いと踏んだ上で構えていなければ 流石に居間へ通さずに客間にでも茶を運ばせている。]
(211) 2014/10/08(Wed) 09時半頃
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既に半獣と会っているのだね。 君の人生を彩る御伽噺に出会えるように、 祈っておくとしよう。 ――ああしかし、書き込む時は慌てないようにな。
[“匿さん”と呼ばれたのが恐らくは彼ではないかと、 今まで交わしたメールの文章の癖と 書き込みの記述を照らし合わせ、想像を至らせ。
くつりと笑い、一吸いしてから灰皿に紙巻を押し付けた。
腰を上げる青年に合わせ、割った着流しの裾を正し、 居間を出て、廊下を共に向かう。>>199]
長いこと道草を食わせて悪かったね。 是非そうしてくれ。 茶飲み友達が骨になってしまうのは、なんとも侘しいものだから
[告げられた冷やかしには苦笑を浮かべ、 お勤めご苦労、と短い勞いと共に青年を見送った。*]
(212) 2014/10/08(Wed) 09時半頃
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― 昼・自宅 ―
[午後一の講義の時間を考えれば、そろそろ支度せねばなるまい スザンナも支度をしていたか 午前中のうちに送り出すつもりではあったが、 結局はこの時間まで滞在させてしまった。]
ネクタイの締め方解る?
[下女に遣らせている事だが、なんとなしに尋ね。 解らないなら軽くだけ指南するつもりではあるのだけれど。]
「パパ」と縁を切ってくれと言ったら、 君は嫌がるかな。
[傍らでぼそりと呟く。 知らないところで、否知るところで遇ったとしてもだ。 他人の指が彼女の身に触れる事を嫌がった。 執着心の欠片は、スザンナにも垣間見る事も叶ったか。]
(214) 2014/10/08(Wed) 09時半頃
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― 自宅・書殿 ―
[支度を整えたところで、便利屋の来訪を聞く。>>196 訪れたのは朝であったと記憶していたが
着替えた後に取った昼食の合間にか。 足を運び、書斎の入口から中を覗くと知った顔に目を丸め。]
やぁ、「便利屋」とは、君のことだったのか
中々すごい量だろ? 半日、一日で終わる数では無いので、昼過ぎまでで構わないよ
また手の空いた頃合に続きをこなしてくれると助かる。
[書殿にある本の種類は様々だ。 語学の書から風土史を初めとした歴史に纏わる文献、 美術関係や神話関係のもの、ひいては外国語の本まで。 目算で数えても、千はゆうに超えている。]
(216) 2014/10/08(Wed) 09時半頃
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時に、手伝いを買ってくれる子に心当たりはあるかな。
一日、一時間程度でも時間を預けてくれるなら それなりの賃金は出すが。
[要領が良いか悪いかにも依るが、 一人より二人で手がけた方が作業も早くて済む。
本の扱いに長けた家人もアドバイスをくれるし、 これからも本に携わる仕事を行うのであれば 何らかの経験の足しには為りそうなもの。*]
(217) 2014/10/08(Wed) 09時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 10時頃
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― 昼 ―
[先程、蚊の鳴くような声音で紡がれた言を思い出す>>232 そんなことを不安視して隠れてたのかと解し、 思わず笑ってしまったのだけれど。
聡い花屋の店員のこと。 吹聴しても得意客が減るだけなのだと分かっていそうなもの。 誰に彼に明かすつもりは毛頭無かった。 どちらかと謂えば愛犬が今までのようにのびのびと 過ごして欲しいという気持ちがあった。
理解ある者が知覚している分には、 憲兵に追い立てられる事が万が一あったとしても 匿うまでの好を与えてくれるかは解らないが、 彼はきっと、スザンナに逃げ道を設けてくれるのではと考えて]
(236) 2014/10/08(Wed) 12時半頃
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[>>233ネクタイを絞められている間、自信の乏しさを聞き 不格好なら急いで出たと言い訳するからと微笑んだ。 慣れた手つきの侍女の其れとは異なるが、 グレーのタイが結ばれてゆけば、小さく安堵の息をつき
