52 薔薇恋獄
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―― 旅行当日 ――
[母は心配そうな顔も見せないで、楽しんでこいよ、と気丈に見送ってくれた。 普段束ねるのがあまり好きじゃない髪は、旅行の時だし楽ちんがいいなって思って、下ろしたままにした。 だから、とても澄んだ気持ちで出かけられる……なら、良かったのだけど。
バスの中で、軽く俯いていた。 携えたショルダーバッグの小さなポケットの中には、前の日に哲人が机に置いたあの甘味が、まだ食べられてないまま入っている。]
…………。
[怪談、と。恋物語、とも。そう称された話を、黙って聞いていた。 特に震えも何もせずに、ただ、少しだけ目を伏せた。]
(8) 2011/05/16(Mon) 00時半頃
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[ある時に、ちら、と隣の席の道也を見遣った。 自分が見ていない時に彼からの視線は向けられていたから、目が合うことはなかっただろうけど。 薔薇とかオカルトとか、いかにも彼らしいようなトークは聞こえるけれど……おそらく、道也自身もこちらに声をかけにくいんじゃないか、と思って。 ゆっくりと、口を開いた。]
ミチ。そのさ……こないだのこと。 センセが居てくれればって言って、心配してくれてたのに。 確かにさ、嫌だったけど……。 それでも、あれっきり無視とかして……ごめん。
[小さく、謝った。]
(20) 2011/05/16(Mon) 00時半頃
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[道也>>25の安堵した様子が解って、やっと、少しだけど表情を緩めることができた。]
うん、解ってくれれば、いいから。
その……おれも、すごく、ほっとした。
[漸く、普通に前を向くことができたところで……半分だけ後ろを振り向いた。 最後尾の席での出来事は、あまり良く解らなかったのだけれど。 己の真後ろの席から道也に話しかける良数>>23の声は、此方にも良く聞こえてきたのだ。]
ヨシ。 気持ちは解るけど、煽らない。
っていうか、舞台整ったら、その……困る。 そんなだったら、おれは一人で逃げるから。
[幾らか引っ張り出されたテーブルトークの記憶に、少し冷や汗を浮かべながら、ごちてみた。 おかしい、という道也に軽く頷いてみたりしつつ]
(36) 2011/05/16(Mon) 01時頃
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ロマンチックって言うには……。 ちょっと、生々しい気もするかな。 でも、わりと同じこと、おれも思って……
……って、あれ。
[自分が呟いた頃には、前の席の桂馬>>27はもう眠りに就いてしまっていたか。 起こしてしまうのも悪い気がして、そこで言葉を止めて。 何か思い出したように、桂馬の席がある前方と、悠里の席がある斜め後ろを交互に見遣ったりもした。
携帯ゲームは手元に何も無かったもので……道也や良数のそうした会話が聞こえた時は、ちょっぴりだけさびしげに髪をいらったりしつつ。 少しだけ、思案の海に沈み始めていた。]
そっか、相部屋だった。 おれは……。
(40) 2011/05/16(Mon) 01時半頃
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[ちらっと一番後ろの席に視線を送……ることもできないまま。 さっき克希の叔父が語った話に、再び思いを馳せた**]
(41) 2011/05/16(Mon) 01時半頃
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[道也>>47の声で初めて、蘭香の様子が今まずそうだと思い至った。 もし彼が道也と席を替わるとしたら、一度自分も席を立たないと窓際の席には来れないだろうから、そうする心算でいた。 蘭香の家の火事のことは知らなかったし、無論火傷にも気づいてなかったから、彼はただ普通に気分を悪くしている程度としか思わなかったが……。]
っわ、
[通路を羽ばたく紅子さん>>50の通った後を、少しの間見つめて]
ベニちゃんも。 山で飛び回ったりできたら、気分良いのかな……。
[「くん」呼びでないのはわざとか天然か。 紅子さんの声も楓馬の姿も中途半端にしか察せられない席で、なんとなく呟いた。]
(54) 2011/05/16(Mon) 12時頃
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[良数>>53にずりーと言われ、少し声を詰まらせた。]
そ、う言うなら、まあ。 でもおれの場合、ちょっと減るレベルじゃない……。
