25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[赤い月が照らす鳥籠の中で。 鳥は月と同じ赤い眸を閉じて、静かに待っている。
必ず”迎え”に来ると約を下さった月の佳人に、 鳥が返した言葉は……彼の人の心の裡だけに]
(7) 2010/08/09(Mon) 02時頃
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……なよたけの、君?
[ふと名を呼ばれたような気がして、眸を開く。 紅石榴が捉えるは、何処から出たのか。 轟々と燃え盛る赫。
けれど鳥は動かずに。 ただ、主をじっと待ち続けて]
(11) 2010/08/09(Mon) 02時頃
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早くいらして……。 僕の……僕だけの―――
[満ち足る月の化身のような、月下美人]
なよたけの輝夜姫……。
(17) 2010/08/09(Mon) 02時半頃
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[鳥の唇が囀るは、宴の始まりし日に捧げた歌。
雲間の月に恋い焦がれ、 再び月が昇るを待つ、道標の詩――]
(18) 2010/08/09(Mon) 02時半頃
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[自分は此処だと伝える様に、囀り続けながら。 鳥は過去を想う。
人の手の入った試験管からではなく、 人の胎から生れ育った過去を]
(24) 2010/08/09(Mon) 03時頃
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[花と成れと、 最下層の暮らしをしながら、父さまが謂う。
花に成り、花祭にて番った我らの様に。 子を宿し、命脈を繋ぐ番を見つけよと。 鳥の子の魂の理は、番と共に在り、血を繋ぐが定め]
嗚呼……でも。
[あの方が真に望むのは、己の子ではなく。 分かたれ、再び一つになった対の月]
(28) 2010/08/09(Mon) 03時頃
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[己が血が絶えるは、理に背く道。 だけど――――…]
それでも僕はあの方と在り続けたい。
あの方の望みが月の都へと行く事なら……。 こんな命など、いらない――
(33) 2010/08/09(Mon) 03時頃
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[鳥は歌う。 きっとこれが最期となるだろうと判っていて、尚高らかに。
この歌が、この声が。 あの方を此処へ導く灯火になればいいと*願いながら*]
(41) 2010/08/09(Mon) 03時半頃
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[月が巡る……欠けて満ちた、月が。
皆一つの想いを叶えるために、 幾つもの花が散った。ばらばらに、その身を紅く染めて。
それでもなお、戀するを選ぶが――花]
―――――……
[散って逝った想いを乗せて、狂い咲くように鳥が歌う。
いとしいとしというこころを、天上の囀りに変えて]
(59) 2010/08/09(Mon) 09時半頃
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[それは、魂が奏でる*旋律*]
(60) 2010/08/09(Mon) 09時半頃
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小僧 カルヴィンは、記者 イアンに話の続きを促した。
2010/08/09(Mon) 09時半頃
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― 鳥籠 ―
[火の勢いは止まらない。 燃え盛る赫は焔となって、鳥が待つ鳥籠へと。 その赤い舌をちろちろと伸ばし始める]
……っ、け、ほ…っ
[黒煙が立ち上る中囀り続けた喉が熱を持ったように熱い]
うたわな、きゃ……。 あの方が迷わずに迎えに来れる様に……。
(76) 2010/08/09(Mon) 13時半頃
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[煙る鳥籠の中で、鳥は懸命に喉を振り絞る。
天上の囀りと呼ばれたその声は、掠れはて。 とても痛々しいものだったけれど。
逢いたい、愛たいと。
御霊削るかのような戀歌の旋律―しらべ―は、 月下にいる全ての人の心に届いただろうか]
(85) 2010/08/09(Mon) 14時頃
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……聞こえたっ。
[確りと、焔の壁の向こうから。 己の名を呼ぶ月の声が――]
なよたけの君……っ!!
[窓辺へと寄り、炎と同じ色の紅石榴を凝らす。 身を赤く染める、一つに満ちる月の輝夜姫の姿を探して]
(88) 2010/08/09(Mon) 14時半頃
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僕は此処です。 此処にいます、なよたけの君……っ!!
[掠れる声で、彼の人の名前を呼ぶ。
己の名前を呼んで、燃える炎の中迎えに来て下さったのが嬉しくて。 自然と頬を涙が伝う]
(90) 2010/08/09(Mon) 14時半頃
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[差し伸べられる手を確りと受け止め、 紅く染まったその指先へと口接ける]
はい……。お待ちしておりました。
[濡れた眸の侭、儚く微笑みをうかべて]
何処へなりとも、連れて行って下さい。 あなたが望む場所へ。この鳥も、一緒に。
(92) 2010/08/09(Mon) 14時半頃
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[己を抱くその腕の強さに、愛しさが募る。 付いて来てくれるかと尋ねられれば、 答えの代わりにその背に腕を。ぎゅっと回して]
僕の道は、あなたと共に。
仮令そこが地獄の其処であろうとも、 あなたが隣にいるのなら迦陵頻伽の鳴く天上と変わりません。
[落とされる口接けに、眸を閉じる]
僕の番はあなただけ。 かすみ……。愛しています。
[初めて口にする主の名。 もう一度唇を重ねれば、炎に揺らめく影はいつしか一つへ]
(94) 2010/08/09(Mon) 15時頃
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[ずしりと重い、その懐剣を確りと握る]
今生で果たせぬ夢ならば、次の生で。 僕はもう一度、あなたに戀に堕ちる。
[鞘から刀を抜き、炎を照り返すその刀身に微笑んで]
旅立つあなたを見届けて、すぐに僕も参ります。 待っていて、下さいますか……?
(96) 2010/08/09(Mon) 15時頃
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[ひざをつく美しき獣へと。 翳した刀身は吸い込まれていく。
飛び散る血潮は鳥の華奢な身体を赤く染めて。 旅立つ愛しき人へと、 少年はその花のかんばせを綻ばせた]
(98) 2010/08/09(Mon) 16時頃
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[貫いたその身体から刀を引き抜き、 血に濡れる叢雲の懐剣を逆手に構えて]
――――……ッ
[愛する人の血を吸った刀を己が胸へと突き立てる。
口端を伝う朱を指で拭い、紅の代わりに主の唇へなぞって]
やっぱり……あなたには紅が良く似合う。
[うっとりと呟き、折り重なる様に崩れる身体]
愛してる……。
[紅引く唇に口接けを捧げて。
漸く手に入れた愛しき人を腕に抱き、 少年はゆっくりと、瞼を*閉じた*]
(99) 2010/08/09(Mon) 16時頃
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小僧 カルヴィンは、ランタン職人 ヴェスパタインに寄り添うように。旅立つ魂は、とこしえに共に……。**
2010/08/09(Mon) 16時頃
小僧 カルヴィンは、記者 イアンに話の続きを促した。
2010/08/09(Mon) 23時半頃
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