262 【突発誰歓RP】聖夜におうちに帰れない村
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[青年とも少年とも。否、 世の中のことも、近くにいるはずの。 たった、一人の祖母のことさえも知らない子供は。
冬の夜を、雪の街を。 駆ける、駆ける。 機関車のように。
白い息を、蒸気のごとく吐き出しながら。]
(56) 2016/12/22(Thu) 00時半頃
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[途中見た、暗がりの公園の痴話喧嘩は。 痴話喧嘩と呼ぶには男女の組み合わせがちぐはぐな。
それでも子供が気にもとめないのは、 世間知らずのせいか、あるいは。
そもそも終着駅まで無停車の、暴走特急だからか。
指先に負けないくらいにかさついた唇を、 ぽっかりと開けながら。
しゅっ、しゅっ。ぽっぽ。しゅっ、しゅっ。ぽっぽ。]
(57) 2016/12/22(Thu) 00時半頃
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[時計の針は左から、天井に向かい、そして。 ゆっくり、ゆっくり、右に傾き始める。
足も手も。寒さにこごえて、棒のよう。 薄く敷かれた白い絨毯を。 それでも、ぎゅっぎゅ。と、踏みしめながら。]
(58) 2016/12/22(Thu) 01時頃
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[這いつくばって眼鏡を探していれば、 そういえばとさっきすっぽ抜けた置き時計(重い)のことも思い出し。
プレゼント交換にはひどく微妙なチョイスのそれが、 凶器となって誰かの世界をぶっ壊していることなんて露知らず。>>54
その直後、鳴り出したアラーム。 それはもう、たいへん心当たりのある音でございまして。 クリスマスソングの籠められた封印が解き放たれ、 高らかに聖夜を、これでもかと聖夜を歌い続ける。
見つからない眼鏡は諦めて、先に音のするほうへと向かった。 一刻も早く止めなくては、騒音被害で逮捕されて裁判にかけられて有罪食らってギロチン刑かな。 そんな感じのオーバーな恐怖を抱きながら。]
(59) 2016/12/22(Thu) 01時頃
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[>>55音の元のそば、何かが——よくわからない何かが、雄叫びを上げてのたうち回っているようだ。 眼鏡がないのでこの視力0.01以下の女は何も見えなくて。
ああ、これこそが都会のモンスター! 縄張りに足を踏み入れた瞬間、か弱いあたしの身は粉々に砕かれ、引き裂かれ、 焚き火で炙られてこんがり焼かれてバーベキューにされちゃう……!
と、おぞましい死の恐怖に目の前が眩みそうになりながらも、 目覚まし時計の音は鳴り響き続ける。
どうしよう、と踏み出せないでいた最初の一歩。 ひとまず足元を探り、冷たい木の枝を見つければ拾い上げてそれを構え、勇気を抱いておそるおそるモンスターに立ち向かわんと駆ける!]
……殺られる前にッ、先手必勝ッ!!
[——長くて短い聖夜も、もうすぐ明ける時が来るよと、 時計はそれを教えるかのように騒いでいた、のかもしれない。*]
(60) 2016/12/22(Thu) 01時頃
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[冬の、深く長い夜をゆく。 その、頼りない夜行列車の終着駅は。
冷えて流れる、家からも、イルミネーションからも。 公園からも、川からも。 遠く離れて、橋を三つばかり越えたところ。
ざざん。ざざん。と、夜に泣く。 いまだ雪を吸い込む海のほとりにあったようで。]
(61) 2016/12/22(Thu) 01時頃
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……っ、ばーちゃんっ!
[そう呼びかければ、 夜の黒よりもさらに昏い黒。 そんな色した小さな小さな人影は。
−−もそり、もそり。 野暮ったく動いて、それから。]
「……す……す、む……?」
[子供の名前を小さくつむいだ。]
(62) 2016/12/22(Thu) 01時頃
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[それは、麻のリボンと、黒の包装でもって。 とっても辛気臭いものだったけれど。
それでも、たしかに。 その、少年にとっては。
神か、あるいは救いの御子か。 さらには、聖夜にやってくるという、 かつての聖人からの、
贈り物に他ならなかった。**]
(63) 2016/12/22(Thu) 01時頃
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