254 東京村U
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/03(Mon) 02時半頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2016/10/03(Mon) 02時半頃
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―東村山市・李沢宅―
ただいまー。
[一二三は自宅に戻ると母親から昨日帰宅しなかった理由を問われる。]
あ、新しいバイトの面接と、友だちがちょっと困っててね。 今からちょっと学校顔出してくる。 その後バイト。
[一二三は階段を登ると、]
(21) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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今度のバイト、もしかしたら『姉ちゃん』の行方、わかるかもしれないし。
[ぽつりと呟いた言葉に、母親は一瞬動揺は隠せず。 何かを落とした音を尻目に急いで学校へ行く準備をした。]
(22) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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─ 新宿駅西口付近 交差点 ─
[死傷者が複数出て、新宿の一角は騒然となった。
事故現場の写真や被害への衝撃を受けて ツイートなどが一斉に広がった。
ただ、その話題がワッと拡散したのには、 ひとつ、奇妙な情報が、 付加されていたせいもあった。]
(23) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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[ 『トラックを運転していたのはカラスだった』 ]
(24) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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―副都心線―
[そんなこんなで、重役出勤での授業は終わった。 入間の姿はやはり無く。 まぁ、彼女の日常の態度からして一日休んだくらいで問題になることはない。後は、変な騒ぎに巻き込まれてないか、不安なくらいである。]
(25) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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――――えっ
[電車内のモニターを見て思わず声をあげる。]
(26) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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新宿…………マジかよ。
[新宿の交差点でトラックを巻き込んだ事故があったらしい(>>20)
一二三は入間にLINEで連絡をとる。]
(27) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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[運転席から大柄なカラスが飛び立っていくところを見た。 という証言が、複数あがったせいだった。
もちろん、ありえないという否定の声も多くあったものの、 カラスが引き起こした事故だ。という意見は消えずに、 噂と言われながらも、それはまことしやかに、広がっていった。]
(28) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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『入間、新宿で事故あったんだけど大丈夫か⁉』
『学校はとりあえず大きな問題は起こってないっぽい』
[そう送り、携帯をカバンにしまうと、新宿三丁目の駅に*到着した*]
(29) 2016/10/03(Mon) 02時半頃
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「……ねー、でさー! ほんとかなあ、アレ、カラスが運転してた、って!」
「まっさかーー、んなわけないじゃん! ホラー映画みたいじゃん、そんなあったら。 てか、怪談?」
「だよねー、まー、ありえないよね。 でも、マジだったら怖くない?」
「事故の時点で怖いっしょ」
「言えてる〜」
(30) 2016/10/03(Mon) 03時頃
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[女子高生だろうか、遠くない席から聞こえてくる話し声、高くよく響くそれに、やや意識が向く。西口交差点で起きた事故について、青年はスタジオにいる内に知った。スタジオを出て、解散するまでの合間、その未だ騒然とする現場の付近を通りかかっては、メンバーで軽く言及などしたものだった。 怖いな、と思った。事故や事件は本当にいつ巻き込まれるともわからない、明日は我が身かもしれない。そんな事を、人間は近く何かが起これば思い知り、そして、大方すぐに忘れてしまうものだ。自分もまたそうだ、と、思う。 奇妙な事故だ、とも思った。カラスが運転していた、だなんて、都市伝説の見本のような話、それが急速に広がっている様は、それ自体、非現実めいてすら感じられた]
(31) 2016/10/03(Mon) 03時頃
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[カラスの起こしたと噂されるその事故についてのニュースを、 鈴里が知ったのは、真嶋家が入居していたマンションを訪れた その後の話になる。]
(32) 2016/10/03(Mon) 04時頃
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[真嶋家のマンションに行った結果としては、マンション自体には 破損のようなものはなかったといえる。 ──もとより煤けているままに放置されたテラスを除いては。
その場の証言などを聞いてから、その後よった病院には、真嶋家の父親が来ており、軽く挨拶とお見舞いの言葉とを伝えてから、病院を辞した。
遠目に見た日菜子は眠っているだけのようでもあり、 ただやはりどこか生気がなく、 魂が抜けて透けてもいるように思われた。]
(33) 2016/10/03(Mon) 04時頃
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― 夕刻/新宿通り ―
[呪われてでもいるのだろうか。そうだとしてもそうおかしくないかもしれないけれど。]
……
出ないわねぇ……
[病院からの帰りがけに事故を知ったあと、鈴里は山岸の携帯にかけてみることを幾度か繰り返していた。 カラス、というキーワードが、山岸とつながってしまった。もしかして巻き込まれたのではないか。という推測は半ば確信めいて胸中にせりあがっていた。]
(34) 2016/10/03(Mon) 04時頃
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[通じない電話をかけ続けることを一時あきらめて、顔を上げる。ガラスばりの喫茶店の中をなんの気なしに覗く。]
…あら
[つと、中に見えた人影に、 歩く足を止めた。]
(35) 2016/10/03(Mon) 04時頃
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[さして迷う時間もおかずに、店内に入る。店員の視線に、一席を見やって案内は断った。 そのまま目元の隠れた青年が座っている席へゆっくりと歩み寄る。]
… ドリベル様?