[その位解ってる癖に、とでも言いたげに軽く声を低めた。 正気が直ぐに葬られるだろうと解ってる舞台でも、カモ化するのが明白な勝負であっても、結局誘われれば断れないし、何だかんだで楽しんでいる節はあったのだろう。]
寝れずにはしゃぐのも良い、けど。 そのせいで何かコワイの見ても、知らないから。
[部屋割りのことが其処此処で話されている時。 暫し周辺の面々に意識を向けている自分が、哲人と悠里の遣り取りに、またその目線の先に気づくことはなかった**]
(56) 2011/05/16(Mon) 12時頃
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―― 到着前 ――
[成人>>65から袋を手渡された時、軽く瞬いたが]
あ、うん。分かった。
……ハマセンパイ、起きてる? これ、モモくんとこまで。
[桂馬>>67が目覚めているのを確かめて、手渡した。 ちなみにそのモモくん…調音の状況は自分ではさっぱり判ってない状態だったのだが……。 その後、成人からのもう一つの頼みごとに対して]
……うん。 おれは構わないけど。 ナルくん……じゃなかったな、ナリくんともゆっくり話せるし。
[桂馬と文の遣り取りも小耳に挟みながら、ひとつ頷いた。]
(112) 2011/05/16(Mon) 22時頃
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[ちょっとだけ、左後ろの方を横目で見た。
これでいいんだ、と思った。 同時に、胸の奥が燻るような感じもした。]
(113) 2011/05/16(Mon) 22時頃
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[良数>>68から囁かれた頃には、ちょっぴり拗ねたように目を伏せて]
かーいいとか、うーれしーくなーいー。 それに、これでも頑張って皆についてってるんだってば……。
[同じ位の小声で返した後、ひとまずそれっきり口を噤んだ。 ダイス発言が出てきた時には「どうぞー」としれっとした口調で。 そんな軽口を言えたり言われたりする間は、少しだけ澄んだ心にもなれた。
けれど文>>71から体調について聞かれた時は。 顔色はそれほど悪くなかったが、声色は少し弱めで]
……うん今日も、大丈夫。 ってかセンセ……おれ、無理しないからって何時も言ってるし。 だから本当、心配しないでってば。
本当に、センセに頼ってばっかなの、嫌だし。
[意図しての声量ではなかったが、今度は、はっきりとした声で一言加えた。]
(114) 2011/05/16(Mon) 22時頃
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[そうしているうちに、悠里や他の面々の言葉を受けて、数日前のメールにも気づかない程度にはあまりチェックしていない携帯電話を確認してみた。]
あ、おれも圏外。 ……でもまあ、向こうに固定電話くらいはあるだろ。
[わりと呑気な呟きだった。 三流小説とか何とか、な話題には軽く眉を下げてみせたりしつつ。 バスの到着に気づいたのはそれから暫くしてのことだった。]
(115) 2011/05/16(Mon) 22時頃
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―― 到着後 ――
[ふと、空を見上げた。 少しだけ目を細めて、けれどまた何事もなかったかのように。 肩に鞄を掛けながら、克希の先導にしたがって、黒いジーンズにスニーカーの足で前に踏み出した。
蘭香や調音の様子を見ても、特に自分からは手を差し出したりしなかったのは、その側に在った人の姿が見えたからか。 なんか誰か腰にきてるんじゃないかって人も一名居る気がしたが……そちらもその周囲の面子に任せて。 そして、ふと振り返った。]
…………。
[先ほど、おそらく後から行く心算なのだろうことを言っていた哲人>>111。 彼の姿が見えて、また目を逸らして。 けれど、少しだけ近くに……微妙に距離を取って、また歩き出した。]
(134) 2011/05/16(Mon) 23時頃
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ヴェスパタインは、ノックス…道也たちの方をぼんやり眺めながら
2011/05/16(Mon) 23時頃
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―― 別荘前 ――
[ふと、先ほどの文>>129の謝罪の言葉が思い出された。]
……やっぱ言い過ぎなのかな、おれ。
[ひとりごちながら、そのうちに見えてきた別荘の佇まい。 ぱちぱちと瞬いて見上げながらも、一先ず部屋を定めて荷物を置いて行こうと。 同室予定の後輩に声を掛けてみようとしたのだが……]
ナリくん?
