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お爺さんの葬儀はいいのかな……。
[ハーブティーの用意をしながらちらりと寝室に視線を向ける。 ミントの清涼感のある香りが満ちるダイニング。
これも現実逃避なのだろうかとふと思った**]
(115) 2010/07/05(Mon) 12時半頃
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――自宅――
[ギリアンと別れて村の中心部から、はずれにある自宅にたどり着くまで、誰ともすれ違わないと思っていた道。
でも、幾人かの人々とすれ違った。物々しい雰囲気の自警団の人達。
訳を聴けば、サイモンが川で死んでいるのが見つかったという。]
そう、誰かに突き落とされたような。 ――姿で川に。
[その死を聞けば。
彼の魂が狂気から解放されたのだと、知った。 苦しむ彼の魂への慈悲、なのだろうか、ふとそんな気がした]
(116) 2010/07/05(Mon) 12時半頃
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― 街の通り ―
[男が街の通りへ行くと、少女はいつものように街角へ立っていた。小さな籠にとりどりの花をあしらい、儚げにひっそりと立っていた。 まるで、路端に咲く小さな花のように。 人気の少なくなった通りに、ひっそりと、いつものように]
……お嬢さん。 花を売って頂けませんか。
[恭しく一礼する。彼女――メアリーは痛ましげな笑みを浮かべ、そっと籠を差し出した。 どの花でも同じ値段。 恋の花を優しく手折り、彼女の髪に飾った]
――綺麗だ。
(117) 2010/07/05(Mon) 12時半頃
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[彼女はいつものように困った表情を浮かべる。 少しだけ頬を赤くして。 もう何度となく同じことを繰り返したのに、それでも慣れたり、驕ったりしないのだ、彼女は。
男は言葉を見失って――曖昧な笑みを浮かべる。 綺羅びやかに装飾された言葉も、彼女を称える情熱の炎も、姿を表すことはなく。
何度か、言葉を口にしようとして、男は弱った笑みを浮かべた]
(118) 2010/07/05(Mon) 13時頃
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[>>1:235 放ったあの言葉。 あれが、彼女自身にも突き刺さったことが、よく分かっていた。 彼女は村外れの花畑の一角に住んでいる。
花売り――
この時代で妖術使いの一種として、差別を受けている職業を持つ彼女だから]
――
[あの時浮かび上がった男の底意。よく分からないものへの。信仰から外れた者への恐怖。 そう。めぐって、想い人への好意に含まれた恐怖を晒してしまったから。 彼女の傷付いた表情は――今でも男の胸に焼き付いている]
(119) 2010/07/05(Mon) 13時頃
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――翌朝――
[ギリアンと教会でと約束した時までまだあって。 教会へと向かいつつも、足は通りを所在なげに進む。
通りを見れば>>117 >>118メアリーから花を買い、その花をメアリーの髪に飾る男の姿が見えて――。]
――…。
[ヴェスパタインとメアリーの関係は知らないけれど。 邪魔をしてはいけない気がした。
でも――…。 もし、メアリーが死病に倒れたのなら、彼は何を望むのだろうか。 共に逝く事を望むのだろう、か。それとも死が訪れるまで、その死を悼みたいと思うのだろう、か。]
(120) 2010/07/05(Mon) 13時頃
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『嬉しくないわけじゃ、なかったのよ』
[口火を切ったのは、少女の方だった。 いつも彼女が対応出来ないほどに、男は言葉を、好意を並べ立てていたから。
それは――なぜ?
男の情熱故だろうか。 男の傲慢さ故だろうか。
――男の臆病さ故だろうか]
『あなたと一緒に暮らしていくことを 夢に見ないわけじゃなかったの』
(121) 2010/07/05(Mon) 13時頃
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『愛し、愛されて。子どもを授かって――』
[彼女と一緒に暮らす――それはきっと困難だ。
偏見も、何もかも飲み込んでこの村で暮らすことも。 稼業も、何もかも捨てて村を出ていくことも。
出来なかったろうから]
『あなたと、子どもと、花と。光の中で』
[何のしがらみもなく、二人だけ。 そうなるには、ふたりは余りに重すぎた。
謳うように、言う彼女。 男を揶揄する遊び心を見せる彼女は、とても魅力的に過ぎて、眩しかった]
(122) 2010/07/05(Mon) 13時半頃
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[ゴドウィンの言葉で何か見つけたような、全然見つからないような、宙ぶらりんのまま。 これ以上酒が入るのは良くないと思い、彼の軽口を理由にキレた風を装って辞去してきた、太陽が既に西に没した道すがら]
……明かり? まさかアイツも残ったのかよ
[オスカーの家に気づき、思わず駆け寄る。 扉を両手で乱暴に叩いた]
おい、クソガキ!いんのか? いるなら開けろ、扉ぶっこわすぞ!
