167 あの、春の日
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―寮・自室―
[寝台にうつ伏せに寝そべりながら、青年は自分の撮った写真と睨めっこしていた。]
んー…。 これはイマイチ。 これはまぁまぁ…かな。
[先輩のように躍動感のあったり、自分の目に映る通りの画が撮りたいものだ。 残念ながら、どちらかというと青年はそのそそっかしさから躍動感のある写真のネタを提供する事が多い。]
(11) 2014/03/03(Mon) 00時半頃
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[春は、命が芽吹くはじまりの季節であり、別れの季節でもある。 卒業を控えている三年生はもうすぐこの寮から出る事となっていて。
青年もあと数日で実家に帰省する事になっていたが、荷造りはなかなか進まず。 宿題も細々と進めてはいたが、まだ埋まっていない頁の方が多かった。]
――…。
[お世話になった先輩に写真でもプレゼントしようかと思っていたのだが、この出来ではプレゼントになりそうにない。]
(14) 2014/03/03(Mon) 00時半頃
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あー。
[むくりと起き上がった青年はがしがしと頭を掻いて。]
――よし。取り敢えず、外行くか。
[文章よりも写真を撮る方に熱中している青年は、愛用のカメラを携えて外に出る事にした。
今までに撮った写真の不出来を悩むよりは、校内で新しく写真を撮ろうと。**]
(17) 2014/03/03(Mon) 00時半頃
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―寮・廊下―
うーん。 建物だって光の当たり具合で随分表情変わるしな。 それを上手く出せるだけの腕があればいいんだけど。
[育ち盛りの青年は、今は食事よりも写真の方に気を取られていて。 あれこれと考えながら、廊下を歩く姿は注意力散漫そのもの。 だから、>>56何事か考えている彼女にも気付く事はなく。]
(63) 2014/03/03(Mon) 22時頃
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…わっ。
[軽く肩が当たって、初めて廊下に自分以外の誰かが歩いている事に気付いた。 それがクラスメートのマユミと気付けば。]
ご、ごめん! 大丈夫か?
[怪我は多分ないとは思うが、おろおろと彼女に声を掛ける。]
(64) 2014/03/03(Mon) 22時頃
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[>>71自分にぶつかって彼女の身体が傾ぐ。転ばなくて本当に良かった。 >>72早口で謝罪の言葉が紡がれ、深く頭を下げられれば青年は慌てたように声をあげて。]
いやいや、俺もちゃんと前向いてなかったし! そっか。 あー、良かった。
[けれど大丈夫だと聞けばほっとしたように息をつく。もしそんな事態になったら、同級生らに何と言われるか。 彼女の黒い瞳が真っ直ぐに此方に向けば、束の間瞬きするのも忘れて見惚れていた。――少し苦味の混じる笑顔も綺麗だな、なんて。]
――…。 …あ、あはは。 や、俺は平気。身体丈夫だし!
[すぐに我に返ると、それを取り繕うように、笑いながらひらひらと右手を振って早口で言葉を紡ぐ。]
(76) 2014/03/03(Mon) 22時半頃
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俺も気を付けるな。 ――本当、ごめんなさい。
[>>82目の前の彼女がいつもの笑みに戻れば心の底からほっとし、頭を下げられたのを見て青年も下げる。 問われた内容にはカメラを見せつつ、彼女の同室者の事を尋ねられれば。]
あぁ、俺?ちょっと外で写真撮ってこようかなーって。 マドカ…は会ってないな。 食堂か、練習でもしてるとか?
[陸上部に所属している同級生、話題の主の顔を思い浮かべながら応じる。]
(89) 2014/03/03(Mon) 23時頃
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[>>98天気の事を言われれば窓の方に視線を向けて。]
そうだよな、絶好の写真日和。 俺、自然光の下で撮る写真好き。
[決して只人の思うようにならぬ自然の柔らかな温かな光は心を和ませてくれる。 自分の言葉でもう一つの可能性に気付いたらしい。さて、当の本人は今頃何処にいるのやら。]
あぁ。 どっちかにはいると思う。
[同級生への伝言の内容にはマユミの顔を見て不思議そうに首を捻り。]
…? 「鳴いて」? 分かった。
[よく分からないままに頷き、会釈をする彼女に自分も会釈で返し、見送ろうと。]
(110) 2014/03/03(Mon) 23時半頃
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[>>99思い出したような声には破顔し親指を立ててみせる。]
喜んでー。
[日向ぼっこをしている猫や、手間暇を惜しまずに手入れをされて美しい花を咲かせた花壇。 気の向くままに撮ったまだ未熟な腕の写真を興味深そうに見ていたマユミの横顔を思い出して。
再び深々と頭を下げた彼女にはひらりと手を振り、青年も外へと向かおうと。]
(111) 2014/03/03(Mon) 23時半頃
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ん?
