94 眠る村
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ラディスラヴァは、フィリップに話の続きを促した。
2012/06/16(Sat) 06時頃
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― 宿の食堂 ―
[朝の時点で、その場に人はどれだけ居ただろう。
眠っている人がいたら、躇いがちにそっと起こすつもり]
……
[墓守の娘も、いない。 ハナがクリストファーへと向けた言葉は、 起こした人から、聞けるか**]
(57) 2012/06/16(Sat) 06時頃
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黙って…おるんじゃ!
[老人の息は荒く、絶え絶えにいかにも苦しい。 それでも渾身の力を込めて、宿を駈けだした紅茶屋に追いつき、飛びかかってその首を掴み、ねじ伏せるように地面へと押し倒した。]
黙って…儂に…儂に……
[老人はまるで崩れるように紅茶屋に折り重なり、暫し、眠るのだった。]
(58) 2012/06/16(Sat) 08時頃
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−早朝−
[昨日の仮眠が功を成したのか、あるいはその歳ゆえか。 老人は周囲の村人よりもほんの僅かだけ早く、目を覚ます。]
ええか紅茶屋よ。もう少しの間、黙って儂の話を聞いておれ…
[目を覚ます気配の紅茶屋に、老人は耳打つ。]
(59) 2012/06/16(Sat) 08時頃
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[そうして周囲の村人が眠りから醒め始めた頃、老人は声を張り上げる。]
人狼は…フィリップじゃ! この村に、儂らに厄災をもたらした片割れは… あやつじゃ!!
…儂には見える。儂ら一族の能力じゃよ。 じゃがハナは幼い。それに…それに…知恵遅れじゃ。見間違ったんじゃ。
ええか皆の衆よ!人狼はフィリップじゃ!儂には見えるんじゃ!
[老人はフィリップを指差し、弾劾した。 その後、宿に戻った後も、同じ内容を声高に言い募るのだった。**]
(60) 2012/06/16(Sat) 08時頃
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[眠気でふらりとした男の身体を、老人が押し倒した。 ぐらりと視界が傾いて、地面へと倒れ付す。 鳥につつかれた髪は既にぼうぼうと乱れ、そこかしこに血が滲んでいる]
ティモシー、爺さ…な、に……。
[間近に老人の乱れた息を聞く。全力で走ってきたのだ。 ああ。あの子は、この老人の孫だ。 理解が至るより早く、男の意識は闇を滑り落ちた───]
(61) 2012/06/16(Sat) 09時半頃
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─ 早朝 ─
[目を覚ましたのは、どうやら老人が先だった。 どうも、そのまま道端で老人の下敷きになっていたらしい。 傷に加えて、ひどく身体の節々が冷えて痛む]
…ったく、人を布団代わりに…
[ぼやきながら、身体を起こした。 ぼさぼさ頭にリボンは乱れ、心なし青ざめた頬に刺青が一層黒い]
(62) 2012/06/16(Sat) 09時半頃
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黙ってろ?って。ティモシー爺さん? あんた、なにを……
[やがて弾劾を叫び始めた老人に、男の目は丸くなる。 だが続く老人の孫の名に男は、はたと顔を歪めた]
なら、ハナを。探さないと。 もっとも、───…行けりゃあ、だが、ネ。
[小男は薮睨みの悪相を皮肉に歪めて、周囲の人々を見渡した*]
(63) 2012/06/16(Sat) 09時半頃
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― 夜/森 ―
[森の中を疾走する。 ――キィィィィィィィ…… 幼馴染の鳥が、悲鳴を上げたのが聞こえた。]
トリィ…ッ! ハナァ!
[少し先を行く幼馴染が足をもつれさせるのが見えた。 もう少しで追いつけそうなのに、自分の意識も危うい。 眠くなるはずないのに、なんでこんなに――
かろうじて、フィルが伸ばした手には、触れた。]
(64) 2012/06/16(Sat) 11時半頃
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― 早朝/森 ―
――…、さむ…
[朝露に服が濡れて気持ち悪い。 また洗濯だよ……と寝ぼけた頭を振って昨日の夜のことを思い出す。 まだ眠りこけているフィルを揺さぶる。]
フィル、起きろってばァ!
[紅茶屋は何処にいったのだろう。 ハナは逃げられただろうか。]
昔から悪人面だとは思ってたけど、ほんとに悪人だとは思わなかったよ!
