261 甘き死よ、来たれ
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─ 桜の木の下で ─
……おやすみなさい。 また、いつか。
(+10) 2016/12/17(Sat) 00時半頃
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[あたしの声は、きみに届いてはいないでしょう? でも、いいんです。 あたしから、きみの姿は見えますから。 きみからあたしが見えてなくても、あたしがきみを見ていますから]
だから、ひとりぼっちじゃないよ。
[あたしの大切な大切な、妹*]
(+11) 2016/12/17(Sat) 00時半頃
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─ 独白めいた何か ─
[小さい頃、あたしはシンデレラが大好きでした。
シンデレラは、勿論あたし。 あたしは、いつか王子様が来るものだと思っていたのです。 優秀で親からもあいされる姉ではなく、あたしを選んでくれる人が現れるのだと、そう思っていました。 何にもしなくたって、無条件でしあわせが訪れるんだって、思ってたんです。馬鹿ですね?
別に虐待されたりとかは、ありませんでしたよ。 むしろ、大切に育てられたんじゃないかしら。 あたしの劣等感の源である姉も、あたしにはとっても優しかったです。 だからあたしは、確かにお姉ちゃんが大好きでした。 ……両親がお姉ちゃんばかり見るのは、やっぱり、悲しかったですけどね]
(+13) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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[────いっそ、虐げてくれればよかった]
(+14) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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[そうすれば、あたしはあの人たちを恨めたのにね。 お姉ちゃんが死んだときにも、両親がその後を追ったときにも、責めて責めて、泣くこともできたろうに。 仕方ないなって、赦したりもしなかったろうに。
あたしは、泣けませんでした。 どんな別れも、心をすり減らすばかり。悲しいとか恨めしいとか、そういうことを考えるのも、止めてしまいました。
考えるのを止めて、もう、何もかも捨てたと思ってました。 でも、ねえ。捨てられなかったんですね。 誰かを大切に思う心って、どうやっても捨てられないんですね]
(+15) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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[める。あたしの、たったひとりの妹。
最初はただ、自己投影していただけだったんでしょう。 可哀想なきみに自分を重ねて、それを救って、満足したかっただけなんでしょう。
でも最期の時、穏やかに逝けたのは確かにきみのお陰です。 きみが居なかったら、あたしはきっと、みっともなく泣きわめいていました。 死にたくないって、泣いて、醜く死んでいったんでしょう。 きみには、何度ありがとうと言ってもたりません。
大切な人に最期を看取ってもらえて、あたしはとってもしあわせでしたよ]
(+16) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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[……でもほんとうは、 もうすこしだけでも、一緒に*生きたかったな*]
(+17) 2016/12/17(Sat) 01時頃
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あ、 れいくんだ
[此方に向かってくる人影>>11に、あたしは少し弾んだ声をあげました。 ツリーの話、覚えててくれたんだなあって、頬がゆるみます。 ね、季節はずれのクリスマスツリー。変でしょ? ……ああ、そういえば、あいちゃんにこれの意味を聞きそびれていましたね。 彼女の声もこちらがわで聞こえた気がしますし、後で聞いてみるのもいいかもしれません。今はなんだか、お忙しそうですからね]
おはなみの約束はむりだったけど これはもう、あれだね。……うん。 もう、お花見みたいなもんってことで。
[もし次会っても、ごめんなさいはしなくってもいいですね。 ほらこうやって、あたしも彼も桜の下に居ることですしね。 彼からあたしは見えていないんでしょうが、お花見って桜を見ることですから、間違ってないです。……だめですか?*]
(+20) 2016/12/17(Sat) 14時半頃
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─ 閑話休題 ─ [……そういえば、と。あたしはある人のことを思い出しました。 ある人っていうか、えふくん>>18のことなんですが。 あの人はまだ、こっちにきていないみたいですね。
