91 時計館の魔女 ―始―
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[ 粗野な話しぶりの男は、シスター・ツェリと、図書室にいた小柄な少女のやりとりに興味を持っているらしい。 やがて、飽きたのか軽く眼を閉じた彼に、...は声をかけてみた。]
失礼ですが、何かを探しておいでなのではありませんか?
(168) 2012/05/19(Sat) 22時半頃
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[ 周囲の混乱ぶりを面白がっていただけの男は、...の問いかけにも真面目に応じようとはしない。 低い笑い声をからみつかせながら、「今探さねェといけなくなった、か」とはぐらかした。 シスター・ツェリには、軽い口調で「死んでもらえないか?」と言う。>>169
...はそれ以上、話に加わることができず、視線を床に落とした。]
(177) 2012/05/19(Sat) 22時半頃
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― 謁見の間 ―
[ 自分の胸元に両手を当て、...は数回の呼吸を繰り返す。]
(順番に……していかなければ。順番に……ひとつずつ)
[ 顔を上げた。記憶にある名前のひとつが、とある人物の口から出たことを思い出して。 ...は急いで部屋を後にした。]
(198) 2012/05/19(Sat) 23時半頃
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― 大広間 ―
[ ソファの周囲には数名の人物がいた。...は一瞥して、目当ての“彼”がいないことを見取る。]
庭園かしら……?
[ ひとりごちてナンバリングされた扉を交互に見る。森側の庭園は、昼間、すでに見て回った。 小首をかしげながら、...は湖側の庭園を目指した。]
(201) 2012/05/19(Sat) 23時半頃
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ミッシェルは、エリアスに話の続きを促した。
2012/05/20(Sun) 00時頃
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― 湖側の庭園 ―
[青みを帯びた月光が、シャワーのように辺りを包んでいた。湖面までは少し距離があるようだ。なだらかな傾斜が続いている。
暗い中を伝わってくる話し声は途切れがちだった。どちらも声の低さからして男性だろう。 「ヴェスパタイン……髪の長い、長身の男を探している」 自己紹介したばかりの、ヤニクはそう言った。>>117
(ヴェスパタインが、あのヴェスパタイン・エヴァンスなら……) (わたしは、彼を知っている、と言えるかもしれません)
[ ...は静かに近づいた。]
(214) 2012/05/20(Sun) 00時頃
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[ だが、漏れ聞こえてきた会話の内容に、...の足は止まる。 「お伽話」、と前置きされたものの、
「人狼と、特定の能力をもつものが集まると」 「狼は、"儀式"をせねば、その場を離れられない」>>175
という指摘は重い。]
(219) 2012/05/20(Sun) 00時頃
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[ 打ち明ける声に、苦渋がにじんでいた。「私の祖父は、人狼だったから」……と。>>184
返答はそれ以上に大きな意味を持っていた。 「俺が、人ではないと言ったら、あんたはどうする?」 「人狼ではない。お伽噺の住人だ」>>190]
(ダメだわ……これは、聞いてはいけない……)
[ ...は無言でゆっくりと後ずさった。夜目が利くのは、こういうときに助かる。 どうにか物音を立てずに扉の近くへ戻ることができた。しかし、冷たい夜風に当たった手足は震えていた。
いや、夜風のせいだけではないかもしれない。]
(225) 2012/05/20(Sun) 00時半頃
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― 大広間→2階への階段 ―
[ 震える足を動かし、...は大広間へ入る。ソファの周囲にいる5名>>233 の誰かから視線を向けられたかもしれないが、それに構うことなく、2階への階段を上がった。 途中で何度も息切れを起こし、手すりにもたれかかって休まなければならなかった。踊り場では膝をついた。 ...は崩れるように背中を丸め、ぶるぶると震えていた。
震えが治まると、...はゆっくりと立ち上がった。 顔を上げる。そこに、いつもの柔らかな眼差しはなく。
...は背筋を伸ばし、長いスカートを軽くつまんで階段を上がっていった。]
(249) 2012/05/20(Sun) 01時頃
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― 2階→自室 ―
[ 広間の床に直接座り込んでいたシスター>>223 の存在に気づいたかどうか。 ...は脇目もふらず、規則正しい歩みで2-6の扉に向かい、部屋へ入った。**]
(254) 2012/05/20(Sun) 01時半頃
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― 客間、2-6 ―
[ ...は意識が戻ると、自分が着衣のまま眠っていたことに気づいた。 起き上がろうとして顔をしかめ、片手で頭を押さえる。頭痛がするのは、結い上げた髪がピンで不自然に引っ張られていたせいだろうか。
のろのろした動作でベッドから足を下ろすと、...はよろめきながら、備え付けのバスルームに向かった。
カーテンの隙間から差し込んだ陽射しが、その明るさで壁と床を分断していた。まるで、何かを暗示するように。]
(289) 2012/05/20(Sun) 16時半頃
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― 2階廊下→謁見の間 ―
[ 時間をかけて身支度を整えた...は、部屋を出た。 そのとき、廊下に誰かがいれば、言葉を交わしたかもしれない。
ふと、2-12の扉が少し開いていることに気づいた。近づき、謁見の間に入ってみる。
室内に金髪の魔女はいなかった。しかし、昨晩とはようすが違った。 玉座の後ろの壁に、12枚の絵が飾られている。
……これは、わたしたち……?