[引き取られた直後は学者の家に出入りする男にびっくりして 逃げ隠れたこともあったろう。 それを見た学者は顔は悪いが紅茶は良質だよ、と笑っていた。]
(65) 2012/06/16(Sat) 11時半頃
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んぁー?
[揺さぶられて意識が浮上する。]
クリスはっ?! ハナは無事かっ?!
(66) 2012/06/16(Sat) 12時頃
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……、わからな、
[目覚めたらしいフィルにそう答えかけて。 気付く。 茂みの向こう、老人と、紅茶屋の姿。
老人の口が、動いた。
――人狼はフィリップだと。]
――…、じーさん。 あんたとうとうぼけたのかい……? だってさっきハナが、そこの紅茶屋を人狼だって。
(67) 2012/06/16(Sat) 12時半頃
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ンなわけあるかよォ!
[人狼はフィリップだと繰り返す老人に向かって、怒鳴る。 紅茶屋を思い切り睨んだ。 学者が懇意にしていた男だ。悪くは思いたくない。 だが――]
フィルとあんたと、どっちかが人狼だっていうなら。 僕はフィルを信じる。 だから。
[アンタを殺す。 言外に込めた殺意。]
(68) 2012/06/16(Sat) 13時頃
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[行儀の悪い男はケヴィンに怒られても何時もの生返事。 ケタケタとわらい、出て来たシチューに舌鼓を打っていたが]
…――ぁア?
[ハナの言葉に、クリスを見て、ハナを見て。 ガタリ、思わず立ち上がって椅子が転がった。]
――おいおいおいおい…… おかしいだろ、そりゃァ、よォ……ッ!?
[ゆらりと足を出す。 そうして――そこで、意識は途切れてしまった。]
(69) 2012/06/16(Sat) 13時頃
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―早朝― [眼を覚ましたのは、ラディスラヴァに起こされてだった。 ガバッと身を起こす。どうやら地面で眠っていた。 細長い足を引き寄せ、そのまま胡坐を掻いて顔を片手で覆い。 ぐるぐると廻る思考を落ち着かせようと、小さく呟いた。]
…ひとつずつだ、整理するさァ。 まずはラディ、お前の…
[呟いた時、ティモシーの言葉>>60を聞く。 フィリップが人狼だと、自分には見えるのだと。]
(70) 2012/06/16(Sat) 13時頃
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[床に座った侭、帽子を取って頭をぐしゃぐしゃに掻き回す。 苛立つ様子に小猿が怯えたように地面を走り部屋の隅。 長い長い息を吐き、震える手で煙草を巻いて火を着けた。 刺青は、頭で無く先祖の魔術を教えてくれる。 は、と一度胸元の服を掴み、煙を吐きだして落ちついた。
伸ばした手は、ラディスラヴァの腕を掴み引き寄せ。 その耳元へと籠った声を滑らせる。]
ラディ、お前はお前だ、人狼じゃないさァ。 俺が保証するさァ。 ――お前が俺を信じるならば同じように自分も信じろ。
[低い声を周りに聞こえぬよう――小さく続ける。]
(71) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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−回想・酒場兼宿に戻る前−
…おぶってくれい。 ええか。おぬしは、儂と一緒に宿に戻るんじゃ。
ハナはローズとケヴィンに任せとけばええ。
[ただ声を張り上げただけの老人は、もうそれだけ息が上がっていた。 紅茶屋に向き直ると、老人は確かな眼光で彼の目を見て、その両肩に手をいて言う。その両手が、内心の恐怖で小刻みに震えていた。]
紅茶屋よ。いや………クリストファーよ。ええな?
[敢えて、名を呼ぶのだった。]
(72) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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どうして、…
[人は嘘をつくのだろう]
―― 嫌、…
[それはきっと][ 大切なもののため ] [ケヴィンの上に柔らかな身体を委ねたまま深い眠りに落ちて]
…っくしゅ!!
[恋人の胸の上で、朝の寒さで目が覚める]
(73) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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[碧の眸はまだ眠ったままの恋人を眺める間は少しだけ長い]
…わたし本当は、しってるの。
[ぽつりと小さく呟き落す言葉はは恋人にだけ告げる] [それからまた緩く、徐々に強く下唇を噛んでから]
" "
[声にも言葉にもならず唇だけが何かを模る]
(74) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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[それから胸元の刺青に触れると―――また]
のろ、い?
