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ゾーイと道化だった男には未だ気付かずに**
メモを貼った。
…やれやれ。さすがにこの絵は俺も退くな。しかし、どうせならもう少し綺麗に… おい、どうした?気分でも悪いのか。あんまり大声出すなよ、それとも女の子に今のを見せてやりたいか? だとしたら随分と下卑た趣味を…おい、落ちつけって。
[長身の男が目の前で食われる様に声を上げた男や周りの者に、妙に冷えた頭のまま語りかけた]
…大体さあ…人間が人間を、だって? …違うね、あんたの考えてるようなのが人間なら、俺らはここで殺し合いを始めてからこっち、そもそも人間じゃなかったと。 そういう事じゃないのか?なあ…兄さんよ。
[男はどこか、楽しそうに足を進める。
進んできた道を帰ろうとしかけた時に、広場から来る二つの影を見つける。
建物の上からその行進を見下ろして、さてあの二人は死体を見た時どう反応するか、考えてみた]
無残な有様に泣き叫ぶのでしょうか。
死体に慣れて、なんとも思わないでしょうか。
死が多くなるにつれて、悲劇ではなく事故になる!
どこか感覚が麻痺して一つ一つの死には注意が払われない。
まさにそんな状況だ、とは言えませんが少し通じる気もしてきますね。
まだ女の霊が起き上がったことを知らず、建物の上からそうこぼす。
[口の中から銀細工が取り出されていることなど知らぬまま、
男は広場の方へ帰っていく。
無残な死体を作り上げた人間の、行方を探す様に
路地を覗きながら。]
しかしまあ… どうせ子々孫々に見取られつつなんてのは期待もしてなかったが、どうも体が軽すぎて落ち着かなくていけないや。
…見知った子の顔がこっちにない分気は楽だが、早いとこジャンナでもゲヘナでもいいから開いてくれないもんかね…なあ?前座が悪趣味なのは勘弁してやるとしてさ。
[誰にともなしに、近くの人間に聞こえる程度に呟いた]
メモを貼った。
[ふ、と。地獄の責めのような時間の末に潰えた男の意識は、再び浮かび上がる事になった。
最初はただ、ぼんやりとして、深い海の底でたゆたっているかのように、何もわからずに。段々と、音が認識出来てきた。話し声? 笑い声? 誰かの。そして、像が認識出来てきた。三法が閉じられた空間。散る赤。不穏な臭いが認識された、ような気がした]
……
[何だろう、と思う。本当に、何だろう。何か。そうだ、俺は、エリックだ。エリック・リンディ。人間。でもって、此処は、街だ。街の――そう、普段のそれではない街で。
悪夢のような世界。悪夢のような状況。
それで、俺は。ええと。何だろう? ぼうっとしている。夢から覚めた直後みたいだ。夢。ああ。もしかしたら、本当に夢、悪夢だったのだろうか? あのお化けに満ちた世界は。
思考はふわふわと、ぐるぐると、彷徨って]
……?
[頭を撫でられる感触
手の主を確認すれば、心地よさそうに目を閉じる
そうしたのも束の間で]
……モニカさん。
[コリーンが首を斬られる様子が目に入った
何を思い出したか、自分の首をそっと撫でる]
あ……ナサニエルさん。
[ナサニエルがモニカへと近付き
彼女へとかけた言葉に、数度瞬く
どういう意味だろうか
殺すのが悪い事ではない、という事か?
――それならば、自分を殺したあの骸骨は?]