問いかけに返ってきたのは切なく歪んだ様相と、 襟ぐりを寛げられて送り込まれた外気、 微かな涼しさを削ぐような薄皮への口付け。 吸われる皮膚に鬱血の華を咲いた頃合、微かに眉根を寄せ]
切っても切らなくとも、…俺の唯一は君だけだよ。 だから、どうしても他の男が恋しいというのなら 俺に君を留める手など無いのがね、
[心までは金で買う事は出来ないから、彼女の心に箍を付けられない 喩え首輪をつけたとしても、彼女の心は彼女だけのもの。 だから、その誓いが何より胸に充足の暖かさを与えてくれる]
――そうか、其れなら君と共に居ない時も安心できる。 ……、あのなぁ、
(240) 2014/10/08(Wed) 13時頃
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どうかしていると、…自分でも想うよ。
君の心が変わらぬうちに、首輪に鎖を設けたいと 一瞬考えてしまった。
[それでは本当に犬ではないか、否、それ以下か。 彼女の尊厳を奪い、我欲に満ちたいと黎い考えが 浮かんだ事を明るみに出したのは、後ろめたさから来たもの
窓から注ぎ込む日光で、輝いて見える金髪に指を差し入れ 首輪をつけるかと問われるまま、チョーカーを受け取り、]
毎朝俺がこれを付けてやれたら素敵だと想うのだけどね。
[細い首周りに革のアクセサリーを巻いて、 金具で留めるその前に、唇を同じように寄せた。 甘い薫りに導かれるように、首筋を舌でなぞり 柔い皮膚の上から、強い接吻を。 そうして漸く、擦れる音と共に金具をぱちりと留め]
(241) 2014/10/08(Wed) 13時頃
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困ったな。 学校に行くのが億劫になる、やれやれだ。
[そうもいかないと頭の中では判っているから。 離れなければならないと思考は急かすのだけれども
街に出れば手を繋いで歩く事も阻まれてしまう 立場違いの関係に、早く卒業してくれれば良いと どうにも為らない願いを一度だけ浮かせて]
スージー、
[頬を撫ぜ、形良くつんと尖った顎を指で引き寄せる。 出かけの口付けにしては触れるだけで留まらず、 唾液を含んだ舌は、彼女の唇の合間を軽くつつき]
(242) 2014/10/08(Wed) 13時頃
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― 少し前のこと・書殿にて ―
そうか、九条氏が亡き後はそれで生計を。
俺は便利屋って派遣か何かだと思ってたんだよ。 まさか君一人でやってるのか?
[>>243便利屋が動いているらしいという噂と、 番号が触れ回っていることしか仔細は解らない。 既に従僕から細かい部分は知らされているだろうから 手入れの遣り方や、何を何処の棚に移すかは告げず。]
別に、今日に限った手伝いではないのだがね。 見ての通り量も多いし。
そうか、其れは残念だな。 君くらいの年頃なら、友人の一人でも居そうなものだが。
(246) 2014/10/08(Wed) 14時頃
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[どうしても静かな作業になってしまうことも考えれば 互いに指示を出し合い、合間に暇を潰せるほうが 作業効率も上がるように思えたのだけれども。
心当たりを連れて来てくれる方が探す手間も省けるが、 居ないというのならそれ以上伺うことはせずに。]
じゃあ、大學で声でもかけてみるとするかなぁ。 小遣い稼ぎには悪く無さそうだからね。
[実のところ、獣人であるスザンナに屋敷で寛がせる為に 事情を隠せると信を預けられない他人の足を 多く運ばせることは本意で無かったのだが、 それはそれで致し方無い。
扇子で首元を仰ぎ、ネクタイを揺らしながら。 仕事ぶりを暫く伺いながら、窓を開ける。 本ばかりのこの部屋は、やや蒸すのと換気の意味合いで]
(247) 2014/10/08(Wed) 14時頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 14時半頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 14時半頃
―自宅―
[郊外にある自宅に戻り、まず行った事。それはスーツの上着を脱ぎ、袖を捲り上げる事だった。