[>>#7力のない自分でも、たおせる力が備わっていると解る] [ゆっくり身を起こして、ハナの姿を探そうとした時] [>>60 祖父の言葉が 耳に飛びこんで][眸はゆらりと揺れる]
どうし、て
[それ以上言葉は続かない][ただまた横に引かれる唇]
(75) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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[老人が、紅茶屋が立ち去るなら追いかけはしないだろう。 今はハナを見つけるほうが先だ。 ――最も目が覚めて、もう宿に戻っているかもしれないが。]
トリ、探してやらないと。
[自分が人狼だと言われて幼馴染はどんな顔をしているか。 軽く小突いて動くように促す。]
――、僕は紅茶屋を殺す。 きっとじーさんは耄碌してボケちゃったのさ。
[青い炎に包まれ、灰に帰せと。 幼馴染の少し先を歩きながら呟く言葉。 紅茶屋か幼馴染か――どちらか死んだ時に僕には判るはずだ。 真実を語ったのはどちらなのか。]
もし、じーさんがボケてなかったら――
(76) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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その時は僕が、君を殺してやるよォ。
[ニヤ、と何時ものように、口の端を上げて。 弄れた笑いを浮かべた。]
(77) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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― →森 ―
ッ、
[そのまま、足に力を込めて森へと一気に駆ける] [どこかにいるだろう大切な妹の名を、叫ぶ]
ハナッ!! …ハナァッ!!!
(78) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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―森の中―
――――…。
[むくりと体を起こす。 どうやら夜の間に、誰かが来たりはしなかったようだ]
…馬鹿ねぇ。
[左目の花に触れる細い指先。 少女は家族にも見せたことのないような、大人びた顔で笑った]
(79) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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……!
[森に響く、良く知った声。 自分の名を呼ぶ姉の声を聞けば、ゆるりと立ち上がる。 ぱんぱん、と服についた汚れをはたいて]
うー、うー!!
ローズ姉ちゃ!ローズ姉ちゃ!
[声をあげながら、とたとたと歩き出す]
(80) 2012/06/16(Sat) 13時半頃
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―森―
ハナ!! …よかった。
[>>80声とその姿が見えれば足は更に早まる]
どこも怪我してない? だいじょうぶよ、ハナ…
[膝を落とし、妹の身体を抱き寄せようと手を伸ばし]
―― ハナは、お姉ちゃんが 守るわァ。
(81) 2012/06/16(Sat) 14時頃
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[顎を擦る。触れる刺青が熱い温度を指先に返してくる。 ハナが、クリスが人狼だと言った。 ティモシーが、フィリップが人狼だと言った。 吸い終わった煙草を灰皿に押しつけて、ゆるゆると立ち上がる。 カウンターの何時もの椅子に座り、長い足を延ばした。]
…「一族」って事は、ローズマリーも、って事さァ?
――そんなにゴロゴロ居るんかい。
[小猿は部屋の隅で小さくなってじっとしている。 男は老人を髪の隙間から見、その言葉>>60について問う。]
(82) 2012/06/16(Sat) 14時頃
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うー!うー!
[姉の姿が低い視点からも見えるようになれば、 其処へ向かってとててと駆けだす]
ローズ姉ちゃー。
[伸ばされる腕に、飛び込むように抱き着いた。 ぎゅう、と姉にしがみつく小さな手]
ハナ、だいじょぶ。 ローズ姉ちゃ、いたーの、ないない?
(83) 2012/06/16(Sat) 14時頃
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な――……
[信じがたい糾弾が老人の口から飛び出して。 足元がすうっと冷えた。]
(84) 2012/06/16(Sat) 14時頃
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―――――…。
[守る、と言われて。大きな瞳がわずかに見開かれる。 抱きしめた体勢では、 姉にはその表情は見えなかったかもしれないが]
ローズ姉ちゃ、いいこ、いいこ、よ。
[ぽふぽふと、その頭を撫でる]
(85) 2012/06/16(Sat) 14時頃
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―森―
ハナっ…!
[小さいとはいえ10歳の身体は思うより力強い] [それでも癖っ毛をふわりと一度撫ぜてから]
えぇ わたしは、平気よォ。
ありがと、ハナ。
[身体を離しにっこりと笑みを向けて]
みんなのとこ、戻れる…?
(86) 2012/06/16(Sat) 14時頃
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