[食堂で役割を求められていると知らず。 進行方向にいるゴロウとキャサリンに気付けば]
先輩達、どうも。 外に行ってたんですか?
[暫く見られていたとは気付かずに、首を傾げながら問いかける。 この二人連れは珍しいような。]
(120) 2014/03/04(Tue) 00時頃
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[>>123キャサリンに笑いかければ青年も笑顔を向けて。 この先輩には何度か振り回された事があったかもしれないが、何となく憎めない。]
あぁ、夕飯。 人数少ないですもんね。 何がいいのかな。
[空とぼけられれば、青年がその事実に気付く事はない。 夕食の話になれば容易くそちらに意識は移る。]
(127) 2014/03/04(Tue) 00時頃
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[>>125片手を挙げる挨拶を見ればつられるように手を挙げて応じ。]
部活動ですか? 先輩、熱心に見てましたもんね。
[運動部に所属している姿に慣れていたので、大きな背中が植物の世話をしているを目にしたのには少し驚いたものだ。 そうした姿も、もう暫くしたら見れなくなってしまうのかと思うと寂しい。 しんみりとした思いになっていたので視線の先には気付かなかった。]
(132) 2014/03/04(Tue) 00時頃
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[>>126聞き覚えのある声を耳にすれば意識はそちらに向いて。 同銃声の挨拶には屈託のない笑顔で返す。]
お、マドカ。おはよー。
[小動物を思わせる同級生の動作には目を細め。 伝言を思い出す。]
…あ、そうだ。マユミが探してたぞ。
何か、「マユミがないてる」らしい。 泣いてなかったけど。
[同室のマドカになら伝わるのだろうか、そう思いながら伝える。]
(134) 2014/03/04(Tue) 00時頃
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あいあいさー。 鍋ですか、いいですねー。
[>>131先輩の言葉には敬礼のポーズで応えてみせる。買い出しに加わる事に否はない。]
後輩が上手く引き継いでくれると良いですね。
[自分は草取りくらいしか貢献は出来なさそうだ。 そして目の前で交わされる>>135先輩二人のやり取りには青灰の瞳を丸くして。]
え、鶏肉を買って来るんじゃなくて、絞めるんですか?
[生物教師に鶏を絞める話を聞いた事があったので、割とリアルな想像をしている。 マドカが後ろに隠れようとするならあっさりと叶うだろう。]
(139) 2014/03/04(Tue) 00時半頃
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……。
[>>137青年はキャサリンの巧みな言葉使いに完全に踊らされていた。
ゴロウの顔を見る顔には「先輩、本気でやるんですか?」という言葉が張り付いて見えただろう。]
(144) 2014/03/04(Tue) 00時半頃
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鳥鍋かー。 先輩、俺肉団子も入れたいです。
[>>147肉は好きだ。 鍋に青年の好きな物を入れていいと言うのなら、リクエストは肉だらけになりそうだが。
頷く様子からは後輩に信頼を置いているのだろうと。 その後輩も園芸部に所属しているのだから、青年よりもきっと扱いには慣れている筈で。 心配はいらない。けれどやはり寂しい。]
…あの、本気で?
[じっと先輩を伺い見る。 >>149キャサリンがフィリップを説得するとまで言っているので、勘違いは続行中である。]
(152) 2014/03/04(Tue) 01時頃
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[>>153自分の顔に言いたい事が張り付いてるとも気づかずに。 まるで心を読まれたかのような言葉に青灰を瞬かせ。]
……あ、ですよねー!
[肉は好きだ。好きだが。 鶏肉として加工済みなのはともかく、絞めたてほやほやを頂く勇気はない。 卵とはわけが違う。]
(157) 2014/03/04(Tue) 01時頃
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[ゴロウはしないと言ったけど、万が一キャサリンが許可を得てきたらどうなるんだろうと怯えた表情のまま。]
…先輩、花嫌いなのかな?
[>>150ゴロウに向けた彼女の言葉に首を捻る。 女性は皆、花が好きだと思っていた。]
(161) 2014/03/04(Tue) 01時半頃
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[>>164許可を取ってきた場合、自分が手伝う事になるとは想像もしていない。むしろしたくない。 生物教師の話は青年の心に爪痕を遺していた。 フィリップが拒む事を切に願って。]
やった。
[紡がれないその先は分からないので青年はリクエストが通ったのを無邪気に喜んでいる。 ひき肉を丸めるくらいなら出来るだろうが。]
そうだな。マドカも、何でも言っとけ。 言うだけならタダだぞ!
