[顔にも髪にも埃が積もっているカリュクスの服を脱がせて、濡れた布で丁寧に拭う。
白銀の髪も白い肌も。今時のタイプとは形の違う関節を、曲げたり伸ばしたりしながら念入りに。
左の肘がギシギシと常とは違う感覚。]
傷んでるね。困ったことだ、動かなくても痛むんだから。
…また、来てもらおうね、ギネスに。
[カリュクスの製作者ももうすでに動きを止めて久しく、その腕を継いだ弟子に無理を言って時々メンテナンスに来てもらっている。
ギネスが止まってしまったカリュクスにどのような感情を抱いているかとか、知りたいとは思わない。
金銭が介在したビジネスライクな関係、僕が彼に欲しているのはそれ以上でもそれ以下でもない。]
ギネスに君のメンテナンスを依頼してくるよ、カリュクス。
いいこでお留守番してて。
[カリュクスに服を着せる。ピンクでふりふりひらひらの前ボタン式のワンピース。
ベッドに仰向けに横たわらせて両腕をどけて布団をかけて胸元で両手を組ませて、開かない瞼にくちづけて街へ出掛けた。]
(10) sari 2010/09/08(Wed) 22時頃