何となく、こっちがわの人とあっちがわの人、わかる気がするんです。 向こうがわだってちゃんと見えるのに、全然ちがう場所にいるみたい。やろうと思えば、瞬間移動とかもできそうな勢いですよ。わかんないですけど。
でも、彼がいないのって意外でした。 もう、結構な人がこっちがわに来てるみたいなのに。 こう言っちゃなんですが、あまり長生きするひとには見えませんよね、あの人。 それに、あたしにくれたあの煙草みたいなの。あれ、どう考えても手を出しちゃいけない系のやつでしたしね。 ああいうのやってると、長生きできないんじゃありません?しらないけどね]
(+25) 2016/12/17(Sat) 16時頃
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[意外だったけど、残念だとは思いませんでした。 生きてる方がいいって言いきれませんが、そう簡単にしぬもんじゃないですよ。 生きれる間は、生きているほうがずっといいんじゃないかしら。
……ああでも、彼はまだ、ひとりぼっちの王様をしているんでしょうか。 砦のようなシェルターに引きこもって、夢見るおくすりにすがっているんでしょうか。
そうだったら、なんだか、かわいそうだなって思います。 あの人にとって、生きてるのとしんでるの……どっちのほうが、*しあわせなんでしょうね?*]
(+26) 2016/12/17(Sat) 16時頃
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める、あたし さむくないよ。 きみが着てけばいいのに。
[お父さんの上着>>26、大切に着ていたじゃないですか。 上着としても死んだあたしを隠すより、生きてるめるをあたためる方が、ほんもうだと思うんですけどね。
めるの気持ちは嬉しいけど、すこし、心配です。 きみにはまだ、先があるんですよ]
……れいくん やっぱりきみは、たにんごとだねえ。
[お兄さんが死んでも揺れない心ですもの、あたしなんかじゃ悲しませてあげるのは、無理なんでしょうね。
そういうドライ>>27なのも、悪くないかもね。 死んでしまった方からすると、ひどく悲しまれるより、救いになるのかも。 ……でも、きみはほんとうにそれでいいのかな]
(+27) 2016/12/17(Sat) 20時頃
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[口うるさいこと言うつもりも、言える口もないので、あたしはただ二人を見守るだけでした。 二人が別れるときは、一緒にいればいいのにって思っちゃいましたね。
二人とも、心配なんですもの。 めるのひとりぼっちの境遇が、れいくんの壊れかけのこころが、ちょっとだけあたしに似ていて。見なかったことにするの、むずかしいんです。
あたしは少し迷って、その場に立ちすくみました。 二人の行く先は、なんとなく予想できます。 後から追いかけることも出来るだろうって、自分の死体に近づきました]
(+28) 2016/12/17(Sat) 20時頃
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……よかったね、未葉。
[きみは種を遺したんですね。 それが、花開くかはわかりませんけど。
未葉、きみはきっと、悔いの残る表情はしていないんでしょう。 頭まで上着がかけられていたって、それくらいはわかります*]
(+29) 2016/12/17(Sat) 20時頃
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[そうしてあたしは、辺りをみまわしました。 そこに、共に眠る彼女たち>>+19>>+24だとか、眼鏡の似合うあの子>>+8はいましたか?
いたなら、ふらっとそちらに、ちかづいていってみようかな。お邪魔にならないていどにね*]
(+30) 2016/12/17(Sat) 20時頃
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[寝転がる二人のうちの一人>>+32が、こっちに近づいてきます。 それに、あたしからも近づいていって、にこりと笑いました。
そりゃね、生きてるほうがいいですけどね。 こうして再会するのも、まあ、悪くないんじゃないですか?]
ね、すこしぶり。
う〜ん…… ねころんでるっちゃ、寝転んでる…かなあ。
[でもあたしが生きてたころはまだ座りこむだけでしたし、めるに横にしてもらったんですから、あれは不可抗力ですよ。 それでも言いづらそうに、わざとじゃないよ、なんて苦笑してみせました。
あいちゃん、笑ってますから、怒られないとは思うんですけどね]
(+33) 2016/12/17(Sat) 22時頃
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そう、そう。 きみにね、ききたいことがあってだね。
ほら、あの…クリスマスツリー? あれって、なんなの?
[聞きそびれていたこと、ようやく聞けました。 一度気になっちゃうと、ずっと気になっちゃいますからね。 ささいなことでも、今のうちに疑問は解消しておかないと。
記憶をたどるようにツリーを思いうかべながら、さまよわせた視線は、やがて彼女のもとへ。 彼女の姿を視認して、あたしははてと首をかしげます]
メリー、どうしたの?