(123) 2010/07/05(Mon) 13時半頃
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僕は――僕は!
『――うん』
[そっと、遮られる言葉。 男の言葉が――宙に浮く]
『いつか、本当に私が受け入れられて』
『この村で、あなたと暮らせる日がくればよかった』
[男が滑稽に少女の気を引くたび 村人は彼女への恐怖を忘れたはずだった]
『私たちの子どもも、何の心配もなく暮らせるの』
[花売りとの子だなんて偏見も薄れさせて、幸せに]
『あなたの作った灯りに囲まれて』
[それは、いつかあったかも知れない日々]
(124) 2010/07/05(Mon) 13時半頃
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……何、言ってんだ?
[ミッシェルの言葉>>32は、分からない事ばかりだった。 ごめんって何が、とか。 大丈夫って何が、とか。
どうして、これきりみたいな言い方をするのか、とか。
それでも、こちらから表情は見えぬまま、グロリア達に掛ける声は、いたっていつも通りで。 余計に訳がわからなくなり、釈然としない表情のまま、固まっていたが]
……っ、待てお前――…、
[先に帰ると走り出せば、その背に声を掛けるけれど。 鈍い動きで追いつける筈も無く、遣り場無い手で、くしゃりと髪を混ぜた]
(125) 2010/07/05(Mon) 13時半頃
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……申し訳ありません。どうしたんだか……
[視線を戻してから、グロリア達へ緩く頭を下げ。 それでは、と挨拶をして別れた。
ピアノを弾き損ねてしまったな、と思ったけれど。 今の状態で良い音が出るとも思えず、真っ直ぐに帰路へついた]
(126) 2010/07/05(Mon) 13時半頃
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[見慣れた姿が扉を開ければ、こじ開けるように中に飛びこむ]
何でお前、まだ村に残ってんだ。 今回の仕事が終わったら街に出て商売の勉強してきたいって言ってたじゃねーか。 親戚のツテでいいところが見つかりそうだとか
[怪訝そうに尋ねる]
…でも、行くにしても、会えてよかったかもしんね。 見送るときには、謝ろうと思ってたんだ。今まで迷惑かけまくって、悪かった…な
(127) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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『でも――ダメだったみたい』
[困ったように笑う彼女。 村を襲った悲劇は――時間というものを尽く奪い去ってしまった]
『罰かも、知れないね』
[何の罪があったというのか。 原初からある人の罪だというのか。 信仰への罰だというのか。
生まれが、門地が。 それすらも神の采配だというのに。
ならば。
"お互いに叶わないと分かっていた恋"
それに溺れた罰なのか]
(128) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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― 翌朝 ―
……雑貨屋の、ティモシーさんが……?
[こんな時なのに、楽しい夢を見たような気がする。 お陰で、特に何をするつもりでも無かったのに、すっきり目覚めてしまって、結局は昨日と同じ出で立ちで、外に出ていた。
道すがら、見回りに出ていた自警団員と話し込む。 いよいよ死者が出始めたそうで、残ると決めた仲間にも、何処かへ行ってしまった者が居るらしい。 教えて貰った死者の名前は、馴染みがあるなしはともかく、全てが見知った名で。 ああ、終わっていくんだなあ、と他人事のように思った]
貴方は、良いのですか?
[そう尋ねれば、お喋りだった彼は、口を閉ざし。 約束したのだと一言、痛むような鈍さで搾り出したところで、その名を呼ばれ。
仲間と共に去っていく彼へ会釈し、見送れば。 彼の家から、細い布の塊が、運び出されていくのが見えた]
(129) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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― 村はずれの丘 ―
[見上げる空は蒼い。]
[高く遠い場所で数羽の鳥が旋回している。]
[さぁさぁと風は優しく薄桃を撫ぜ続けている。 滑らかに進む時が、胸中の小瓶から記憶を漏らす。]
(130) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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[見せたことのない優しい笑顔で、オスカーの体を抱きしめ、背中を撫でた]
あたしは残るけど、お前は行けよ。やりたいことあんだろ? ……元気でな。精一杯…生きてくれ。
弟みたいに思ってたんだ。ほんとに。 お前とケンカするの、好きだったんだ。
(131) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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─ 前夜・教会 ─
[どれだけ此処に居ただろう、気がつくとステンドグラス越しの空は暗くなっていて。
元々夜に作業することが多い─というか気がつくと真っ暗になっているだけだけれど─為に、多少の暗闇でも動くのは慣れているけれど、さすがに此処に一人居るのは躊躇われて。
もう一度神様の像をじっと見つめ。]
お話、聞いてくれてありがとう。
許してくれても、くれなくても。 私─…この気持ちだけは、大切にしたい。
[そう言うと、踵を返して教会を後にした]
(132) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2010/07/05(Mon) 14時頃
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[そよそよと風がふく。 爽やかに晴れた空。
小さな村で何が起こっても
天は、いつもと変わらない]
メアリー……。
[彼女の瞳には、涙が浮かんでいた。 深い琥珀の瞳。きらきらと波打っている]
僕と――。 僕と!
