308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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『お前、馬鹿か?』
[男の反応は、十分に予想していたものだった]
『その空港、敵国のだろう? 国境はまず越えられないだろう。 そもそも距離がありすぎる。 どう考えても無理だ』
(173) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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いや、この緊急事態だ。 紛争もおわってる。今人類共通の敵はゾンビだろう? 向こうの国の人達だって迎えてくれると思うんだ。 今度は一緒に力を合わせて戦う時じゃないのか?
『無理ね』
[冷淡な蔑んだ目で女が言う]
『少し前まで私達はあいつらに銃口を向けてたのよ? あいつらが迎えるなんてありえないわ。 それに、あいつらと一緒に食糧を分け合うなら 私は死んだ方がマシだと思うわ』
(174) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[2人共ここから出て行く気はないようだ。 2人の偏見は、想像していたよりも根深かった。 それでも何とか3人で出ようと、説得を続ける。]
生き残るためには 今動けるうちに行動したほうがいいと思うんだ。 食糧も残り少ない、銃弾だって限りがある。 いつまでもここで閉じ籠ることはできない。
『だが、出て行けばゾンビに襲われるぞ』
(175) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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いや、荒野には元々人が住んでいない。 ゾンビもきっと多くはいないだろう。
『不確定事項ね。 完全にいない、とは言い切れないわ』 『それに、空港に食糧があるとも限らない。 空港に着けば助かるという考えは甘すぎる。』
行ってみないと分からないじゃないか
[話はずっと平行線のまま…]
(176) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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…分かった。 なら、僕1人で行く。
『そうか、好きにしろ』
[男はぶっきらぼうにそう答えると、部屋を出て行った。
僕は地図を乱暴に畳んでザックに押し込む。 コンパス、2.3日分の食糧と水、電池の切れたスマホ等を背負って 久しぶりに入り口のドアを開けた。 月の明るい夜だった。]
(177) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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『ちょっと待って!』
[建物から出発しようとしたその時、後ろから声がした]
『歩いて行くなんて自殺行為よ これ、持って行きなさいって』
[女が投げたそれは、宙を描いて僕の手の中に収まる。 …バイクの鍵だった。]
『どうせ私達は使わないから。 言っとくけど、ガソリンもそんなに無いからね それでもいいなら使いなさい』
…ありがとう。 空港に着いたら、すぐに君達の事を伝えるから。 救援が来るまで、待っててくれ。
[女は苦笑いしつつも頷くと、ひらひらと手を振って建物の中へと入って行った]
(178) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[バイクに跨り、エンジンをつけた。 アクセルを数回回してエンジンを温める。 …よし、まだ使えそうだ。
東に向かってスピードをあげる。 ふと、南東方面にどこからか迷い込んだゾンビを見つけた やばいと思ったその瞬間、ゾンビの頭に何かが当たったようで、ゾンビはその場に倒れ込む。
誰かが僕の背中を見ている気がした。 サイドミラーをちらっと見たけれど、建物の暗い影がどんどん小さくなっていくのが見えるだけだった。 心の中でありがとう、と呟きながら 僕は東へと土埃をあげながら進んで行った*]
(179) kulenahi 2020/10/29(Thu) 16時半頃
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[少年たちの行動は。 校舎に残る人々の目には、どのように映ったろう。
無謀きわまりない。 若さ故の過ち。 死に急ぎ野郎たち。 漫画の見すぎ。
そう揶揄う大人が多かったことは、事実だ。 だが、止めるものはいなかった。 それもまた、事実だ。]
(180) nordwolf 2020/10/29(Thu) 23時半頃
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[ーーーパシャッ
パシャッ パシャッ、パシャッ パシャッ]
(181) nordwolf 2020/10/29(Thu) 23時半頃
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[誰かが撮った写真は。
ネットの海に、流れた。]
(182) nordwolf 2020/10/29(Thu) 23時半頃
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ー 北関東某所 ー
[その画像のうち何枚かは、バスもめったに停まらない山村に新しい暮らしを求めた少年のもとへも、届いた。 少年は、大きな瞳から大粒の涙をボロボロ零し、ブツブツと切れる電波と戦いながら、それらの画像を拾い集めた。
集められた画像は、まとめて、SNSにあげられた。]
(183) nordwolf 2020/10/30(Fri) 00時頃
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☀KENT☀ ーーーーーーーーーーーーーーー 彼らは、ぼくの自慢の、友達です。 お願いです、ひとりでも多くの人が、彼らのことを、覚えていてくれるように
#キカンシャ工業高校動屍斃隊 #ゾンビに負けるな
[背を見せて笑う少年たち。 そして、誰かが撮った、たくさんの画像。]
ーーーーーーーーーーーーーーー
(184) nordwolf 2020/10/30(Fri) 00時半頃
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[ 拡散希望** ]
(185) nordwolf 2020/10/30(Fri) 00時半頃
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――中東、荒野にて――
[道なき道を走る1台のバイクがいた。 舗装されてないとはいえ、乾いた大地は思っていたよりも走りやすかった。
時々コンパスを取り出して、方角を確認する。 GPSが使えないから自分が今どこにいるかも分からない。 とにかく真っ直ぐ東へ進むしかなかった。
黄色い土と所々生えている雑草。 見渡す限りの地平線。 まるでこの地上に自分1人しかいないような、そんな錯覚がした。
そう、もしかしたら今までの事は全部夢で 次の街や空港に着いたら、普通に人々が生活しているかもしれない]
(186) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[普通? ふつう、って、なんだっけ]
(187) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[照りつける太陽と長時間の運転。 疲れていないわけがなかった。 変わりばえのない景色をずっと見ながら、色々なことを考える。
ふつう、ってなんだ?