[ゆるく首を横に振る]
知り合いかは、わからないけど。
ここに来たとき。
おかし食べちゃう前に会ったことある人。
[そう、説明をした直後だろうか
何処からか聞こえてきた声
男性に見に行くか、と問われたものの
首を横に振った]
ううん、あたしはここにいる。
ナサニエルさんは行ってきていいよ。
[既に死んでしまった身だ
行動を束縛するものなどないのだから]
[それは、生者達が辿り着く前だったか。
意識と共に浮かび上がった男の姿は、実体を伴っていなかった。肉体から切り離された、亡霊。男はその事実を、すぐには認識出来ずに。視界が徐々に鮮明になっていくのを、スクリーン投影のピント合わせを眺めているかのようなつもりで見ていた。
そして、それは、見えた。
赤い海。血だまり。何だよ、と思う。やはり夢などではなかったのかと、未だ酷い現実にいるのかと、落胆した。そもそも、本気で期待をしたわけでもなかったが。
投げ出された腕。大きく口を開けた傷。また誰かが殺されたのだ。誰が殺されたのか。考えながら、注視しようとして]
…… あ、
[声が、漏れた。吐息にも似た、間が抜けたような声が。赤い海の中に倒れていたのは、無残な死体は、紛れもない己自身だった]
え……な、……んで。
何、……俺、……俺が、……?
嘘、だろ。……
[極まる混乱に、頭を押さえる。己が死んでいるという事実を、すぐには了承出来なかった。なんで。俺は。死んだ? そんな。俺が。よろめくように一歩下がる。足音は、響かずに]
……――っ、
[目を見開く。唐突に、頭の中を映像が駆け巡っていった。そうだ、己は、死んだ。殺された。喰い殺された。お化けに、あの骸骨に。死に行くまでに浮かべた思考が、溢れるように思い出された。生じた感情も、共に。苦痛までもが蘇ったように感じられた]
……っひ…… っあ、……
あ……ああ、あぁぁ……!!!
[男は、叫んだ。無数の感情の奔流のままに。生者には聞こえない声で、叫んだ。そしてそのまま、走り出した。己の死体を越えて、脇目も振らずに。場にいた他の亡霊達が視界をちらついても、其方に注意を向ける事はなく、ただ、逃げるように]
[とんたん、ワルツのステップはもう足音を鳴らすことはない。
屋根の上での体重移動だって、決してなにものも軋ませないだろう。]
今なら高綱だって、スティルトだって、一輪車だって――
簡単に乗れるんだろう。
そしたら
[広場で別れてきたゾーイを思い出す]
ちゃんと、笑わせられたのかな。
[一瞬でも浮かべさせてしまった、嘘の笑みを思い出して。
けれどすぐに目を細めて首を振った。]
あの吸血鬼にも、言われたな。
誰の心も、打つことはない、だっけか。
その通りだと思うよ。
[口元を歪めた表情はどこか皮肉気。]
俺よか道化が残った方が、良かったんじゃないかな。
まだ笑わせられた可能性があったのに。
[今しがた去ってきた方から、叫び声
ただ肩越しに振り向いて、視線を向けただけ。
再び足を踏み出して人影を探すようふらりふらりと歩く]
メモを貼った。
[もう1人いた男性とともに何処かへと向かうのを見て
付いて行きたいと思ったけれど、
どうしても足が動かなかった]
[彼女が離れた頃
コリーンの遺体から半透明の女性が現れる]
っ、コリーン、さん……
[彼女の姿を認めてから
その場でどれだけ呆然としていたのだろうか
一歩、一歩、彼女へと近付く
足音がしないのは、今更だ]
コリーン、さん。
[此方に気付く気配のない女性へ一言だけ]
ごめんなさい……
コリーンに、何度も「ごめんなさい」と呟いた**
―裏通り:屋根の上から―
[見つけた時には、ちょうど打ち砕かれた人形
どこか硬質で透明感のある音が響いていた。
遠く、建物の上から見下ろす。
これを見る理由なんて、別にないのかもしれない。
ただ最初から人間に見えていた彼はどうなるのか、どうするのか。
行く先が気になって見ている。]
ラ・マヌカン嬢、ロキエ嬢が死んでしまった?