[悠里に視線を向けている彼>>162に、呼び掛ける声は、届かなそうな気もして。 どうしようかな、と迷いつつも別荘の中の方へと歩き出していった。]
(173) 2011/05/16(Mon) 23時半頃
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―― 別荘内 ――
[一足先に……ってレベルじゃない速さで中に駆け込んだ悠里にちょっと目を回しつつ……。 成人>>178の返答に、微かな疑問符を浮かべながら頷いた。]
昔の事、ね……。
[独り言を言いながら、別荘の中へ。ちらっと玄関の鏡に視線を向ける。 悠里>>174の後ろの位置に映る、自分の容姿。 暫く見つめて……それから、成人に振り向いた。]
あのさ、部屋のことなんだけど、おれ、洋間の方がいいかな。 畳、ちょっと苦手なんだ……。 ね、いいかな、ナリくん。
[和室の話が幾らか出ていたのを思い出してそんな要望を出してしまった。]
(189) 2011/05/17(Tue) 00時頃
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ユリみたいに……堂々とできるなら、な。
[姿見の前の悠里>>174の後ろで、そんなことも一人呟いていた。]
(190) 2011/05/17(Tue) 00時頃
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ヴェスパタインは、セシル…士朗>>184に、そういえばネイは……と少し首を傾げた。
2011/05/17(Tue) 00時頃
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あ、ごめ……ありがと。助かる。
[成人>>191に、小さく頭を下げた。 それから耳を傾ける、志朗>>196の口から話される別荘の中のこと。 自炊との言葉には、僅かに眉を上げてしまったが……。 立候補した面々の姿を確かめれば、小さく息を吐いた。]
本当、今年の1年、いい子だなー…。
(208) 2011/05/17(Tue) 00時頃
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[文>>193がタオルを取り出しているのは見えてはいたが……。 長い髪には幾らか水滴が付いてはいたが、大したことない、との自己判断で。 特にタオルを借りようという素振りは見せなかった。 そして、志朗>>206にはゆるく、けれどなるべく嫌な顔をせずに頷いて]
……あ、部屋。 おれとナリくん、2階の洋室が良いっ、シロウセンセ。
[少し急いで手を上げた。]
(215) 2011/05/17(Tue) 00時半頃
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―― →2階・洋間一室 ――
ありがと、シロウセンセっ。
……ほら、早く行こ、ナリくん。
[成人>>223と共に、階段を上がり向かった先は、角の方という訳でもない部屋。 そこにショルダーバッグを置いてから、振り返った。]
じゃあ、とりあえずおれは一人で適当に廻ってくるから。
……今日の自炊の件、ありがと。
[そして、ショルダーの小さなポケットから何かを取り出して、ジーンズのポケットへと。 そのまま、廊下へと出て行った。]
(229) 2011/05/17(Tue) 00時半頃
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―― 2階廊下 ――
[強まって聞こえる雨音。 廊下の窓ガラスに微かに反射する自分の姿……その姿をさっき玄関で鏡越しに見られていたことは知らないまま。 ふと立ち止まり、瞳を向ける。
おぼろげに映る己の顔の陰影。 高い背に、どこか頼りない身体の線。 ……それがなんとなく、風景と馴染んで見えてしまった。
きっと誰かの目には、それがある誰かに似て見えるのかもしれない。 けれど自分ではそんなこと、まだ知りもしないままだった。]
(241) 2011/05/17(Tue) 01時頃
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―― 2階廊下→階段 ――
……まあ、うん、そうなんだよな。
[唐突に、去り際に見た成人>>236の言葉を思い出した。 おれもがんばろ、と一人呟いてみたりしながら。 そう言えばあの部屋から中庭見れたかな、とか。寧人が庭に……って言ってなかったっけ、とか、思いながらも。 突き当たりの人影も見落としたまま、階段を下りはじめて――。]
(251) 2011/05/17(Tue) 01時頃
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ヴェスパタインは、階段の途中で、立ち止まった。
2011/05/17(Tue) 01時半頃
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―― 階段 ――
あ……モモくん。
[足音に振り返ると、どこか急いでいるように見える調音の姿が見えて、はたりと瞬いた。]
……何か、あったの?