[振り返ったなら、彼女はまだ後ろにいるだろうか。 怯えているようなら、絞めるのはなさそうだぞ、と”多分”を抜かして伝え。]
うーん、どうなんですかね。 潤っていいと思うけどな。
[肩を竦める先輩には唇を尖らせて彼女の去った先を見つめた。**]
(169) 2014/03/04(Tue) 02時頃
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[>>176ゴロウの気も知らずに青年は鶏小屋の鶏の無事を願っていた。 野菜も、と言われれば]
…はーい。 先輩みたいにでっかくなりたいし!
[両こぶしを握り締めてみせる。 嫌いなものはあるが、身長の為なら多少我慢はしよう。 青年はまだ伸び盛りだ。
小柄の同級生の様子はどうだろうか。先輩と一緒に様子を見ていて。]
(182) 2014/03/04(Tue) 12時半頃
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[>>177やがて自分に声を掛けられればぽんと両手を打って。]
あ、そうだ。 写真撮りに行くつもりだったんでした。 それじゃ、校内にはいると思うんで!
[また先輩たちの写真も撮らせて下さいね、と言いながら二人から離れようとしたが。 食堂へと誘われるマドカにはマユミからの伝言>>134を伝えておいた。 何事か話したならその後に、青年は外へと向かう。**]
(183) 2014/03/04(Tue) 12時半頃
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[>>186自分の頭に伸びる手に気付けば、照れ臭そうに笑ってじっとしていただろう。 懐いている先輩だし、嫌がる事こそ子供っぽいと思っているからなのだが。]
えー、いいじゃないですか。 撮らせて下さいよ。
[派手な奴、とは誰の事だろうか。 写真を見せてくれ、と言われたなら、へらりと笑って畏まりましたーと言ってみせ。]
(204) 2014/03/04(Tue) 22時頃
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[>>187背中に隠れていたマドカがようやく前に出てくる。]
雑炊かー。それいいな! うまそう。
[彼女のリクエストは青年的にはアリアリだった。 青年も雑炊に思いを馳せつつ。
けれど腹の虫が鳴いたのが聞こえれば、にやにやと目を細めて見ていたが彼女は気付いただろうか。]
(206) 2014/03/04(Tue) 22時頃
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ち、違う。 俺は何もしてないって。
[>>189自分の告げた伝言の内容に、マドカの眉が寄った。 背伸びして詰め寄られれば、慌てたように弁解し、彼女が泣いていなかった事を伝えた。 肩はぶつかったが、それは関係ないと思う。多分。]
そうそう。 って、おーい。 走んなよー。
[彼女の中ではSOSになったらしい。 叫びながら駆け出す小さな背中に口の前に左手を当てて声を掛けた後、ゴロウに会釈をしてから彼らと別れる。*]
(207) 2014/03/04(Tue) 22時頃
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―外―
[寮の外に出た青年は、眩い日光に目を細めた後に携えたカメラを構え、写真を撮り始める。 今日の被写体は寮の建物だったり、近くに咲いていた花だったり。 近所の野良猫を撮ったりもするのだが、今日はいないようだ。]
…パーティー、か。
[誰が発起人だったか。 青年も使いっぱしりでも何でも喜んで、と雑用を仰せつかっていた。 何かを先輩達に渡せたらいい、と思い、写真を撮っているのだが。]
何が喜んで貰えるんだろうなー。
[人差し指と親指を伸ばし、両手で枠を作りながら空を眺める。]
(210) 2014/03/04(Tue) 22時頃
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うお、眩し。
[――きらり、 視界で何かが光って、青年は思わず目を閉じた。
ややあってから目を開いて其処を見れば、僅かにまたちかりと光り。 屋上に光物でも置いてあるのか。 烏が何処かから硝子でも拾ってきたのかもしれない。]
…うーん、でも俺の特技っていうと写真くらいかな。 もっと腕が上がると良いんだけど。
[苦笑して頬を掻く。 他の特技といえば、自分の身を犠牲にして小さなトラブルを起こすくらいか。]
(227) 2014/03/04(Tue) 23時頃
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[それから43枚ほどの写真を撮って、青年は一息つく事にした。 適当なベンチに腰を下ろして伸びをして。]
…大学かぁ。 大人だよなー。
[自分が大人になっているところなど想像もできずに一人ごちる。 青年は日々の生活を送るので精一杯で。
――その先にある未来なんて、想像も出来ない。]
…二年経てば分かるのかな。
[二年経った時に自分はどうなっているのだろう。]
(239) 2014/03/04(Tue) 23時半頃
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[…ぐぅ。 かなり時間外れの腹の音に青年は苦笑する。]
はは。 そういや食べてなかったっけ。 腹が減っては戦は出来ぬっていうよな。
[青年は踵を返し、寮の方へと向かう。 食堂は未だ食事を提供している頃合いだっただろうか。 食べ損ねたなら部屋に置いてある非常食でも食べようかと。]
(243) 2014/03/05(Wed) 00時頃
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