168 LOVEorDEATH2〜死者は愛を知りたいようです
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[落ち着き無くうろうろと部屋を歩き回る。 あ゛ーーーと何度目かの奇声を発しながら頭をがしがしやって、勢いよく椅子を引いた。 どすんと腰掛け、机に突っ伏す。頬をぺったりと付けると、すこし冷たい木の感触が心地良い。]
(……次、本田さんに会ったとき、どんな顔すりゃいいんだろ。)
[急に逃げ出して失礼なやつだと思われただろうか。そもそも突然触るとか、セクハラ野郎だと言われても仕方が無い。自分だったら飛び退いてしまうような事を、彼女にしてしまった。もっとも、普通の感覚の人がどう感じるのかは分からないのだけれど。
怖がらせてしまっただろうか。 髪を梳いたとき、ぎゅっと目をつむっていた彼女を思い出す。綺麗なカーブの頬に、長い睫毛の影が落ちて。つやつやした髪が、指をすり抜ける感触と、それから──]
────あああぁぁあああ!!!ちがう!馬鹿!俺の馬鹿!!!
[ゴン!と鈍い音が再び部屋に響く。頭の中の映像をかき消そうと机に打ち付けた額が割れそうに痛む。また死にそう。]
(27) 2014/03/20(Thu) 15時半頃
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…あやまろ、あとで、もっかい…
[結局、そう思い直す。 一人でもやもやするのは、好きじゃないのだ。 早川にも謝らなきゃいけないし、何をやってるんだろう自分は。
そんなことを考えるうちに、次第に意識はあやふやになって。 そういえば夕べはあまり寝ていなかった、なんて思う頃には微睡みの中に落ちていった。**]
(28) 2014/03/20(Thu) 15時半頃
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あー…田端さん。なんかご無沙汰って感じ? あの二人行ったんだ。ふーん……
[白石と言い合った時のことを思い出す。 別に、あの二人が微妙な関係だったことなんてしらなかった。 が、白石が甲斐田を視野にいれていたことはわかったし、 年齢差とか考えれば結婚を焦る年齢でもあろうし、 打算で弾き出した結果だろうと思っていた。 今は風呂場の件もあって罪悪感もわかない
打算的な人間は嫌いだ]
これ?俺の中坊ん時の部屋。こういうの好きだったんで。 懐かしいの結構あるっしょ。 足元気をつけてね。色々散らかってるから。
[ビジュアル系バンドのCDもあったけど、 それらは全部アニソンのシングルばかり シングル…小さいディスクは今となっては骨董品だ]
(29) 2014/03/20(Thu) 17時頃
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おしゃれな部屋ねぇ…。なんでそう思うのか知らないけどさ。 別に俺がどんな所に住んでいたって関係なくね? 悪いけどそういわれるの嫌いなんだよね。
[プシっともう一本のチューハイをあける。 また勢いよくあおった。喉が熱い。 槙村が見れば、これは後々引っ張る悪い飲み方だと知っている筈。
お盆の上の草餅を見たけれど、酒のつまみにもならない。 ここで食べたいなら食べれば、といった風。
今の住まいだってポイントポイントで酷いものは結構ある。 が、別にいまはこういったものが市民権を得てきただけだ]
(30) 2014/03/20(Thu) 17時頃
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[名刺交換といわれて、眉を顰める。 カミ様から、ここのものは持って帰れないといわれているんだから 必要無いはずじゃないのか 何より、もう色々やる気がない自分には不要なものだったけど ポケットの財布から一枚取り出して、彼女に渡す。 マナーとか全然関係なく、リモコンを渡すような仕草でだ]
田端さん、色々進んでるのかい。 俺もう戻らないつもりだからさ、男性陣倍率高くなるよ? こんなとこにいる余裕があるなら早く戻ったほうがいいと思うけど。
(31) 2014/03/20(Thu) 17時半頃
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八つ当たりみたいで悪いね。 でも俺ちょっと疲れちゃってさ。
[何を思ったのか、一度深呼吸。 彼女はこちらに何もしていないじゃないか。 八つ当たりはお門違いだ*]
用事はそれだけ?