(259) 2011/05/17(Tue) 01時半頃
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―― 階段 ――
[調音>>260に……僅かにどきりとしたような顔をした。]
どう、というわけでもないんだけど。 ただ……。
[少し、考え込んだ。 それから、ジーンズのポケットに一度触れて、また放して……。 目を伏せながら、口を開いた。]
何となく、しんみりして、考えてしまってただけ。 ……ほら、バスで叔父さんが言ってたさ、恋物語のこととか。 少し、何というか……かなしいな、って。
[自分が普通にあの時聞いていた話を、彼もまた聞いているものだと思い込んだまま]
(268) 2011/05/17(Tue) 02時頃
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……ごめん、おれこそ。 そういえばそうだった、ね。
[バスから降りた直後の調音の様子を今思い出して、納得した。]
……うん。 貴族の息子と平凡な娘が、恋をして。 でも、彼女は屋敷から追い出されて。 その後……屋敷の人、みんな亡くなった、って話。確か。
亡くなった訳が、娘の祟りかどうかは正直分からないけど……。 彼女も、……跡取り息子にしても。 ふたりとも、ひとりぼっちで亡くなっていったような気がして。
(270) 2011/05/17(Tue) 02時頃
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うん、身分違い、の――…
……モモ、くん?
[苦しそうにも聞こえる言葉を零した調音に、何か言い掛けて……結局、何も、言えなかった。]
(273) 2011/05/17(Tue) 03時頃
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[深く息を吐いたところで、急に話題を変えられて、えっ?瞬いて。 ……自分も似たことをよくやっていたのに気づいたのは、暫く後のこと]
あ、えっと。
[そして、その内容に……見られてたと悟って。 妙にむず痒くなって、髪が少し揺れた。]
用事って訳じゃ、ないんだけど。 ただ……まあ、ちょっとしたしがらみみたいなもの。 昔、絵をやっていたんだ、おれ。
[美術の経験はあまり大っぴらに話すことではなかったが、かといってここで伏せればそれはそれで誤解されそうな気がした。]
まあ、色々あって部活はこっちになって……。 そのまま、居続けてる訳だけど。
(274) 2011/05/17(Tue) 03時頃
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ヴェスパタインは、「でも、時々……見に来てしまうって訳」と付け加えて、一呼吸置いた。
2011/05/17(Tue) 03時頃
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[何だかんだで絵画が自分に染みついてしまっていたからなのか。 美術のことで驚かれるとは思ってなくて、逆に瞬いてしまった。 断ち切れない、との言葉に目を伏せた。]
……まあ、ね。
でも、今の自分に、後悔は持たない心算。 ここにはおれの居場所があるし。 皆から学んだことも、思い出も、沢山ある。 モモくんとこうして話せてることだって、そうだし――…
(276) 2011/05/17(Tue) 03時半頃
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[調音の考えを読んだ訳ではなかったが……そこで、少し思い出した。 いつか、旅行の少し前、だったか。 その美術室から、少しだけ噂話が聞こえてきたこと。]
そういえば、こないだ美術室で、何かあったみたいだけど、 モモくん、何か……
いや、ごめん。忘れて。 ……ちょっとおれ、顔洗ってしゃんとしてくる。
[緩く首を振った後、階段を降り始めた**]
(277) 2011/05/17(Tue) 03時半頃
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―― 少し前から、今。階段→1階廊下 ――
な、何でもない。 その、別に、モモくんたちが喧嘩してたんじゃないか、とか――…
