204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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― 2階・居間 ―
[>>0:715触れたら、最後だ。 誰かの体温と自分の体温が混ざり合って境界線を失う。それは忌避すべきことであり――求めてやまないことでもある。 その一線を越えれば、望みが叶うのだろうか。提示された可能性に、ディーンの汚れた指先がひくりと震えた。
>>0:722重荷でもなければ迷惑でもない。返すべき言葉を吐き出せないまま、ディーンは去り際、一度だけノックスを見た。 問い掛けへの返事はしない。弱っているなどと、シメオンの居る場所で認めたくはない。 ――例え彼の指摘が事実であろうと。]
(49) 2014/11/15(Sat) 22時半頃
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[そうしてペチカに文章を書き記した紙をくべて、振り返った時。 >>0:712シノワズリの双眸が、こちらを見ていた。 ディーンは僅かに眉間の皺を深くする。 不快というより、困惑。 無言のままこちらを見る瞳に、腹の底までを見通されそうな。]
――……見ないでくれ。
[普段よりも低く淀んだ声を苦しげに吐き、ディーンは彼からも視線を逸らす。 逃げてしまいたい。しかし、>>0:722そう、シメオンのよそったスープがある。 >>40テーブルの上に置かれた、一番具の少ないものを選んで、ディーンはスープに口をつける。>>47小さな呟きは、耳には届かなかった。]
(50) 2014/11/15(Sat) 22時半頃
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[皿の中身をどうにか空けながら、ディーンは夢想する。
例えばそれが、誰かの血肉であったなら。 肉と骨を血液で煮込んでスープを作る。具は内臓だ。赤いスープに浮かんだ眼球は、黒とも濃紺ともつかない色をしている。 既に機能を果たしていないはずの眼球は、匙に掬われたものが口に運ばれるまでの一連の動作をじっと見つめている。 匙の先が口内に消え、喉が上下に動いて、血肉で出来たスープは食道を伝い落ちていく。 そこまでを見届けてようやく、安堵と共に視界は失われる。
妄想が途切れたのは、>>15ベネットの声が聞こえたからだ。 ディーンはテーブルの椅子に座ったままベネットを見上げて、そのシャツの裾を掴み、軽く引いた。]
(56) 2014/11/15(Sat) 22時半頃
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[>>59 囁き落とした願いに、ベネットは何を思うのだろう。 反応を見つめるのは数瞬のことで、ディーンは何も言わずに静かに席を立つ。何かを問われても今は答えるつもりは無い。 ――秘めておけば彼は心配をし、気を遣い、きっと違うことなく願いを叶えてくれるだろう。 幼少の頃からの彼の気質を知ればこその、打算的な行動だ。
空になった皿を手に、ディーンは炊事場へ向かう。 >>65洗いものを終えたシメオンの姿を見て、一度小さく息を吐いた後、口を開いた。]
……上に、部屋がある。 そこに荷物を置いて、少し休む。
[だからついてこい、とも、一緒に行こう、とも言わない。 彼は言わずとも察してくれていた。しかし、今はどうだろう。 水が跳ねないよう心掛けながら自分の分の皿を洗い、ディーンはシメオンを見た。]
(69) 2014/11/15(Sat) 23時頃
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[>>71心配する。それをきちんと表現できるかは別として、聞こえてきたバーナバスの言葉は正しい。 ディーンはシメオンを見る目を、観察するようにやや細める。]
……何かあるなら、言ってくれ。
[>>83シメオンからの問い掛けの返答には相応しくないが、それはディーンなりの心配の表現だった。 声色も平坦で、表情も変わらない。 彼ならば分かってくれるだろうという甘えの表れだ。 勿論、3階への同行を断る理由は無い。 ――今はまだ、彼は守るべき同行者なのだ。
皿を洗い終え、ディーンは冷えた手をシメオンの濡れた袖口に伸ばす。 指先が彼の肌に触れないよう細心の注意を払いながら、濡れた袖を捲ってやる。顔に跳ねた雫は拭いてやれないが。]
――行こう。
(86) 2014/11/15(Sat) 23時半頃
