159 せかいのおわるひに。
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[お兄ちゃんは、やりたいことはない? そう聞こうとしたら、お兄ちゃんに質問された。 私はこっくり頷く]
うん。ちゃんと火事だー!って知らせながら火をつけたし。 錠先生がいたけど、ちゃんと気づいて出てきてくれたよ。
[やりたいことだったけど、さすがに誰かを焼き殺すつもりなんかなかった。 そう言うと、お兄ちゃんはおろおろしはじめる]
フランクさん?
[それが、お兄ちゃんのやりたいこと? 私はまたこっくり頷く。お兄ちゃんに見えないのはわかってるけど、癖なんだから仕方ない]
うん、いいよ。 一緒に探そう。
[お兄ちゃんは私のお願いをかなえてくれた。 今度は、私がお兄ちゃんのお願いをかなえる番だ]
(55) 2014/01/22(Wed) 22時頃
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ーー 少し前 ーー デメテルはずっと我慢してたから、ね。
[未だ消えない妹への負い目から少し暗い声だったけれど 彼女がやりたいことをやれたなら、変だと笑われてもやはり嬉しい]
そっかぁ
[お兄ちゃんと一緒にいられたら>>54それには答えないまま微笑み相槌を打って撫で続ける 僕もそれだけでいいと、君さえいればいいとは言えなくてーーその時思い浮かべた人がいた*]
(56) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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― 稽古場 ―
「何故…、何故…、貴方が死なないといけないの!」
[狭い舞台で台本を片手に、ジャージを着た女性が...に呼びかける。]
異な事を言うね、君は。
人はいつしか必ず、死ぬんだよ。
産まれた時から、必ずね。
[同じく、台本を片手にこちらも薄手のTシャツを着ただけの...が言い返す。そんな事を言っている訳じゃないと言う類の台詞を投げかけられれば、こちらも返す。]
どれだけ怠惰に過ごそうとも、
勤勉を務めようとも、
人に与えられた時間は、寿命という個々の器に入った運命の砂時計の、砂が落ちきるまででしかない。
たまたまそれが僕には――
[照明の光を浴びて、吹き出た汗が流れ落ちる。一生懸命に役を演じる――のではなく、役を演じる自分を演じている。
その違いが以前はなかった。
云わば学芸会の劇。きちんと演じられる役者であればよかったものと、一流の演劇とは決定的に違う。]
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しかしよく燃えてるもんだな。
[これだけ燃えていると実は手抜き構造じゃないかと勘繰ってしまう。 裏を一通り見てみたが、人の気配はおろか、動物の気配もない]
大丈夫か。
[安全は確認した。人の気配もない事も確認した。 裏からひょいと表の校庭を覗くと、数人の人影があった]
トレイル…? あ、デメテルちゃんか?
[遠目だが、犬を連れて棒の様なものを持っているのは トレイルだ。 無暗に出てくるはずはないし、何より他の人影と親しそうに 重なって見える。 それが女性のシルエットだと思えば答えはおのずから]
(57) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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良かった、出会えたんだな。
[ホッと胸を撫で下ろした。 別れたまま終わるなんて、そんな結末は嫌だ。 これで安心して。 安心して]
(58) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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2人を殺してあげてもいいよな?
