52 薔薇恋獄
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―― 到着 ――
ありがとーございましたっ!
[叔父さんは良いと言ってくれたけど、布を借りて通路を中心に、すこしバスを掃除させて貰った。 克希が言うように、空は今にも雫塗れになりそう。 そっちも本降りにならねーうちに戻ってこいよー、と手を振って見送り]
…… せんぱい達に、言うことじゃねっての。
[通路の床から顔を上げた時、見えた光景>>100>>105が、ふと蘇る。 蘭香が大事にされていて嬉しいとか、ありがたいとか。 そういう気持ちだけでなくて、何故か。 口をつきそうになった呟きは、未だバスの中に居る克希らを思い出して、留められたのだった]
ふみせんせこそ、重そーっすよ。 手伝います?
[オレ荷物あんまり無いから、と大荷物の文>>108へ手を伸ばし。 渡してくれるなら受け持って、てくてく歩き出す]
(123) 2011/05/16(Mon) 22時半頃
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腰?
[それなら階段はキツそうだと、成人の説明>>121が聞こえて、心配げに王子を見遣った。 手を伸ばす悠里が居るから、特に近づくでもなく。 本人の説明>>124に、整理を手伝えば良かったと思うくらい]
成人は大丈夫なん? なんか、無言で運んでるけど。
[常から口数が多いわけではないが。 黙々と足を進める後輩を見上げて尋ねた]
(126) 2011/05/16(Mon) 22時半頃
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おまかせー。 だって、せんせの荷物、どうせオレらの為なんだろ。
[小さいほうを渡す文>>136に、バスの中での彼の行動を思い返せば、そうにへっと笑って鞄を受け取り]
……オレがちっこいからヤバいとか、そういうんじゃねーよな? ただの鞄にしか見えねーんだけど…… すごいな。
[ヤバいらしい鞄>>133を、無言ながら平然と下げている後輩。 すげーすげー、と感心した様子でしきりに、思いっきり腕を伸ばして、つんつん頭を撫で回した]
…… 、 ……。
[そこに。 掠れた声音>>137が聞こえて、思わず口を開きかけ。 けれど、ぱく、と動くだけで、言葉にはならず。 暫し悠里を見つめるだけになってしまった]
(149) 2011/05/16(Mon) 23時頃
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[バスの中と打って変り、元気に袋を振り回す調音>>128の姿を、微笑ましげに見遣れば。 その細い背越しに見えてきた屋敷。
規模は、幼馴染の家に似ているが、雰囲気は似ていない、雨雲を背負った豪邸を見上げ。 すこしぼんやりと、立ち竦んでいた]
(150) 2011/05/16(Mon) 23時頃
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へえ、そんな? どれどれ、……む、むぬ……っ!
[ひとしきり後輩を撫で回してから>>157、彼の鞄に手を掛けてみた。 が、確かに持ち上がらず。 へたりと座りこんで、何者? という目で改めて、後輩を見上げたのだった]
ん。
[ふと、元気に袋を振り回していた調音が、そっぽ向いているのに気づき。 また何でだ、と口をへの字にするも]
……成人?
[屋敷を眺めていた視線は、声>>162によって彼へと引き戻り。 どうした、と彼の視線の先と、彼とを交互に見て、首を傾げた]
(168) 2011/05/16(Mon) 23時半頃
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うん、見た目そんな、マッチョじゃねーもんな。 あ、それが悪いってことじゃねーぞ。むしろカッコいい。
[困ったような顔をさせてしまった後輩>>175に、ぶんぶん首を振り。 伸ばされた手を取って、よっと立ち上がり]
思い出? 先輩と何かあったん…… って、つめたっ!
