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静谷が、広い部屋がいいっつってた。
確かに広い分には不便ないけどな。
[部屋の話をするなら、意識を逸らせるとばかり昼の話をした。]
……いない、な。
[ただ、その話題の本人の不在を確認すれば首を横に振って。どこかにはいるのだろうとその場で慌てることはしなかったが。]
[横になる、とベッドに蓮端の身体が倒れ込めば、それを見やって。
それから、だいぶ自分も消耗していることに、ようやく自覚が沸いた。
数刻前から、疲れた、だの言っていたが。
昼から結局何も口にしていないし、走り回って、濡れて。
それこそ、自分の方が倒れてしまいそう、だった。]
……な。
ちょっとだけ、俺も……
[いいか、と問う前に。
本能に負けた身体が、蓮端の隣に寄り添って。
抱きあうように、ひとつのベッドで眠りについた。
浅い眠りに引き込まれる蓮端とは逆に、こちらは深く、遠く――**]
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[うつらうつらとしていたところで、俺も、と聞こえてきて。
やがて間近に感じる、寄り添う熱。
瞼を開けずとも、そこに居るのが誰なのかは解る。
けれど照れるとかそういうのではなくて……ただ、暖かくて安心できて。
抱き合うような形で。そっと、哲人の肩に腕を回した。
触れても、目を覚ます気配はなくて……。
彼も本当にひどく疲れてたんだ、と察した。
……今、この人に歩き回らせなくて良かった、と思った。]
ごめん。
[深い眠りに就いている相手には届かないだろう声量で、小さく呟いた。
ちゃんと気づくことができてなかったまま、ぎゅっとしてだの何だの子供みたいに強請っていたことを恥じた。
「あとでな」とあの時伝えられた訳は、周りの視線があったから、だとは思うけれど。
そう、皆で食べに行こうとしていたお昼ご飯も結局まだのまま。
調音や成人が作ってくれたカレーとか、焼きそばとか……。
この場所にはそれらが無いことも知らないまま、ただぼんやりと思い描いていた。]
[此処に来るまでに哲人が話していた、悠里のこと。
広い部屋がいい、と言っていたという彼。
その話を聞いた時は、そうなんだ、と軽く頷く位だったけれど。]
……ユリにお礼、言ってなかったな。
[ふたつのホットミルクのマグのこと。
思い出されて、小さく零した。]
[その時夢うつつだったものだから、その音に気付かなかった。]
[ひた]
[ひた]
[それは雨音に交じり微かに響く、人の足音。
そして足音は、扉の前まで来て、止まった**]
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【人】 博徒 プリシラ―二階・休息所― (121) 2011/05/20(Fri) 15時頃 |
【人】 博徒 プリシラ……… (123) 2011/05/20(Fri) 15時頃 |
【人】 博徒 プリシラ―二階・最上百瀬部屋― (125) 2011/05/20(Fri) 15時半頃 |
【人】 博徒 プリシラ[最上と織部の様子を気にしながら、抱えていた服をベッドに置き、自分のリュックから厚めのパーカーを取り出して着込んだ。 (126) 2011/05/20(Fri) 15時半頃 |
[呼びかける声。扉の外から、響いてくる。
「おきゃくさま……」
「ごゆうしょく の、したくが……」
「かつきさま も おいで、で……」
……聞こえてはきたけれど、まだ浅い眠りの中に居たものだから。
夢の中でだけ、なんとなく呼び声に応じた気になってしまっていた。
きっと目が覚めた瞬間に忘れてしまうような夢の中で。]
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【人】 博徒 プリシラ―回想・休息所(休憩所)― (195) 2011/05/20(Fri) 22時半頃 |
―自室らしき部屋―
[肩に回される腕も、謝る声も、眠りを妨げるには至らない。
消耗もあったし、安堵もあった。とかく疲れていたし、蓮端が最低でも傍にいること。規則的な呼吸音だけさせて、ただ、ただ、静かに眠っていただろう。
はじめの、うちは。]
[そのうち深い眠りは、知らぬ世界の夢を呼び起こした。
この屋敷の、野薔薇の絡むトンネル。まだ踏み入ってもいないそこに、自分は立っていた。
甘い薔薇の香り。濃いけれど、まだ青い茂りの瑞々しさも残すそれは、野薔薇特有のものなのだろう。
花に詳しくない自分はよく知らないが、きっとそうなのだと思った。
そして、そう思うからこそこれが夢だとも思った。
晴れた庭。知らない香り。薔薇咲くトンネル。そこに立っていて。
その、野いばらの蔓に、絡めとられる。
息苦しくて、呼吸が浅くなる。
手を、伸ばして、そこにあるものを、つかむ。]
[つかんだものは、何だっただろう。温かくて、近くにある、もの。
悪夢に魘されるように、すぐ傍らの蓮端の身体に縋りつく。
苦しげに、強く、目の前の細い身体に力をこめた。]
【人】 博徒 プリシラう″ (218) 2011/05/20(Fri) 23時頃 |
[ふと、意識にはっきりとしたものが戻った。
それは緩やかに寄り添っていたところだったのが……急に、強く縋られたためだった。]
テ、ツ?
