204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[>>4もらった証を手の中に大事に抱え込みながら、ディーンは>>5ニコラの指差す先に視線を向けた。 暗雲の向こう側に見えるのは、ずっと昔に見失ったような心地がしていた太陽の光だ。
おとぎの国から来た彼はきっと、日常の世界にはいられない。 ニコラに視線を戻すと、>>6微かな鼻歌が聞こえてきた。 >>7彼の形が、崩れていく。]
…………
[指先がなぞる感触に、ディーンは僅かに息苦しさに喘ぐように、微かに唇を開いた。しかしそこに、音は生じない。 目の前で光となり、拡散していくものをただ静かに見送る。]
(17) nico 2014/11/26(Wed) 22時半頃
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――…… いい子じゃなくても、君が君なら 僕は、それだけでいい。
[柔らかな頬の感触に目を細め、ディーンは笑みを浮かべる。 自分がこんなにきちんと笑えるなんて、思ってもいなかった。
彼がいなければ得られなかったものが、沢山ある。 誰かと一つになる喜びだとか、人の体温の温かさだとか。 たとえそれを知る代償が命であったとしても、知らないままでいるよりはずっと良かった。]
ニコラ。君が、好きだ。
[ディーンは、間を空けることも、言い淀むこともなく。 証を付ける代わりに、はっきりとそう告げた。]
(18) nico 2014/11/26(Wed) 22時半頃
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[>>24頬に落ちる唇の感触がくすぐったい。 こんなむず痒くなるような甘ったるい時間も、彼が教えてくれた初めてのものだった。
吹雪が止むまでの短い時間。 同族同士が身を寄せ合うことになる、避けるべきはずの時間。 やはり、ただ耐えるだけが正しいとは限らないのだと、ディーンは思う。
>>25肩に乗る温かみに、ディーンはそっと頬を寄せる。 自分の使う魔法など、誰にも通用しないと思っていた。 だから人の名を借り、経歴を借り、魔法を使い続けていた。 しかしそれを捨て、命をも捨て
――届くべき人に、魔法は届いた。]
(35) nico 2014/11/26(Wed) 23時半頃
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――…………待ってる。
[>>25唇が触れて、離れて。 喉の奥がきゅっと締まり、目頭が熱くなるのを堪えて、小さく息を吐いて。ディーンはただ一言、そう言った。
>>27一瞬の瞬きの後、ニコラの姿は消える。 雲の切れ間を裂いて現れる朝の光に証の残る左手を伸ばし、その一条を掴もうとして――止めた。 彼は去っていく。しかし、終わりは始まりでもあるのだ。]
(36) nico 2014/11/26(Wed) 23時半頃
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[置いていかない、という約束を果たせたことに、ディーンは安堵の息を吐く。 彼の姿が見えなくなることに感じていた不安は、もう無い。 身が削げ、骨の見える指は決してロマンチックとは言えない外観をしているが、ディーンにとっては何よりも大切な証だ。 それは一つの物語が終わり、新たな物語が始まることの証でもあった。
紙とペンが無くとも、物語を紡ぐことは出来る。 誰かの生きた道は、それ自体が物語となる。 音階と旋律の並びは、その二者の冒険の物語でもある。 一体の獣にも生があり、生は歴史の物語の一端となる。]
――…………。
[次は、人を幸せにする話を書こう。 彼がいい子になるならば、幸せの魔法を使う魔法使いになろう。 溢れるそれは、悲しい業を吐き出す為のものではない。 たとえば小さな音で鼻歌を歌うような、軽やかで、柔らかなものだ。]
(40) nico 2014/11/27(Thu) 00時頃
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[――ただ一つ。 ディーンには完結しない物語があった。
胸に刺さった小さな棘は、結局抜けずに残ったままだ。 微かに痛むそこに右手をあて、ディーンはゆっくりと目を閉じた。
そして、次に目を開いた時――]
(41) nico 2014/11/27(Thu) 00時頃
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― いつか、どこかの ―
――……夢?
