254 東京村U
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― 夕方:新宿駅 ―
……あれっ? あ、ううん、アタシもよそ見してたから。 気づかなかったみたい。
[二人で行き止まりの小道の傍に立って、首を傾げた。]
こんなとこ来た事ないや。 あーあ、こんな事でじゃなかったら、 今頃デート気分だったのに。
[二人で新宿の知らない道をちょっと迷子になる。他の男の子ならいざしらず、この従兄となら楽しいかもしれないじゃないか。 ただ今はそういう場合ではないため、唇をとがらせて、歩きながらまた父親の携帯に電話をする。今回も、また出ない。 引き返して、別の角を曲がると、見覚えのある場所にでた。]
へー、ここにつながってたんだ?
[意外そうにしながらも、二人は無事改札へたどり着いた。]
(201) 2016/09/30(Fri) 15時半頃
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― 東中野 ―
[新宿駅から中央総武線各駅停車の電車に乗った。 東中野までは二駅で、時間はさほどかからない。 東中野駅から従兄と連れ立って出ると、近くには交番があった。]
あ。電話かけたの、あそこ……。
(202) 2016/09/30(Fri) 16時頃
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[交番勤務中の男には、従兄に声をかけてもらうことにする。 自分はいたずら電話をした人間だと思われるだろうし、上手く言い包められる気もしないから、説明は従兄に任せた。 余計なことは言わずに黙っては居たが、内心「なにもせす帰りやがって」という気持ちでいっぱいである。 警察官は「いたずら電話は困りますよ」とか「先ほども家まで伺いましたがねぇ」と気乗りしていない様子だった。]
(203) 2016/09/30(Fri) 16時頃
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― 東中野のあるマンション ―
[交番の警察官は従兄の説得でもう一度着いてきてくれることになった。道中「お父さんたち心配してたよ」と警察官に言われ、入間は傍らの従兄の背に隠れるようにして、首を左右にふった。
駅から少しで、まだ新しいマンションにたどり着く。 入間家は八階。まずはオートロックの玄関を、入間が開けて、中へ入った。]
(204) 2016/09/30(Fri) 16時頃
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[エレベーターで8階へ。 8のボタンを押して、エレベーターが動き、8階が近づいてくると、どんどん不安が色濃くなってきた。]
あの、ぜったい変なひとなんで、 アタシ来てること言わないでください。
[と入間は警察官に言ってみたのだが、警察官は「うーん。」と困った風で唸っている。 なんだかサエない人だなあと不満ではあるが、着いてきてくれただけでも感謝すべきなのかもしれない……?いや当然のことだ。と思いなおす。 8階につき、廊下に出たが、入間はそこから先に進めずにいる。エレベーターの扉を開きっぱなしに、エレベーターが行ってしまわないように、エレベーターの前から動けずにいる。]
(205) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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る、るいくん。アタシ離れてていい?
[自宅前の廊下がこれほど不気味に見えたことはない。 遠くに見えるあのドアの向こうには、わけのわからない不気味な人達がいたのだ。そして今現在も、居るのかもしれないのだ。 居なくなっていてくれればいいが……と思いながら、入間はエレベーターの傍で、従兄と警察官が自宅のほうへ行ってくれるのを見送り、エレベーター脇の柱の影から、様子をうかがっていることにした。]
(206) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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[扉が閉まらないように、エレベーターの扉を手で押さえながら、廊下の向こうに目を凝らす。
遠く、玄関チャイムを押しているのだろう。 少しして、中からは、女が出てきた。 ぎくりとした。息をのみこむ。 見つからないように、顔を引っ込めてしまったが、これでは様子がみえない。
一瞬見えたのは、 眼鏡、後ろでまとめた癖毛の黒髪、エプロン姿――]
(207) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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[しらない他人。]
(208) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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[まだ居る。
心臓がばくばくと音をたてる。 早く追い払ってよ!と思う。 しかし、警察は家から出てきた女と、再度出向いた理由についてを述べていて、取り押さえるとか、捕まえるとか、そういう様子はない。]
(209) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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[入間家から出てきた眼鏡の他人は、警察官に「娘がご迷惑を」などと謝っていた。 入間の従兄である東蓮寺琉衣の姿をみると「あら?」と頬に手を添えて、表面上穏やかそうな笑みをつくっていた。]
(210) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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― 東中野 ―
[東中野駅を出れば、そこに広がるのはごく普通の町並みだ。 やや大きいマンションが目に付く程度、それもそのはずだろう、この辺りは便利がいい。 駅から出てほど近くに交番があった。]
そうか…。
[ここに電話したというなら、かけた相手も警察で間違いはないのだろう。 交番の中に入り、勤務中の警官に声をかけた。 警察官は、従妹の通報を覚えている様子だった。]
悪戯ではないと、本人が言っているんです。 ええ。俺は彼女の従兄でして、今は付き添いに。 不審者が家に上がり込んでいたとなると大変ですし、お巡りさんももう一度ご同行願えませんか。家宅不法侵入は犯罪でしょう?