(32) 2014/03/20(Thu) 17時半頃
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-自分の部屋- ――どこでも座ってくれよ。
[そう言って部屋に白石を招き入れれば、テーブルの上にはいつの間にか酒盛りセットが。 おっさん天使、仕事は早いらしい。
日本酒にガラスのコップ。缶ビール。 まるで若い時のような酒盛りセットに思わず頬が緩む。]
あ、それ使っていいから。
[そう言って転がっている座布団を指さし、自分は床に胡坐をかく。 畳敷きだが座布団があるほうがいいだろう。]
祝杯だな。まー羨ましいよなあ。
[そう言って日本酒のビンと缶ビールを差し出し、どっちにするかと問いかける。 自分はガラスのコップに無造作に日本酒をとぷとぷと注いだ。 風呂の余韻もすっかり引いてきている。]
(33) 2014/03/20(Thu) 21時半頃
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[更にノックの音がして、開けるとおっさん天使がから揚げの皿>>24を持っていた。]
うお、すっげ。うまそうだなおい。
[開いたドアからリビングがちらりと見える。もしそこに若い奴がいたなら、そいつにも声かけておいでおいでしたかもしれない。]
(34) 2014/03/20(Thu) 21時半頃
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[青い扉が閉まるのを見送り、真墨はしばらく茫然とその扉を見守っていた。 美味しい料理を振舞っていた甲斐田の姿を思い出す。 手品を披露していた倉田の姿を思い出す。 二人は相思相愛になり、生き返りへの道を歩み始めた。 もっとも、最後の部分はカミサマの言うことが正しければ、だが。]
(『好きになれても信用出来ないなら…信用もされないなら。 きっと俺は無理だね。辛いだけだ。』>>2:121)
[そう言っていた、影木のことを思い出す。 二人はどんな気持ちで、扉を開くまでに至ったのだろうか。 それは、真墨には味わったことのない感覚なのだろう。 そんな風に、彼は考えてしまう。]
[不意に、キッチンから顔を出した本田と目が合った。>>26]
(あ…!)
[聞かなきゃ、と。 あの時の疑問を。>>2:181]
(35) 2014/03/20(Thu) 22時頃
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…ゴメン。
[>>30 嫌いなんだよね、と言われて口をつぐむ。 目の前の人の口から零れる言葉は、ちくちくとつもってゆく。]
ありがと。 意味ないのかもしれないけど、もしかしたらってこともあるかもしれないしさ。立場的にもきちんとしとかなきゃいけないんだろうし。
[覚えてる限りの礼式で渡した名刺はそっけなく返されて。悲しかったけど、貰った名刺をだいじにしまいこむ。]
(36) 2014/03/20(Thu) 22時頃
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戻らないって…どういうこと…?
[>>31唖然とした顔で影木に問い返す。]
人に発破かけといてそういうこと言うんだ。 倍率とか、そういうことじゃなくてさ…
[かけるべき言葉がみつからなくて、自分への苛立ちが声に交じる。]
あたしは…そんな器用じゃないから。 帰りたくない訳じゃないよ。影木さんに発破かけて貰ったおかげで生き返れたら頑張ろうって気持ちになれたし、帰れたら、会いたい人もいる。 でも、誰かと競って恋できる訳じゃないし、みんながみんな帰れるもんじゃないだろうしさ。なるようにしかならないって思うんだ。
[言葉を探して絞り出すように告げる。]
(37) 2014/03/20(Thu) 22時頃
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[>>32 用事はそれだけ?口を開きかけてやっぱりやめて、言いたいことを飲み込み頷いた。]
…うん。
ただ、ちょっと話ができたらいいなって思っただけ。あたし影木さんのこと殆ど何も知らないからさ。
[あ、ダメだ。泣きそうあたし。みっともない真似するもんか。堪えて笑顔を貼り付けるけど、きっと上手く笑えてない。]
疲れてるのに邪魔してごめんね。
[つもったちくちくに耐えられなくて、置いたお盆もそのままに、部屋から出るとぱたんと扉をしめる。口を開けば零れそうな嗚咽を手で抑えて、自分の部屋に駆け込んだ。**]
(38) 2014/03/20(Thu) 22時頃
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水商売 タバサは、メモを貼った。
2014/03/20(Thu) 22時頃
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…あの。
[言葉は慎重に選ぶ。 真墨は、自分の言葉が如何に他人に歪んで捉えられやすいかを知っている。]
……好きな人、できた?