[調音>>278には振り返らず……けれど結局少し零してしまいながら、階下へと。 やがて、後ろから足音が聞こえてくることはなくなった。 思慮もなく駆け出してしまった方向は、台所へと向かうものではなく]
……えっと、ここどこだ。
(295) 2011/05/17(Tue) 11時半頃
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ヴェスパタインは、フィリップ…楓馬と道中すれ違ったかどうかは覚えていなかった。いっぱいいっぱいだったらしい。
2011/05/17(Tue) 11時半頃
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[当てもなく、誰に気づくこともなく廊下を歩いていた中。 ふと、立ち止まった。]
……『止めて』なければ。 今でもひとりぼっち、だったんだろうな。
[良かったなーって、と言ってくれた調音の言葉を思い出す。 それから、また、ひとつ足を進める。 足音に外の雨音が重なる。 そして零れる、あの時の彼>>272に言うことができなかった言葉。]
おれも、…… しない方が良いって、思ってた。
それなのに、さ。
[ポケットに隠しているもの……あの時の甘味。 それは結局、強く求めてしまった、色。]
(303) 2011/05/17(Tue) 13時半頃
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―― →庭園 ――
[足取りはあまり確りとはしていなかった。 ぼんやりとしたまま、目にしたのは野薔薇の中庭。 屋内との境目で誰かが話を交わしていたとしても目を向けることなく。 そして空を仰ぐことも、ここを見下ろせる窓を見ることもなく。
降る雨に打たれながら、静かに運ばれる脚は泥を跳ねて。 深い奥に誘われるように、庭の中程で立ち止まって。 棘の中に溶け込むかのように、佇んでいた**]
(304) 2011/05/17(Tue) 13時半頃
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―― 庭園 ――
[体温を奪う雨の中で、ひとつ、花に触れた。 棘が指に引っかかったけれど、あまり気にならなかった。]
……綺麗。
[手入れのされていない茨の中でも、そんな言葉が零れて、無邪気な笑顔も微かに零れた。 そんな瞳は、ベランダや窓越しの視線に気づくことはなくて。 またそんな瞳は、軒下に居た彼らに気づかれることもなかった。]
(350) 2011/05/17(Tue) 21時頃
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[今思い出したように、顔を上げた。 誰かが皆を呼ぶ声>>318が、遠く響いてきてたじゃないか、と。 戻ろうとして、少しだけ庭の中で迷ってしまったその間。 ちらっと低い階の窓からの灯りが目に入って、少し近くから眺めた。]
こっちからも、のばら、見えるのかな。
[その中で、先に此方を見つけていた(とは気づかなかったが)蛍紫が、志朗の髪に触れている姿までは、よく見えなかったけれど。 少しの間だけ、ぼんやりと見つめてから。 今度こそ、別荘に戻り、大広間へと向かう道を進んでいった。]
(358) 2011/05/17(Tue) 21時半頃
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[屋内に入る際、靴の泥だけは落としていった。 けれど雨に濡れた髪と衣服と、泥水の撥ねた裾と、薔薇の香りはそのままに。 そんなだったから、道中鉢合わせた楓馬に驚かれたのも道理なのだが……自分自身ではまだそうは思ってなくて]
フーマくんに……ランくん?
[蘭香の姿が見えたなら、別荘に辿り着くまでのことも思い出して、少しだけその顔色を見たりもした。]
あ、うん。さっきまで少し外に出てたんだけど。 別にそんな驚かなくても……。 後で着替えればいいだけだから、さ。
[そのまま、行こう、とばかりに広間の方へと歩き出した。]
(362) 2011/05/17(Tue) 21時半頃
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や、ランくんも……このくらいなら大丈夫だって。
[蘭香>>368にも、緩く首を振って明るく努めていたところで。 楓馬>>365がタオルを取り出すのが見えて、少し瞬いて……]
え、ちょっ……い、いいってばっ!
