20 Junky in the Paradise
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[窓枠まで歩けば、床に散らばるガラス片を一瞥し、無造作に足で脇にやり空間をつくる。しゃらしゃらとガラス同士の触れ合う音はどこか涼しげ。 随分と吹き抜けのいい窓から身を乗り出して右左と見渡す]
……? 何もない、んじゃね。
[そう小声で呟いて、空を見上げる。綺麗な空。眩暈がして慌てて頭を下げると窓の下に赤い塊を見つけた。
みっけ。 そう口の形だけで囁いて笑む。見たところ、大分人に似せて作られてる肉らしい。顔までは見えないけれど、その恰好は五体満足のよう。 窓から外へと出て、肉の前にしゃがみ込む。 指でガラス片を遊ばせながら、なんとなく、顔を持ち上げてみた。]
(51) 2010/07/14(Wed) 22時半頃
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……っい
[髪を掴んで上を向かせた顔は、顔と呼ぶのはおかしな肉の塊だった。 息をのみ、口を抑えるが、漏れてしまった音は戻せない。 そのままの状態で数秒固まる。視線は抉られた赤から外せずに―目があったとしたら―見つめあった体勢で暫く動けなかった。
ようやく、張りつめていた息を吐く。浅い息をなんども繰り返し、不思議とこんな呼吸ばかりしてきた気分になる。]
ほんっとに、趣味悪ぃ。
(52) 2010/07/14(Wed) 22時半頃
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[ぼんやりと見える風景。マーゴに何かを飲ませているスティーブンと、横たわったままのヴェラと、ちらちらとこちらの隙をうかがう壁紙の影と、…… ……やけに鋭く光った、ガラスの破片。]
……え?
[鋭い破片がマーゴの喉に突き刺さる。(そんなはずはない、見間違いだ) マーゴはぐったりとしている。(馬鹿だな、スティーブンに甘えてるんだろ) 指輪が、マーゴの指にはめられて、そして(よかったじゃないか、二人が、二人が……?)]
あ……。
[震える足で立ち上がる。気づけば近くに誰かが居た。薬を取って立ち去る、それは一瞬だけ交差した影のよう、スティーブンは幸せそうに、目を閉じる、化け物が居る、きらきらと光るガラスはみんな彼女の手先だ、目を開ける、そこには、そこには。]
……なあ、スティーブン。
[帰るのかと言う問いに、返したのはまったく違う問い。]
そいつ……生きてるのか?
[声は震え、お守りのようにぎゅっと握りしめるのは、殺傷能力など皆無の注射器。]
(53) 2010/07/14(Wed) 22時半頃
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なんでこんな風にすんのかねー。 いくら解剖用っつっても、ねぇ。
[そうは言いつつ、まじまじと近くで、その抉られた面を眺める。]
ん……。なーんか、……。
[自らが感じる違和感に首を傾げつつ、観察は続けて。解剖用の肉のはずなのに服を着ていることに気付いて更に首をひねる。 どこかで見た服。そう言いながら、脱力しきった手に触ってみて。その褐色の肌に気付いた。]
え、まじで。
(54) 2010/07/14(Wed) 22時半頃
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……あァ、大丈夫だったヨ。痛くも熱くもなかったんだ。心配はいらないかラ。
[荊から抜け出す事のできたマーゴが自分の手を取って、何事もなかったかと裏表をひっくり返さんばかりに見ている。]
[そのままでマーゴが語り始めたのは、とある不器用な青年の話。]
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[マーゴに被せた白い服は返り血に染まり赤く。 床に座ったまま、眼鏡のない、 暗い黒い眼が、問いにきょとりと瞬く。]
ううん。
[疑問ではなく、 否定に首を横に振る。]
────死んでるよ?
殺したんだもの。 当たり前じゃない。
[何を当然の事を、と。そんな調子で震えるへクターへ 暗い黒い穴のような目を向けて、首を傾けた。]
(55) 2010/07/14(Wed) 23時頃
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約束してたのに……破ろうとするから、 どうしたらいいのかわからなくて
[へら、と笑う。]
でも、
やわらかいし 怒らないから
…… 最初からこうすれば良かったかなあ……
[しゃべってくれないのが残念だけど。と、 少し不満そうにしている男は、 いつもどおり過ぎて──正気に見えない。]
(56) 2010/07/14(Wed) 23時頃
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[──いつしか、繋がれていた手は離れてしまっていた。
自分の手からマーゴの顔へと視線を移す。]
そういえばあの人には、「邪魔するな」、「盗るな」って何回も言われたんダ。あの時ハ、何の事だかわからなかったけど─
──あの人の傍にいる気がないのなら、これからマーゴは何処にいるつもりなノ?
