308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[咥え煙草のままアクセルを踏み込んで。
邪魔なゾンビは打ち抜くか。 或いは轢殺してしまいながら。
それでも、数はあまりにも多く。 軽く嘆息すると。
手榴弾のピンを抜いて投げつけてから。 逆方向に車を向けるとアクセルを踏み込んでいた。
背後から爆発音が聞こえてくる。
ああ、これが。 ハリウッド映画だったら良かったのに*]
(16) 2020/10/26(Mon) 21時頃
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[一部の者は、理科室や家庭科室で、苦痛の少ない死を選び。 一部の者は、教室に留まり身を寄せ合って、震え。 また一部の者は、自棄を起こして騒ぎ散らしていた。
そして少年たちは]
おっし、獲物にできそうなのはこんなトコか! わりとイイ感じで集まったよな。
[少年たちは、技工室で、ゾンビに対抗できる武器になりそうなものを集め、作っていた。]
(17) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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― 隔絶された広い世界で ―
[割れた窓から入った風が頬を擽った。
その心地よさに、乾いた目を細めた。]
……。
[元より賑わいと無縁だった店内には、沈黙だけが満ちる。
コートのポケットに手を入れた。
ドアの側に落ちていたスマートフォンは縁が欠け、
表面にも亀裂が走っている。
指で画面をなぞってみても反応は何もない。]
[スコップ片手に裏口を出た。
どんよりと曇った空の下、所々荒れた畑が広がる。
収穫を待つばかりのそれらを靴底で踏み潰して、
既に道のように平らになった区画へ出る。]
[轍の傍ら、土の山の前に膝をついた。
取り出したスマートフォンをその上に置く。
薄汚れた手を胸の前で組み、首を垂れて目を閉じた。]
[周囲には、他にも似たような土の山がある。]
[大柄な男が、土を掘っていた。]
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[町はといえば、 町長から毎朝安否確認の電話が かかってくるから、その時間だけは家にいた。 連絡が取れなくなった家があれば、 その時に一緒に教えてくれる手はずだが、 今のところ他に感染者はでていないらしい。 日にちがたってくると、 〇〇の家に野菜をわけてやってくれないか、 なんて頼みごとをされることもあったから、 それも快く引き受けた。 代わりに、卵をもらったりすることもあった。 数種類の野菜ならある。 だが、もう野菜しかない、という状態に なりつつあったこっちとしても、 願ったりかなったりだ。 そうして、配達にいって、]
(18) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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[店の裏にある小さな家へと入った。
動線を大きく取った室内には、元々物は多くなかった。
ハウスキーパーのドロシーが来たばかりだったのだろう。
床にも机にも書物が出しっぱなしだった形跡はない。
その中で唯一物が積まれているベッドへと向かった。
一人目の上着を取り、
二人目のマフラーを巻いた。
三人目のリュックには、
四人目の水筒と六人目の懐中電灯を入れた。
五人目は何も持っていなかった。
出て行く前に、使い込まれた様子の机の前に立った。
椅子はない。写真立ても、レターケースもなかった。
掌で木の質感を確かめると、手の形に埃が退き、
代わりに泥まじりの土と濁った色が線を引いた。]
あいしていたよ。
[返事をする者は、どこを探しても見つからない。]
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ん? なんだありゃ。 [普段、車で走っている時には、 あぜ道には人っ子一人いない。 たまに誰かがいても、トラックやバイク等、 何かの乗り物に乗っていることが多かったのだが、 その日は遠めに雷門さんが歩いているのが見えた。] おいおい、1人で出歩いてて大丈夫なのか?
[せめて自宅まで乗せていってやった方が いいかもしれない。 窓を開けて、おーい! と呼びかけようとして すんでのところでやめた。 慌てて窓を閉め、車を停止させる。]
(19) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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[トラックの運転席へ足をかけた。
取り替えたタイヤが凹んだ土をしゅわり、轢いていく。
ラジオのボタンを押すも、ノイズすら聞こえなかった。]
――♪
[だから歌を歌おう。
何もないこの場所で、歌詞も知らない誰かの歌を。
トラックは、先の見えない道を進んでいく。]**
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[雷門のじーさんは、 杖がなきゃ歩けなかったはずだ。
今朝は何の連絡もなかったのに。
俺の目が間違ってなけりゃ、 じーさんは何も持たぬ両の手を 前の方へだらりとたらし、 ふらふら歩いてる様子がみてとれる。 こっちにはまだ気づいていない。
――畑のある方へ向かっている。]
(20) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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……歩けるように、なったのか?
[もしかしたら万が一、いや、 億が一ぐらいの可能性で そういうこともあるかもしれない。 それならいい。 それならいいんだが。
確か、体液に触れるとだめ、だったか。 考えが及んでいなかったが、 例えば、野菜に付着した体液の経口摂取でも あるいは、感染してしまうのかもしれない。]
(21) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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[ゾンビを殺したら ひとごろし?]
