151 雪に沈む村
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
|
[わたしは、しあわせよ。 そう言ってエリサが見せた花が綻ぶような笑顔は、相も変わらず美しかった。 やつれてしまっても、歳をとっても、たとえ死の影がその顔色にちらついても。彼女は変わらず、何時だって眩しい程に美しい。 外面の美貌などは問題にもならない。それは、彼女が限りある時間を懸命に生きる、生命の美しさだ。
その輝きに一層胸が詰まる思いがして。握った拳の上に再び落ちた視線。どうしてこの手からは、大切なものほど滑り落ちていくのだろう。 彼女に返すべき言葉を探すけれど、何を口にしたところで薄っぺらになりそうで。ただ黙って、きつく眉根を寄せ、拳を見詰めたまま思考の堂々巡り。──その視界に小さな影が割り込む。]
『メー』
[ベビーカーから伸ばされた、小さな小さな手。宝石を嵌め込んだような蒼い瞳は不思議そうに此方を見上げ、いとも簡単に──そう、簡単に、握られた拳にぺたりと触れた。 拳を解いてみると人差し指をきゅうと握ってくる。その手の柔らかさ、温かさに。心の奥底の凪いだ水面が、確かに揺れた。 ──そうか。無意識に声が落ちる。こんなに、簡単な事だったのですね。]
(+3) 2013/11/26(Tue) 13時半頃
|
|
────懺悔を、
[小さな手と指を繋いだまま柔らかく笑う。視線は幼子に置いてはいるが、言葉は隣の、彼女に向けて。]
幼い子供には、神が宿ると言います。……懺悔を、しても。許されるでしょうか。
[この祈りの家で、もう数千、数万の行き場を無くした言葉達を掬い上げてきた。 受け取る側であり続けた自分の消えていく筈だった言葉を、唯一人の人間として懺悔する事は許されるだろうか。 幼子に握られた指を軽く動かしてあやしながら、エリサの答えを待った。]
(+4) 2013/11/26(Tue) 13時半頃
|
|
ふふ。感謝致します、お嬢さん。
[>>+6修道女のように祈りのポーズをとった彼女に目を細めた。 その勝気な物言いは昔からちっとも変っていない。その美しい容姿とも相まって、何かと誤解を生みやすい娘ではあったが。少し一緒に過ごせばその生来の優しさに皆直ぐに気付く。
いつだったか。あれは確か、十年前の冬。 もう寒さもだいぶ増してきた頃にエリサが訪ねてきたことがあった。 獣人族であればもう冬眠に入っていてもおかしくはない時季。チャールズも既に生活基盤を時計塔に移しており、ちょうど数日ぶりに墓地の手入れに来ていた所だった。]
(+12) 2013/11/27(Wed) 19時頃
|
|
[裏庭まで探しに来た彼女を労って、中で御茶にしようと誘う。素直に頷いたその髪に、肩に、きらきらと纏い付く氷の欠片。雪は一時間ほど前に止んでいた筈。──もしかして、待っていたんだろうか。微かに過った感情を隅に押しやって、手袋を外す。
『──エリサ、雪が。』
確か、あの時もそう言った。髪についた雪を払ってやると、彼女は困ったような怒ったような顔でちょっとそっぽを向いていたけれど。少しして、言った。 チャールズ、手が。手が冷たい。
白い華奢なその手が、ゆっくりとした動作で手袋を外した右手を取る。両手でそっと包み込んで、温めてくれる。此方を見ずに少し目を伏せて、胸の前で両の手を合わせているその姿は、まるで祈りを捧げているようで。
(────ああ、なんて、)
きれいなひとだろう。 そう思ったのを、はっきりと覚えている。今も。]
(+13) 2013/11/27(Wed) 19時頃
|
|
[温かな手から指先にじんとした熱が移る。 温まったら、離れていってしまうだろうか。その考えに気付かぬふりができない位には、それが惜しい気がして。 君の手が、冷えてしまうよ。 そう口にして、彼女の左手を握った。少し驚いたようなエリサに何時ものように笑い掛け、握った手ごと、自分の外套の右ポケットに入れる。