箒に雑巾にモップに。一通り買い揃えて来た掃除器具を手に持ち、気が遠くなる惨状から目を逸らさずに掃除を始める。
人を雇う、という選択肢は最初から男の中には無い。自宅に人を入れる事を、男はあまり好んで居なかった。
うず高く積まれた埃を払い、床を磨き。日が傾く頃には漸く、全ての部屋を掃除し終えただろうか。
そうして運ばれて来た家具を受け取り終えた時には、もう日はほとんど暮れかけてしまっていたけれど。]
………、歳かな。
[シャワーを浴び、身体に付いた埃を落とし。バスローブを羽織ったまま、ソファに身体を沈める。
そのまま数分、軽い微睡に身を任せてはいたけれど。新しく買ったヤカンの湯が沸いてきた音が聞こえたのなら、立ち上がり棚から珈琲の豆を取り出す。
昼間に行った喫茶店で買った豆だ。ミル等も、あの店で揃えさせて貰った。
未だ手に馴染まないそれでガリ、ガリリと豆を挽きながら、ふ、と。あの友人に借りた本の事が、頭に浮かんだ。]
……"外"に、誰か居たかな。
[異国の言語で綴られたその本を思い返し、男は豆へと湯を注ぎながら訝しむ。ここは最早、國の外なのだ。多少は読めはするものの、やはり訳が欲しくはあるもので。
――最悪、自分で訳すか。
興味のあるものに対しては、そんなものはさして苦にもならない。
男からの返信が来ぬ事を、きっとあの友人は訝しんでいる事だろうけれど――返信は、そこそこに豆だったものだし――今や、どうする事もなく。
まるで神隠しのように消えた自分を、彼は果たしてどう思うかと苦笑しながら、ソファに再び身を沈めながらこの地で初めて淹れた珈琲を味わう。]
――……む。
[――嗚呼、少しばかり温度が低かったらしい。新しい地で、新しい道具で。今迄通りとはいかないものということだろうか。
そうして溜息をひとつ。少々味気ないものになってしまったその液体に、男は小さく、肩を竦めた。]
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[植え付けた鬱血の華をチョーカー越しに親指で撫ぜながら。 唇を合わせ、舌を吸う間に彼女の告げた事を脳は反復し。 自身の想像する「いつか」とは正反対のことを 彼女が口に出したものだから、 脳の回廊は、ぐるぐると螺旋を巻いていた>>257 湿った吐息と共に顔を離す。
銀糸を唇同士が繋げば、首元に置いていた手を浮かせ、 繋がったそれを断ち切る形で拭い去り。]
――… 俺が死んだ後も、 君の人生を大事にして欲しいとは、思っていた…かなぁ
君の手を引くのが他人で遇ったとしても、
君が倖せに為ってくれるのなら、 ……見守っていられるのなら、それで良いと思ってた。
(263) 2014/10/08(Wed) 19時半頃
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[言ってしまってから、苦く笑う。 出会ったのが一年と少し前で、夜を共にしたのが一度切りで、 何故こんな事まで考えているのだろうと、何故、]
愛してその人を得ることは最上である 愛してその人を失うことはその次によい
――とは言うが、死んだ後の話を語る歳ではないね。
[学校へ、と告げる彼女の一言と共に頷き、顔を離す。 シャツのボタンとタイを正し、出ようと手を離して。]
さ、行こうか。
[踵を返し、廊下を歩む間。 そこまで思われている事を少なからず嬉しく感じ、 また、結論を急ぐような話では無いと悟り。
唯、死ぬ前にあの細い首を絞める想像をして、―― 狂ってる、と畏怖を抱くのだった*]
(264) 2014/10/08(Wed) 19時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 22時頃
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― 昼・自宅 ―
判った。 まあ、居眠りしないようにな はは物騒でもない。 そんなことにはならんよう注意するよ 轢かれた鼠ほど無殘なものは無い。
[年齢の差への想いや願望を見透かせることは無く>>265 玄関の手前で彼女を見送ろうとし。
不意打ちの接吻には目を丸めさせ、大きく開き。 駆けていく背を見送りながら、口元に扇子を置く]
……心臓がいくつあっても足らんなあ
[開け放たれたままの玄関口。 表を彷徨う白い野良猫がにゃぁ、と鳴いた。*]
(293) 2014/10/08(Wed) 22時半頃
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― 回想・書殿>>266 ―