[それは、ともすれば真墨が本田のことを想っていたように聞こえたかもしれない。 だが、その言葉に、何の意味があるのか。]
……ボクはね、どうやらダメみたいだから。
[恋心に染まる資格などないようだ、と。 生き返ることなどできそうにもない、と。 言外に、そう意味を含めて。]
好きな人がいるなら―――多分、君は生き返れると思うよ。 きっと、素敵な相手と…素晴らしい恋をするんだろう。 その時には、どんな気持ちになれたか…ボクに教えてほしい。 どうしたら、そんな風になれるのか、知りたかったから。
(39) 2014/03/20(Thu) 22時頃
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お邪魔します。
[一礼して、早川の部屋に足を踏み入れる]
……ああ。 畳はやっぱり、落ち着きますね。久し振りなんです。
[実家に戻ったときくらいにしか、座る機会はない。そして、その実家には滅多に戻らない。 ありがたく座布団を敷いて、腰を落とした。周囲(>>1:529)を見回す。 ちゃぶ台、テレビ。それに、きっと娘さんのものだろう、ウサギの置物。 なんのかの言っても、異性の部屋。少しは緊張する、かと思ったけど 生活感というか、家庭感というか――そういうもので、ほっと安心できた]
(40) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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あ、まずはビールで。
[缶を手に、封を切る。 そのあいだに、早川は手酌で日本酒を注いでいた]
……と、すみません。気が利かなくて。
[酒くらい注ぐべきだったかなと、思いながら]
羨ましいですか……ま、確かに。 倉田さんが羨ましいのは、否定しませんよ。
[苦笑を浮かべ、後を続ける]
気配りが出来て、料理が上手で家庭的。 仕事ばかりのダメ人間には眩いばかり、でしたし。
(41) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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[ここへ来る前は、まともな恋すらできないと絶望して。 届かぬ月へと手を伸ばすだけだった。 それすらも、ここでは否定され。 『人らしく』ありたくて、その資格さえもないことに気付かされて。]
(こんなボクを、好きと言ってくれたあの子には―――)
[はた、と思い出す。 一つだけ、やり残したことがあるとするなら。]
お願いがある。 高校の、君と同じ学年だと思うんだ。 とある女子へ、伝言を頼みたい。
[ここで朽ち果てるなら、せめて真っ直ぐな好意に対して誠意で応えねばと。]
(42) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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その子は…中学の時からあだ名が変わってなかったら、 多分『るり』ちゃんって呼ばれてると思う。
―――大切な人ができたら、帰る前に…教えてね。
[はたして、本田は承諾してくれただろうか。 拒否されようと、承諾されようと。 今の真墨にとっては、なんら変わらないのだろう。 彼にとって、気持ちに応えようとしたことこそが、一歩前進なのだから。 たとえ、本人が気付いてなかろうと。]
(43) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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だよなあ。おっさんこの年になったら恋とかよくわかんねえよ。
[白石が自分のことを「ダメ人間」と称して、少し眉を上げる。]
――なーんでダメなんだよ。仕事頑張ってんだろ? 営業なんていっちばんしんどいとこじゃねえか。 頑張ってるのにダメなわけねーだろ。
[そういってから揚げを一つ口に入れる。]
…俺なんてコブつきで料理もできないおっさんだぞ。 顔がいいわけでもねえし、こんなんだし。
[そう言って白石の目を少し見る。]
できねえことがあってもいいんだよ。 できることから必死に頑張ってんだろ?