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― 3階へ ―
……ああ、そうだな。
[>>94シメオンの言葉が、ディーンの心を軽くする。いつもそうだ。二人で旅をする時と似た雰囲気に、ディーンは微かに安堵の息を吐いた。 変化は既に現れている。この穏やかで、心の落ち着く時間はいつまでも続くものではないだろう。 それは予感であり、確信でもある。 しかしディーンは表情を変えず――曇らせることも無く、シメオンの言葉に頷いた。
自分の荷物とテーブルに置きっぱなしにしていた傷薬の包みを持ち、ディーンはシメオンの歩く速度に合わせて居間を抜け、3階へと向かった。]
(104) 2014/11/16(Sun) 00時頃
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― 3階・部屋 ―
[3階に着いたディーンはまず、空いている部屋を一つ確保する。 ベッドは二つ。ドアから遠い方に、自分の荷物を置いた。 質素な部屋だが、休息を取るには十分だろう。]
――……少し、休むと良い。
[ディーンはそう言ってから、一度窓の外に視線をやる。 吹雪は少しずつ、強さを増しているかに見える。 しばらくはこの小屋から動けないだろう。 膝の上で指を組み、再びシメオンを見る。]
……君に、聞かせていなかった昔話がある。 君が聞いてくれるなら――……。
[重々しいトーンで、ディーンは再び口を開いた。 彼が聞きたいと望むなら、話すつもりだ。 何故、旅をしなければならないか。何故、人と触れ合ってはいけないか。その理由を、子細に。]
(106) 2014/11/16(Sun) 00時半頃
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[>>110ディーンが語るのは、かつて自らの同行者であった旅芸人の一座の芝居の一幕だ。 それは自分達の一族の業、その発端について語る物語だった。
子を身ごもった母親が父親を食べる。 それだけの単純な物語は、旅芸人の一座の語り口調も相俟って訪れた子供たちを恐怖に震えあがらせた。 創作などでは無い、自戒の為に作られた物語。 それを語り終えてディーンは一度、ゆっくりと息を吐く。]
……僕たちは、情を抱いた相手を食べたくなる。 そういう本能を持っている。 君がそういう衝動に駆られたことがあるかは分からないが…… それは確かに僕たちの本能として、根付いている。
[ディーンの声は、いつもより硬い。 幾つかの例外――例えば、自分の衝動については告げないまま、シメオンの反応を伺う。]
でも、僕は……君の、したいようにすれば良いと思っている。 君が誰にどんな欲求を抱いても、僕はそれを否定しない。
(116) 2014/11/16(Sun) 00時半頃
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[その言葉はまさに、ディーンが自らを保護者として相応しくないと評する理由の一端でもあった。 本能を押さえて生きていく為の旅の先導者として、決して相応しい発言では無い。 そう理解していて尚、ディーンは自らの考えを口にした。
恐らく大半の保護者が教え説くものとは、反対の。]
……君は、君の望むままに生きて欲しい。 本能に苦しむことだけが正しいとは……僕は、思えない。 選んだものの先に後悔があっても、苦しみがあっても ――……僕は君を、大切に思っている。ずっと。
[押さえることの苦しみは、身を以て知っている。 押さえ続けることが最良であるかは、今もまだ分からない。 ディーンは組んだままの指先を見る。 誰にも触れることの出来なくなった手が、そこにある。]
(121) 2014/11/16(Sun) 01時頃
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それも、ある。
[>>122しかし、それだけではないと言外に。 ディーンは右脚に触れるシメオンの手の先を見る。 一番近くにあるのに触れたことはなく ――きっと、これからも触れられない。
>>124問い掛けに、ディーンは視線を持ち上げた。 逡巡するように一瞬脇を見てから、シメオンの双眸を見る。]
……君がいたから、苦しくはなかった。 いや――……耐えられた。
[ディーンは嘘をつかない。告げる言葉は過去形になる。]
(128) 2014/11/16(Sun) 01時頃
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――……違う。 いない方が良いのは、僕だ。 僕はきっと――君を、守ってあげられない。