あまり耳馴染みの無いものだったからね。 ところで、「便利屋」は何処まで「便利」なのかな。
[首を傾げる様子に、扇子を掌でぽん、と打つ。 作業の合間に返る言葉を受ければ、 閉じた唇の前に畳んだ扇子を添え]、 迷惑、ふむ迷惑か…。割の良いバイトではあると思うがね。 小金稼ぎに困っている友人が居れば、是非呼んでくれたまえ。
旧い本ほど大事で貴重なもの。 状態が悪化するまえに、猫の手でも借りたいからな
[恐らくはこれ以上従事させても効率が悪いと判断し、 作業の切り上げと、昼食の用意はあると告げ、 本日の賃金と共に彼を開放する運びとなったか*]
(294) 2014/10/08(Wed) 22時半頃
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― 夕刻/大學での講義を終えて・研究室 ―
[その日は講堂に於いて葬送儀礼と先祖祭祀に纏わる講義を。、 レポートの提出期限の発表で、締めくくる。
毎度、講義の後は喉が渇く。 インスタントの珈琲を啜り、新聞を捲っていたが。 取り分けて「獣人」に纏わるニュースも流れている訳ではなく 安堵の息を珈琲の湯気に混ぜるのだった。
その後夕刻まで研究室で明日の分の用意をこなしていたが、 一報>>267を受ければ表情を綻ばせた。]
(295) 2014/10/08(Wed) 23時頃
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――――――――――――――――――――――――――― FROM:錠 TO:スージー>>267
本文: お疲れ様。 それなら車で迎えに行こう。
商店街からは少し離れるのでね 公園前の辺りでどうかな? ―――――――――――――――――――――――――――
(296) 2014/10/08(Wed) 23時頃
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[日もすっかりと沈み、町の喧騒も遠く消えた頃。あのぬるい珈琲を渋々と楽しんだのなら、男は寝室へと向かう。
バスローブから着替え、部屋の小さな灯りを灯し。机の前の椅子に座り、ふう、と息を。
――本当なら、もう少し小さなベッドで良かったのだけれど。
近くに見える、大きなベッドに視線を移せば、小さく、小さく笑い。年甲斐も無く、彼が此処へと来るのを楽しみにしている自分に、少々呆れもするけれど。]
……明日か、明後日か…、来週…来月。
[もしかしたら十年、二十年後かもしれない、と。朝に届いたあの二通のメールをもう一度開きながら、そんな呟きをひとつ。
この文面を見る限り、そう遠くないうちに会えるのだと、ついつい期待はしてしまっているのは事実だけれど。
――嗚呼、一日千秋の思いとは、こう言う事を言うのか、と。浮かんだその考えに、男は部屋で一人、小さく吹き出した。]
……まさかこの歳で、そんな初々しい事を考えさせられるとはな。
俺に責任を取れと言うなら…取ってやるとも。
だが、君にも取って貰うぞ…ヨハン。
[画面に浮かんだその名を、慈しむように指でなぞり。呟いた"恨み言"は、彼には届きようも無いけれど。]
[――嗚呼、嗚呼。彼をもしも再び、この腕の中へと迎える事が出来たのならば。
そうしたら、今度こそ。嘘偽り無く、きっと離しはしないのに。
移ろう月のように、この気持ちは決して変わったりはしない。例え彼がここに来るのが十年の後だとしても、百年の後だとしても。
この生ある限りは、焦がれに焦がれながらも彼の姿を待ち続けてやろうと。]
――……我ながら、執念じみている。
だが、余りに来ないようなら…迎えに、行ってしまいそうで怖いよ。
[クツ、と一つ喉を鳴らし、キチリと響いた指からは細い糸がたらりと垂れて。
獲物が巣に掛かるのを待つではなく、待ちきれずに獲物を追い掛けて行くなどと、何とも《蜘蛛》らしくは無いとは思いつつも――それもまた悪くない、と。]
……綺麗な月だ。
[そんな想いを胸に密かに滲ませて、男は部屋の灯りを消す。
窓に見える仄かな月の姿にあの白を重ね、愛おしいあの姿を重ね。
"嗚呼今宵の月は何と美しいのだろう"、と。
――そんな事を、思いながら。]*
|
[明日もまた講義はあるが、――そういえば、と クラリッサの顔を頭に過ぎらせ。
ルーカスから返らないメール。 彼女は何か知っていないだろうかと思いつつ。 たまに電子文のやり取りを交わす郵便局長づてに、 明日の昼休憩にでも、時間を割けないかと配達員宛の伝言を*]