それは、明日香と一緒にご飯をたべること お互いくだらない冗談を言い合いながら笑うこと 好きな歌を2人で歌うこと
そうだ、そんな日常が、日本で僕を待ってる だから早く東に行って、明日香に会いにいくんだ]
(188) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[ゾンビだらけになった非日常の世界から抜け出して、 今はひたすら荒野を駆け抜ける。 夕陽が背中を押して、前方に影を作っていた。 そして徐々に空は赤、濃い青、黒へと変わっていく。
その頃、ついにバイクはスピードを出せなくなった]
くっ…、動け…!
[アクセルを回すも、 バイクはもううんともすんとも言わない ガソリン残量のメーターはEの下をさしていた]
ここまでか…………
[バイクを停めて、近くでごろんと大の字になった]
(189) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[空には無数の星が見えた。 天の川の白い帯もくっきり見えた。 人口の灯りが無いと、こんなにも綺麗に見えるものなのかと感心した。いつもそこにあるはずなのに、見えていなかっただけなのだ。 きっと月が無ければもっと見えていたかもしれない]
明日は満月かな………
[月明かりがバイクと兵太郎を照らしていた。 ここでゾンビが来たら一巻の終わりだなと思いつつも 疲労困憊の身体は、迫りくる睡魔に抗えず ゆっくりと意識を手放した]
(190) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[翌朝目が覚めた後、カロリーメイトを1本だけ食べた。 昼間は暑すぎるので、夕方になったら出発しようと バイクの小さな影の部分に座った。
そこで、ずっとペンダントの写真を見ていた。 彼女の笑顔が、何時間も兵太郎を見つめている]
待ってて… …生きて、帰るから…………
[力の無い声で、そう呟き続けた]
(191) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[日が傾き始めた頃に、歩き始めた。 コンパスを手に、真っ直ぐ東へ向かう。
相変わらず変わりばえの無い一面の荒野。 地平線しか見えない景色に、一歩も進めていないのではないかという錯覚を覚え、気がおかしくなりそうになる]
…明日香、僕は…………
[僕は、諦めない 君に、会うために。 その気持ちだけが、生きる原動力だった]
(192) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[そうだ、歌を唄いながら歩こう。 そうすれば頭が冴えるかもしれない。 明日香が好きな、明日香がよく歌ってた曲は なんだっけ]
…僕は、歩く
[そうだ、この曲…… 今の僕にぴったりの曲かもしれない。 掠れた声で、歌う。 歌うというより、呟く、に近いかもしれない]
…徒然な日 …新しい夜、僕は待っていた
[日が沈み、徐々に視界が暗くなる。 それでもまだ目的地には着かない。 休む事も億劫になって、ひたすら足を前に運んだ。]
(193) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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…僕は歩く …ひとり見上げた月は悲しみです
[今日は満月。 夜空で一番大きく輝くその星は、恐ろしいほど美しかった。 同じ月を彼女も見ているだろうか]
(194) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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…嘆いて 嘆いて …僕らは今うねりの中を歩き回る …疲れを忘れて
[同じ曲を、何度繰り返し歌っているんだろう。 もう声にも出ていなかったかもしれない。 それでも歩きながら、何時間も頭の中で同じフレーズがずっと流れ続けていた。]
(195) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[空がだんだん明るくなっていく。 たとえ地球上の人間がどんな状態になろうとも いつものように朝はくるのだ。]
…この地で この地で …終わらせる意味を探し求め …また歩き始める
[朝日に向かって歩きながら、まだ歌っていた。 ふらふらとおぼつかない足取りで、それでもまっすぐ東に歩いていた。]
(196) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[そして、地平線の彼方についに街のようなものが見えた。 あと、もう少し、と力を振り絞る。]
…何が不安で何が足りないのかが …解らぬまま
[もう、何かを深く考える力は残っていなかった 明日香と一緒によく歌った歌の歌詞をなぞり続けて とりあえず東へ向かえば明日香に会えると そう思っていた]
(197) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[蜃気楼のように見えていた街の姿が、近づくにつれハッキリとしてきた。 石だらけの荒野の中に、舗装した道路が現れた。]
…僕らはまた知らない場所を …知るようになる …疲れを忘れて
[体力はもう限界だった。 ぶつぶつと、足を引きずりながら それでもゆっくりと歩き続ける。
あの街でなにをするんだっけ わからない、おもいだせない ああ、でも、行かなきゃ。明日香の為に]
(198) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[その時。
街からふらりと、女性が歩いてくるのが見えた]
…明日香?
[そんなはずはない、と思いながらも 思わず立ち止まって名前を呼ぶ]
…明日香、なのか?
[名前を呼ばれた“それ”は、長髪を靡かせながら 兵太郎へとまっすぐ向かってくる]
(199) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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……! …………明日香!
[どさり、とザックをその場に落とし、 力を振り絞って彼女の方へ駆け寄る。 両手を広げ、残された最後の力で思い切り彼女を抱きしめた]
会いたかった…!!明日香…!!!
[彼女も強い力で兵太郎を抱きしめ、そして 彼の首元に、歯を突き立てて 喰 ら い つ い た ]
(200) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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[首元が、痛い。 背中も、痛い。まるで爪で引っ掻かれているよう。
それでも、気にならなかった。 明日香に会えた喜びが大きくて、その他には何も考えられなかった。
彼女の身体は信じられないほど柔らかかった。 彼女の長い髪が頭皮の一部と一緒に ずるり、ぬちゃりと地面に落ちた あらわになった頭蓋骨を、兵太郎が見る事は無かった**]
(201) kulenahi 2020/10/30(Fri) 16時頃
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