[はて、と尋ねかけたところで、首筋に落ちた雫。 自分の荷物はともかく、紅子さんと文の荷物は濡らすわけにいかない。 成人の声>>178に頷くや否や、屋敷にむけて走り出した]
(183) 2011/05/16(Mon) 23時半頃
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―― 別荘 ――
ふぁー。ほんとに、すぐ降りやがんの。
[ぱん、と雨粒を払ってから、文へ鞄を渡し。 鳥籠と自分の鞄をホール脇に置くと、蘭香のほうを見遣る。 良数と何を話しているのかは聞こえなかったが、火を見た時のような反応は、今のところ無く。 目の届く範囲、火事の名残が無いか今のうちに確かめておこうと、再び外へ足を向けた]
(192) 2011/05/17(Tue) 00時頃
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フィリップは、文に、いえいえ、とにへり笑い。
2011/05/17(Tue) 00時頃
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―― 玄関→庭園方向 ――
……あれっ? 寧人先輩?
[ぐるっと回ろうとしたところで、傘も差さずに庭を眺める人影を見つけて。 何してるんすか、と濡れた地面をぱしぱし蹴って、走り寄った]
(198) 2011/05/17(Tue) 00時頃
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―― 庭園 ――
確かに、本降りになったら、薔薇見るどころじゃないっすもんね。
[そう思うと、小雨のなか、濡れた薔薇を眺めるのは贅沢にも思えて。 きょろ、と幾度か首を動かしてから]
……? 何すか、それ。
[寧人の手の上で転がされる、大きなガラス球みたいなのに目を惹かれる。 じゃれつくのを我慢するような、うず、と動く手を押さえて訊いてみた]
(213) 2011/05/17(Tue) 00時半頃
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うん。折角こんな、キレイなんだから、みんなで見たいですし。 ほんと、近づくとすごい……。なんか、庭全体が、おっきな薔薇のイキモノみたいです。
[その光景に呑まれたような声音で花々を見回すと、手を伸ばし、近場の一輪に触れた。 ぴん、と柔く弾けば、淡くひかりを零して雫が落ちる]
あれ、ほんとにガラスなんすか。 先輩が転がしてると、重さとか無いみたいに見える……。
[滑らかな動きで、てのひら、甲の上、とすべる球。 ぴたり、やはり重さを感じない静かさで回転の留められたそれに、恐る恐る手を伸ばす]
……大丈夫っすか? ガラス、壊れたりしたら……
[そっと握りこめば、外気で冷やされた硝子の冷たさと、寧人から伝わったのだろう暖かさを感じる。 透明な球の表面はけれど、使いこまれたのだろう幾つもの傷も伝えてきて。 落とすのが怖くて、片手でしっかり握り締めたまま。労わるように、硝子球を撫でた]
(232) 2011/05/17(Tue) 00時半頃
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―― 庭園 ――
こんな地獄だったら、堕ちてもいいなぁ。 あれ、地獄と煉獄って違うんでしたっけ?
[音楽か歴史の時間に、やったようなやってないような。 うぅん、と考え込みながら、詩人というのはまったく、その通りだと思うから、こくこくと同意を示し]
えっ。そうだったんですか!?
[じゃあもしかして、この傷は落とされた時の。 ぽかんと口を開くも、先輩のものには違いない。 急に粗雑な扱いをするわけではないが、知る前よりは柔らかな動きで、硝子球を弄る。
見よう見まねにもならないが、ゆるゆると、手の回りに回してみたり]
(244) 2011/05/17(Tue) 01時頃
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…… 先輩は、幽霊、見たいんですか?
[ぴた、と手の動きを止め。 球を、覗きこむでなく、寧人に向けて翳す。 硝子越しに映るのは、さかさまの屋根か]
…… むずかしい です、ね。 先輩も、恋してるみたいな響きです。
(245) 2011/05/17(Tue) 01時頃
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―― 庭園 ――
救われる……地獄。
[棘にあえて触れるみたいに、手を滑らせるのには、傷つきますよ、と袖を引いた。 手を取るには、自分の手が塞がっていたから。
時折、硝子球に弾けては、滴りおちる雨粒。 手で温まったその雫の温度は、涙と同じ。
煉獄と、涙について考えながら、すべる球に苦労しつつ、手を動かした]
頑張っても滑ります! つか、え、これで球だけとか無理…… む、ぬー。
……おっ? おお?