豪奢な額縁の中にいるのは、集められた客に、魔女とその使い魔のミケを加えた13名。>>#24]
(294) 2012/05/20(Sun) 17時半頃
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― 謁見の間 ―
[ 肖像画がまだ新しく、同一人物の筆によるものだということは、近づいてみるとわかった。絵の左下に画家のサインが入っている。
Daniel Hahn
と。]
ダニエル・ハーン……。
[ ...はその名前を口に出した。]
(魔法……ではないのね……) (誰かが描いた? 夜中のうちに……いいえ、早い時刻にここへ来た人も……?) (でも、12枚の肖像画を、すぐ完成させられる、なんて……) (もしかしたら)
お客ではないのかしら?
(311) 2012/05/20(Sun) 19時半頃
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― 謁見の間→2階廊下 ―
[ ...はしばらく絵を見つめていたが、ため息とともに視線をずらした。 室内を見渡しても、画家がここにいたという痕跡はない。
...は謁見の間を出て、階段へ向かった。 廊下に誰かがいれば、立ち止まって会話しただろう。玉座の後ろの壁に肖像画が飾られていることを、相手に伝えて。]
(313) 2012/05/20(Sun) 19時半頃
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― 大広間 ―
[ ...は食事中のシスター・ツェリに近づいた。 彼女の手元には、バゲットで作られたサンドイッチとオムレツがある。>>308]
おはようございます。 少し、お邪魔しても構いませんか……?
(314) 2012/05/20(Sun) 19時半頃
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[ シスター・ツェリは手を止めていた。フォークを口に運ぶ途中で。 一心に何かを考えているらしく、「御伽話」や「禁句」という言葉がぽつりぽつりとこぼれる。]
(316) 2012/05/20(Sun) 19時半頃
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[ シスター・ツェリは一瞬、肩を震わせたが、穏やかな声で椅子を勧めてきた。 ...が礼を述べて腰をおろすと、「ご存知かしら」と話しかけられる。 「妖精とは、どういう生き物か、なんて」>>318
おとぎ話に出てくる……?
[ ...は小首をかしげた。 そこへヤニクがやってきて挨拶し、「邪魔でなければ、一緒にいいか?」と言いながら、テーブルについた。>>321]
おふたりはそういう存在に興味がおありなんでしょうか?
(328) 2012/05/20(Sun) 20時半頃
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[ シスター・ツェリの「妖精さんといえば、小さくて可愛らしくて」「人に危害を加えるようなイメージは無いのだけれど」という言葉>>323 に、...はうなずいた。
ああ、確かに……一般的なのは、花の精のようなイメージですね。 でも、実際は違うのかしら……。 ここに集められたのなら、人間と同じ姿をしている……?
(334) 2012/05/20(Sun) 20時半頃
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[ ヤニクは卵サンドをかじりながら、「人に害を為す、妖精というのは……いるにはいる」と応じた。
では、「それに対抗する力を持った人」というのは…… たとえば、妖精を倒す力を持っているのでしょうか?
(337) 2012/05/20(Sun) 20時半頃
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もしかしたら、それぞれに対抗する力、という意味でしょうか。 人狼や悪魔や人魚や妖精……。
たとえば、人狼退治の力は悪魔に通用しない、とか。 人魚と妖精では、その方法が違う、とか……?
(340) 2012/05/20(Sun) 20時半頃
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[ ヤニクの「無害だろう」という妖精評>>341 に、...は少し反対してみる。]
でも、無害な存在なら、ここに集められていないのでは……? やはり、何らかの……人ならざる力を持っているのではありませんか? ここに招かれた妖精がそうだとは限らないにしても。
(344) 2012/05/20(Sun) 21時頃
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[ 大広間にやってきたダーラは、相変わらずの派手さだったが、今朝は手ぶらだ。>>342 ヤニクの挨拶>>345 に、...も続けた。]
おはようございます、ダーラさん。 こちらにおいでになりませんか?