[自分の寝室で目を覚ましたディーンは、そう呟いた。 何やら長く、大切で、大事な夢を見ていた気がする。 ディーンは、仄かに窓から差し込む朝の太陽の光に左手を翳す。
ディーンの左手の薬指には、生まれつき変わったものがあった。 ちょうど婚約指輪の嵌るような位置に、指輪よりもやや幅の広い、ぎざぎざした傷跡のような形をした痣がぐるりと指を囲むように一周。 痣なんておおきくなったら消えるわよ、と母親に言われていたが、ディーンの痣は今も尚、消えないまま残っている。
気持ちの落ち着かない時は、その痣を見る。 右手の指先でぎざぎざしたラインをなぞり、唇を寄せると何故か安心するのだ。]
(42) nico 2014/11/27(Thu) 00時頃
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――――…………。
[ベッドの中で、ディーンは痣のラインをなぞり、唇を寄せる。 今日は、有名な文学賞の受賞者発表の日だ。**]
(43) nico 2014/11/27(Thu) 00時頃
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―いつか、どこか―
[身支度を整えて街に繰り出したディーンは、その足でまずは書店に向かった。 店頭に並べられたばかりの文芸誌を掴み取ってレジを済ませてから、今度はいつもの喫茶店に向かう。 ディーンの席はいつも窓際だ。 朝日が美しく輝いて見えるその席は、ディーンのお気に入りだった。
いつもの席に座り、いつもの紅茶を頼んで、ディーンは文芸誌を開く。慣れた手つきで募集ページを開いて――]
…………やった……!!
[思わず、そう呟いて握った拳を小さく揺らした。]
(82) nico 2014/11/27(Thu) 12時半頃
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[ディーンの作品は奨励賞だ。大賞には程遠い。 ただ、大手の出版社が主催しているこの賞は、受賞者全員に担当者がつく仕組みになっている。 プロの監修の元で腕を磨き、プロの作家を目指すことを目標にしている若者たちの登竜門。 ディーンはそこをくぐったのである。
そうして、作家としての前途は開かれた。 しかしまだ、売れるための実力を備えているとは言い難い。 ディーンはいつものように安物の紙と、使い古した万年筆をテーブルに広げた。 作家になって、売れっ子になれば、安い紙にペン先を引っ掛けて用紙を汚すこともなくなるに違いない。]
(83) nico 2014/11/27(Thu) 12時半頃
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[店員が、ディーンの席の側の窓を開く。 その途端、吹き込んだ風が白い紙を舞い上げた。]
――…………あ。
[紙は手の届かない高さまで上がっていく。 ディーンが顔を上げてその軌道を視線で追おうとすると>>77窓の外にいる少年と、目が合った。
じわりと、薬指の痣が疼く。 ――ああ、そうか。 すとん、と何かがディーンの中に落ちてくる。 たとえるならそれは、パズルの最後のピースが嵌ったような感覚だった。]
(84) nico 2014/11/27(Thu) 12時半頃
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[>>78窓の外からの声に、ディーンはふわりと口元を緩める。 母親とも父親とも違う、しかしよく耳に馴染む声だ。 こちらを見つめる灰色の瞳は薄曇りの空を思わせ、淡い金の色をした髪は柔らかく差し込む朝の光を思わせる。 まるで長くて冷たい夜を抜けて、おとぎの国から現れたような。 ディーンは、そんな印象を少年に抱く。]
――……物語を書いているんだ。 君みたいな少年と、魔法使いが一緒に旅をする ……そういう、話を。
[何故だろう。彼の前では、上手く喋れない。**]
(85) nico 2014/11/27(Thu) 13時頃
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会計士 ディーンは、メモを貼った。
nico 2014/11/27(Thu) 13時頃
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[ディーンとて良い大人というにはまだまだ幼いが、>>162少年はそんな自分よりももっと幼い。窓枠に足を掛ける無作法は、本当は叱らなければならないのだろう。 しかしディーンは彼の保護者では無いのだから、そんな義務は無い。それに何故か、彼を叱る気にはならないのだ。 それどころか――そう、何でも許してしまいたくなる無邪気さが彼にはあった。]
……ああ、構わないよ。 代わりに、君が月で暮らしていた時のことを教えてくれ。 とても面白そうだから。
[ディーンは軽く手を上げて、彼を睨んでいる店員を呼びよせ、メニューを持ってくるように頼んだ。 賞を取った記念の日だ。誰かに奢るぐらい、なんてことはない。 ディーンは風に巻き上げられ、テーブルに散らばっている紙を集める。その最中、思いがけない彼の言葉に驚いて、瞬いた]
――……そ、う かな。 ……そんなことを言われたのは、初めてだ。
(167) nico 2014/11/28(Fri) 00時頃
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……何でも、好きなものを頼むといい。
[>>174ディーンは、横に座った彼の前に受け取ったメニューを広げてみせる。 顔も似ていない、歳の離れた彼と自分が並んでいる光景が傍からどう見えるのかディーンは考えもしない。 窓から入ってきた少年に向けられる店内の他の客の好奇の目線も、知ったことではない。
年齢の差だとか互いの名前も知らないだとか、そんなことは些細なものに思えるほど、横に彼がいるのは自然なことだった。 左手の薬指がやけに熱い気がする。 日の光が当たっているからだろうか。]
……まだ完成していないから、読むのは恥ずかしいな……。 あらすじを、説明するだけでも良い?