[いくらか、昨日よりもどこか憔悴して見える青年へと、昨日調べて知ったばかりの名で呼びかけて、眼鏡の女は首を傾げた。]
(36) 2016/10/03(Mon) 04時頃
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[事故の話に向いた意識は、留まる事なく逸れる。青年には、それ以上に考えるべき事が、考えたい事があったからだ]
[数本灰皿の脇に転がした煙草、その一本を拾い上げて咥え、やはり傍らに置いていたライターにて火を点ける。細く紫煙を吐き出しながら、思考を巡らせる]
[…… 考えるといっても、 もう、その形は固まりつつあった。 あの子のおかげだな、と、その笑顔を浮かべて思う]
[自分は、……やはり、音楽を変えたくはない。 全く、でなくてもいい。なるべく、叶う限り。 その上で多くの人に聴いて貰えたならと、 伝える事が出来たのなら、と思う]
[だから、メジャーデビューについて、 敗走する羽目になるかもしれない、少し無謀な戦いとして、 挑戦、として、踏み出せたら、なんて、]
[きっと、わがままで、勝手な、想いだけれど。 素直なところの自分の気持ちを、 近く、切り出してみようと、思った]
(37) 2016/10/03(Mon) 04時頃
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…… あ。
[そうして考えていたから。 近付く姿に気が付いたのは、声をかけられて後だった。はたりと驚き、呼ばわった姿を見て、もう一度、驚く。 短くなった二本目を灰皿に押し付け捨てて]
…………えっと、
[眼鏡をかけた女性、その姿に。 返そうとした言葉は、詰まった。どう返事をするべきか――どう呼ぶべきか、咄嗟には、思い付かなかったから]
(38) 2016/10/03(Mon) 04時半頃
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[驚いて、それから言葉に詰まった様子に、 にこりと笑った。]
外から貴方の姿が見えたから、 ナンパをね、しにきたの。
座ってもいいかしら。
[小首を傾げて許可を求める。顔は相変わらず笑ったまま、説明と名前を呼ばずとも答えられる質問を並べて少し待った。]
(39) 2016/10/03(Mon) 04時半頃
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……先、越されちゃったな。 今度会ったら、またナンパしようかと思ってたのに。
うん、勿論。
[笑う彼女に、また少しの間を置いて、青年も笑い、冗談めかした。戸惑いはあって、聞きたい事もあったが、何にしても。また会えればと考えていたのは、確かだった。 向かいの席を手の先で示して勧め]
……バンド、調べてくれたんだね。
[そうして彼女が着席したなら、 ひとまずの切り出しは、たわいなく]
(40) 2016/10/03(Mon) 05時頃
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[許可にありがとう。と言って、 勧められるまま、手前の椅子を引いた。 青年の対面に足をそろえて座る。]
機会が先にめぐってきちゃったみたい 私が見つける方が少し早かったわ
[冗談めかせた口調で言って、目を眇めた。]
ええ。昨日のうちに。 聞いてすぐ、歌詞の情景が浮かぶところ 好きだなって思ったわ
……。ほんのちょっぴり少し試聴しただけだから 偉そうなことはいえないけれど
[あまり詳しくないから。と、バツが悪そうに付け加える。 膝の上に鞄を、その上に手を重ねておいて]
(41) 2016/10/03(Mon) 05時頃
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────、ああいう音楽が広がっていくなら、 それもきっと素敵ねって、思ったわ
[そう添えてから少し──時間にすれば2秒足らずほど、間があった。視線が下に一度落ちてテーブルの上をなぞり、青年の長い前髪に戻った。]
… 笹本くん、よね?