(351) 2012/05/20(Sun) 21時頃
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[ ダーラの視線はぶしつけで、なぜかヤニクに注がれているようだった。>>346 それを感じてか、「では、人間も無害ではない。ということか?」と返ってきたヤニクの声には不快感がにじんでいた。>>347
...は小首をかしげつつも否定しない。]
ええと、対抗する力を持った人が集められた、という意味ではなかったのでしょうか。 わたしはそう考えて、魔女は何か……魔法の対決みたいなものさせる気なのか、と。
(354) 2012/05/20(Sun) 21時半頃
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[ 「人魚もそうなのかしら」というシスター・ツェリの>>348 のんびりした言葉に、...は微笑んだ。]
ああ、わたしも知っています。 恋が成就しなければ、海の泡になってしまうんですよね?
[ 近づいてきたダーラが太い声で「興味深い話をしているねぇ」>>353 と、加わった。]
ダーラさんは絵の専門家ですものね。 人魚や妖精にも詳しくていらっしゃるのでは? だって、小さな絵のモチーフとしてよく描かれているでしょう?
(358) 2012/05/20(Sun) 21時半頃
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泡と聞いて、思い出したことがあるんです。 何かの本で読んだ記憶が……。
一般に知られているのは、人魚が泡になって消えてしまうというお話でしょう? でも、妖精こそがそうなのだと。
(362) 2012/05/20(Sun) 21時半頃
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シスター・ツェリがおっしゃっていた「占い師」。>>336
その本によれば、占い師が妖精を泡にしてしまうのだそうです。 恋人でも、人魚でもなく……。
少し変わった伝承だなあ、と思って読んだのですけれど……。
(367) 2012/05/20(Sun) 21時半頃
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恋に破れた人魚ではなく、 占い師に恋した妖精が泡になる……。
ずいぶん変わったお話でしょう? それで、思い出したんです。
[ ...はヤニクとダーラを交互に見ながら言った。]
(370) 2012/05/20(Sun) 22時頃
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[ 不機嫌そうに「悪魔」という単語を出したヤニク>>368 は、話の続きがよほど意外だったのだろう、「占い師に、恋……?」と繰り返し、しばらく首をかしげていた。>>375
だが、ダーラのからかい>>381 に、「少し、頭を冷やしてくる」と言い訳し、席を立ってしまった。>>384
その背中を見送った...は、ダーラに向かって尋ねる。]
謁見の間の肖像画をご覧になりましたか?
(391) 2012/05/20(Sun) 22時半頃
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[ 「あったかしら」といぶかるシスター・ツェリ>>393 に、...は説明した。謁見の間に、12枚の肖像画が飾られていること、魔女とミケを含む13名が描かれていることを。
ダーラが横から、「アタシの――子供たちさ」と意味深な発言をする。]
それで、ダーラさんにお願いがあって……。 昨日の水車小屋の絵を、もう1度、見せていただけないでしょうか?
[ 赤い唇で笑みを作った彼女に、...は頼んだ。]
(401) 2012/05/20(Sun) 23時頃
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[ ...は息を呑んだ。 何もないところへ伸ばされたダーラの手。それが突然、1枚のキャンバスをつかんでいた。
差し出されたキャンバスを、...は立ち上がって受け取る。驚きの余韻で両手はわずかに震えていたけれども。
風車小屋を囲む赤い草原は、さらに赤みを増していた。]
ああ……では……。
[ 疑問ではなく、得た回答を口に出してしまった。]
……あなたが、描かれたんですね…… この絵も、あの肖像画も。
(416) 2012/05/20(Sun) 23時半頃
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[ 挨拶しつつ、「何のお話ですか?」と気軽に加わったカミーユ・ペラジー。>>408 遠慮がちに「混ざっても、良い、だろうか?」と尋ねた長髪の男>>422 は、飲み物だけを口にして「ヴェスパタイン・エヴァンス、だ」と名乗った。>>456 そこに、1-4の扉から庭園へ出ていたヤニクが戻ってきた。>>432
6名になったテーブルだが、ダーラはどこか満足げに席を立ち、>>447 残った5名の話題は、結局、同じ単語の繰り返しになる。
人狼、悪魔、妖精、人魚。 対抗する力を持った人間。]
(470) 2012/05/21(Mon) 01時頃
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