75 サプリカント王国の双子
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―仮取調室―
[バタバタと男が駆け込んできて、目の前に座っている男へ耳打ちをする。
耳打ちされた男は、驚いたように目を丸くして、こちらを見てため息をついた]
『先の事件と関わりがあるかどうかはわかりませんが―
シルヴァーナ王女の世話係であるブローリンさんが襲われたそうです』
[告げられた新たな事件に、眉を寄せる]
ブローリン…ハンスさんは、無事なんですか?
『辛うじて一命を取り留められたそうですが、相当重症だそうです』
そうですか…いえ、生きておられただけでも、よかった。
[ベネディクトを見つけたときのことを思い出す。
いや、正しくは彼の傍に倒れていた使用人の様子を。
命取り留めたといっても…大事でなければいいが、とため息をついた]
で。
その犯人もボクだとでも?
『いえ、グレーアムさんには犯行不可能なことは、
我々…警察が証人です。この件で疑うことはありません。
それに、先ほどあなたとの監視役の証言で、
ファトマさん殺害実行犯でないことも…確認されました』
つまり。
女王陛下殺害の嫌疑のみ、ボクに残っていると。
『そうです』
そう。
それじゃあ、陛下を殺害したのと、
ベネディクトさんを殺害したのと、あの人…
ハンスさんを襲ったのは別の人だっていうわけですか。
『それも、わかりません』
でもあなたは…いや、警察は現にボクを陛下殺害の犯人として
こうして疑っているわけでしょう?
『ですから、それはあくまで可能性の話であって』
まったく、あなたとは話にならないな。
まあ、いい。ボクがここに居る限り、
今後何が起きてもボクの潔白はあなた方が証明してくれるわけだから。
[まったく、興醒めだ。
あわよくば国王の座をと思っていたが、それどころではない。
このままでは一族のいいお笑い種だ。
空を見て、いい日になりそうだと言った瞬間が、恐ろしく遠くに思えた]
なんて厄日だ―……。
[ふてくされたように椅子に背を預け、舌打ちを一つ**]
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―姉王女の部屋―
笑われてしまいますよ。 一国の王女様が、唯の民に願いを問うなどと。
[手入れのいき届いた美しい黄金色の髪を撫でる。 崩れかけた赤い花飾りへ触れようとして、 けれど其れは触れてはならない場所のように感じて、 そっと腕を下ろす]
そうですね。 それでも、あなたは。貴女様は…。
[望む役の名を問われ、浮かぶ笑みが困ったように歪んだ。
どうか自分なんかにそんなに優しく、しないでほしい。 僕はただの、身勝手で我儘な人間なのだ。 静かに死に行くだけの、人間なのだから。 …希望を持てば、悲しくなってしまう]
(100) 2012/01/18(Wed) 00時半頃
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――――――……。
[天井を仰ぐ、数瞬。
一度伏せられたオリーブ色は、 相手を見つめながら真っ直ぐに向き直る。 片膝を床につき、跪く仕草。 生成りを流して一度頭をゆるりとさげて、 あげる顔と共に、彼女へそっと片手は差し出される]
(101) 2012/01/18(Wed) 00時半頃
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この手をとってくださるならば。 あなたを、想い愛することを誓いましょう。
…共に。 それが僕の願いにございます。
(102) 2012/01/18(Wed) 00時半頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/01/18(Wed) 00時半頃
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[果たして其れは、気紛れか、打算か、それとも。 太陽を奪おうとした小さな蝶。燃やされたのは命ではなく心]
あなたは、うつくしい。
[囁く声は、儚い慈しみを込めて]
(115) 2012/01/18(Wed) 01時頃
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[―――――…何一つ、揺らぐことはない]
(116) 2012/01/18(Wed) 01時頃
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[重ねられた手。薄く微笑めばその甲へ口付けを]
…シルヴァーナ。
あなたは女王に相応しい、方だ。
[ゆっくりと立ち上がる。 並んで向かい合えば、目線は相手より僅かに上の位置]
兄は生きています。 この街には、とても腕の良い医者がいる。 きっと助かると、僕は確信しています。
[既に死んでいても可笑しくない自分。 まだ生きながらえているのは、 件の口は軽いが腕は良い医者の御蔭]
(117) 2012/01/18(Wed) 01時頃
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―――――――…、シメオンさんは。
[最初に出会った時、"王子様"のようだと評した。 その印象は、未だに変わってはいない。 城に来て幾度となく目にしたのは、彼だけの華を愛でる姿。
だからこそ。 その慈しみは刃にもなり得るとは、既に自分も辿り着いていた思考]
リリィは賢い子です。 余程のことが無い限り、誰かを傷つけることはないでしょう。
そう考えるならば。 そして一連の事件の起きた、このタイミングを考えるならば。
[シルヴァーナの言葉に、同意するように静かに頷く。 ちらと窓の外を見た。まるで泣いているような空。 …雨は、いつまで降りつづけるのだろう**]
(126) 2012/01/18(Wed) 02時頃
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