43 朱隠し
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[目を伏せる明之進を見た後、小さく息を吐く。
本音を謂えば、連れて行きたい。 触れて、抱きしめて。其の身を全て愛して喰らえば、 あの綿飴のように、ほんのりと甘く、包んでくれるだろうか。
そんな想いが胸をよぎる]
――俺は…。
(17) 2011/02/18(Fri) 13時頃
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……背中にあります。 両手が塞がっていて、取れません。
[ くすりと笑みをこぼし。 明之進から出る言葉には、反射的に振り返った。]
……おばあ様を、置いて行かれるおつもりですか、
[ 問いではなく、確認。]
(18) 2011/02/18(Fri) 13時頃
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[笑う少年に、こちらも吊られて笑みがこぼれる]
……其の酒と握り飯を一度置け。 あの面がないと、契約が出来ぬ。
[明之進への確認は、 黙し、その先を待っている]
(19) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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[それを言われたか、という風に苦笑し。]
……ああ。俺は、自分勝手な人間だから……ね。 やはり、清い心はあまり持ち合わせていなかったらしい。
連れて行って頂けるようなら、置き手紙くらいはするつもりだったけど。
…そう。置いていく。
[少年の確認の言葉に、*頷いた。*]
(20) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 13時半頃
ウトは、明之進の言葉にふわりと笑む。其の笑みは綿飴よりも甘く、淡く――
2011/02/18(Fri) 13時半頃
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神様、と。 明之進さまが。
ご一緒に行かれあちらで添い遂げるおつもりなら、この丁稚は、こちらでまた酒を売り、思い出とともに生きて行きましょう。
[ 明之進の覚悟の言葉、ウトの雰囲気に、何かを察して包みと徳利を下に置く。背中から出した面も、並べた。]
(21) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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共に在りたいと想う者同士が共に在るのは自然な事。
――私は身を引きましょう。
[ 年齢に似合わない諦観の笑みが浮かぶ。]
(22) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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ねえ神様。
アヤカシは、祭の間、その意思あらば、こちらに渡って来られるのでしょう? アヤカシとなったにいさんが、こちらに来ないのは――
[ 見たくなかった事実を、息と共に吐き出す。]
僕と、一緒に暮らしたいとは、思わないからでしょう。
[ 目を開けてしまえば、涙が零れてしまいそうで、こらえる鼻の奥が酷く痛い。]
(23) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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必ず来年、お前を迎えに来る。 一度交わした約条を俺は違えぬ。
……面を取れ、人の子よ。
(24) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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……いいえ。
[ 春松は両手を拳にして、首を横に振った。]
もう、夢を見る時は終わりました。 にいさんは、僕を捨て、恋に生き、僕を忘れた。 そんな場所で、一人、共に生きてくれる者もなく、どうしろとおっしゃるのです。
僕はこれまでも、これからも、ずっと独りです。 あちらに行き、触れられる身体を得た所で、触れてくれる人がいないなら、余計辛いだけだと――
[ 涙声が喉に絡まる。肩が震えるのを、掻き抱いた両腕で必死に抑えた。]
……これ以上、惨めにさせないで下さい。
(25) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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[少年が吐き出す言葉には、 アヤカシは応える事が出来なかった。
ただそれが肯定の代わりになる事を、この聡い少年には伝わるだろうか]
…………人の子が里よりも戻れば、里の事を忘れてしまう様に。 アヤカシも、人の世界の事を忘れる事もある。
(26) 2011/02/18(Fri) 13時半頃
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[アヤカシの身なれば、涙に震える少年の其の華奢な身体を抱きしめてやることも出来なくて。 アヤカシは唇を噛んだ。
山の神だと崇められたとて。 此の身に出来る事等、ほんの矮小に過ぎないと、 嫌と言うほどに思い知らされて]
―――すまぬ。
[己が少年に掛けられる言葉は、 たった一つしか見つからなかった。
(27) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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[ そんな言葉が聞きたかった訳ではないけれど、詰ってもどうにもならない事は分かりきっている。 ボロボロになった、丈の合っていない粗末な着物に染みが落ち。 それでも、告げようと、熱い喉を震わせた。]
(28) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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……ほんの少しの間だけでも。
夢を見られて僕は幸せでした。 にいさんが消えて2年、僕は、腹が満たされる事も、心が満たされる事もなく、同じ年頃の子どものように甘える事も遊ぶ事も許されなかった。
ほんのひと時――……
……貴方を想って麦飯を握っていた間、は。
こんな僕でも、誰かを満たせるのだと、幸せでした、から。
(29) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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[地へと置かれた面を取る。 少年が厭わねば、それを彼の顔へと被せて]
俺も。 お前が握り飯を持って訪れるのを、何時の間にか楽しみにしていた。
[直接触れる事は出来なくても、こうして面越しならば。 少年に己の温もりが届くかもしれぬと信じて]
……眸を閉じよ。
(30) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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人の子には出過ぎた想いですが。
――……僕は、貴方を、
……………お慕いしています。
[ 最後は、閉じた瞼からも、塞き止め切れない涙が溢れた。]
(31) 2011/02/18(Fri) 14時頃
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春松は、面が顔につけられるのを感じた。
2011/02/18(Fri) 14時頃
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―――……お前たちは、本当に。
[声に出さずに、何かを呟いて。 アヤカシは面越しに、少年へと口接けを落とす。
固い面越しであっても、 其の想いは確りと、胸の裡に収めて]
(32) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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お前の想いが変わらぬならば。 何時か必ず、迎えに来よう。
兄の事など忘れて、俺だけでその小さな胸が満たされた其の時に、 お前を人の世から浚いにくると、この面に誓おう。
[ゆっくりと顔を離し、甘く笑んで]
約束だ。
(33) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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[ 軽く触れていただけの面が、一瞬強く触れて、また新たな涙が頬を伝い落ちる。]
……口接けとは、しょっぱい、ものなんですね。
[ ふふ、と笑って、そっと目を開けた。]
――夕焼けを見る度に、思い出しそうです。 ……きれいな、あか。
(34) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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言いませんでしたっけ?