[日本酒をぐびりと飲む。喉を通るアルコールの熱が心地よい。]
(44) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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うーん……社会人としては、まあ。 それなりの評価は得てる自信はありますけど。
[とはいえ、仕事を離れたこんな場では]
女の癖に料理のひとつもしないで、飲んでばかりというのは……と。 ああいう幸せそうなシーンを見たあとだと、まあ、思うところもあるわけなんですよ。
[から揚げに楊枝を突き刺し、もぐもぐと。あら美味しい]
……、ありがとうございます。 すいません、祝杯と言っておきつつ。
[愚痴って、フォローさせてしまった。苦笑い]
コブといっても、小学生ならさして手は……、
……あ、写真とかないんですか? 良かったら、見てみたいですね、ちょっと。
(45) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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[と、そこへかかる野太い誘い声。 声の先を見ると、背中にいかにも作りものな羽根を生やした中年男性が背を向けて立っていた。>>34]
あ…リパブリック・函だ…じゃなくて、さいとうさん…
[喋った…!と驚く間もなく、リパブリック・さいとうの立つ位置の奥に早川の姿が見える。]
…本田さん、呼ばれてるよ。 行かない?
[本田はどう返事をしただろうか。 真墨一人だけとなれば、早川の部屋の中にチラリと見える白石のことを気遣って酒盛りには参加しなかっただろう。]
(46) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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女のくせに、とか思わなくていいと思うんだがなあ。 白石さんはかわいいと思うんだが。
[何の気なしに思ったままを。卑屈にならなくていいのになあと思う。 自分もその気持ちがわかるだけに余計に。]
写真?あんのかな、この部屋。
[ごそごそと普段アルバムをしまってあるはずの押入れを探る。 そこには。]
――あった。
[ピンク色の表紙のアルバムを引っ張り出す。 一番後ろのページからめくる。年長さんのときの遠足の写真。 入園式写真ではぶかぶかの園児服を着たハナと、なれないスーツを着ている自分。 白石とともに、これはああだ、これはこうだと話しながらページをめくっていくと。]
(47) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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あ――
[笑いながらハナを抱く、ユキの写真。 ページをめくる手が一瞬止まる。]
―――懐かしいなあ。
[初めて動物園にハナを連れて行った時だったか。 目を細めて写真をなぞる。
それは恋というよりも、過ぎ去った思い出へのどうしようもない懐かしさ。]
トラの檻の前でハナがぎゃーぎゃー泣いちまってさ。 ほら、まだ泣き顔でぶんむくれてるだろ。
[そういって思い出し笑いをかみ殺した。]
(48) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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[早川の部屋には参加しただろうか。 リビングで本田と過ごしたにせよ、早川の部屋で歓談するにせよ、その会話は少しだけ真墨の心に何かを残し。]
[自室へと戻ろうとする真墨は、今にも泣き出しそうな田端とぶつかりそうになった。>>38]
[田端とぶつかっていたら、おそらく部屋の前で。田端が部屋の中に閉じこもってしまったなら、影木と話した時のように部屋の前で扉に向かって話しただろう。]
…何か、あったんですか?田ばさん…じゃない、田端さん。
[この少年どうやら人の名前を覚えることが苦手らしい。 それはともあれ、田端から返事はあっただろうか。 もしかしたら、嗚咽しか返すことができないくらい悲しみを抱えているのかもしれなかった。]
閉じこもってると…あまり、よくないですよ。 何か、ボクらにできることがあったら…遠慮なく言ってください。
[田端にその声は届くかは分からない。 もし田端に真墨と会話する余裕があれば、真墨は会話を続けるためにその場へ留まるだろう。 できることがなければ、真墨は無情にも自室へと戻るだけだった。**]
(49) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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……可愛いって歳じゃないですよ、いやですね。
[とはいえ、褒めらるのは満更でもない。頬が少し緩む]
あ、あるんです? へえ――……ああ、かわいい。 このへんとか、早川さんに似てるような似てないような……、
[など、写真を指してみたりして。そして、]
……え、あ。
[――奥さん、に違いないだろう。どこか遠い、言葉に。何故かとても、動揺した]
そ、そうですね。こんな泣き腫れてちゃ、可愛い顔が台無しで。
(50) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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……幸せ、だったんですね。 奥さんと、娘さんと、三人で……写真だけで、よく判ります。
[一枚一枚の写真に、思い出が篭っているのだろう。 先ほどからの語り口でも、それが伝わってくる。 温かな家族、温かな部屋。心の底では、憧れるもの。 早川は、それを一度は手にしていた。その証拠が、このアルバムで。 だけど、確か。最初に話したとき、嫁は今いないと、言っていなかったか]
……あの、失礼ですけど。その、奥さんは……?