[警官は不服そうであったが、結局同行に同意した。 「お父さんたち心配していたよ」とは。 完全に、未成年の澪音の味方などいなかったのだろう。]
(211) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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― 東中野のあるマンション ―
[オートロックを通り、エレベーターで8階へ。 その最中にも従妹の緊張が背から伝わってきた。 彼女の言葉を、警察官は未だに信じていない様子だ>>205 そんなやり取りを黙って見ながら、8階についた。]
分かった。いいよ、澪音ちゃんはそこにいて。
[エレベーターのドアを押さえたままの澪音に、一つ頷く。 警官は眉を顰めたが、いいからと彼を先に促した。 あんな怯えている少女に無理をさせてどうなるというのか。]
(212) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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[ピンポンと響く玄関チャイムの平和な音。 は〜いと答える女の声。 微かに眉を顰めた視線の先に、ドアは開いた。 その先に佇むエプロン姿の女は────
ざ わ り。
寒気がした。 母とも叔母とも似ても似つかぬ、見知らぬ女の姿に。]
(213) 2016/09/30(Fri) 16時半頃
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ここは、入間さんの家で、……
[声が掠れる。確かにそうだ。 ここは澪音の家であるはずで、おじとおばの住む家のはずである。それではなんだ?この知らない人は何事だ?
女が、穏やかそうな笑みを作る>>210 とんでもなく醜悪なものに、それは映った。]
──── アンタ、誰だ。
ここは入間家だろう。 アンタ誰だ。祥子叔母さんはどうした。 俺は…俺も澪音ちゃんも、あんたなんて知らない…
(214) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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[入間家の玄関からは、夕食の準備をしていたところなのか、食事のにおいが漂ってきている。 ごく普通にその家で、その女は、生活しようとしているのだろう。
女は東蓮寺の言葉をきいてか見知った人間であるふりをしはじめた。
[久しぶりに会ったから、誰かと思っちゃったわ。 見違えちゃって。スーツだとわからないものね。」
そして困ったように、警察のほうへ一度視線をあわせた。
「どうしたの、あなたたち……二人とも変よ。 “るいくん”久しぶりだから、忘れちゃった?おばさんよ。」
と心配そうに言う。]
(215) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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[ カチャッ ガチャガチャッ ]
(216) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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[入間は突然の音にびくっと身を竦めた。 近所の家の扉が開いたのだ。 廊下の話声が気になったのだろうか。それともたまたま偶然か。 家から出てきたやや小太りの女は警察と話している入間家の方を見遣る。
まるで、今まで近所づきあいがあったかのように、「あら……入間さんどうしたの」と声をかけたのだ。 母親のふりをしている他人が困ったように笑って、「それがねえ、娘が…」と口を濁した。]
(217) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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[どうして近所の人間にまで認められているのかとゾッとする。 柱から顔をのぞかせていたが、あまりのことに隠れ切れていなかったのだろう。 警察官と従兄の東蓮寺の背中ごしに、ついにこちらに気づいてしまった。]
「みおん!」
[女は入間の姿をみつけて、声をあげた。 ほっとしたような、待ちわびたような様子だった。]
「おかえり。ママたち心配してたのよ……」
[その声は、入間祥子の声とも、入間祥子の姉の声質とも全然違っているが、それでもその声は、自分が入間澪音の母だと名乗るのをやめない。ぞっとして奥歯をぎゅっと噛んで、首をぶんぶん振った。]
(218) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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スーツも何も、俺はアンタの甥じゃありませんよ、オバサン。
……お巡りさん。 この人の身分証明を。
俺の母は、この家の…入間祥子の姉です。 見間違うはずなんて絶対ないんだ。 あんたたち、叔母さんと叔父さんをどうした? まさか殺したのか。それとも幽閉でもしたのか。 それで入れ替わろうって魂胆か。
[不気味さが、ひやりと背を凍らせている。]
(219) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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……近所もグルか……