僕は、諦めの悪さには自信があるんです。
にいさんに忘れられようとも、僕はにいさんが大切ですし。 貴方があちらで愉しく暮らして二度とこちらに来ようと思われなくとも――
(35) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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この赫い目をそう喩えたのは、お前が初めてだ。
[笑んだまま、ゆっくりと身を離す。 其の動きに合わせて、りんと。微かに響く、鈴の音一つ]
(36) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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祭が来れば、仕事の合間に面を被り、握り飯を持ってここに参りましょう。
[ 嗚咽が混じり、発音は明瞭ではないが、きっと伝わると。 春松は痛む胸を抑えて口を動かした。]
(37) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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―――…ああ。 その握り飯を喰らいに、また訪れよう。
お前の握る飯の味は、忘れられぬから。
[こくりと頷き。 アヤカシはもう一つ身を離す。
これ以上、言葉は不要。 りん、という鈴の音だけがちいさく響いた]
(38) 2011/02/18(Fri) 14時半頃
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[ 鈴の音に、こくりと頷きひとつ。
せめて寄り添う姿は見たくないと背を向けて。明之進に会釈を。]
……おげんきで。
[ そして春松は、石段を、駆け降りた。]
(39) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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[ 胸に灯った小さな恋が、
痛む胸から零れてしまわぬように、
左手で強く胸を押さえながら――…… **]
(40) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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丁稚 春松は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 15時頃
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[駆け下りて行く背中を暫し見送って]
―――……。
[ゆるり、明之進方へと振り返る]
では、参ろうか。
[アヤカシは一言、そう告げて。右手をそっと*差し出した*]
(41) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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楽士 ウトは、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 15時頃
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帰ったのだな――。 連れて……。
[境内から消えた気配にぽつり。]
ああ――…。
そろそろ祭の季節も終りだな。
[童が遊ぶ境内を、 じっと眸に焼き付けるようにしてから、
傍の大木に身を寄せれば眼瞼を閉じた。]
(42) 2011/02/18(Fri) 15時頃
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餓鬼大将 勝丸は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 15時頃
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……。
[>>21 丁稚の少年が身を引こうとする言葉に、ツキリと胸が痛む。 けれど、何も言えない。いや、「言わない」 何かを得ようとするならば、その分何かを捨てなければならないのだと……今の自分は知っている。 せめて、その泣き顔を見ぬよう。顔を背けた。
二人が交わす言葉を、何も言わずただ聞いている。]
(43) 2011/02/18(Fri) 22時頃
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[──やがて。りん、と鈴の音が小さく響くのを聞き、ゆっくりと振り向く。]
…………ああ。
[おげんきで。との言葉に、それだけしか返せない。 石段を駆け降りて行く後ろ姿が小さくなるのを、じっと見ていた。]
(44) 2011/02/18(Fri) 22時頃
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[痛みを、噛み締めるように目を瞑り。 これから自分が捨てるものに最後の想いを馳せ。]
──……はい。
[山の神から告げられた声に、そっと目を開く。 人で居る事を捨てた自身の目に映るのは、彼の人の赤き瞳。 その美しき色は、初めて逢った日の囁きや鈴の音と同じく…こころを誘う。]
(45) 2011/02/18(Fri) 22時半頃
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[差し出される手を見れば、杖を片方外し捨て。 そっと、まだ触れられぬ手を重ね。]
……参りましょう。
[共に行ける嬉しさに涙を一つ零し、*微笑んだ。*]
(46) 2011/02/18(Fri) 22時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 23時頃
丁稚 春松は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 23時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2011/02/18(Fri) 23時頃
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[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
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