[何処で自分がおかしくなったのか判る筈も無い。 自分がおかしくなっている事にも気付いていないのだから。 ただ自分の知らない間に物語が終わるのが嫌だった。 苦しんだり、悲しんだりしたまま終わる姿は見たくなかった。 一番美しい……心清らかな時に終わらせたかった。
誰にも理解される筈の無い身勝手な想い。
それでもその想いを止めるものは今は何処にも無かった]
(59) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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僕は思うんだ。
殺されるというのは、未来を奪われる事じゃないんだ。
[演劇の主演という存在は、物語の主役である。
が、芸能の主演はそうではない。
観客がそれを見に来る一番の目的である存在である。
上手い下手ではない。その人間に惹かれ、魅せられるからこそ、見に来るのだ。
どんなドラマや映画を見ていても、物語が面白かったよりも、期待していた見に来たその人が、その人であって本当に良かった――そう思える存在。
嘗ていた世界で、主役として光り輝いて行った存在達は、大概がそうだった。台本を読み込んで諳んじるよりも、時代背景の設定周りの勉強に励むよりも、大事だったこと。それに気付けなかったから、輝けなかった。産まれついて持っている者もいる。周りから与えられる者もいる。どっちでもない以上、自分で手に入れるしかない。]
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[今の最優先事項は、再会した兄妹の。 赤ちゃんから知っていた兄妹の最期を。
自分の手で。
きっと2人は最後に出会えて喜んでいるだろう。 その想いを抱いたまま殺してあげよう]
あ、ドライバー忘れてたな。
[苦しむ事無く殺すにはどうしたら良いだろう。 そこまで思ってドライバーを トレイルに預けていた事を思い出す。]
(60) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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睨むなよ、先生だって歳なんだから。
[デメテルに睨まれて苦笑する。 ただ、歳ではなくてなかなか顔を目にしなかったクラスメイトの顔と名前がそう簡単に合致するわけではないのだ。 特に、元より名前と顔を合致させることが苦手なこの男には尚更。]
(61) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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ありがとう、ごめんね
[危ない火事現場で人を探すことに妹を頼るなんて兄としては有り得ない、けれど自分にはそうするしか無かった 情けなさと申し訳なさを抱えながら彼女の頭から手を離す]
じゃあ、行こうか
[フランクが既に自分達を見ていることにも、何を思っているのかも知ることなく どうか無事でいて、早く会えますように、祈りながら歩き出そうと]
(62) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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あちゃ、どうしよう。
[2人とも大切だから、痛い想いも苦しませたくも無い。 意識が完全に2人だけに向いていた。 そのせいだろう。 焼け剥がれた壁の一部が落ちて来る事に気付けなかったのは]
(63) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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死ぬまで生きる事――それはどんな人間だって変わりは無い。
そう思えば、死ぬという事がわかっているというのは割かし幸運の類だろう。
[中身の希薄な台本。この劇団の脚本家志望の青年が必死に手直しを重ねて練り上げられた脚本。国語の課題ではないので、この内容を理解する必要は無い。キャラクターに投影して、彼の思考になって言葉を発する必要は無い。努力の使いどころが異なっている。]
でもな! でも僕は……
『火事だぁぁぁぁぁぁ――――っ!!』
[舞台裾からタイミングを見計らって叫ぶ声。]
ふふ……もう時間、だね。
さあ、もう行くんだ。
「僕は、なに?!」
いいから!! 行くんだ!!
[遠くからでもわかるように大きく首を横に振って、ジャージの女性の背中を押す。触った程度なのに大袈裟に突き飛ばす所作をするのが微かに引っかかったが、意識の外に追いやった。]
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があっっ!!?
[後頭部に衝撃を感じた時には膝が崩れていた。 痛みや熱を感じる間も無い衝撃に地面に倒れ込む。 目から火花が出るとはこの事だ。
一瞬真っ白に染まった視界が今度は紅く変わる。
何が起きたかと頭を起こそうとして、ぐわんぐわんと 炎が回る様なめまいを感じて起こす事は叶わない。 いや、身体を動かす事が出来ているのかも怪しい]
は……あれ……これ…天罰って…奴…か?