[瞼を開いた。苦しげな哲人の姿が判った。
思わず、瞬いてしまった。
いつかのあの時、おれは哲人に繋ぎとめて貰いたくて、ぎゅっとして、と願った。
けれど今は逆に、彼の方から求められているような……。]
……テツ、大丈夫。
[だから、肩に回していた方の手で、その背中を、緩く擦った。
握っていた甘味の袋が、掌から零れてベッドの下に落ちた。]
大丈夫……おれ、ここにいるよ。
【人】 博徒 プリシラ―回想・百瀬が自室の扉を開けた後― (224) 2011/05/20(Fri) 23時頃 |
う、ぁ……
[小さく呻いて、は、と荒く息を吐いて。
背中に触れる感覚に、意識が覚醒する。
目を見開いて、肩で息をして、しばらく、そのままで。]
[それからもう一度、ぎゅう、と強く縋った。
行くな、ではなくて、いる。その確認に似た、体温の絡め合い。]
【人】 博徒 プリシラ―現在・独りきりの角部屋― (229) 2011/05/20(Fri) 23時半頃 |
[彼の目が覚めた。そう、思った。
だから、少し弱弱しくではあったけれど、笑ってみせた。
怖いことなんてないから、と示すように。
もう一度、縋られた。
今度はおれも、哲人をぎゅっとした。強く、抱き締めた。]
……だいじょう、ぶ。
[……吐く息が身体に触れる度、ぞくっとして、熱い。
もうそろそろ熱っぽいのも引いてきたと思ってたところでの、そんな感覚。
手は無意識に彼の顎の方に伸びて……顔と顔を合わせるような形になるように、軽く力を加えた。]
【人】 博徒 プリシラ…なに、全然小降りになんかなってないんだけど (252) 2011/05/20(Fri) 23時半頃 |
ゆう、き……
[力なく唇から漏れるのは、蓮端、でなく。
荒い吐息交じりのそれは、艶を帯びて、広い部屋の空気に消えていく。]
[縋りを抱き締め返されて、ようやく、少し落ち着いた。
呼吸も緩やかに規則性を取り戻し始めたところで、顎に手が触れる。
拒否する意識もない、その顔は簡単に上向くだろう。]
【人】 博徒 プリシラ[聞えた。聞えた。バルコニーに飛び出して、手摺に寄りかかって。腰バッグから懐中電灯を取り出し、スイッチを入れた。 (261) 2011/05/21(Sat) 00時頃 |
[名前を、呼ばれた。
前までであれば、哲人からはこのように呼ばれた覚えがなかった。
嬉しかった。嬉しくて……煽られも、した。]
テツ。
……良かった。ちょっと楽になったのかな。
[彼が落ち着いてきたところで、顎に触れたまま、その瞳を見つめた。
どきどきした。それは哲人に対しても、自分の行動に対しても。
少しの間の後、そっと、唇を寄せた。]
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