[離された彼女の手に向かって、手を伸ばした。
一人でいて欲しくない 願わくば、傍にいて欲しい]
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[ヤニクだ。 留学生の、ああどこの学部だっけ、とりあえず余所からきたヤニクだ。
顔があるのが普通なのに、なにかで抉られたように顔面の肉を失って転がってるのは解剖用ではなく人だった。弾かれたように触れていた手を離す。震える手は自分のものなのに冷たくて、死人のように思えた。
落ち着かないと。 その言葉だけがぐるぐる回り、なんら解決策を提示しようとしてこない。人差し指の第二関節を食んで噛む。痛みは走るけれど現実からは逃げれない。 立ちあがって、窓の外から室内に叫ぶ、つもりだったけれど喉が傷んで声を張り上げられず、普通程度の音量になる。]
ちょ、 人が死んでる
(57) 2010/07/14(Wed) 23時頃
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死ん、で……?
[自分で尋ねておきながら、答えの意味を数瞬理解できなかった。]
こ、ころし、た? なんで、だって、お、おまえ、マーゴが、すす、好きで。
[あまりの事態に言葉はつっかえ、それはまるで以前の友人のよう。
約束だとか、最初からこうすればよかっただとか。当たり前のように紡がれる言葉を脳が拒絶して……ふくれあがった恐怖は、薬によって視覚化される。]
ば、ばけもの、
[スティーブンの姿に、針金の化け物がダブって……矢も楯もたまらず、逃げ出した。
──ボーン、ボーン、ボーン、ボーン
打ち壊された時計が、狂ったように鳴り始める。それは最後の最後まで、パーティの崩壊に気づいていなかった男をあざ笑う鐘の音。]
(58) 2010/07/14(Wed) 23時頃
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[室内の様子に息をのむ。]
死んでる?殺した?
[ヒュ、喉が鳴るけれど、その音は鐘の音にまみれて消える。 背を向けて逃げ出すヘクターを一瞥し、視線はスティーブンに戻る]
(59) 2010/07/14(Wed) 23時頃
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[さっきまで楽しそうに笑っていたのに、 悪友は、不意に──スティーブンにとっては、不意に。 青くなって逃げようとする]
好きだ、って、何回も言ったのに …… たたくんだよ。
[問いに頬を押さえて、マーゴを見下ろす顔は 頬の痛みを思い出すようにしかめられ]
……へクターもヤニクも、 何、幻覚…見てるの?
僕は最初から、僕なのに……
(60) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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──どこいくの?
[不満そうに顔をしかめて。 逃げる男を追いかけようと、マーゴから手を離して、 立ち上がればそこで、時計が鳴り響きだした。]
あれ。
(61) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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たす、け、
[恐怖に震える千鳥足で走るから、椅子やらテーブルやらにぶつかり、はね飛ばす。 壁も、天井も、ワインボトルも。全てが今のヘクターにとっては恐怖の対象。]
あ、サイラス!!
おい! 起きろよ、スティーブンがやばい!!
[そんな中で浮かび上がるように、見知った顔を見つけて駆け寄る。だが揺すり起こそうとしたその体は……すでに冷たい。]
そ、んな、嘘だろ……?
[彼の死因が薬物の過剰摂取によるものか、それとも誰かに殺されたのか……。そんなことは今のヘクターには判断できず。]
うわぁあああああ!!
[逃げ出した先は、元の大広間。]
(62) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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邪魔してるのは何時だって自分なのにね
ほんと莫迦なんだから
[スティーブンの言葉を聴けば呆れて呟くも、
問いにはヤニクを見詰めて瞬く]
アタシ? ふふっ
悪魔に天国は似合わないでしょう?
女王様の犬とは遊び足りなかったし
冥府の犬と遊びにいこうかな
[云うも冥府が何処に在るのか知る筈はなく、
伸ばされる手に気づけば手指を伸ばして触れる]
心配して呉れるの?
ほんと変なヒト
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[ヴェラがぼそりとつぶやくのにも、 不思議そうに首をかしげる。 悲鳴が上がるのも、音楽の一部の様。]
さっきまで、
二人とも
同じことして
同じもの見てたのに。
[壊れた時計。燃えた壁、焼かれた肉。 壊れた身体。ぶちまけられた胃の中身。 そこら中に散らばっている赤い血液。]
(63) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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そろそろお開き、でしょうか?
[正気に戻りつつある――或いは、元々正常ではなかった――面々を見ながらぽつりと呟く。
視線は悲鳴を上げる男の――最期に見た記憶のある男の行く先を追った]
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[薬で保っていた体調は、現実に帰れば失血により目の前が暗くなって思わず窓枠に手をついた。掴んでいたガラスが肉に刺さる。 時計の鳴き声もヘクターの叫び声も耳にうるさく、脳みそを揺らす。
目を凝らして見えるのは、走るヘクターと佇むスティーブン。 意味不明なものに対する不快感は体の底から上がってきて息苦しさに変わる。この場から逃げ出したい。そう思っても足が動かないのは血が足りないからだろうか。
この場から逃げられるのならば― 掌の肉に突き刺さるガラスを、今一度見つめた。 室内で呟くスティーブンに]
死んでる、とは思わなかったから。
[だから騒がなかったんだと、弁解するように返した]
(64) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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[狂った様に鳴り響く柱時計の音。
まるで澱んだ時が一気に流れ出すかの様に、
溢れかえる時の氾濫が齎す混乱]
キレイだわ
とても キレイ
ホウカイの音が聴こえる
壊れて イク
[ノーリーンの呟きは恐らく予想通りなのだろう。
残る人間は少なく時は動き出したのだから]
最後は華やかだといいのに
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嘘だろ、なんでここなんだよ……。
[走った先は、逃げ出したはずの大広間で。自分が来た方向に走ってしまったということに気づけずに、嫌な汗がだらだらと流れる。]
ループ、してる……?
