182 【身内】白粉花の村
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―院長室―
[あれから暫く紫陽花を見ていたが、結局何をするでもなく院長室へと戻る事になった。 自分の言葉は彼女に届いたのか、それすら分からなかったが。信用すると、ひたりと合わせられた瞳を思い出せば、少しだけ救われた気分になる。……救わなければいけないのは、自分の方だというのに]
[椅子に座って息を吐く。そうして習慣めいた動作でパソコンを起動させた。 何か続報は無いかとメール画面を起動させてみれば、一通のメールが届いている事に気付く。 もしかして、彼に何かあったのか。焦りと共にそれを開いて……そこに書いてある文章に体が固まった。 何かあったか、だなんて。全くの逆だ。”それ”は彼のデータから新しい薬が出来たという報告だったのだから]
――は、
[深く、息を吐き出して。安堵と共に椅子に深く体を預ける。 そこに書いてあったのは『朝顔』と『ディーン』という名前で。先に約束した彼女ではないものの、それは確かに喜びの報だった。
……また、救う事が出来るのだ。 小さな彼女とした約束を、果たす日がいつくるかは分からないけれど。これでまた希望を持ってくれるのではないか。そんな事を考えた]
(19) 2014/06/27(Fri) 14時頃
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[二通の手紙に封をして、院長室を後にする。 手紙の中身は、病の治療法と、転院先の病院についての軽い説明だった。 それをこっそりと、彼女と彼の部屋の扉の下から通して。果たして彼女らは、いつこの手紙に気付くだろうか]
(20) 2014/06/27(Fri) 14時頃
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