194 花籠遊里
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おうや、おうや、イラッシャイ。
夜に潜む享楽の園、花籠遊里とは此処の事。 刹那の夢と、切なの蜜を、味わう為の暗い場所。
襤褸の花々の掻き集め。 屑の蝶々の羽休め。
現心に格子を見上げ。
(0) あんび 2014/09/23(Tue) 02時頃
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───さあさ、夢からオカエリなさい。
(1) あんび 2014/09/23(Tue) 02時頃
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― 宵闇の誘い ―
[櫻の枝が折れ。 まだ朧月は雲隠れ。 藤は風にしな垂れて。 魚は空へ泳ぐ頃。
――男は宵闇揺らし、一冊の本を捲る>>7]
下らない御伽噺だねえ。 こんな幸せ、あるとでも思うかい?
[慈悲もなく投げてよこす。 硬い表紙は地に伏せる。 焔燻る、花の足元へ。]
(38) あんび 2014/09/24(Wed) 22時頃
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丁。 私のことが怖いかい?
“丁” 早く此処から抜け出したいかい?
“ちょう” 私を置いて、飛んでなどいかないでおくれ。
(39) あんび 2014/09/24(Wed) 22時頃
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[男の唇は歪な弧。 三日月の如く美しくもなく、 さりとて醜いと詰る事も出来ぬ、 朝でも昼でも夜でもない、宵闇。]
お前に善い話をしてやろう。
稼ぎが欲しいのなら、私が買い付けてやる。 誰よりも高く、誰よりも高くね。
その代わり、私を満足させてごらん?
(40) あんび 2014/09/24(Wed) 22時頃
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…―――その身を繋ぐ鎖を 私が買ってやろうと言っているんだ。
さあお選び。
その本のような御伽噺を夢見て、蝶に抱かれ続けるか? 数度の地獄で、鎖を断ち切るか?
決めるのはお前だよ。
[男は揺り籠に揺れながら、嗤う*]
(41) あんび 2014/09/24(Wed) 22時頃
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―ある、下らぬ物語のために―
[掻き集めた蝶の生まれも育ちも知らぬこと。 海を渡りてくる一通。 それは下らぬ物語のためのもの。]
フン。
―――反吐が出るねえ。
[あの男は意地でも迎えには来まい。 追いかけて来いと、逃げる蝶。]
(62) あんび 2014/09/25(Thu) 01時頃
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まあ。 隣国との“友好”でも築いておこうか。
恩を売るのは悪くない。
[適当な姓、適当な身分。 海さえ渡れれば十分だろうと。 手をつけた旅券を、櫻に持たせ**]
(63) あんび 2014/09/25(Thu) 01時頃
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おうや、おうや。 お前は嘘をつくのが下手だね。
それとも。 お前をそんなに見ていないとでも。
[男は愉快そうに揺り椅子を揺らす。 唄うように、されど冷たい視線ひとつ。 じっとりと絡みつくよな、吐息混ぜ。
笑みひとつですり抜けるを、赦しはしない>>59]
(73) あんび 2014/09/25(Thu) 03時頃
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はぐらかし、濁し、隠し、笑い。 丁のふりをし、蝶たらんとす。
焔のようにくゆる花よ。
[そっと、その髪に触れようか。 酷く甘く、酷く優しく。 酷く冷たい指先で。]
お前は一体、“何者”なんだろうねえ?
[蝶でもなく、丁でもなく。 花でもなく、人でもない。
“それ”をこの手に絡めとった。]
(74) あんび 2014/09/25(Thu) 03時頃
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私の瞳はいつでも。 お前だけを見ているのにね?
[嘘が嘘を塗り潰す。 色は宵闇、赤褐色。]
寂しいことだよ。
[くすくすと、媚つく嘘に笑う。]
(90) あんび 2014/09/26(Fri) 00時半頃
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甘かろうが。 蛇はなんでも、丸呑みするんだよ。
[甘さも苦さも要らぬほど。 掌の焔を弄ぶ。]
お前はいつだって、誰を見てもいないね。
[笑みに向けるは、氷の微笑。]
(102) あんび 2014/09/26(Fri) 01時半頃
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―在る日の花籠―
なんだい、朧。
[枯れ花の声。 男は揺り椅子に身を置いたまま。]
お前の我儘を、私は幾つ聞けばいいのかな?
[厭味たらしく笑みを湛え。 暫くは黙って話を聞こう。 聞き終えたなら重い腰を持ち上げて。]
(107) あんび 2014/09/26(Fri) 08時半頃
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思い出すね、初めての日の事を。
(109) あんび 2014/09/26(Fri) 15時半頃
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[謝罪は、あの日へと還る。]
(116) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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―“丁”―
[花らしく、美しく咲き誇る花。 今目の前に咲く花と、似ても似つかぬ花。 余りにも美しく。 その蜜に惹かれたのは、蝶ではなく。]
――花籠を統べる、“私”。
[男はあの手この手を尽くした。 蝶の指名を幾度も防ぎ、 買い付けた金を与えず隠し、 三日に一度は“仕置き”と称し、 宵が褪めるまで狂楽に耽った。]
(117) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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[やがて、花は一匹の蝶を求めはじめる。 蝶は足繁く通い、花を愛でた。
咲いた花の色香。 惑わされ、狂っていたのは男一人。
蝶と手を取り逃げる丁。
下らぬ夢物語など成就はさせぬ。
男は刃を付きたてた。 一面染まるは、沈丁花。
――否、狂い咲いたのは死人花。]
(118) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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「もうし、わけ……ご、ざ、ませ……」
(119) あんび 2014/09/26(Fri) 20時半頃
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飛んでなど、いかないでおくれ?
(163) あんび 2014/09/27(Sat) 00時半頃
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