[こんな感じ? と少しだけ出来た気がした。 採点を求める生徒のような瞳で、寧人を見上げ]
(264) 2011/05/17(Tue) 01時半頃
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SAN値とか、また…… いや、そーですよ、減るからこういうトコでクトゥルフとかやらない方が良いんです。 もっと平和な遊び、いくらでもあるんですから。
……あれ、そうなんですか。 切ないとかじゃなくて、難しいって、言うから。 なんか、自分で考えてるみたいな言葉だなって、思ったんです。
[否定には、カン違いすみません、とあっさり笑う。 けれど、醜いと表すのに、眉を下げ]
……そんなこと、ないです。 怪談はそうかもしれないっすけど、本当は、そうじゃなかったかもしんないし。 それに、もし、そうだったんだとしても、そうしなきゃならないくらい、苦しくて、どうしようも無かったのかも、しれないし……。
そんな、苦しくなるのって。そうなる前が、すごく楽しくて、綺麗だったからだと、思うし……。
[そのまま、のろのろと俯いていき。 ややあって押し黙ると、ヘンなこと言ってすみません、と謝って硝子球を渡し]
(265) 2011/05/17(Tue) 01時半頃
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オレ、せっかくだからもう少し周り、見てきます。 ……あ、先輩居たから、本降りの前に薔薇見れたんですよね。ありがとうございました!
[にへっと笑うと、勢い良く頭を下げ。 当初の目的を果たそうと、いよいよ粘度を増してきた地面を蹴って、走り出す。
良数の姿に気づいたなら、そちらへぶんぶん手を振ってから、裏手へ走っていった*]
(266) 2011/05/17(Tue) 01時半頃
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―― 別荘 ――
ふみせんせー、タオルありますー?
[雨の勢いはさほどでなかったが、ひととおり見回った頃には結構濡れてしまった。 これで部屋まで戻ったら、床にシミを作ってしまいそうで。
部屋割りは聞かずに飛び出してしまったから、知らなかったのだけど、文の部屋が1階だったから、そう関係ない戸を開けずに済んだ。 勉強中の顧問の部屋は、うっかり開けてしまったかもしれない]
おっ、良い音。 ご飯なんだろ。つか誰が作ってくれてんだ?
[貸して貰ったタオルを被り、ぱたぱた走り回ってお掃除。 台所から届く匂いに、わくわくとモップを滑らせていると。
水分を吸われて少し乾いた髪から、タオルが肩にすべり落ち。 その感触に、寧人に撫でられたそれを思い出し、ぴたり足を止めた]
(290) 2011/05/17(Tue) 10時頃
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……恋、してる?
[突然唱えられた召還呪文より、その言葉のほうが驚いた。 思わず、きょとんと大きく見開いた目に、雨粒が直撃してぎゃー! と我に返ったのだけど、そうでなかったら笑ってあの場から立ち去れなかったかもしれない]
……恋?
[誰が。オレが? 確かに、恋愛については今考えていて、興味だって無いわけじゃないけど。 先輩に彼女が居るか尋ねるのだって、あんな挙動不審になってしまう自分が。 恋、なんて。マトモに出来ているんだろうか? それ以前に――]
…… うーん。分からん。恋ってなんだ……。
[モップの柄に顎を載せ、しばしうんうん唸っていたが。 何処からか吹き込んだ風に、ふるっと身震いすれば、早く掃除を済ませてしまおうと。 また、ぱたぱたと濡れたあとを追って掃除を開始した]
(291) 2011/05/17(Tue) 10時半頃
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―→ 蘭香との部屋 ――
ただーいまっ。おー、良い眺め!