(64) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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……ああっ
[ぺちん、という音と、変な声。>>44>>50 自分が叩かれたわけでもないのに、ちょっとだけ顔をしかめてしまった。
いかにも、教室の中で繰り広げられていそうな光景がそこにはあった]
………ま、まぁそんなに睨まないであげてよ。
[たしなめるような顔と、声。 デメテルが、酷いと言ってくれたから、そんな顔を取り繕うことができた]
よかったぁ……。
[錠の方に怒ろうとかいう気はないと聞いて、ほっと息をつく。>>46 これは、本心からの顔と、言葉]
(65) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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うん。
[お兄ちゃんの言葉に、またこっくりと私は頷いた。 キャサリンがお兄ちゃんに会いたがっていたことは覚えてた。だけど、お兄ちゃんは本当に心配そうで、その原因は私が学校に火をつけたせいで、だからそっちを優先すべきだ。 フランクさんが見つかったら、キャサリンにお兄ちゃんを紹介しよう]
謝らなくていいんだよ。 だったら私も、探しに来てくれたこと、謝らなくちゃいけなくなっちゃう。
[探しに行くっていったのに、探しに来てくれたのはお兄ちゃん。 お兄ちゃんは火事で心配してて、その火事を起こしたのは私。 私の方が、謝らなきゃいけないことがいっぱいだ。 すぐ謝るお兄ちゃんを、めっ、とたしなめながら]
ここで別れたの? どっちの方に行ったか、お兄ちゃん、わかる?
[お兄ちゃんは見えない分、気配には聡い。 フランクさんがどっちに向かったのかわかるか尋ねながら、歩き出そうとした]
(66) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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「兄さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
[ジャージの女性が叫ぶ中、背を向けて駆けて行く。付け火の中で焼け死ぬ役。ここで章が代わる。]
『はい、カァァァァァァァァァァト!!』
[都会でのホールでの開演までの微調整。彼らにとっては一旗上げる為の場所。自分にとっては、次の舞台に上がる前の最後の場所。]
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[勝手に人の物語に手を出して、 勝手に物語を書き変えて。 勝手に物語を終わらせようとした]
俺への罰…って奴か…。
[これが俺の物語の最期なのか。 背中が熱いくせに目や頬を伝う液体は生温かく、 口の中が鉄臭い]
(67) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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ううん、隠れられるようにって植え込みの裏に僕を置いて…… だから、分からないんだ
[しゅんと眉を下げながらデメテルに答える>>66火事と聞いて気が動転したというのも大きく つまり当てずっぽうに行くしかなく、少し歩いた時に]
……今、何か
[声が聞こえたような気がした>>64がデメテルにも届いたかは分からない 嫌な予感がしてさっと青ざめる]
(68) 2014/01/22(Wed) 22時半頃
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お疲れ様でしたー。
[笑顔で監督以下、劇団員に頭を下げる。誰かからバスタオルとスポーツドリンクの入ったボトルを貰い、例を言う。]
「じゃあ夕飯休憩して、もう一度通し稽古な。その前に…」
あ、僕。夕飯買って来ますよ。
どこかリクエストありますか?
[アルバイトでも、演劇場でも変わらない。受け入れられやすい自分でいる。じゃあ嘗て受け入れられなかった自分は今、どこで何をしているのだろう。*]
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[震える手が足掻きながらも地面を掴む。 そのまま何とか先程兄妹を見た方向から反対へと逃れようと。
ここは危険だ。
落下物も炎もある。
自分を見つけたら、彼らも巻き込むかもしれない。
これは自分への罰かもしれない。
兄妹の最期に手を下す事も、最期を見届ける事も。 星の最期を見る事も許さないと。
それならせめて自分の罰に、トレイル達を巻き込まない様に。
ゆっくりゆっくり這い、遠ざかろうとしていた]
(69) 2014/01/22(Wed) 23時頃
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[ジャケットの端が焼け焦げたのは大丈夫だって言ってたし、 ちゃんと写真も渡せた。
大事そうに写真をしまい込む錠を見ていると、 ふいに涙が出てきそうになって慌てて目をこすった]
寂しいなぁ……。
[顔と名前がすぐに合致するほどに覚えてもらえなかったことが? デメテルは、会いたかった人――兄に会えて、 ああして笑顔でいるのに、 自分はそうなれていないことが?]