[>>129仮定形の形をした言葉は、確信に程近い位置にある。 ディーンはただ、小さく息を零す。
ディーンの言葉の意味をシメオンはどう受け取るだろう。 確認するのが怖くて、ディーンはそっとシメオンから視線を引き剥がした。 震える手を認識していながら何も出来ず、見ないふりで。]
――……しばらく、休もう。
[ディーンはそう告げて、一方的に会話を断ち切る。 組んだ指の先が、微かに震えていた。**]
(141) 2014/11/16(Sun) 01時半頃
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― 3階・個室 ―
[>>148ディーンの視線は、シメオンの小さな背中に注がれる。 守ってやるべきもののはずなのに、触れてやることも出来ないどころか、逆に傷つけて堪えさせるばかりだ。 自分のベッドから腰を上げ、頭皮に触れないよう心掛けながらそっと手を伸ばして、後頭部の短い金の髪を一房、手で掬い取る。 強い昼の太陽の色をしながら、髪は体温を持たない。 それでも嫌な音を立てる心臓の音を耳の奥に聞きながら、ディーンはその一房にそっと唇を落とした。
動作に込めたのは祈りだ。 どうか、この日の光が翳ることの無いように、と。
そうしてシメオンが動かずにいるのを暫く見守ってから、ディーンは静かに部屋を後にする。 ――眠るような気持ちには、到底なれなかった。]
(187) 2014/11/16(Sun) 12時頃
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― →2階・居間 ―
[居間には恐らく、思い思いに休息を終えた人たちが集まっていることだろう。 そう推測して、ディーンは階段を降りたところで立ち止まる。 ある程度の広さのある小屋といえど、閉鎖された空間であることには変わりない。 人の少ないところを探すにしても、限度はある。]
……。
[階段の脇にある小窓から、外の様子を見る。 猛烈な吹雪のせいで、視界はただただ白い。 守るべきものの手を離し、魔法を使うことを止めた今、ディーンに残るものは何も無いと言っても良い。 白に埋め尽くされた景色は、行き場のない自分と重なる。
―― 書かなければ。
3階の部屋に戻り、紙と万年筆、インク瓶を手に2階へ戻る。 ずっと陣取っていたテーブルの一角を再び占領して、ディーンは筆を走らせる。]
(188) 2014/11/16(Sun) 12時頃
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― 2階居間・テーブル ―
『曇天の下、少女は木を見上げる。 先端が見えないほど高く大きな木から伸びた枝の端に、 赤い実がなっているのが見えた。 「きっと、あれがそうだわ」
しかし小さな少女の背では、実まで腕が届きそうもない。 折角、大事な大事な親友が秘密を教えてくれたのだ。 どうしても、あの実を食べなければいけないのに。 あの実を食べて、彼に気付いてもらわなければならないのに。 少女は太い木の幹に両手をかけて、力を込める。 がさ、がさと木の葉を揺らし、木が揺れる。 赤い実も一緒に揺れて――ぽろりと、落ちた。 少女は慌てて枝の先のある方へ走り、 落ちてきた赤い実を受け止めた。』
(193) 2014/11/16(Sun) 12時半頃
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『決して口にしてはいけない、禁断の果実。 親友は少女に言った。
「その実を食べれば、大好きな人が振り向いてくれる」と。 少女はそれを疑わず、赤い木の実に、小さく歯を立てた。』
[ディーンが書くのは、物語の海から掘り出したものではなく、ただ思うままを綴る文章。魔法とは程遠く、私小説とも言えないもの。 時折万年筆の先を紙に引っ掛けながら、ディーンはただ黙々と文字を連ねる。
走るペン先の動きが止まった時。 >>192居間に響く声に、ディーンは紙面から視線を上げた。]
(194) 2014/11/16(Sun) 12時半頃
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……ここは、皆の部屋だ。 僕に遠慮をすることはない。
[>>199 ニコラとトレイル。それが彼の言う二人だろう。 ニコラは知っている。しかし物言わぬ彼の名がトレイルであると知らないディーンは、>>192彼の問い掛けに答えることは出来なかった。 >>201答えるラルフの声を聞きながら、ディーンは席を立つ。 炊事場に向かい、空の小さな鍋に水を張ってペチカに載せた。