ぼろぼろの人形に見えていたけど――人間の時はそうでもなかったんだな。
[どこか感心したように呟く]
[血の跡をこぼしながら去る男
死体を撫でる男
そして2人組
今生きてるのはこれだけのよう]
随分と少ない数になった、な。
あの男を、殺すことを目標にしてるのか。
[公園の方へ進んだ、怪我を追ってる男。その背中を思い出す。
少し眉を寄せた。
幽霊が起き上がるならその様子を見てから、公園へと向かうだろう]
[男は路地裏から路地裏へ、何処までも走っていった。何かから逃れようとするかのように、追われているかのように。その左耳にクロスは揺れていなかった]
……くそ……
くそっ……あぁああ!!
[時折、吼えるように叫びながら。男の息が上がる事はない。心臓が激しく高鳴る事もない。男の精神は酷く煩く、だが肉体は何処までも静かだった。どれだけ走ったか、やがて男は足を止め]
……、……
[眼前に在る建物を見つめる。男が住んでいる、住んでいたアパート。扉に触れると、指先がすり抜けた。そのまま入ろうとする事はなく、男はアパートの前の地面に座り込み]
……う……うう、……
ああ……
[膝を抱え、顔を埋めるようにしては、呻き声を漏らした]
……やめろよ……
……やめろよぉ、……
[何に対してか知れないような、怯える言葉を吐きながら。
男は一人、*震えていて*]
メモを貼った。
[死んだ自分の遺骸を退屈そうに眺めていれば、不意にゾーイに声をかけられて跳ねるようにそちらを振り向く]
ゾーイちゃん……。
やだな、ゾーイちゃんが謝る事ないのよ。
謝らなきゃいけないのは私の方。
一緒について行ってあげれば……。
[そうすれば彼女を助けられたのだろうか、誰かの手から。
多分その場合は自分が先に死んだだけなのかもしれない]
ごめんねぇ……。
[悲しげに顔を歪めて、謝り続けるゾーイを抱き締める]
メモを貼った。
[暫くそうしているとモニカとスティーブンが広場にやってくるのが見えて]
あれ、モニカちゃん。
良かった、生きてたんだ……。
[ほっとしたように呟く、自分を殺した相手と終ぞ気づく事はなかっただろう]
ゾーイちゃん、私二人を見守りに行くわ。
一緒に行く?
[ぽんとゾーイの頭に手を置いて、彼女がついてくるのなら供に二人を追うつもりで]
メモを貼った。
[彼女が謝る必要はないのだ
自分がちゃんと逃げていれば
二人が戦う必要はなかったのだ
だが、抱きしめられればそれも言葉にならず
只々、首を振るのみ]
……うん、あたしも、行くっ。
何もできないけど、一緒に、行く。
[生者であれば何かできたかもしれないが
死者である自分には何もできない
ただ見守るだけ、それしかできない
そのまま、コリーンと共にモニカたちを追うのだろう**]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
ほう……。
[と、彼女はため息をついた。
ここは、どこだろう、と思った。
彼女は怒りに任せて能力を使い、そして、その後のことはよく覚えていない。
あの、お化け達はどうなったろうか]
[どれぐらい時間が経ったのだろうか……
再び聞こえたリンディの声
――……ぃっ!?
[でも、死体となった彼が動く事は有り得なく。
されど、この世界では“有り得ない事でも有り得る”のではないのか? だとしたら、死んだ人間――幽霊でも襲われるのでは?