(22) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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[いつだったか、随分前に そんな投稿がされていたことを思い出した。]
くそっ、
[ハンドルに拳を叩きつける。 ふーっと息を深く吐き出してから、 首に巻いていたタオルを外し、 頭の後ろでしばるようにして、目から下を覆った。 軍手をして、助手席においていた鎌を手に握りしめる。]
(23) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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『目が悪い』『音に反応して攻撃してくる』 『頭部殴打で死ぬ』『足は速い』
[SNSに投稿されていた情報を一つずつ思い出しながら、 車のドアを開いた。
それほど大きな音を立てたつもりもなかったが、 バンとドアを閉める鈍い音が向こうまで届いたのか、 じーさんはびくりと肩を震わせ、一瞬動きを止めた。
ぬるぬると、滑りそうになる鎌の柄を両手で握りなおす。 目が合った、瞬間。 こっちに向かって走り出してきた。**]
(24) 2020/10/26(Mon) 22時頃
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[ はじめに目に入ったのは、
ぼとりと無造作に取り落とされた、
赤と肌色の入り混じった物体だった。
よく見たらその先端は五つに枝分かれして、
つまり人の手と同じ形をしていた。
ほんの今まで齧りつかれて
ところどころ白い骨が見えていた。
ひいっとジャーディンが小さく叫んだわ。
すると、ゆらゆらと揺れていた細い影が、
首を無理やりに傾けるようにこちらを見た。
そして、わたしたちを見つけた。
ず、ずずと足を引きずって、
それはゆっくりとこちらに近づいてくる。
穴の開いた顔をこちらに向け、細い腕を伸ばして。]
[ 足がすくんでいる様子のジャーディンを、
わたしはぐいと逆方向へと押したわ。
ノーリーンがやってくるのとは逆へ。
奇しくもそれはリビングのほうだった。
キッチンの勝手口を抜けてガレージに行ける。]
いいわね、隙を見て車を出しなさい。
そして逃げるの。どこか遠くまで。
[ わたしがこれだけ言うのに、
ジャーディンはいやいやと首を横に振った。
わたしの腕を引くの。強い力で。
その間にもノーリーンは距離を詰めたわ。]
[ わたしは強い口調でそう言った。
ノーリーンははっきりとこちらを見ていた。
いっしょに行こう≠チて、
この期に及んであの子が駄々をこねるの。
でももう無理よ。見つかってしまったもの。
この廊下の先に続いているのはリビングで、
そこにはチビちゃんたちがいるはずなのよ。
そんなの、だめに決まってるじゃない。
ジャーディンときたら、
本当に一度言い出すと聞かなくてね、
きっとこれは娘に似たのね。だって……、
あら、この話って前にもしたかしら。]
[ わたしはノーリーンの眼前に、
自らの左腕を勢いよく突き出した。
ああ、少しかっこつけちゃったわ。
みっともなく腕は震えていたんだもの。
ノーリーンがそれに、
素早く崩れかけた顔を寄せるのと、
ジャーディンが何かを叫びながら、
千切れそうな勢いでわたしの腕を引くのと。
たぶん、ほとんど同時だったわ。
わたしの体はふたりで半分こできないし、
つまり、わたしは彼女に噛まれた。]
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「おーーーい、ペンキ持ってきたぞ!」
よっしゃレン、ナイス! んじゃ頼む!
[白いペンキを持ってきたダチ、レンの前に、皆、学ランを広げた。 レンはその背に、大きく一文字、漢字を書いた。]
『斃』
[無駄死にになるかもしれない。 むしろその可能性のほうが高い。 それならば、せめて一矢でも報いたい。]
(25) 2020/10/26(Mon) 22時半頃
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[ こんな皺くちゃでまずそうなお肉で、
なんだかちょっと悪いわねえ、ノーリーン。
もちろんその瞬間のわたしに、
そんな余裕なんてこれっぽっちもなくて、
わたしは喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
お隣のご主人、
よくクーパーに噛まれて堪えたわよね。
わたしなんてもう半狂乱になっちゃって、
ジャーディンが一瞬怯んで力を弱めたくらいよ。
ひいひいとわたしはあえいでいたわ。
痛くて痛くて泣いちゃいそうなくらい。
でもね、わたしの顔を覗き込むあの子が、
あまりに痛々しい顔をしているから、
ほら、Nanaとしては泣いてられないでしょ。]
[ ノーリーンはまだわたしに夢中だった。
わたしという肉に。今がチャンスだった。
一向に動く気配のないジャーディンに、
わたしは声を詰まらせながらも言ったわ。]
……行くのよ、ジャーディン。
どこか、どこか遠くまで……、
そうね……、西がいいわ。
ずうっと西へ……どこまでも……
それが、わたしの最後のお願いよ……
[ いつもお願いを聞いてくれたじゃない。
とうとう涙をこぼしだしたジャーディンに、
わたしは何と言ってやればいいのかしらね。
ねえ、これがわたしの最後の役目だとしたら、
わたし、本当に光栄よ。信じてくれるかしら。]
[ けどね、わたしも人間だから、
最後に少し欲が出ちゃったのね。
お別れを惜しんでいる暇はないというのに、
最後にどうしてもこの手であの子に触れたかった。
痛みで全身がひきつけでも起こしてるみたいに、
無事の右手を伸ばすのも一苦労だった。
今日はちゃんと撫でさせてくれるのね。
少し固い髪も、丸みの減った滑らかな頬も、
全部全部、わたしの宝物だったわ。
わたしがいなくなっても、わたしの宝物を、
この広い世界を漂う見知らぬ誰かが、
守ってくれますように。愛してくれますように。]
……あなたはとても素敵な子だもの。
きっと助けになってくれる人がいるわ。
愛してるわ、ジャーディン。
あなたのことが大好きよ。
……だからどうか、生きて。
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