217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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[暖かな日差しの元、主を中心に皆が仲睦まじく過ごす。 そんな何時も通りの光景を、一歩外から、眺めている。
何時もの光景、 見慣れた光景、 暖かくて、幸せで、残酷な景色。
あぁ、なんて、…――酷い悪夢]
(19) 海月 2015/02/19(Thu) 04時半頃
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(此の侭総て終わってしまえば良いのに)
[眠りの淵で呪いを吐く。 ”良い子の櫻”の仮面を、けれど捨てきれずに抱えた侭に。
大丈夫だと、巳に手を伸ばした兎。 最後に見た光景は、救済であり、絶望だった。 兎が巳に重ねた櫻を救ってくれた気がした。 けれど、同時に、 己の中の孤独の影は、余計に色を濃くした――…
目覚めたってどうせ、独りきり。 もう、目覚めたくなんてない。 独りは嫌だなんて、言える筈も無い。 誰にも添えぬのは己の咎…]
(20) 海月 2015/02/19(Thu) 04時半頃
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[―――…ぽたり、 ぽたり。
萌芽を促す慈雨のように、意識を覚醒へと導く柔らかな音色。 >>5:-105暖かな雫が降り落ちて、眠りの淵に波紋を描く。 まだ眠って居たいのに、もう目覚めたくなんて無いのに。
>>5:-107聲が――…聞こえた気がした。
誰かしら?まるで、櫻みたいね。けれど櫻よりずっと素直だわ。 少ぅし、羨ましい。櫻もそんな可愛げが欲しかった。
己がそれを言うのは、ただの我が儘だと判っている。 我が儘を言って、嫌われるのが怖かった、けれど… 言えたら、何か違っただろうか…?]
(21) 海月 2015/02/19(Thu) 04時半頃
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[ぼんやり虚ろな空色が、見上げる、透き通った深い蒼。
短い前足を伸ばしても届かないから、人の姿を思い出す。 胸の上に落ちた仮面を、夢の中のように胸に抱いて、 爪を隠した手を伸ばす。
傷付けないよう、気を付けながら、そっと…]
あら、…おじさまのお顔、櫻、初めてみたわ。 ……――どうしたの?おじさま、泣いているの?
(22) 海月 2015/02/19(Thu) 04時半頃
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だいじょうぶよ、大丈夫…
[幼子をあやす様な穏やかな声音で謳う様に繰り返す、 何度も何度も繰り返してきた、魔法の呪文。
両手で頬を包み込むように、親指で濡れた頬を拭って、微笑み掛ければ、腕を伸ばして抱き締めた。 抱え込んだ頭を撫でて、宥める様に、背を叩く。
寝惚けた…恐らく最年少の寅は、恐らく一番目上であろう辰相手に何をしているか、あまり理解してはいない。
ただ其処に”櫻”が居た気がしたから、 其処に居る”櫻”が、こうして抱き締めて欲しかったから…]
(23) 海月 2015/02/19(Thu) 04時半頃
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[>>40寂しかった?怖かった?尋ねてもきっと、己では役不足。 吐き出してくれる事も無ければ、受け止める事も出来ないだろう。 結局何も出来なかった。
ずきりずきりと胸が痛むのを、己で刻んだ傷口が涙で濡れる所為だと思い込んで、誤魔化した]
あらまぁ、止める必要なんて、ないわ。 泣きたいときは泣いて良いのよ。
ふふっ、おじさまを心配させた悪い皆をドッキリさせてやるといいんだわ。
[痛みは胸の内に隠して、おどけた風に笑う。 何時も通りの仮面を被って、猫を被って。 優しい人、綺麗な人。 似ているなんて、錯覚だった。己はそんな風には、なれはしない]
(56) 海月 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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あぁ、でも…… 困ったわ、
[苦笑いを滲ませて、抱き締めた手を解けば、 涙に濡れたその顔を覗き込む。
先程から、古傷なんてお構いなしで撫で回す掌が、指の背でもう一度その頬を拭って…]
綺麗な目が、蕩けてしまいそう――…
[ぽつりと、吐息交じりに零せば、 新たに溢れた涙に、唇を寄せる。
ソーダ味でもしそうだなぁ、なんて、考えながら 微かな水音を残しその滴を吸い上げて、予想より塩辛いそれに、悪戯に笑った]
(57) 海月 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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[>>#2>>#3起き上がる主の声、壺を受け取るその様子を横目に。 けれど、もう警戒する気配を其処に感じ取る事は出来ず、 安堵を零して視線を逸らす]
うーん、これは… かみさまへの”ドッキリ”には少し度が過ぎてしまうかしら?