[ならばマーゴも生き返っては居ないかと。ささやかな希望を込めて見やった先は、先ほどと変わらぬ地獄絵図。]
あ……。
[酒を飲んだ翌朝のように、ぽつり、ぽつりとよみがえる記憶。 自分が蹴り壊したのはなんだったか。殴ったのはなんだったか。炎の中には誰が居たのか。自分が抱きしめたとき、サイモンは、まさか。]
……なぁ、スティーブン。
[ぽつり、問うた。]
……殺したのは、マーゴだけだよな?
[願うように。確認する。]
(65) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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墓荒らし へクターは、風来坊 ヴェラの言葉を聞いて、すがるような視線を向けた。
2010/07/14(Wed) 23時半頃
あの人ハ──どうなるんだろう?
[生者たちの混乱と恐慌─一因は自分の死体にもあったりするのだが─を見つめながら呟いた言葉は、マーゴに向けられたのか否か。]
[触れた手をそっと、けれどしっかりと繋いだ。自分の意志でこの手を離すつもりはなく。]
そうですね。
永遠に、傷痕として残るなら。
――きっと、消えてしまった方が。
[マーゴの言葉を耳にして、それに返すともなく呟いた]
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女王様を蹴ってたのも? 犬だったのも?
覚えてないの?
… … 虫はもう大丈夫?
[ふらふらとしているヴェラを見やり ただ、首を傾げて、 走り回るへクターをぼんやりと見ている。]
(66) 2010/07/14(Wed) 23時半頃
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何もかも、終わってしまう?
[3人の生者をただ見ているしかできぬまま。]
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[見回す、いや、見回したつもりはないけれど目に入る。 黒く焦げた少女の遺体、原形をとどめないぬいぐるみ、得体の知れないぐちゃぐちゃ、……目立つ赤。]
……おなじこと、って、なに。
[目を閉じるとすぐに襲いかかってこようとする何体もの化け物たち。どうにか耐えたくて薬を探す。先ほどの薬はまだ残っているというのに、摂取したての強烈な感覚が消えてしまえば、それはただ精神の不安定さを煽るだけの効き目しか持たない。]
(67) 2010/07/15(Thu) 00時頃
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[繋がれた手を見て三度瞬くも解く事はなく、
ヤニクの言葉に喧騒の方へと顔を向ける]
また誰か来るんじゃないかな
だってみんな未だ醒め切ってないみたい
スティーブンがこないとイイけど
[呟きはスティーブンの死を願わぬからなのか、
彼との再会を望まぬからなのかも曖昧]
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[殺したのは、殺人犯はスティーブン。 その認識は事実のように脳に刷り込まれてゆく。 震える手に握るガラスはぶれて、炎を反射してキラキラと輝く。
これで、殺せば、助かるのだろうか。殺されることは無いのだろうか。 スティーブンの言葉を思い出す。 帰って行った人たちはみんな死んでしまったのか。 誰がいたか思い出そうとしても頭は働かず、出てくる映像は― 誰かの首を絞める、自分の映像。 思わず頭を振る。]
違う、殺してないっ 俺は殺してないから、きっと。
[きっと周囲の人間には判らぬ言葉を吐き出して、 >>66聞こえてきたスティーブンに噛みつくように言葉を返す]
覚えてる、覚えてるけど 虫を潰そうとしたけどっ
(68) 2010/07/15(Thu) 00時頃
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でも俺は人を殺してないよな?誰も殺してないよな?
[女の首を絞める映像が頭から離れない。立ち止まったヘクターにも同じような縋る視線を向けて]
(69) 2010/07/15(Thu) 00時頃
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ヘクター辺りは既に傷がいたそう
[ 脅え ]
[ 逃げ ]
[ 惑う ]
カラダは一番無事っぽいのに
[ノーリーンの言葉に返すともなく、
ヘクターの様子を眺めて呟く]
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[疑問に猫背の男は、酔っ払いが記憶を手繰るように 指を、ひとつひとつ──ゆっくりと折りまげる。]
いち、にぃ……さん……、…
[そこまで数えて、途中でやめ、 床で"寝ている"ものを見まわす。]
… それじゃ、数が、あわないね。
[見下ろした手のひらは殴ったときにか、 赤くなっている。]
大丈夫、へクター? 顔色悪いよ?
(70) 2010/07/15(Thu) 00時頃
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