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【人】 御者 バーナバス[内側で爪を研ぐ獣の衝動は、大小の波となり男を襲うけれど。 (142) 2014/11/19(Wed) 21時半頃 |
【人】 御者 バーナバス―夜明け前― (165) 2014/11/19(Wed) 22時頃 |
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[少女について書かれた文章には続きがある。
禁断の赤い果実――欲望の実を食べた少女は、
街を追われることになる。
実を食べたものは皆魔物になってしまうと信じられていたからだ。
友人達にも、両親にも責め立てられ、しかし愛しい人がいる街から離れたくなかった少女は、街の中を逃げまどう。
逃げ切れなくてもいい、せめて最後に愛しい少年に会えたら
――少女の願いが通じたのか、少女の前に少年が現れた。
「僕はずっと君を見ていた」
少年は、少女にそう告げる。
少女が少年を見ていたように少年もまた、少女を見ていたのだ。
「だからせめて君が魔物になってしまう前に、
綺麗なままで終わらせてあげたいんだ」
少年は手にしていた槍で少女の腹を刺し貫く。
少女は、最後に少女に会えた喜びと、想いが通じていたことの嬉しさの中で息絶える。
それが、少女の結末。]
[少女は幸せな最期を迎えた。
――では、自分はどうなのだろう?]
[救いは、そう簡単には訪れないらしい。
ただの肉の塊となり果てた自らの死体を見下ろして、ディーンは小さく息を吐く。
彼に食べられたことも、その所為で命が潰えたことも自分の選択の結果だ。構いはしない。しかし、何故死して尚自分がこの場にいるのかがディーンには理解できない。自分の選択の結末を見届けろ、ということなのだろうか。]
――……。
[何にせよ、自分の身体に用は無い。
これはニコラにあげたものだ。
ディーンは部屋を出て廊下に向かう。
拭かれた痕跡がありながらも、まだうっすらと血の跡が残っている階段を降りていく。足音はしない。]
[死体の前にいる人は、藁に包まれた物をじっと見ていた。
―――食べられたのだ、とわかった。
でも、この人は誰だっけ。
悲しそうな目をした、若草色の髪をしたこの人は、誰だっけ]
………名前、なぁに
[眠るような、赤に濡れた金髪の、自分。
知っているのに、わからない。
問いかけても当然、答えは返ってこない]
― 2階・居間 ―
[血の足跡が消されていても、彼の居場所はすぐに分かった。
恐らく、彼がずっと持っていると約束してくれた自分の瞳があるからだろうとディーンは推測する。
物音も無くすり抜けるように居間に入る。
ペチカの温かみは感じられない。]
――……ニコラ。
[ずっと一緒だと約束をした。
吸い寄せられるかのようにニコラの傍に立ち、柔らかな日の色の髪に唇を落とす。
そういえば、全てをあげるとも約束した。
今のこの――幽霊ともいうべき自分は、どのようにして彼にあげれば良いのだろう。]
[自分の全てを捨て、愛しい者に全てを与えたディーンには、
他に傍にいるべき相手はいない。
大切なもの――大切だったものは、昔馴染みに託してきた。
本当はあったかもしれない傍にいる資格すらも、捨ててきた。
ベネットならば彼を正しく守ってくれるだろうと信じていた。
彼の命ももう失われているのだとは、まだ、知らない。]
[置いてきたもの、ひとつ。
それが名前。
顔をあげて、振り返った。
一歩踏み出すごとに、少しずつ何かが毀れていく。
少しずつ身体が、軽くなっていく。
意識せずとも―――
意識とは、なんだろう]
なん、だっけ
[生きているうちに諦めたものから、ひとつずつ、毀れていく]
フィ、 リップ
[違う、と思った。
いや、違わない。
それは確かに彼の名前で――― でも]
[二階に続く階段を見上げた。
その途中、あのあたりで、涙を零した"記憶"があった。
もう靴音はしない。
段が軋む音もしない。
暖かさに包まれていた、昨日。
腰を下ろしていた段に手で触れて、
そしてそのまま、さらに上へ]
[ニコラが大事に抱えているもの。
それが自分の眼球だと、すぐに気付いた。
彼は言った通りに、大事にしてくれている。
いずれは腐り落ちていくけれど、せめてそれまでは、彼の手の中にあって欲しいと願うばかりだ。
居間に起こる出来事の全てを視界に収めながら、ディーンが意識するのは彼の周りのことに限られる。
ニコラの横に並ぶように立ちながら、ディーンはそっと指先で明るい金の髪に触れていた。]
…………?
[
人の足音とはまた異なる――ずっと前から慣れ親しんだ気配だ。]
フィリップに追い抜かれてぼんやりと見送る形に
[二階に着くころには、もう前をかけていった彼の名前は忘れてしまった。
もう呼ぶことはないだろうから、問題ないだろう。
大きく開いた扉。
ラルフ、という"名前"が聞こえた。
顔が浮かんで――すぐに消えた。
此処には入りたくなかったような、気がする。
俯けば、入り口入ってすぐの場所、
誰かの足にけられたのか、隅のほうに
何かの、包みが見えた]
――……シメオン?
[まさか、そんなはずはない。
思い浮かんだ名前を口にしてから、ディーンは瞼を伏せる。
しかし、他に慣れた気配だなんて思うものがあるだろうか。
自らの欲望を認めるまで――自分の「太陽」を見つけるまで、
ディーンの一番近くにいたのは、彼だ。
勘違いであって欲しい。
死して尚身勝手なことを願い、ディーンは重い溜息をついた。**]
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[知らない"名前"が聞こえて、顔をあげた。
誰、だったろうか。「友達」の頭を撫でている、人。
目が合った気がしたけれど、そんなはずはない。
そんなはずは、ない。
ゆっくりと首を振ると、その場にしゃがみこんだ。
転がっている包みに手を伸ばす。
触れ―――られなかった]
……駄目、だなぁ
[何も出来やしない。
溜息,ついてー―空気は震えなかったけれどー―そのままこの暖かいだろう場所を出ようと背を向けて、
一度、振り返った。
目は合っただろうか。
そんなはずは、ないけれど]
[上を目指す。
欠片を拾いに、新たな記憶を零しながら、上へ。
いつの間にやら靴も忘れて裸足だったけれど
床の冷たさから感じる痛みも忘れてしまった。
それでも右足は引きずって、階段を上る**]
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【人】 御者 バーナバス[階下の騒ぎの中、さっと視線を走らせて男は連れの姿のないことを確かめる。 (286) 2014/11/20(Thu) 01時半頃 |
【人】 御者 バーナバス[階段の壁に背を持たせ掛け、今をじっと眺めている。 (403) 2014/11/20(Thu) 18時頃 |
【人】 御者 バーナバス[ラルフを連れて慌ただしく三階へと駆け昇っていくフランシスたち。 (410) 2014/11/20(Thu) 20時頃 |
【人】 御者 バーナバス[獣であることを嘆くうちはまだいい。 (412) 2014/11/20(Thu) 20時頃 |
【人】 御者 バーナバス[姿の見えない二人分。 (413) 2014/11/20(Thu) 20時頃 |
【人】 御者 バーナバス[本能に任せて愛しい相手を喰らったところで、結局何も手に入らない。 (415) 2014/11/20(Thu) 20時半頃 |
【人】 御者 バーナバス[愛しさゆえに人を喰らった狼が、住まう里の同族ごと焼かれ死ぬ。 (417) 2014/11/20(Thu) 20時半頃 |
【人】 御者 バーナバス[狼の本能に怯える人の心根があるうちはまだいい。 (423) 2014/11/20(Thu) 20時半頃 |
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