水が滴る程冷えている彼に、白湯を用意するつもりだ。]
(203) 2014/11/16(Sun) 12時半頃
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……君も、居て良い部屋だ。
[>>205「君も人間だ」と告げるのに、ディーンは敢えて迂遠な表現を選んだ。直接的な言葉は時として拒絶を生む。 それをディーンは心得ていた。 鍋に溜めた水が沸騰するまでの間、ディーンもまたペチカの前から動かない。
飛んできた赤い鳥を見て、表情は変えないまま僅かに目を細める。]
そういえば、まだ君の名前を聞いていない。
[赤い鳥と、その主である彼との二人に向けての言葉だ。]
(207) 2014/11/16(Sun) 13時頃
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……そうだな。
[>>208確かに、彼の言う通りだ。 ディーンは、山を選んだ理由を思い出す。 自分がしようとしていたのは、間違いなくずるい大人の所業だ。 それを子供に強いる残酷さは、理解しているつもりだ。
鳥が飛ぶ姿の向こう側に緑髪の少年を見る。 怒って叫ぶ。 なるほど、それが鳥の奇声の正体であると理解した。
鍋の中で、沸騰した湯の表面に気泡が浮かぶ。 ルーツの動きを見て、ディーンは急いで鍋の中身をマグに移す。
湯気の立つマグを緑髪の少年に届けに行こうとして ――時間切れだ。 咄嗟に右腕を差し出して、ルーツを止まらせた。 また痣を増やしてしまうことになるだろうが、仕方が無い。]
(214) 2014/11/16(Sun) 13時半頃
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――……君が、何を飲めるか分からないから
[だから、白湯を用意した。 ルーツを右腕に載せて身動きの取れなくなったディーンは、左手で持ったマグを緑髪の少年の方に差し向けた。 届かない距離は、彼に埋めて貰う他ない。
緑髪の少年がマグを受け取るまで、ディーンはそのままじっと待っている。**]
(215) 2014/11/16(Sun) 13時半頃
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……。
[>>217不要だと言ったところで、この少年は首を縦に振るだろうか。考えた末、ディーンは結局何も言わずに緑髪の彼を見るに留めた。 右腕に捕まったルーツがまた盛んに暴れないよう、腕の位置は高めに水平にし、自らの髪で遊びやすいように配慮する。
>>218ふとディーンは視線を感じ、首を動かす。目が合ったのは、文章を燃やした時に見ていた彼だった。彼にはどうにも、都合の悪いタイミングばかりを見られている心地がする。 >>223ニコラが名を呼び、>>224彼が近づいて、ようやく彼がトレイルという名の人物であることを知った。
>>213ニコラがこちらを指差した時。 ディーンは何も言わず、気付かないふりをした。 溢れ出るものを文字にすら置き直さない内に、彼の姿を見てはならないと思ったからだ。 しかし、今はいくらか平静を取り戻している。 ディーンはニコラとトレイルと緑髪の少年とを順に視界に収める。 その関係性については、知る由も無い。]
(229) 2014/11/16(Sun) 15時頃
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[右腕に乗る大きな鳥の重量で、上手くバランスを取れない。 ディーンはなるべく腕を身体に寄せ、重心が崩れるのを防ぐようにしながら、そろりそろりと炊事場を離れる。
>>228ノックスと自分とでは立場も、考え方も違う。 ノックスのように同行者を扱うことは出来ないだろう。]
……彼らには、彼らの考えがある。
[兄弟間に口を出すなど、余計な世話に他ならない。 それが分かっていて言葉が口をついたのは、嫉妬にも似た感情の所為もあった。]
(232) 2014/11/16(Sun) 15時頃
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……ノックス。
[>>236ノックスは緑髪の少年をフィリップと呼んでいた。 つまりそれが彼の名だと記憶する。
フィリップが二人を促すさまを見て、>>237ノックスの言葉を聞き、ディーンは彼の名を呼んだ。 ディーンの声色は少し平坦とは異なる。 ノックスの言動を咎めるような響きを持っていた。]
(240) 2014/11/16(Sun) 15時半頃