[雨で煙ってはいるが、バルコニーからは庭が見下ろせ、晴れればさぞ美しいだろうと思った。 部屋の調度も整っていて、ほんとうに部活の旅行で使って良いのかと、勿体無くなる]
紅子さん、散歩出来なくて残念だけど。 晴れるまでは、部屋ん中でガマンな。
[『ショーガナイナ』と鳥籠から飛び出て、バルコニーの手摺りに留まる紅子さんを指して、やれやれと口を開きかけ]
蘭香? ……具合、悪ぃ?
[幼馴染の顔色があまり優れないのに気づき。 心配げに、ひたりと冷えている手で額に触れた*]
(292) 2011/05/17(Tue) 10時半頃
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―― 自室 ――
……蘭香?
[ほわっと一時、てのひらから伝わる体温が上がったように感じたのは気のせいか。 確かめる前に、身を引かれてしまったので、定かではなく。
笑ってみせる蘭香を、じとり睨んで。 引かれた分だけ詰め寄ると、うにっと頬を両手でのばす。 ふわりと微かに漂った薔薇の香りは、さきほど触れたものか、庭から運ばれたものか]
何言ってんだよ。 オレが、蘭香のこと、気持ち悪いと思うわけねーだろ。 バカじゃねえの。ばぁか。
[あまい香りに似合わない、粗雑な言葉で文句を並べ。
そのまま、こつん、と。 もっと幼かったころのように、額をあわせ。 どーだ、とばかり、笑ってみせた*]
(313) 2011/05/17(Tue) 16時頃
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―― 自室 ――
ん? どう、
[じ、と蘭香の瞳を見つめていたから、くちびるが動いたのは見えなくて。 ただ、余韻を残して呼ばれた名に、続きを尋ねようとしたところで]
のわっ!? ああ、調音が作ってたのか……。
[階下からの呼び声>>318に、びくっと身体を離した。 耳を澄まそうとしていただけに、大声にひどく驚いたのだ。
どきどきしている心臓を押さえ、ふぅと息を吐き]
メシだって。行こっか。
[行ってくるよ、と紅子さんに手を振り。 そういえば食事の場所も聞いていないから、道々で蘭香に尋ねながら、階段を下りていった]
(360) 2011/05/17(Tue) 21時半頃
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フィリップは、夕輝の姿を見かければ、驚いて駆け寄った。びしょ濡れじゃないですか!
2011/05/17(Tue) 21時半頃
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いや驚きますよ。 もう、……ちょっと、失礼します。
[自分の身体のことを分かっていないわけでもあるまいに、何でもない様子の夕輝に眉を上げた。
何処に干しておけば良いか聞きたくて、持ってきた文に借りたタオルは腕の中。 使っていない一枚を、ぼふっと歩き出す髪に押しつけ。
歩きながらでも、振り払われなければ、ぽふぽふ肩や腕、頭に押しつけて。 その度ふわりと、薔薇の香りも流れるか]
(365) 2011/05/17(Tue) 22時頃
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フィリップは、食事場所の様子は、まったく知らなくて。目先の、濡れ鼠なひとを拭くことで頭がいっぱいだった。
2011/05/17(Tue) 22時頃
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ダメです。 せっかく先輩も来てくれたのに、風邪でずっと寝込んでたりしてたら、オレ嫌です。
[ぽふぽふぽふ。 振り払われなかったので、結局手の届く範囲は拭き終えてしまって。 けれど冷えていることに変わりはないから、食べたらすぐ着替えて下さいね、と薔薇の香かおる、先輩の服をつまみ]
……え?
[低い呟き>>375。 最初、それが、誰のか、何処からか、分からなくて、きょろ、と視線を彷徨わせたけれど。 広間へ向かう背を見つければ、暫し、その髪色を、じ と見つめ]
……。 ……ふむ。うん。なるほど。
[何を思ったのか。 立ち止まらない背と、夕輝とを見つめ。 にへらー、と笑ってから、そのまま広間へ歩を進めたのだった]
(378) 2011/05/17(Tue) 22時半頃
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―― 大広間 ――
[到着する前から、良い匂いを漂わせていた食事に、足も速まる。 カレーは良く作るけれど、人によって味が違って面白い。 調音のはどんなんだろう、なんて考えながら、何の気なしに広間へ踏み入ったところで]
? らん、 ……蘭香!!