(302) 2014/10/08(Wed) 23時半頃
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ー回想•昨晩、一時過ぎー
[気がついたら銀河鉄道に乗っていた。
(…気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗っている小さな列車が走りつづけていたのでした。ほんとうにジョバンニは、夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓から外を見ながら座すわっていたのです。)
ベネットは窓の外を見た。ああほんとうにまるで銀河鉄道の夜みたいに、ジョバンニみたいに、青白く光る銀河の岸に、銀いろのすすきがもうまるでいちめんさらさら さらさらと波を立てていたので、ここは銀河鉄道だった。
銀河ステーションもカムパネルラも、黒曜石でできたりっぱな地図もないけれど、ここは銀河鉄道だった。
銀河鉄道だった。
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[届いたメールに認められた己の身を案じる内容に>>301 自身よりも彼女の身の上の方が余程心配であるのに、と笑う。
たまたま帰り道が近かったとすればそう危惧するものでは無い そう思いつつも、彼女の気遣いに水は刺さぬよう、 了解、すぐ行こう、とだけ電子の鳩に文(ふみ)を運ばせ]
――まるで密会だな。
[笑みを苦笑へと変貌を遂げさせ、 殘り少ない珈琲のカップを空に。
助手に片付けだけ頼んでから研究室を後にする。 廊下を歩む間に迎車の手配を済ませて。 日暮れの町、大学前に停車していたタクシーに乗り込む。 公園までの道のりは、公道を趨る車へ揺られて過ごし。 腕を組んで窓の外を眺めながら、ぼつりと呟く。 昔は車内でも吸えたのになぁ、という愚痴を。]
(308) 2014/10/08(Wed) 23時半頃
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銀河鉄道ーーー…?
[はた、とベネットはそこで思いとどまった。そうだ自分は、黒髪の少年と、銀色の少女とバイトの話をして、それから…………それから?
うんうんと思い出そうとしても、しろいもやがかかったようで思い出せない。目をつぶれば暗闇にちりばめられた緑や橙や青の光がじゃまをして、なんにもわからないのだった。
ああでも、容姿がほんとうに少女がカムパネルラで、少年がジョバンニのようだ。二人が来たから、もしかしたら二人の今生の幸いのために自分が代わりに連れ去られてしまつたのかもしれない。
なんて、馬鹿馬鹿しいけれど。
不思議と逃げ出したいとは思わなかった。ただただ、放置して来てしまった二人のことが心配だった。困惑しているだろう。嗚呼ヤニクとの約束も、こちらが破ってしまった。性格がよろしいとは言えない彼だから、怒っているかもしれない。本をどれでもひとつもっていっていいから赦してくれないだろうか。伝える機会もないけれど。
抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 23時半頃
汽車のなかに自分はひとりだ。
カムパネルラが姿を現さなければ、ジョバンニはずっと、ずうっと、白鳥の停車場にも、プリオシン海岸にもいけず、北十字も見られず、鳥を捕る人にも会えずにくらい銀河のなかを走り続けてゆかねばならないのかもしれなかった。]
ひとは誰もが、自分だけのカムパネルラを探している
[そう喩えたのは誰だっただろう。自分の暗闇を照らす唯一の光を、照らして手を伸ばしてくれる誰かを探している。
そのカムパネルラが、どこまでもゆこうと言った途端に消えてしまうのだ。銀河鉄道は、そうゆうことを表しているのであり、カムパネルラもまた、人間だったのだ。
賢治のカムパネルラは妹のトシだった。
カムパネルラーーー信仰を一つにするたったひとりのみちづれが消えてしまうそのことに、何度胸を打たれただろう。
黄玉(トパーズ)や青宝玉(サファイア)を散りばめたような賢治の世界が、窓の外に広がっている。
孤独の散乱する、綺麗な空だった。
けれども自分には、カムパネルラはいないのだ。
いつだって、いまだって。
このまま何処へゆくんだろう。
大声で泣いた。少しだけ笑った。
このまま何処かへゆくんだろう。
ことんことんと、振動音だけが響いていく。]
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― 夕刻・公園前 ―