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[>>239提示された条件に、ディーンは一度黙り込む。 持ってきた万年筆は一本だけ。インクにも紙にも限りがある。 それが衝動を抑える手段であるのだから、今はまだ失うわけにはいかない。
しかし、ディーンはすぐに思い直す。 紙とペンとインクを失っても、選ぶ道はまだあるではないか。]
……ああ、構わない。 僕は動けないから、君が渡してくれ。
[動けない、とは少々大袈裟だが、どちらにせよルーツを腕に載せた状態では時間が掛かってしまう。 ディーンはノックスに、視線でテーブルの上を指し示す。 文章を書き連ねた紙と、万年筆。それに半分ほど中身の残ったインク瓶がそこにある。]
(244) 2014/11/16(Sun) 16時頃
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[>>241ディーンの腕に乗ったまま、名を呼ばれたルーツが返事をするように鳴く。ディーンはフィリップの言葉にぎこちなく頷いた。 鳥の面倒など見たことは無いが、今のところ彼はこの髪で遊ばせておけば良さそうだ。
それよりも手のかかりそうなのは――。
ディーンは>>243フィリップが会釈するまでを見つめてから、視線をノックスに戻す。 >>239>>245肩を叩く。それに応じて笑う。 そんな些細な、日常的な遣り取りにすら羨望を覚えて小さく息を吐いた。 あまりにも出来ない事の多い身に、感じるのはやはり嫌悪。]
(247) 2014/11/16(Sun) 16時頃
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[フィリップとトレイルとニコラが居間を去る。 ディーンはルーツを離さないように気を付けながら、ドアの方へ視線を向ける。
>>252射抜くように真っ直ぐこちらを指す指先に、ディーンは炎の幻想を見た。 その昔、罪深い魔女たちは炎に焼かれて死んでいった。 本で読んだその光景を思い出す。
視界の端にちらつく赤色は、炎では無いけれど。]
――……。
[ニコラのしかめ面の理由は分からない。 しかしディーンはその姿が扉の向こうに消えるまで、視線を逸らさぬままでいた。 それから、>>253ソファーに倒れ込んだノックスを見た。]
(256) 2014/11/16(Sun) 16時半頃
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……ベネット。
[居間の扉が閉じたと思ったら、すぐに開く。 その物音にディーンは視線を向け、>>255幼馴染の名を呼んだ。
驚いた表情も無理はない。]
ルーツは今、機嫌が良いらしい。
[だから大丈夫だ。 ルーツ、と名を呼ばれた鳥はまだ嘴で髪を揺らして遊んでいる。]
(257) 2014/11/16(Sun) 16時半頃
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今は、1階にいる。
[>>260ニコラとトレイルが一緒であることは伏せた。 二人の名を出せばまたノックスが機嫌を損ねるかもしれないと考えたからだ。 ルーツは金の髪を嘴で一房抓んで、引っ張る。 遊ばせているというよりは、やりたいようにやらせているだけの状態だ。]
……大丈夫だ。
[言いながらディーンは左手を持ち上げ、人差し指の先をルーツの嘴の前に差し出す。 ルーツは金の髪を離し、指先に噛みついた。 痛くはない。甘噛みだ。]
(261) 2014/11/16(Sun) 17時頃
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……ああ。
[>>268具体的に預かることを約束したわけではないが、フィリップの言葉と今の状況は預かっていると言って遜色ないものだろう。 そう判断して、ディーンは頷く。 それに合わせて揺れる金の髪を、ルーツがまた嘴で掴む。 笑う代わりの小さな吐息を一つ零して、ディーンは>>269ベネットが向かってくる方へ、視線を動かした。]
(271) 2014/11/16(Sun) 19時頃
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[ディーンはゆっくりと右腕を動かす。 ベネットとルーツの距離を離す為の動作だ。
足場が揺れて、ルーツが足に力を込める。 ディーンの表情はやはり変わらない。]
(281) 2014/11/16(Sun) 20時頃