『……エリサ。少し、散歩をしよう。』
慌てたような彼女にくすくすと笑って。ポケットの中で右手と左手を繋いだまま、人の居ない裏庭を歩いた。 話題はどれも他愛のないものでも、歩く間話が尽きることは無く、これから長い冬を一人で越す事を思えば何とも幸福な時間だった。──エリサは時折、何か言いたそうに此方を見上げ。口を噤んだ彼女のその想いを、聞く機会はもう失われてしまったけれど。]
(──あの日から、君は何も変わってなどいないよ)
[目の前で、両手を合わせたエリサを見る。 病を患った身体は痩せ、ふわふわとしていた羊毛も薄くなってしまっても。何一つ、損なわれてなどいない。
深い息を吐いて、チャールズはゆっくりと椅子から立ち上がった。 彼の一度きりの懺悔を、「彼女に」届ける為に。]
(+14) 2013/11/27(Wed) 20時頃
|
|
[立ち上がって、椅子に座る彼女の前に片膝を付く。ちょうど、姫君に傅く騎士のように。 見上げると彼女はきょとんとしたかもしれない。そんな表情にも、笑みを零すだけだが。
そうして、僅かな──本当に僅かな逡巡の後、チャールズは手を伸ばして、胸の前で組まれたエリサの手を取った。あの日雪の庭で彼女がしてくれたように、白く華奢なその手を大切に大切に両の手で包み込む。]
……思ったよりも、簡単な事だったのですね。
[こんなにも。思わず落とした言葉には自嘲が滲んだかもしれない。こんな簡単なことに、十年も自分は。
握った手は、彼女の膝の上。目を伏せ、額を寄せる。手の中のぬくもりは矢張り変わってはいない。そっと名前を呼んだ。エリサ。]
(+15) 2013/11/27(Wed) 22時半頃
|
|
……私のこの身は、君には想像もつかないほどの血と怨嗟で穢れています。 肉体も既に現世の人間ではなく、人でも龍でもない以上、子を成すことも出来ない。 女神に捧げた剣も疾うに棄てました。 足を失い、死にすら見放され、散々他人の命を奪っておきながら、のうのうと生きている私に。 ……誰かの手を取る資格など、もう無いと。ずっとそう思っていました。今でも、それは変わりません。 私は何も持ってはいない。 この延々と続く生以外には何も──大切と思う人に、あげられるものが、ない。
[吐き出すように苦しげな声音は、彼女にとってみれば初めて聞くものだっただろう。我が身の業を思えば、他人に弱音を言う事など出来はしなかった。 長い生の中、大切なものは何も残らなかった。そう、この心臓すら。確かな鼓動を刻んでいるのに、自分のものでは無いのだ。これは、彼の鼓動。半身である彼の、命。ああ、でも。]
……共に歩むことも、寄り添うことも出来ない。 この心臓も、唯一人に捧げてしまったけれど。──それでも、私の魂は、何時でも君と共に在る。君と、君の愛する子供たちと、この村を見守ってゆく。ずっと。
(+16) 2013/11/27(Wed) 22時半頃
|
|
だから、安心して生きて──大丈夫ですよ、エリサ。
[顔をあげ、彼女を見詰めて、告げる。
人が本当に死ぬときは、忘れられた時だ。そういったのは誰だったか。 だからこそ彼は、今この瞬間も何一つ見落としはしない。彼女の生も、そしてベビーカーの中の、彼女の生きた証も。 ひとつ残らず掬い上げて生きていく。この村と共に、いつかこの生が尽きるまで。
目頭がじんと熱い。もしかしたら自分は泣きたいのかもしれない。 ぼんやりと思う。涙は出ないけれど──未だ自分の手の内にあるぬくもりが酷く心地よくて。
再びその手に額を寄せ、目を伏せて静かに、──彼女が何か言うまで、降り続く雪がステンドグラスを撫で落ちていく音を聞いていた。]**
(+17) 2013/11/27(Wed) 23時頃
|
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る