[夕焼けを描いていた空も黒ずみ始める。 時節と共に、空が昏さを得る時間も早くなった。
帳が降りるまでには未だ時間も或る。 ならば店が閉まる前に辿り着くのは容易だろうと
公園のベンチに佇む赤いベレーを被った娘を>>309 窓の外から視認し、タクシーを停留させる 窓硝子を下ろし、外気を車内へ取り込んで。]
待たせたね。 …さ、行こうか。
[後部座席から覗かせた顔と、大きくは無い呼び声。 彼女の不安を膨らませるほどでは無いとは思いつつ。]
(318) 2014/10/09(Thu) 00時頃
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― 夕刻・車内→隣町までの移動 ―
[自分の腰を落ち着けている反対のドアが開き、 ベレー帽を抑えながらタクシーに近づく娘を招き入れる>>326
ウェーブがかった金糸に赤いベレーはよく映える。 帽子よりは色あせたチョーカーと、 その内側に或るだろう痕を思いながら、 組んでいた腕を解き、座席の合間でその手を握り。
二度目の目的地を運転手に告げれば、車は再び動き出す。] いや?丁度仕事が終わったところだったよ。 あぁ、その本は。勉強熱心だな、提出は少し先だというのに。
[恐らくは資料として借用したのだろうと思いつつ。>>300 携えられた本を端目に置き、小さく感心だ、と溢した。]
(329) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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君こそ悪いね、 授業で疲れているだろうに。 此の時間なら、ろくずっぽ休息を取れてないだろう?
[軽く握っていた手を髪へ伸ばし、さらりと指で梳かしてから フロントミラーに映らない位置であるのを確認し、 彼女の腹の上に手を置く。――具合は大丈夫なのか、と。]
(331) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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行き先、知りたいか?
[番地のみを運転手に告げたことで、 彼女が察せるは、隣町であるだろう事くらい。 夕暮れの町を進む車に揺られつつ、目を細めて笑った。]
ご明察。 君に、鎖をつけようと思って―――、
[告げてから、ミラー越しに運転手と視線が合った。 うわっこいつ何言ってやがるって感じの目だ。]
……ネックレスはどんなのが好き?
[慌てて繕い、苦笑を浮かべる。 ネックレスを買いに行く訳では無いが、 遠からずなので良しとしよう。]
(335) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 01時頃
[月の光の差し込める薄闇の中、ぼんやりと月を眺めてどれ程の時間が経っただろう。
傍に置いた懐中時計の針を見たのなら、思いの外時間が過ぎていて――"とんだ時間泥棒だ"、と月に喩えたかの人へと捧げる恨み言を胸に。
そうして漸く、その月から目を離したのであれば。図ったように、携帯端末が音を立てて震えはしただろうか。]
……、土産か。
それは嬉しい。どんな時計を…贈ってくれる?
[そろそろ見慣れたその名とアドレスに、知らずのうちに顔を綻ばせ。返信の代わりにぽつりと言葉を零しながら、眉を寄せて目を伏せる。
――嗚呼、折角。今宵の月が、恋しさをほんの僅かにだけ慰めてくれたと言うのに。
このタイミングで送って来るとは…これじゃあ本当に、ひと時たりとも彼を浮かべぬ事など出来ないじゃあないか。]
………、あの時は、太陽が昇らなければ良いと思ったものだが。
[あの夢の一夜へと、想いを馳せて。あの時話したささやかな趣味の話を、彼が覚えてくれていた事に歓びを。
彼のくれるという時計は、果たして如何なるものなのだろう。年甲斐も無く踊る心を宥める気など、今はとてもありはしなくて。
全て置いて来たあの時計達も、また集め直さねばなるまい。そしてその最初の一つが…彼からの土産であるのなら。
それは何と、幸せな事だろう。]
……今は、太陽が昇るのが…何よりも、待ち遠しいよ。
[呟いた声に、最早皮肉も余裕もありはしない。只々その身を焦がす恋しさだけを滲ませて、最後にひとつ呟いた名は、月明かりの中へと溶けて行きはしただろうか。]*
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