[大切にしていたはずなのに、なくしちゃったのかしら。 心配になって、ちょっとだけ焦ったような表情だったでしょう。 なくしちゃったなら、一緒に探してあげなくちゃかなって]
(+34) 2016/12/17(Sat) 22時頃
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いくつか心残りはあるけど… これは、後悔ってゆうとちがうかな。
うん、わるくない。わるくないよ。
[ほほえんで、あたしは答えます>>+35。 それは強がりでもなんでもなくて、正しく本心でした。 えらそうな彼女には、ありがとうございます、なんて冗談めかして頭をさげてみせましょうね。
彼女はどうだったんでしょう。 ぽつりと浮かんだ疑問は、後でたずねてみようかしら。 その前に、もっと前から気になってることがありますからね]
うん、なに なに。 [焦らされれば、神妙なおももちで答えを待ちます。 はやく!って言いたいのをこらえて、いい子に…… かなり焦れながら、彼女を見つめました]
(+38) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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……思い出。そっかあ。
[やっと与えられた答えを、ゆっくりゆっくり噛みしめましょう。 口は、ほとんど脊髄反射で動いていましたけど]
きみの時間は、うごきだしたんだね。 メリーも、しあわせなんだね。 なら、よかった。
[彼女の言葉の意味をきちんと理解できたのか、それはわかりません。 けれど、あげられなかったプレゼントは、あるべき持ち主のところに向かったのでしょう。 彼女の笑みを見れば、後悔だとか、そーゆーのもしていないって、すぐわかりました。 だから、それで充分です。深く考える必要って、ないですよね?]
(+39) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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……前むきになれたみたいで、よかったよ。
[彼女の冗談ににやにや笑いながら、彼女を肘で軽くこづきます。 彼女の視線が向かった先には、ねこけるはるちゃんの姿。 ああ、きみたちももうひとりじゃないんだねって、不思議とあたしも満たされたここち]
ごめんね、先にあやまっておく。 気をわるくしないでね。 あたし、メリーをもってるきみが、 なんだかちょっと、かわいそうだった。
でももう、ちがうね。 しあわせそうで、あたしもうれしいよ。
[メリーの名前を聞いた、あの日。 あたしはこっそり、彼女を哀れんでいました。 だけどもう、あわれまれるべきおんなの子は、ここにはいないのでしょう。それがとっても、うれしいのです]
(+40) 2016/12/17(Sat) 23時頃
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……そうだね、あとはあの子たちしだい。
[心残りのその形を彼女>>+41に伝えることはしないけど、あたしは同意しました。 死んでしまったあたしには、もうどうもできないのは確かなことですもの。 あとをつむいでいくのは、彼ら彼女らのお仕事です。
幸せだと言う彼女には、やっぱり笑顔を見せて。肘を叩かれれば、唇をとがらせてみせましょう。 死んでいるのに、こういう何気ないやりとりができるのって、なんだか不思議。
かわいそう、って。確かにあまり人に向けちゃいけないことだと思います。 だけどあたしってば、ひとをかわいそがるのが大の得意なんですよね。性格、わるいですから。 気をわるくされるかもってわかってて言ったのは、ある種の贖罪なのでしょうけど]
(+44) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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どうぞ。 なんでも……とは、いかないけど。
[そうして聞いた問い>>+43は、今更といえば今更なものでした。 まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったので、きょとりと目を丸くしてしまいます。
でもこれも、彼女の時間が動きだした結果なのでしょうね。 訪ねもせずに奇妙な呼び名を甘受してくれたのもありがたかったですけど、こうして名前を尋ねられるのも、そんなにわるくはありません]
(+45) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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あたしの名前は、青柳未葉。
みよ、って 未だ葉っぱ、ってかくんだよ。 もう、なにかんがえてんだって感じだよね。 もっとかわいい名前、つけてほしかったよ。
[大嫌いだった名前を、けらりと笑って伝えます。 両親の死んだあの日に、捨ててしまおうとした名前。 それの代わりにかつて使っていたあだ名をもってくるあたり、やっぱりこれも捨てきれてはいなかったのでしょうね。
そろそろ、捨てたはずの未葉をもう一度拾いあげましょう。 終わりの先にある、生のために]
(+46) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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……って、わけで。 あらためてよろしくね、あいちゃん。
[言って手を差し出したら、握手してもらえましたか? 彼女がためらうようでも、むりやりその手をとって握ってみせたでしょうけどね]
(+47) 2016/12/18(Sun) 00時頃
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