132 lapis ad die post cras
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[美しい色彩が小さくなってゆく。 彼女の朗らかな性格はいつも和みを提供してくれていた。 『クチ』を大きく開いてよく喋る彼女を直視出来なかったのは事実だが、それでも避けようと思わなかったのは、その人好きのする性格を好ましく思っていたからに他ならない。 だから、軽い気持ちであっても、誘って貰えた事自体はとても嬉しかったのだ。]
ありがとう。
[最後にかけた声に、彼女は振り返る事無く行ってしまった。 数刻後、彼女を乗せたポッドが空を駆ける。]
――Bon Voyage!
(5) 2013/07/28(Sun) 00時半頃
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ままならない、ものだな……。
[窓辺に凭れて外を見る。 幸せを願っている。 自分の手で幸せにしてやりたいと、いつか『楽しい』と言わせてみたいという想いは、身体を離しても尚募るけれど。 果たしてそれが可能なのかは甚だ疑問で。
――次に会った時には、気持ちだけでも伝えようか。 もう、何をしていても苦しい。**]
(9) 2013/07/28(Sun) 01時頃
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―廊下―
[無意識に廊下の隅に視線を向けていた事に、今更ながらに気づく。 見慣れた小さな体躯の前にしゃがみこんだ。 両手の親指と人差し指で左右の目尻から肌を引っ張る。 細い目はますます細く垂れ下がり、痩せた肌は更に多くの皺を刻ませた。]
ヒューマンの星『地球』には、カレーパンマ〇というカレーパンで出来ているヒーローがいるそうだ。 コドモ達は手遊びでこんな風に真似をするのだとか。
[変な顔で唐突に登場すれば、笑わせる事が出来るのではないか。 固い頭で考えた精一杯の登場の仕方がこれだった。]
(43) 2013/07/28(Sun) 21時半頃
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そうか。 馬鹿にでもなれば、笑わせられると思ったんだがな。
[元より、爆笑を予想していた訳ではない。 これはただの自己満足だ。]
おっさん、か。
[一度名前を呼ばれる喜びを知ってしまえば、これ程までに刺さるものだとは。 膝に仮面が隠れようとも、それがたとえ拒絶であろうとも、この場を離れる事は出来ない。]
(46) 2013/07/28(Sun) 22時頃
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……何かあったのか?
[いつも無機質な声色に拗ねた響きを感じて首を傾げる。]
(49) 2013/07/28(Sun) 22時頃
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――――え?
[呼ばれた名前に胸が高鳴ったのも束の間、告げられた事実に表情が凍りつく。]
降りようと思えるようになったのか…… それは、
[良かった、と、言ってやるべきなのに。]
(50) 2013/07/28(Sun) 22時頃
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嫌だ。
[出力装置は内心を忠実に音声化する。 顔を歪めた。 上げられた顔を見つめても、その表情は見えない。]
……嫌だ。行かないでくれ。
(51) 2013/07/28(Sun) 22時半頃
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[中年が若者、いやむしろコドモに、すがるように手を伸ばす光景は、端から見たら酷く滑稽だろう。 立ち上がる肩を掴めたのなら、柔らかい肌が変形しそうな程力を込めて抱き寄せてしまいそうだ。]
君が忘れられない。 君を笑わせるのは我でありたい。 散歩したり、泳いだり、しりとりをしたり、色々、色々……っ、
[ジャックは「降りる事になった」と言った。 それは、決定事項という事で。]
駄目だ、他の奴となんか……!
(55) 2013/07/28(Sun) 22時半頃
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ジャック、我は君を、愛している……!
[感情の揺れに応じて、廊下に大声が響いた。]
(56) 2013/07/28(Sun) 22時半頃
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わら っ、た ……?!
[振られる為に告白をしているようだと思っていた道化の耳に届く、笑い声。 それは、ずっと聞きたかった響きで。温度で。]
仕方がないだろう、もう隠せないんだ。 変でもいい。馬鹿でもいい。 君を独り占めしたいんだ……!
[笑い声を聞けただけで、しあわせで胸が詰まる。 背中に感じる圧迫感に心が締め上げられて、回した腕にますます力を込めた。]
(63) 2013/07/28(Sun) 23時頃
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いや、君が笑ってくれるのなら、我はどんな事でもしよう。……離れる以外は。
[身を捩るジャックの内心は知らず、離れたくなくて腕の力を抜けない。 それでも、仮面の双眸が上げられて、恋慕に濡れる瞳は見られてしまった。]
…………っ、
[頭が真っ白になった。 「キモい」と拒絶される事も覚悟していたから、小さく告げられた言葉が嬉しくて。いとおしくて。]
愛している、ジャック。
[もう、その言葉以外、脳から消えてしまったかのように、繰り返す。]
(71) 2013/07/28(Sun) 23時半頃
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[このまま時が止まってしまえば良いと思った。 もしくは二人でどこかへテレポートしてしまえれば、と。
返る答えは社交辞令ではない事は、触れてくれる手から伝わった。]
……我の傍にいてくれ。
[合図に従って腕を離し、懇願した。 「熱い」は比喩表現ではないのだろう。この生命体の感情の高ぶりは体温を上げていたようだ。]
(78) 2013/07/29(Mon) 00時頃
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そうだ。
[短く答える。 掴まれた白衣が震えているのが分かる。 見上げる二つの黒を覗き込んだ。]
……困らせてしまってすまない。 だが、自分に嘘はつけない。 我と、共に乗って欲しい。
(83) 2013/07/29(Mon) 00時頃
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