と、いう妄想と思い込みが、此方を尻餅をつかせ後ずらせる。
脱兎の如く路地裏から走り去ると、木陰に逃げ込むと左手で脇腹を抑え、反対の手は木の皮を掴み嘔吐しようとしてしまう。
実際胃の中は空っぽだから、吐く事叶わず、吐き気収まらず、過呼吸に陥る。苦しい]
かっ、はぁっ……はっ、ひっ……ぁっ。
[大丈夫、喰われない、自分は死んでる、でも……もし、幽霊でも喰らうお化けが居たら? 怖い、喰われる?喰われる?消えてしまう?嫌だ、嫌だ、助けて。
そんな恐怖が心を捉え離そうとせず、またソレから逃れられない]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
[
眼下の死体を見下ろしていたが、男は後ろを振り返る。
先ほど聞こえてきた声の事を思い返して]
……死んでからも、恐怖に苛まれるのは
なんとういうか……救われない。
[少しだけ口元が上がるのを抑えきれず。
誰にも見られていないのに、口元を覆った]
[家族を失った私たち姉弟を引き取ってくれたのは、今まで会った事もなかったおばあさま。
無表情で、顔もしわくちゃで、初めて会った時は凄く怖かった。
骨と皮しかないような手を伸ばされて、びっくりしてる私の頭を、そっと撫でてくれた。
その手は想像してたよりずっとずっと暖かくて。
堰を切ったようにわんわんと泣いて、泣いて、泣いて、その日は泣きつかれてすぐに眠ってしまった]
――…?
[なんで私、こんな事を思い出してるんだっけ?
こんな事忘れかけてたのに。
さっきまで、何してたんだっけ…そう、確か…確か…]
― 回想 ―
[蝶のようなお化けに襲われ、応戦している最中。
誰かが近づいてきている事に全く気がつかなかった。
まず人形さんの方が先に、近づいた影に剣を向けて、それで乱入者の存在を知る。
その刹那、蝶は相手に道を譲るかのように、蜘蛛の子を散らすように散ってゆき]
……。
[少しすすけたような、骸骨の姿。
それはまるで死そのものを象徴するように見えて。
ぞっと背中が冷たくなった。
思わず後ずさり、代わりに人形が前へと出る。
逃げるべきだろうか、それとも、実は話せる相手なのだろうか?
その迷いが判断を遅れさせ、そして――…]
[パリン。
近くで何かが砕けた音がした。
硬い何か、まるでお皿でも割れたかのような。
それは本当に耳元。
いいえ、違う。
もっと近く。
だって、砕け散ったのは――私の身体]
……っ、……
……くそ、……
くそぉ……
[一人座り込みながら、怨嗟めいた呻きを零す。がりがりと親指の爪を噛む。俯けられた顔には怯えと惑いが浮かび、半ば泣きそうでもあるような表情になっていた]
……ふざけんなよ……
なんなんだよぉ……
[弱々しい言葉が口から漏れていく。男はただ、恐怖していた。恐れる意味などないのだろうと、一端の理性ではわかっていながら。何を恐れているのかすらも、混沌としたままに]
畜生……
[目を瞑り、両手で顔を覆う。ぎり、と歯を食い縛った]
[なんだか、身体がやけにふわふわする。
まるで宙に浮いてるみたい]
…って、あら?
本当に浮いてないかしら…?
[首を傾げる。
しかも、どことなく視界もいつになくクリアな気さえする。
周囲を見てみると、どうやらここはどこかの路地らしい。
見渡せば街並みと]
…?
[自分の、死体]
…うわあ。
[なんか凄くグロテスクな感じに見えて、一歩引いた]
[男は口元を覆ったまま緩く首を傾ぐ。
食われた男も目が覚めているかと。]
……まあ、あの元継ぎ接ぎさんはお優しそうな人でしたし。
ピロートークみたいになんかお話してるでしょ。
食われた感想とか、聞いとくべきでしたかね。
[手で隠した口元で、赤い舌が唇を拭う。
まさかその二人とも死んだ後も怯えているとは思いもせず]
[呟いた後で死体のそばで浮かぶ人影
口元の手を降ろすと、そこには感情の薄い表情だけが残る。
自分の死体だというのに、嫌悪感を表に出した少女が
どことなく面白くて。]
ああ、御目覚めですか?ロキエ嬢。
ご気分は?
[目を細めながら問う]
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