197 獣ノ國
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たし、かに、邪魔をしたら悪い……わね……
[浮かしかけた腰を、再び降ろした。 店員がオーダーを聞きにやってきても相手の目を見つめるばかりでコーヒーを2杯注文されても上の空である。
手を収められたまま、投げられた質問に答える。]
……私は、クラリス。よろしくルーカスさん。
獣人の話に……戻りましょう。さっきは嘘を吐いたの。 獣人なんて信じていないわ。興味はあるけれど。 ……まぁ、会ってみないと分からないわよ。いい獣人がいるんだったら、会ってみたい。
そういうルーカスさんはどうなの? あ、あと……手を握りっぱなしよ、貴方……
[ゾワゾワした感覚に耐えながら、僅かに震える声で答える。 そろそろ手を離してくれないだろうか。不思議な感覚は戸惑うし、何より、周囲の目が気になるのだ。]
(357) 2014/10/04(Sat) 18時半頃
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[名を褒められれば悪い気はしなかったけれど、"優しい郵便屋さん"という言葉>>363>>364には一瞬戸惑いの瞳は成りを潜めて、内心肩を竦めた。
撫でながら離れた手を視線で追って、まだ違和感の残る手を机の下にしまう。]
へぇ、獣人って造られた説もあるのね。
[謝罪よりも先に「造られた」という言葉が引っかかる。 机の上で組まれる手に視線を投げる。それは相手の目を見ているようにも思えるだろうか。]
獣人に会えたら…ねぇ。それ、ネットでも皆話していたけれど、私には想像出来ないの。 実際に目の前にいてくれれば考えるのに。
獣と言っても人でしょう?姿形が奇怪な人ならびっくりしちゃうかもしれない。そうでなければ、いつも通り……なんじゃないかしら? まぁ、当の獣人は、そうやって驚く人もいるだろうから……傷ついちゃう、かなぁ……
(367) 2014/10/04(Sat) 20時半頃
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[少しだけ想像を巡らせて、まだそういう反応をした事がある訳でもないのに申し訳なさそうに俯いた。 そんな矢先、相手から新たな問いかけがなされればバッと顔を上げて]
あ!ルーカスさんは何も悪い事なんてしてないのよ! 何て言うか……私、貴方の手が、苦手みたい……?どうしてかしら?普通の手だと思うのだけれどね。
貴方の手は、好きよ。
[好き、と言いつつ目は相変わらず戸惑いの色を見せて。 目の前で組まれた手に、控えめに手を伸ばす。同時に響いた時計の音。 カフェテラスの時計を見ると、…の配達の定時を知らせるのと同じ方向を差していた。
思い出すのは、鞄の中に入った花屋と本屋の伝票。]
あ……あっ!? あの、私、行かなきゃ…!昨日配達し損ねた所があるの!
[まだコーヒーすら届いていないというのに、わたわたと伸ばしかけた手を彷徨わせる。]
(368) 2014/10/04(Sat) 20時半頃
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[大学の講義には、暇さえあれば参加していた。 公開講義はもちろん、学生に向けの講義もあればそちらに通っていた。
内容こそ難しかったものの、民俗学に基盤を置いた多岐のフィールドに通じる話は嫌いではない。 現代社会との繋がりが薄い分野だからこそだろうか。それとも先生自身のスタイルのせいだろうか。 講義の中に聞こえる話は、学問にとどまらない気がして。
その当人の姿を教壇以外で見る事は少なく、女性と共に立ち去る姿>>360を物珍しそうに眺めたのだ。*]
(371) 2014/10/04(Sat) 22時頃
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クラリッサは、錠の後ろ姿を見送った。*
2014/10/04(Sat) 22時頃
クラリッサは、ルーカスの手を見つめている。**
2014/10/04(Sat) 22時頃
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[もしもの話。 獣人が"造られた人"だとしたら。
国立図書館で、一人でに物語を紡いでいた本の内容を思い出す。 身分違いの恋を患った主人公が、想い人と死別する。
ベタな物語だけれど、もしも恋人と身が裂けるような別れを遂げた主人公がもう一度幸せを謳歌したいと願うならば……
恋人を、造ってしまうかもしれない。 何処かの国で死体を愛した男のように、チクチクと針で人の身体を紡ぎ合わせて。
フランケンシュタインやシザーハンズの物語で、ハッピーエンドなんて見たことも聞いたこともないけれど。 どうせ現実では、人造人間じゃなくてもハッピーエンドがあるなんて分からないから、もしかしたら此方の世界の方がマシだわ。
まぁ、ただの"おとぎ話"よ。]
(386) 2014/10/05(Sun) 00時半頃
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[表を飾る感情もなく問い掛ける声には、ただただ頷くしかなかった。 その後俯き加減の視界から見えた苦笑いに安心したのは胸の内にしまい込む。]
………優しい人だったら、サボテンのチラシを人の家のポストに突っ込んだりしないでしょ。 奇異の目で見てしまうのもしょうがないわ。私は獣人じゃないから、こんな事言うのも獣人のひとに失礼かもしれないけど。
私だったら………私だったら、嘘をついてでも、獣人になった人に"好き"だって言うでしょうね。
[そうすれば、きっと傷付かないもの。
カチと鳴った音が相手の手から聞こえる物だとは思わない。ふと周囲に視線を伸ばして、再び相手に向き直る。
相手に言われて気がついた。手に走ったゾワゾワの正体は、確かに《蜘蛛》に触れた時と似ていたかもしれない。しかし、それをおくびに出す訳にも行かない。 鐘が鳴ったのは、ちょうどそんな時。
戸惑い混じりに自らのばした手元から時計へと視線を逸らした。 相手の手>>376が此方に伸びようとして、ポケットへと吸い込まれた所を見逃す。]
律儀な人………律儀じゃないと「時計の家」は勤まらないか。
(387) 2014/10/05(Sun) 00時半頃
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[独り言のように呟く声は、相手まで届いただろうか。 複雑で正確な時計の内部を垣間見たようなドキドキした気持ちで名刺を受け取る。印刷で書かれた文字を目で撫でながら「ルーカス、ブイ」と小声で復唱した。]
此方こそゆっくりできなくてごめんなさい…全部昨日の私が悪いのよ。 ああでも、ウチの郵便局は基本的に、時間には正確だから…!
[喋りながら鞄を持つ。手を動かしながらお喋りするのは仕事柄慣れている。たぶん、…以外の職員は、真面目だからやらないけれど。]
それじゃあ、これで失礼するわね。 ……貴方とお話出来るなら、明日もポストにサボテンを入れちゃうかも。冗談だけど。
それじゃあ、またね。ルーカスさん。
[バタバタと忙しそうに足を踏み鳴らしながら、口元に相手の名刺を当てがって笑いを咬み殺した。
仕事の延長を強いる伝票を鞄の中に引っ提げて、男一人を残して…はカフェテラスを後にした。*]
(388) 2014/10/05(Sun) 00時半頃
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