[なんだってんだ。 おじもおばも、普通の一般市民じゃないか。 一体何があったっていうんだ。
女が、澪音を見つけて声を上げる>>218 ハッとしてそちらを振り向いた。]
(220) 2016/09/30(Fri) 17時頃
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トレイルは、ジリヤに話の続きを促した。
2016/09/30(Fri) 17時頃
トレイルは、ジリヤに話の続きを促した。
2016/09/30(Fri) 17時頃
トレイルは、イルマに話の続きを促した。
2016/09/30(Fri) 17時頃
トレイルは、イルマに話の続きを促した。
2016/09/30(Fri) 17時頃
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アンタなんてしらねーよ!! るいくん!アタシいくからっ。
[そう叫んで、入間は気味が悪くてしょうがなく、エレベータに乗り込んだ。]
(221) 2016/09/30(Fri) 17時半頃
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[入間がまた逃げ出していくと分かった眼鏡の女は、エレベーターの方を見ながら「どうして?」と呟いていた。
入間の叫び声をきいて、うーんと警官は唸る。 警官は、入間家から出てきた眼鏡の女ではなく、むしろ東蓮寺を怪訝そうに見ていた。 「……先ほども確認させて貰っているんですよね。」と言う。 「奥さん、すみません、そういうことですから、もう一度おねがいできますか。」と身分証の提示を求めた。]
(222) 2016/09/30(Fri) 17時半頃
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[眼鏡の女は「はい……」と返事をしている。 警察官と東蓮寺に背を向けて、身分証をとりにいくようだった。]
(223) 2016/09/30(Fri) 17時半頃
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いつも通り可愛いから大丈夫ですよ。
[目元を隠す仕草をする出目(>>191)に、小さく息を吐く]
何の用事で電話したか……言いませんよ。 言わない。何があったか話してくれると約束してくれない限りは。
[視線は変わらず、手に隠された向こう側を見つめている]
(224) 2016/09/30(Fri) 17時半頃
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[ここに従兄だけを残していくのも心配で、エレベーターで束の間、ボタンを押す手が迷っていた。 足音で、おそらく追いかけてきてくれているというのがわかって、従兄が走ってくるのを待ち、1階まで降りる。]
さ さっきのひと。
[エレベーターのドアがしまった。 声をかたくして、呟いた。]
(225) 2016/09/30(Fri) 18時頃
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家から出てきたほうじゃなくて。 別の家から出てきた太ったおばさん。
ずっとこっち見てた。
(226) 2016/09/30(Fri) 18時頃
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[遠くの母親を騙る女も不気味だったが、近所の小太りの女が、なぜか廊下にずっと出ていて、入間のほうへじっと視線を向けていたのも恐ろしかった。 気持ちが悪くて、気持ちが悪くて、結局たまらず逃げ出してしまったが、これではあの家はずっと、あのわけのわからない奴らに使われたままだ。]
ど……どうしたらいいんだろう。 どうなっちゃうんだろう? ママとパパどこいったんだろう。
(227) 2016/09/30(Fri) 18時頃
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― 夜:中央総武線電車内 ―
[マンションから出て、東中野駅に向かった。 家から近いところはどうしても気持ちが悪かったため、駅を変えたくて電車に乗っていた。]
今日どこで寝よう……。
[と呟いていたら、従兄にホテルを勧められた。 シングルで、と付け加えられたが、流石に今は一緒にお泊まりできる出来ないで一喜一憂してリアクションしている余裕がない。]
るいくんのトコ泊めてよ。
[と言ってみたが狭いからと渋られた。どさくさで泊まりに行けないかと考えたがお見通しか……と思ったが、本当に一人が不安でもある。 どこか離れるにしても新宿から乗り換える、ということにして、一度着いてから考えよう、ということになった。]
(228) 2016/09/30(Fri) 18時頃
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―新宿三丁目駅―
ふー、疲れた。
[一二三は、ホームから副都心線に乗り込む。]
(229) 2016/09/30(Fri) 18時頃
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『終電までで、いいなら。』
[ビルを出た直後、担当者から『深夜手当ても出るから、今日からでも勤務良いですよ(>>111)』との話もあったので、条件付きで初出勤という流れになった。
結局、制服合わせとワンフロアの清掃だけで時間となってしまったが。]
(230) 2016/09/30(Fri) 18時半頃
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