[もうすっかり血は止まって居れど、溢れた赤に汚れた侭の掌を、 喉を、胸を抉った爪の痕を、思い出して、 取り敢えずは掻き乱したままの襟を整え隠して、名残惜しく思いながらも暖かな膝の上を降りた。
悪戯心で気付かれぬ様辰の仮面をくすねた侭に、席を外し――]
(58) 海月 2015/02/20(Fri) 00時半頃
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[くすねてきた仮面を顔に当ててみて遊んでいれば >>60呼ばれる名。 己の顔には大きい辰の仮面を顔に当てた侭振り返り]
あら、…――じろちゃん、 …急いでどうしたの? 身体は、もう平気?
[壺が割れても平然としていたのは、 覚えているのは己と、未くらいだった気がする。 確か亥は子の見立てで邪鬼に侵されていたと聞いたのを思い出し、遊びの時間はお終いに、仮面を外してその顔色を、気遣う視線で伺った]
(61) 海月 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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[驚く亥に、仮面の下でひっそり悪戯っ子の笑みを零して、手を差し伸べる…が、その手は一瞬迷って行く先を変た。 ヒビの入った眼鏡へと。 割れてしまった原因が己であるとは知らぬ侭。
すっかりずり落ちたそれを摘み上げて奪い取れば、 光に翳して物珍しそうに眺めた]
ふふっ、平気そうね、良かった。
[問い掛けに、訳が分からないといった様子の亥に安堵の笑みが浮かぶ。 となれば遊びの時間に戻ろうと、持ってて、と辰の仮面を彼に押し付ける様預けて、眼鏡を掛けてみた。 其処から見える景色は何時もと違っただろうか?
似合う?なんて小首を傾げて訪ねてみて、彼に見えるのか、如何か…]
(63) 海月 2015/02/20(Fri) 01時半頃
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……、…いいえぇ、なぁんにも。 じろちゃんの夢見が悪く無かったなら、良かった。
[彼の心は、意識は、眠っていたのだろうか? 何も知らぬならそのままで良い、そう思い笑って誤魔化す。
「似合う」と望む言葉を貰えば、ほんと?と 嬉しそうに笑って、仮面と眼鏡をまた交換]
(66) 海月 2015/02/20(Fri) 02時半頃
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[外し奪うは簡単ても、耳に上手く掛けられず、 彼に任せることになっただろう]
うーん、うっかり持ってきちゃった。 ふふっ、今なら辰のおじさまの素顔、見放題よ?
じろちゃん見た事、有る?櫻、初めて見ちゃった。
[仮面を掲げて小躍りでもする様くるりとまわる。 あんなに綺麗なんだから、隠すなんて勿体無いと思えばなんだかとてもいい事をした気分になって、得意げだ。
鉄錆に似た匂いをふわりばらまいたかもしれないけれど、無邪気な笑みでひた隠せば気付かれる事も無いだろう]
(67) 海月 2015/02/20(Fri) 03時頃
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[>>68同じ笑い方をしてる。 その言葉に軽口で返そうとした言葉が止まる。 辰のおじさまのへたくそ。 心の内で思わず八つ当たりをするのは、ただの甘えだ。
引っ込み思案で何時も躊躇うばかりの亥の こんな時だけ真っ直ぐな、その視線が刺さる、 あぁ、如何やって誤魔化そうか、
……――そんな風に考えていたのに]
(80) 海月 2015/02/20(Fri) 15時半頃
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[>>70吃音交じりの”何時もの亥”が戻って来て 思わず毒気が抜かれた。
なぁんだ、みんな、おんなじじゃない。 辰のおじさまも巳のあにさまも、じろちゃんも、 櫻だけじゃない。櫻と同じ、――臆病者
なのに誰かを想って強がるのね。 馬鹿みたい、みんなも、…櫻も]
・…、…じろちゃんの、えっち。
[自ら作った壁から一歩、踏み出すのは まだちょっぴり怖いから、そんな戯言で誤魔化す]
(81) 海月 2015/02/20(Fri) 15時半頃
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[引っ込めた彼の手を取り、傍の襖を引いて誰も居ない場所へ連れ込んだ。 背の後ろで閉じてしまえば、これは二人だけの秘密]
櫻の着物の中が、みたいんでしょう…? じろちゃんの、えっち。
けど、いいわ、 じろちゃんにだけ、見せてあげる。
[ぺたりと座り込んで、辰の仮面を傍らに置いて。 空けた両手で帯下の腰紐を緩め、己の着物の袷に手を掛ける。 戯言で誤魔化して、 勿体ぶるのは、まだ、少しだけ怖いから]
(82) 海月 2015/02/20(Fri) 15時半頃
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……――、―痛い顔しちゃ、嫌よ?