(133) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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……ヴェス。
[墓地へ、向かおうか。 そう思って足を向けた先から、弟と、その思い人の声。 一方的な語りではない。
口端に笑みがのぼるものの、それを良かったと思ったのか、悲しいと思ったのか、良く分からない。 ただ、声を掛けるつもりは無く、踵を返そうとして]
……コリーンさん?
[おそらく、同じ2人に注視していたんだろう女性の姿に、首を傾げた]
(134) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/07/05(Mon) 14時頃
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[はしと。
口元を、抑えられる。 彼女の方から触れられるのは、これが初めての経験]
『――ダメだから』
[俯いた彼女の表情は見えない。 細かに震える声で彼女は男を押しとどめた]
『それは、言わないで』
――。
[懸命な、言葉。真摯な、願い。 それは、この世に生まれることを許されなかった]
(135) 2010/07/05(Mon) 14時頃
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─ 前夜・村の通り ─
[すっかり日が落ちた道を一人歩いていると、自警団員が見回りをしていて。 こんな時でも休めないんだ、なんて思いながらすれ違おうとして、呼び止められた。
そこで聞かされたのは、もう、死者が幾人か出ていることと。 病以外の理由で亡くなった者がいるらしい、ということ。 ピッパが、原因らしいという噂があること。 だから、気をつけろと。そう言われて。]
…何に、気をつければ良いの? 誰に、気をつければ良いの?
誰かのせいでこんなことになるわけないでしょう?
誰にもどうすることなんて、できないのに。
[それは、普段の自分からは、きっと決して出てこなかった言葉。 泣くでもなく、怒るでもなく。淡々と問う姿はきっと異常に映っただろう。]
(136) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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『私、そんなこと言われたら、頷いちゃう。
でも――そうじゃ、ないでしょう?』
[彼女は、微笑んで。泣きながら微笑んで、そういった。 男は、答えを返すことが出来なかった]
『――かえる、ね。
――ありがとう』
[さよなら。
男には、そう声が聞こえた。 去っていく少女の姿が、どんどんと小さくなっていく]
(137) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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メアリー!!
(138) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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[>>134 女の名を呼ばう声に、――
ヴェスパタインを、むしろメアリーをじっと見詰めていた悲色の瞳は、首を傾げるセシルに向く。]
セシル、さん――…。 立ち聞きする心算は無かったのよ。
――…。
[ヴェスとメアリーの二人を見詰めていた事には、さらりとそう告げて。]
(139) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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[背中に、呼びかけた。
彼女が、ゆっくりと振り向く。 彼女の姿が揺らめいて――逆光。 光のなかで、見えなかった]
――好き、だったんだ。 君のことが、好きだったんだ!!
[叫ぶ。
大声で。 普段は出さない声はひび割れて 決して格好のいいものではなかったけれど]
(140) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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― 村はずれの丘 ―
[漏れ出る記憶はやがて凪いで行く。 此れ以上はときつく栓をした。
―――、そっと双眸を閉じて。]
此れかな
[しゃがみ込み、眸を開く。 幾つか摘んだのは、ローズマリー。 "記憶"をそっと、添える為に。 静か、後にすれば向かうは静寂の地。]
― →墓地 ―
(141) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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[少しだけ遠い距離。 少女が息を吸う気配がした]
『私も! あなたのことが、好きだった!!』
[叫び。 大きな叫び。
透き通った声。
ふたりの視線が、絡む]
"――でも"
"それだけじゃ ダメだったね"
[お互いに、意思を交し合う。
交歓――。]
(142) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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ええ。ただ、何か思うところがお有りな様子が、少し。
[ひとのあれこれを、詮索したり、仕入れたりしようとする人ではないと思うから。 見つめていたさまが、気になっただけと、何処か含みをもった答えに、柔く笑んだ]
(143) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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[そして
女は立ち去った。
男は、見送った――]
(144) 2010/07/05(Mon) 14時半頃
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