[ふわり、視界を横切って落ちていく髪。 どうした、と声を掛ける前に、反射的にその、視線が向いていた筈のほうを見]
悪い、火、止めてくれ!
[庇うように幼馴染を抱きこみながら。 誰が居るのか分からなかったが、そう叫んだ]
(388) 2011/05/17(Tue) 22時半頃
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蘭香、大丈夫だから。蘭香、……蘭香……。
[もっと、注意しておくべきだった。 今更、屋敷の施設をちゃんと聞いておかなかったことを悔やむが、頭の中がぐちゃぐちゃで、それすら上手く考えていられない。
こんな時どうしたらいいか、覚えておいたはずなのに、手は全然動かなくて。 ただ、涙を流す幼馴染を、抱きしめていることしか出来ない。
成人が火を消してくれたのも知らず。 文を呼んだりしてくれている哲人の声も耳に入らないまま]
(396) 2011/05/17(Tue) 23時頃
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[文が蘭香に手を伸ばせば>>401、反射的に、奪われまいとするかのように、蘭香を遠ざけようとしてしまったけれど。 じ、と短くない時間、そのひとを見つめているうちに、文と分かって。 少しだけ、腕の力を抜けた]
……つつ、む。…… う、ん。
[顔色は蒼白だろうが、涙は一滴も零れていないのに、ひどく掠れた声で、成人>>404に答え。 ぎこちない腕で毛布を受け取ると、壊れものを扱うよりまだ恐る恐る、幼馴染の身体を包んでゆく]
(408) 2011/05/17(Tue) 23時頃
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……っ、
[蛍紫が居ない。 哲人の言葉>>410が届けば、自分がどうしてこんな、動けないで居るのか分かって、泣きそうな顔で息を呑む。
けれど、指摘されたことで、落ち着く余地も出来た。 震えと区別できないほどの、ちいさな頷きをして、出来るだけ大きく、呼吸]
…… だい、じょうぶ。です。 ……大丈夫、だから。蘭香。……怖く、ない。 此処に居るから。誰も、居なくならない から。
[ぎこちなく、けれど笑みらしきものを浮かべ。 そっと、毛布越しの背を撫で始めた]
(415) 2011/05/17(Tue) 23時頃
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…… うん。
[伸ばすのを躊躇っていた手。 けれど文の後押し>>419に、おずおずと頷いて。 まだ上手く力が入らない手で、けれどしっかり、蘭香の手を握り返した]
(421) 2011/05/17(Tue) 23時半頃
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[桂馬の問い>>423に、最初頷き、続いて首を振った。 薬が抑えておいてくれる病ではないから。 それでニュアンスは伝わっただろうか。
成人>>424には頷いて、手を握りしめたまま、ひたすら蘭香の名を呼ぶ]
(426) 2011/05/17(Tue) 23時半頃
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蘭香っ。
[彼の瞳が、自分をちゃんと見て、名を呼んだ。 それだけのことに、ひどくほっとして、握ったままの手をぎゅっと握りこむ]
うん、オレだよ。此処に居る。分かるか?
(433) 2011/05/17(Tue) 23時半頃
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蘭香……、良かった。
[縋りつく蘭香を抱きしめて、ほっ、と詰めていた息をやっと吐けた。 彼が落ち着いてくれば、自分もまた、周囲が見えるようになってきて]
え…… あ、すみま、せん……。
[文の言葉>>439に、くちびるを噛む。
ちらほらと見えない姿は、呼びに行ってくれているのか。 そうでなくとも、自分は何も出来なくて。 ただ、此処で固まっていることしか出来なかったのに]
(448) 2011/05/18(Wed) 00時頃
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