[少年の声が耳に入ると、何かが溶けていくような錯覚に陥る。 落ち着かない気持ちを抑える為に、ディーンは一度小さく息を吐いた。それから、咳払いを一度。]
……この話は、少年が魔法を使えなくなった魔法使いと出会うところから始まるんだ。
(178) nico 2014/11/28(Fri) 01時頃
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[そしてディーンは、ゆっくりと少年に話して聞かせる。
魔法を使えなくなった魔法使いを可哀想に思った少年は、彼の魔法を取り戻す為に一緒に冒険の旅に出ること。 魔法を取り戻す為には、なくした魔法の欠片を集めなければならないこと。 冒険の途中で二人は、大きな赤い鳥の怪物に襲われたり、ひどい吹雪の山の中を進まなくてはならなかったりすること。 魔法のかけらは、最後の一個がどうしても見つからないこと。]
……最後の魔法のかけらは、どこにあると思う?
[最後にディーンはそう少年に問い掛けながら、左手を持ち上げて彼の髪を梳くように撫でた。 ――完全に、無意識に。]
――……あ、 ご、ごめん……
[ディーンは自分が触れているものに気付き、微かに頬を赤らめて、少年の髪から手を離す。 何となく少年の顔を直視できずに、ゆっくりと目を伏せた。**]
(179) nico 2014/11/28(Fri) 01時頃
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会計士 ディーンは、メモを貼った。
nico 2014/11/28(Fri) 01時頃
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[>>263慌てて退いた手を再び強請られて、ディーンは思わず戸惑いの視線を少年に向ける。 初対面で、男同士で、もうすぐ大人になろうかという歳の頃の自分と、幼い少年の面影を残した彼。おかしな取り合わせのはずなのに、何故かそれを変なことだとは思えない。 顔を赤くする少年の様子に、ぎゅっと胸が締めつけられるようだ。 こういう気持ちを綴る物語を何と言うのか、ディーンはよく知っている。
気恥ずかしさに襲われて、ディーンは髪に触るだけの柔さで彼の頭を撫でた。]
――……実は、最後の欠片は……何処にもないんだ。 本当は、魔法のかけらなんていうのも何処にもない。 魔法使いは、ただ少年と旅がしたいだけだったんだ。 少年と一緒にいられたらどれだけ素敵だろう、って考えて、 その為に少年の思い出をかけらにして、 代償に魔法を奪われた。
……魔法使いは、少年のことが好きだったんだ。 だから、彼の大事なものも、自分の大事なものも全部捨てて、 少年と一緒にいようとした。
(270) nico 2014/11/28(Fri) 23時半頃
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[>>264目の前で、少年の表情が変わる。 >>265伸びてきた指に驚きながら、ディーンは痣の上を滑る感触を受け入れた。 触れられたのはほんの少しの面積なのに、全身がぞわりと震えたような気がする。
これを天啓というのか、運命というのかはディーンには分からない。しかし――そう、彼が最後のかけらだ、と、そう思った。]
…………ぁ、 その……
[もっと触れて欲しい、なんて言えるわけがない。 ディーンは言い淀んで、藍鉄色をした双眸で、目の前の少年を見つめた。]
(271) nico 2014/11/28(Fri) 23時半頃
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……何かを選ばないと、何も得られない。 世界って、そういう風に出来ているんだ……と、思う。
[>>277少なくともつい先程まで、ディーンはそう信じていた。 それはディーンの価値観であり、ディーンの物の見方だ。 しかし、不思議なことにこの少年を前にしていると、それが間違ったもののように思えてくる。 まるで、彼の言うことが全てであるような。 目の前に絶対的な何か――たとえば、神様がいるような。
>>278痣の上を彼の指が往復するだけで、そこが痺れるような気がした。薄い肉を越えた向こう側、白い骨にまで赤い糸の巻かれるような心地だ。 いたたまれない気分になって、ディーンはそっと目を伏せて、視線を逸らす。]
(290) nico 2014/11/29(Sat) 00時半頃
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[>>279しかしそれはすぐ、彼の方に引き戻されることになった。 口の前に、タルトの三角形がある。 フォークの先でもなく、彼の指先でもなく、少し固めの生地。 それでは物足りない、と何かが疼く。
欲しいのは、そう。 >>280鋭い刃物のように突き刺さる言葉だとか、痛みだとか、或いは彼に与えられるものの全てだ。 初めて会ったはずなのに、臓物の奥まで覗かれているような心地がして――それが、たまらないとさえ思える。]
――……ディーン。 ディーン・クロフォード。
[はからからに乾いてひりつく喉からどうにかそれだけを押し出して、ディーンは小さく息を吐いた。**]
(291) nico 2014/11/29(Sat) 00時半頃
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