[確認を取るように、そう、ぽつりと。 声が板の上に転がった。]
(42) 2016/10/03(Mon) 05時頃
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[視線が下を向く、薄く開いた唇から細い息を長く吸った。 微かな煙草の匂いが深く肺まで届くようだ。]
……石見 妙子ちゃんって、名前。覚えてる?
小学生のときクラスにいた、 もうひとりの、
"みょんこちゃん"
(43) 2016/10/03(Mon) 05時半頃
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有難う。嬉しいな。
[曲の感想を貰えば、返す笑みは今度は繕いのない、ぎこちなさをひそめたものになった]
多くの人に聴いて貰えたら、 一人でも多くの人に、……伝わったらって。 思って。
[言葉には先の思考も滲み。 ただ、全ての緊張を失くしはしないままに、青年はつと彼女を見据えた。聞いておきたい、と思った。聞かなければ、と思った。会った事があるかと、もう一度、 その名を、もう一度、]
え、
[そうして思い切って口を開こうとしたところで。先に相手から出た一言に、拍子、間の抜けた声が漏れた]
(44) 2016/10/03(Mon) 05時半頃
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……そうだよ。 ボクは、笹本樹、だよ。
[静かに、低く、返答の声は空間に落ちた]
[キミは、
そう続けかけた。あえて言い切らない断片。だがそれは、そもそも一文字さえ音にはならなかった。その前に彼女が言葉を継いだからだ。 覚えている? その問いに、すぐに返事は出来なかった。 記憶から引き出され揺蕩っていた名、 それとは別の名、 ただ、同じ「呼び名」を持った、]
(45) 2016/10/03(Mon) 05時半頃
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[随分高くなった空、 現のそれとは裏腹に、 鮮烈に青い一面の色が、 白く灼けた世界と目が眩む黒の影が、 にわかに、脳裏に広がった]
[耳元で蝉が鳴いている、 ような、気がした]
(46) 2016/10/03(Mon) 05時半頃
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……
[否定にも肯定にもなり切らない、沈黙が、 はじめに返した、こたえ、になった]
(47) 2016/10/03(Mon) 06時頃
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[古い、地面が近くて影も近い頃の記憶だ。 思い出せなくても、無理はないくらいの。 覚えていると期待を持つほうが愚かなくらいの。]
(48) 2016/10/03(Mon) 06時頃
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[青年の口から聞こえた名前に、知っていたことの確認がとれたような、ほっとしたような同時に、どこか困ったような曖昧な表情が浮かぶ。]
… はきはきしてて。委員長気質の仕切り屋さんで、 それで、なかよく…してもらってて、… 覚えてないなら、それでいいんだけど
[鈴里みよ子とは、ずいぶんと違うもうひとりの、 石見妙子の説明を挟みかけて、ただ、途中で息を吐いた。]
それで、いいんだけれど。
["その方が"とも取れる響きで零して首を横に振る。]
(49) 2016/10/03(Mon) 06時頃
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……たえちゃん?
[沈黙の後。ぽつりと呟き名を呼ぶ声は、昨日のそれとは似て非なるものだっただろう。疑問符の形の語尾には、異なる色が滲んでいただろう]
覚えてるよ、……覚えてる。 でも、
[変わった、という印象。 勘違いした、という認識。 どちらも言葉にせず、呑み込んで]
……わからなかった。
[代わりに零したのは、そんな一言だった]
(50) 2016/10/03(Mon) 06時半頃
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