[苦笑い交じりの忠告を残して、ゆっくりと胸元を寛げる。 べっとりと、半乾きの赤に染まる着物の内を
胸の傷を自ら、亥にだけ、そっと、晒した**]
(83) 海月 2015/02/20(Fri) 15時半頃
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[弱みを晒す、強さは無い。 先に釘を打ったって、どんな顔をするか目に見えていて だから、本当は見せたくなんて、ない。
>>132「いいの?」と問う言葉に、曖昧に笑う。 本当は、嫌だけど。心の中でそんな返事を押し殺す。
自分の所為で傷つき、悲しみ、苦しむ顔なんて、 受け留める、強さは無い。
けれど、己の為に勇気を出して、おっかなびっくり差し伸べてくれその手に、応えなければならない気がして]
(146) 海月 2015/02/21(Sat) 02時半頃
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[肉を裂く痛みには随分慣れた。 甘えて嘘泣きはするけれど、けれど本当はどうってことない。 だから、そんな顔しなくて良いのに…
予想に違わぬ>>133亥の顔に、浮かべた苦笑の苦味が増す。 ずきり、ずきり、胸の奥が痛むから、そんな顔、させたくないのに]
ほらね?みんなずるいの。 痛がるのも、涙を流すのも、ぜんぶ先に取っちゃうんだもの。 そんな顔して先に泣かれたら、 櫻は何時まで経っても泣けないわ?
[何処か困ったように、大人びた顔で笑う。 あんなに欲しかった>>135「大丈夫」の言葉、 けれど、結局受け取り方が、判らなくて…]
(147) 海月 2015/02/21(Sat) 02時半頃
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[目の前で揺れる柔かそうなくせ毛。 耳を澄ませば聞こえる暖かな吐息の音と、二人分の鼓動の音。 …じろちゃんの匂いがする。 目を閉じてじっと彼の存在を感じている間に、 気付けば胸の内を苛む痛みを忘れていた。
水生木の理の侭に、餓えた心を満たしたのは彼の持つ水の気か、はたまた、……大きな眼から零れて、降る、暖かな慈雨か。
じんわりと、訳も判らず、目頭が熱くなる。 けれど、零す涙は彼の目から、もう零れてしまったから 何かが溢れる事は無い、それでも、泣いていた気がする。 彼の暖かさが、切なく胸を締め付けるから
痛みでは無い、どこか心地よく、けれど苦しい]
(148) 海月 2015/02/21(Sat) 02時半頃
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[知らぬその感覚は、きっと彼の流す涙の所為だとあたりをつけて。 両手で包み込むように顔を上げさせ、親指の腹で零れる涙を拭う。
次から次へ溢れては拭っても拭っても、きりがなくて、 深い海の色の目が溶けてしまわないか少し心配になってくる。
しゃっくりみたいに、吃驚したら、止らないかしら?]
…汚れちゃった、ね。
[涙に溶けた赤色が乗る、亥の唇にざらりと 毛繕いでもするように、舌を這わせた。
悪戯に笑う眼を細めて、驚く顔を探す。 …上手く涙は止まっただろうか?]
(149) 海月 2015/02/21(Sat) 02時半頃
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[涙が止まっても、止らなくても、意表を突いたその隙に 「はいお終い」と手早く寛げた着物を片付ける]
…そういえば、じろちゃん、 何か、急いで居たんじゃないの?
[何処かへ向かう途中だったような、出逢った時の彼を思い出して、話題を変える試みを。 己も身を清めて衣を替えて、何事も無い顔で戻らなければ。
彼が神主の為に水を取りに行く用事を思い出せば、一度別れることになっただろうか。
別れ際に、もうすっかり癖の付いた笑みを描く唇に 人差し指を立てて見せて、「ふたりだけの秘密、ね?」 なんて、揶揄すればもう一度、 愛らしく恥らう亥の姿を見る事が叶っただろうか…?*]
(150) 海月 2015/02/21(Sat) 02時半頃
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[血の穢れを清めて戻る座敷。 ちっちゃな仔虎の姿で、目立たないように、そっと。
真っ先に向かうは神の御前。 けれど礼節なんていまいちだから、改まる事無くずぼっと衣の裾に突っ込んで隠れる。 ひょっこり顔だけ覗かせた、その口に咥えているのは、辰の仮面]
ないしょ。ないしょ、ね?
[主たる神に、悪戯っ子の楽しげな声音で一方的に頼み込めば、辰の羽織の影に仮面を隠した。 そしてご機嫌に尻尾をぴんとたてて何食わぬ顔で辰の傍へ]
(157) 海月 2015/02/21(Sat) 15時半頃
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[間一席まだ空いている卯の席を陣取って、辰の脚を勝手に枕にごろんと仔虎が寝転がり、甘えてゴロゴロ喉を鳴らす。 もう”甘えん坊の櫻”に戻っても良いだろうと、そう判断して。
仮面の行方を問われれば、しれりと]
櫻しらなぁ〜い。 ……ねー?
[なんて主に同意を求めて困らせたりしただろう。 子供の遊びに神主が付き合ってくれたか、否か**]
(158) 海月 2015/02/21(Sat) 15時半頃
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