(70) 2014/01/22(Wed) 23時頃
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そっか。
[火事で、慌ててただろうに、フランクさんはお兄ちゃんにずいぶん気を使ってくれたらしい。 会えたら、色々お礼を言わなくちゃ]
運動場の方に来てたら気づいたと思うんだ。 だから、反対の方かな。 ……!?
[あてずっぽうで歩き出すお兄ちゃんについていくように、歩き出した時。 今何か、鈍い、声みたいなのが。 思わずお兄ちゃんの方を見る。 お兄ちゃんにも、聞こえたみたいだった]
(71) 2014/01/22(Wed) 23時頃
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キャサリンは誰か一緒に過ごしたいやつとかいねぇのか?
[自分は写真が戻ってきたからいつ死んでしまっても悔いはない。 ただ、目を擦り、寂しいと呟いたキャサリンのことが気になって、そう問い掛けた。 心配して、或いはただの好奇心で。]
(72) 2014/01/22(Wed) 23時頃
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[何も返さない妹>>71聞こえていないならどうしたのとぐらい言うだろう だから彼女にもきっと届いていて聞き間違えではなくて、つまり]
デ、デメテル……フランクさんが…… 違うよね、大丈夫だよね。ああ、お願い声がしたほうに連れて行って
[震える手が杖を落とす、声は泣きそうに言葉は冷静さを失って ドライバーはポケットの中に、彼に渡されたその重みと妹だけが今は心の拠だった]
(73) 2014/01/22(Wed) 23時頃
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………気になるんですか?
デメテルといい、みんな、こういう話題、好き……なんでしょうか。
[とはいうものの、錠のことだから、きっと少女を心配してくれているのだろうとは、分かっている。 でも、思いを正直に伝えてしまえばどうなるのかは、分からない。
職員室でデメテルに訊かれた時は、ふと思い浮かんだだけのそれは、 今はすっかり少女の中できちんとした形を成していた]
そうですねぇ、世界が終わる前に、もう一度、 先生の授業が受けたかったんですよ、……なんて。
もう叶わなくなっちゃいましたけど。
(74) 2014/01/22(Wed) 23時半頃
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[お兄ちゃんの手が、杖を落とす。杖を失った手を、私はぎゅっと握り締めた]
う、うん。
[唇を噛み締めて、私は頷く。きっと気のせいだ。気のせいであってほしい。でないと……でないと。 フランクさんが、火事のせいで、危ない目にあったら。 つまり、それは私のせいなんだ。 だから、きっと大丈夫。大丈夫でないと、いけない]
たぶん、こっち。
[唇を噛んだまま、私は何かが聞こえた方へ歩き出した。 お兄ちゃんの歩調に合わせるのには、慣れてる]
(75) 2014/01/22(Wed) 23時半頃
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>>41そうですか―。
[その表現がお空の星と対して変わらないことは流石に承知している。思うところもあったからだ。
だが今となっては、見守ってくれとも思わないし。 これについてはそれ以上の言葉は無かった。]
(76) 2014/01/22(Wed) 23時半頃
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[杖を落としてもドライバーは落とさないまま、ぎゅっと握る 今、心の拠はこれと妹だけ。きっと何事もなく会って返すのだと自分に言い聞かせて
それでも一向に収まらない不安。それは燻り燃え盛り大きくなっていくばかりで 飲み込まれてしまいそうだと思った]
(77) 2014/01/22(Wed) 23時半頃
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[ハーネスとドライバーを一緒に持つのは少し大変、けれどこれは離すわけにはいかない 妹の華奢で小さな手を握り返す>>75出来る限り早く、彼女に先導されながら歩く]
フランクさん……
どこですか、フランクさん……
[幾度も名前を呼びながら]
(78) 2014/01/22(Wed) 23時半頃
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