52 薔薇恋獄
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しるか、くそ。
キレイな王子じゃない、道也が好きだって最初から言ってる。
[最初から、それは多分出会ったときから。
女の子に見せない表情にばかり惹かれて、取り澄ましてない顔が好きで、でもそんな事伝えても仕方ないと思っていて。
舌が口内に侵入する、受け入れて絡めたらもう止まらない。肌を合わせてひとつに、なりたい]
[に、ぐ、と言葉に詰まるが]
実際に襲えないかどうか、試してみるか?
[にっこり笑ってみせた。]
え? いやぁ、僕も、その、薔薇に少し突っ込んだコトが…あはは
…見えてません。声しか聞えなかった。音しか聞えませんでしたから
え、え、ちょっと、負い目!?
そこまで、重っ苦しい話なんですか……?
[躊躇った。躊躇った。躊躇ったけれども…最後には頷いた]
[自分の肌に落とされた瞬きまでは、見えなかった。
自分の上げた甘い声に、耳の端まで熱くなるのを感じて、ただ必死で。
それから落ちていく身体へのくちづけは、唇を噛んでこらえていた。]
[脱がそうと伸ばした腕は避けられない。
指先で、黒いブラウスのボタンをひとつひとつ外す。ひとつ外れるごとに、近くなっていく素肌、近くなっていく体温。
恥ずかしくて少し逸らし気味だった視線が、そこに釘付けになっていく。
目を離せない。その身体から。
喰らいついてしまいたい、と思いながら、ボタンをすべて外せば素肌の腰に腕を回そうと、ブラウスから指先を滑らせていく。]
やぁん、土橋君ってば怖い目ぇ
[手を合わせて頬に寄せた。
にやり。
上げた口の端を。
ちらり。
垣間見せた]
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