[――なんとなく、察しはするが。つい、問いが洩れた]
(51) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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[自分に似てる、と言われて少し頬を緩め。]
でも最近わがままひでーんだよ。つーか保育園で好きな男の子がいるとかいいだしてよー。 ほんとマジとーちゃんからしたら辛いわ。
[そうぼやきながらも口元は笑っているだろう。 ふいに白石がこちらに問いかけた。>>51]
ああ――死んだ。3年前だったかな。事故で。
[写真を見ながらさらりと答えた。 写真はハナがまだ赤ん坊と言える時の写真になって、自分かユキが抱いている写真ばかりになる。 少しそれを指でなぞり、何か吹っ切れたかのようにぱたんとアルバムを閉じた。]
(52) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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……、その、すいません。なんか。
[予想通りだった答えに、うなだれる。 興味本位で、写真をみたいなどと言うのではなかった]
(53) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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水商売 タバサは、メモを貼った。
2014/03/20(Thu) 23時半頃
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ああ、気にすんなよ。 今は悲しいとかはもうなくってさ。
[うなだれた白石の頭をぽんぽんとなでて、ゆるく笑いながら、日本酒を手酌でコップに継ぎ足す。]
最初はそりゃきつかったけど、娘がいたらそれどころじゃなくってさ。
まあ新しいお母さんを、って親戚には言われるけどな。 若いんだし、母親がいないなんて、みたいな。
でもさすがにコブつきはきついわけよ。
[コップの酒を一口飲みこむ。]
前に進まなきゃなーとは思うんだがなあ。 俺と付き合ったら自動的に子供もついてくるだろ? なかなかそう思ったらこう――悪い気がするんだよな。
[そう言ってまた少し笑った。]
(54) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[キッチンから出たところで、先輩と出会う。 あたしは緑茶を手に、テーブルの椅子に座ると、草餅に手を伸ばしながら声をかけようとする。けれど、先輩が口を開く方が、先だった>>39。]
『…あの。……好きな人、できた?』
[その言葉に、ぴたりと伸ばしかけた手が止まった。 かぁ、と熱くなる頬に、戸惑うあたし。 ちらり、と先輩を見れば、どこか真剣…なんだろうか。真面目な話っぽくて。 追い討ちをかけるように、言葉が続く。]
『……ボクはね、どうやらダメみたいだから。』
[とっさに、フラれた彼女のことが忘れられないんだろうかと思った。 彼女にフラれて自殺してしまうような人だから、そう簡単に新しい恋に何て向かえないだろう、と思う。 あたしは草餅に伸ばしかけてた手を、膝の上に戻した。 しかし、何故だろう。 先輩の紡ぐ言葉には、違和感しか見えなくて。 だって、それは、恋を知らない人のような口ぶりだったから。 …恋に敗れて自殺したはずの人が? あたしの頭は疑問符でいっぱいになる。]
(55) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[その違和感が解消されないうちにも、先輩は淡々と言葉を紡いでゆく。 そして。]
――ッ!!!
[ガタン、と立ち上がった拍子に、緑茶の入った湯呑を倒しそうになり、慌てて手で支えた。 それからまじまじと、先輩を見つめてしまう。 今、先輩の口から出た名前は、あたしの良く知る名前で。 一体どういう事だろう。 るりと先輩は、殆ど面識がないはずだ。 少なくとも、まるで遺言のようなものを、遺す相手には、ふさわしいとはとても言えないような関係。 ならば、先輩は、知ってるんだろうか。 るりの、気持ちを。 何故? あたしの頭の中で、ぱたぱたと何かが組み上がって行く。]
(56) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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