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[>>272ノックスの手の中にある文章に、ディーンは気を払わなかった。 その序盤は既に焼失している。何処かに出す為のものでもない。
拾い上げた物語ではなく、自らの内にあるものを曝け出した文章は、その血の持つ宿命の嘆きを孕んでいる。 直接的な表現でなくあくまで物語のような体裁を取りながら、そこにあるのは――ディーンの抱く、欲の塊だ。]
(284) 2014/11/16(Sun) 20時頃
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[>>285ノックスが立ち上がるのを見て、まず反応したのはルーツだった。 ギャギャ、と声を上げるのと>>286ベネットが顔を上げるのとはほぼ同じタイミングだった。
両者の反応に対し、ディーンはやはりいつもと同じ様子のまま。 ベネットの言葉から逃げるように、ノックスの方を向いた。]
……ああ、構わない。
[そう告げながらディーンは、ノックスの手の中にある紙を見る。 見慣れた、自分の字の記された安物の紙だ。]
(287) 2014/11/16(Sun) 20時頃
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[囁き声が、苦しげにも聞こえる音で名を呼んだ。 昔馴染みには容易く嘘が見破られるだろうことは推測できた。 しかしディーンは何も言わない。友人に余計なことを知らせたくないのだ。 彼はまだ、守るべきものを失ってはいない。
>>294ディーンは胸元に押し付けられた紙を左手で受け取る。 ノックスの批評に耳を傾けながら、数度瞬きをした。 自分の名義で発表した作品のないディーンにとって、直接評価を聞く機会は決して多くない。 聞けたとしても、他の作家や編集者の言葉ばかりだ。]
――……もう、作家じゃない。
[小さく、ディーンは呟く。物語を書くことはもうやめたのだ。]
(299) 2014/11/16(Sun) 20時半頃
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――……。
[>>298ディーンは問い掛けに、重い息を吐いた。 口は開かず、否定も肯定もしない。
それを彼はどう捉えるのか。 様子を伺うように、ディーンはノックスから視線を逸らさない。]
(300) 2014/11/16(Sun) 20時半頃
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[>>303腕にルーツのいる状態では、素早い動作は不可能に近い。 ディーンの額にぺしり、とバーナバスの指が当たった。 人が触れても極度の緊張状態に陥らなかったのは、それが認識する間もない一瞬のことであり、別のところに意識を取られていたからでもあった。 些か早く打つ心臓の辺りを紙とまとめて左手で撫でながら、ディーンは一度、緩く息を吐く。]
……僕は、何もしていない。
[それはさながら、言い訳をする子供のように。 非難するように視線は再び、ノックスを見た。**]
(308) 2014/11/16(Sun) 21時頃
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[ノックスとバーナバスが去り、ディーンはソファーに腰を下ろす。 肘かけに右肘を置くと、ようやく鳥の重みが少しマシになった。 髪で遊ぶことに飽きたらしいルーツが、辺りをきょろきょろと見回している。まるで主の姿を探すかのようだ。
>>306ラルフが淹れてくれたお茶が湯気を立てているのをぼんやりと眺めながら、ディーンは明確に溜息を吐く。 他の何かを表す為ではなく、重苦しいものを吐き出す為の。
>>320月が満ちる。 だからだろうか。 重苦しいものの中に一抹の喜びが混じっていることに、ディーンは気付いていた。]
(332) 2014/11/16(Sun) 22時頃
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[髪で遊ぶことに飽き、辺りを見回しても気を引かれるものが無かったせいか、ルーツが大きな羽根を広げる。 今にも飛び立たんとする姿勢で、上下に身体を揺すり始めた。 しかし、ディーンには羽ばたこうとする鳥の動きを制する方法が分からない。
ディーンは気遣わしげな視線をベネットに向ける。 それは>>333彼が問いを投げかけてくるのとほぼ同時だった。]
……シメオンは、上で休んでいる。 ベネット……僕は、保護者として、失格だと思うか?