[髪だったり身体だったりにタオルをあてられて……少しだけ恥ずかしげに、顔を赤らめながらの困り顔。 時々、微妙に助けを求めるような伏し目がちな視線を蘭香に向けたりもして……。 けれど、その胸の奥のことにまでは、気づけないまま。 そして結局、大広間に着くまでの間、特に楓馬の手を払うことはなかった。
同じ薔薇の香りは楓馬からもしていたかもしれなかったが、 自分自身が今それを纏っているため、気にならなかった。 もっとも次第にカレーの香りの方が目立ってきたりもしたけれど]
(374) 2011/05/17(Tue) 22時頃
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―― 大広間 ――
ごめ、遅れたかな……。
[既に集まっている面々と、並ぶ料理を見ながら。 ……そう言えば畳だったっけ、とか内心ごちてしまいながらも。 ある方角を見て、はたり瞬いた。]
ってか、ここって台所直接見えるんだ?
(377) 2011/05/17(Tue) 22時頃
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―― 大広間へ入る前 ――
[>>378ダメ、という、嫌、という言葉に。 服をつままれながら、小さく頷いた。 冷え切った体は微妙に上手く動かなくて、出される手を払う力を持たないまま。]
判ってます、判ってます。なるべく早くきが――…
[そんな状況でいっぱいいっぱいだったから、気づけなかったその人の存在>>375。 楓馬が廻らせた視線の先を自分で追った頃には、もう捉えることができなかった。 どうかしたの、と楓馬に聞こうとしたけれど。 その笑みに何かごまかされたような形で、ただ口を閉じていた。]
[蘭香>>384にも、駄目、を出されて。 おまけに手を貸されもしたものだから余計にばつが悪くもあって……。 それでも丈夫でないことは事実だったし、勿体ないのも正論だったしで。 やはりただ、頷くことしかできなかったのだが]
(392) 2011/05/17(Tue) 23時頃
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―― 大広間 ――
え、……?
[一緒に来ていた蘭香が急に倒れて、誰か、駆け寄ってきて……。 楓馬の声がして、火を止めて、って。 台所に目を戻したら、既に火は消し止められていて。 ただ立ち尽くすばかりだったのだけれど……]
…………。
[その呼びかけをした人>>394の姿には目を向けないまま。 ちら、と一度良数の手元を見て。 それから……自分とどちらが先になるかはわからなかったが、台所まで寄ってコップをひとつ手にした。]
(403) 2011/05/17(Tue) 23時頃
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ヴェスパタインは、少し、行動が遅れた。
2011/05/17(Tue) 23時頃
ヴェスパタインは、自分が手にしたコップは、結局何処にも行けずに、水だけ満たして台所に置かれて。
2011/05/17(Tue) 23時半頃
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[視線は、誰にも向けずに]
探すなら、おれも手分けして、行く。
[この場に居ない二人の名が挙がった>>422後に、答えて。そのまま、振り向かずに、広間から廊下へと出て行った。]
(430) 2011/05/17(Tue) 23時半頃
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ヴェスパタインは、道也>>431が向かった方向を確かめてから、その反対側を辿った。
2011/05/17(Tue) 23時半頃
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―― 1階廊下 ――
ねえっ、カイくん、シロウセ……、げっ、、
[呼びかけてみるが、喉が上手く鳴らせない。 軽く俯いて額を押さえながら、客室とは別の方面へ。 まさか、とは思いつつも覗いた幾つかの扉の奥。そこにもやはり姿は見えないまま]
………外。
[そんな可能性も、言われてた、と思い返して。 過ったのは玄関の向こう側と……野薔薇の庭。]
(443) 2011/05/18(Wed) 00時頃
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[のばら、なら……部屋から、見える。 そう思い至った自分が足を運んだのは、玄関。 それから傘を差すこともせずに、飛び出して行った**]
(451) 2011/05/18(Wed) 00時頃
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ヴェスパタインは、道也の声は、聞こえていないまま、だった。**
2011/05/18(Wed) 00時頃
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