[苦手な表現だが、分かりやすさを優先する為には致し方ない。 自ら保護者と口にしておきながら、ディーンの表情は困惑するように僅かに曇った。]
(339) 2014/11/16(Sun) 22時頃
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[羽ばたきを止めないルーツの動きに、ディーンは右腕を真っ直ぐに伸ばす。 くん、と一度身体を後方に引いてから、今度こそ本当にルーツはディーンの腕を離れた。 居間の端から端までを羽ばたき、壁際が近づけば身体を傾け、室内をぐるりと旋回する。
自在に飛ぶルーツの動きを、ディーンはしばし視線で追う。彼がどこに落ち着くかは分からないが、この部屋を出なければ問題はないだろう。]
――……何を、取り返せばいい。
[>>347怖くて触れることも出来ない。保護者らしく、危難から遠ざけようとすることも出来ない。 久しく会ったばかりのベネットに分かるはずもない問い掛けをしてから、ディーンは重々しく息を吐いた。 右手で鬱血痕のある左腕を撫でる。]
……すまない。忘れてくれ。
[そう告げて、ディーンはようやくラルフの淹れてくれたお茶に手を付けた。]
(359) 2014/11/16(Sun) 22時半頃
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[>>363ルーツに追い立てられるように、ベネットが居間を去る。 随分と人が減った居間で、ディーンはまたも大きく重い息を吐いた。ルーツが旋回する羽音が断続的に聞こえている。
ソファーの背凭れの上部に後頭部を預けるようにして、ディーンはルーツが飛ぶのを眺める。 赤い羽根は炎を連想させ、炎はあの掌を連想させた。 空想がひと連なりに、一つのところに集約されていく。 物語の海に沈むことは、最早出来そうにない。
気がつけば、一つのことだけを考えている。 他のことが碌に手につかない。 この状態を何と言うのか――ディーンは理解していた。]
(375) 2014/11/16(Sun) 23時頃
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[文章の書かれた紙は、まだ左手の中にある。 文章の中の少女は、禁断の赤い果実を口にした。 しかし、文章はまだ完結していない。
瞼を閉じると、そこに続きが映し出される。 文字はそれを表現する為の手段だ。 空中を旋回することに飽きたルーツは、ソファーにディーンの金の髪が広がるのを見て、ソファーの背凭れに降り立った。 ディーンはルーツを見ようとして――>>380その向こうに、一人の少年の姿を捉えた。同じソファーの端と端。 しかしディーンはどう声を掛けて良いか分からず、ただ見ているだけだ。]
(386) 2014/11/16(Sun) 23時頃
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[>>404返ってきた声は、何処か遠慮がちであるように聞こえた。 ディーンは、ルーツ越しに赤毛の少年を見ていた。 沈黙の間が多い。 その理由については、ディーンにも思い当たる節がある。 初めてまともに喋る相手には、何を話して良いのか分からないのだ。]
……彼の面倒を、頼まれた。 だから、そうしている。 それと……人と、話していた。
[赤毛の少年の苦労を理解して、ディーンはいつもより言葉を多く口にした。しかし、それでも画期的な話題を提供しているとは言い難いボリュームと内容だ。 左手にあった紙を膝の上に置き、天井を仰ぐような状態のまま一度ゆっくり目を閉じて、開いた。]
――彼は、ルーツという名前らしい。 名前で呼ばれないと、怒る らしいから。
[精一杯の、頑張りだった]
(412) 2014/11/17(Mon) 00時頃
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……金髪。
[>>422思い当たる姿は二つある。 しかしそのどちらも、鳥を連れ歩くようには思えない。 赤毛の少年――プリシラの言葉を反芻して、ディーンはルーツの腹の辺りを見た。赤い羽根がなだらかな曲線を描いている。]
ああ、そうだな……今は、プリシラと話している。 僕は、ディーンだ。
[プリシラ、という名前に抱く疑問符は喉の奥に飲み込んだ。 今の歳に至るまで何度も問われただろうことを言わせる気にはなれなかったからだ。 笑う顔が、少年らしい人懐こさを感じさせる。]
(429) 2014/11/17(Mon) 00時半頃
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……普段。
[>>437質問に答えるのはやぶさかではないが、想定していたよりも難しい質問が来て、ディーンは思わず口籠った。 傍らで遊ぶルーツに視線を逃し、その嘴を見ながら考える。 ――しかし、気の利いた答えは出て来ない。]
物語を、書いていた。 今は……ただの、文章を書いている。
[結局、生業を除けば何も無い。 ディーンは近づくプリシラの様子を見た。 距離はまだ十分にある。]
(450) 2014/11/17(Mon) 01時頃
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[>>440扉の開く音に反応して、ルーツはそちらを見る。 既に遊び道具の一つとして認識したベネットの姿を確認した途端、羽を大きく広げてディーンとプリシラの間を飛んでいく。 低い位置から徐々に高度を上げて、居間の扉に着く頃には丁度、胸の辺りの高さまで。
ディーンはそれを止めようもなく、ただ見送る。 ルーツがいなくなって開けた視界に、先程より多く、プリシラの顔を映して。]
……プリシラは、普段は何を?
[聞き返す。話すのは得意では無さそうだが、快活そうでもある。 彼ならば自分よりももっと気の利いた返答をするのではないか。そんな期待があった。**]
(454) 2014/11/17(Mon) 01時半頃
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