308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[ 数日前気が付いたときには、 電気が通らなくなっていたのね。 冷凍していた僅かな食糧もダメになっていた。
スマートフォンを充電しようとした、 お隣の息子さんが真っ先に気が付いて、 チクショウ!≠ニ声を荒げていたわ。
事態に気が付いたお隣のご主人が、 全員のスマートフォンを集めて、 むやみに使わないようにしようと言った。
バッテリーが残されている限り、 何か助けになる情報を探していたけれど、 安全な場所も食糧のありかも、 結局はどこにも見つけられなかった。]
(+26) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ 自動車ももうほとんどガス切れで、 最近はこの家から出られずにいるわ。
このあたり一帯は、 大きなおうちが多い住宅街で、 歩いて外に出ていったところで、 近くにはすぐに逃げ込めるような場所はない。
住むには良い場所よねなんて、 笑っていたのがずいぶんと昔に思えた。]
(+27) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ 日に日に外の世界が遠のいていく。]
(+28) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ 幸い、アレの知能は高くないらしく、 しっかりと門扉を閉じてさえいれば、 塀を超えて敷地内に入っては来なかった。
それが逆にわたしたちを、 ここから動けなくさせていたのかもしれない。
少なくともこの中にいれば、 ノーリーンのようになることはない。
けれど、確実に状況は悪化していったわ。 みんな元気がなくなっていった。 イライラしている様子もあった。
当たり前よね。 閉じ切った空間の中に身を寄せ合って、 食べることすらままならないんだもの。]
(+29) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ いくら襲われず安全だからといっても、 わたしたちはじわじわと弱っていっていた。
なんせわたしたちはもともと二人暮らしで、 お隣さんだって、旦那さんと奥さんのところに、 息子さんと弟さん夫婦が急にやってきたんだもの。
いくらお互いの家の食糧を持ち寄ったって、 これだけの人数で消費すればあっという間よね。
今晩もクラッカーを少し齧るくらいかしら。 ふと顔を上げたらリビングルームで、 ゾーイとウィレムがお互いにもたれて眠っていた。]
(+30) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ ジャーディンはきっと自室ね。 オッドを抱いて上がるのを見たわ。
ほかの大人たちもきっと、 それぞれに部屋で休んでいるんだと思うわ。
あまり栄養をとれていないからか、 だんだんと動くのもおっくうになってね。 何もしない時間が増えていたの。
いよいよ何か手を打たなくては。 わたしはそう考えながら、 犬たちの様子を見ようと部屋へ向かったの。]
(+31) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[ ……ねえ、いのちに優劣があると思う?*]
(+32) 2020/10/24(Sat) 20時頃
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[その頃。 グループLINEは騒然としていた。]
……マジだ……。
ここ、写ってんの……サダじゃねぇか!!
[ダチのひとり、ニシが見つけたネット画像のなかに、サダミツらしき人物……いや、ゾンビが写っていたのだ**]
(28) 2020/10/24(Sat) 20時半頃
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[前にゾンビが二階に入ってきたときは 僕が寝ぼけて壁を蹴ったりしたのが原因だろうと。 不必要に音さえ立てなければ、 奴らは中に入ろうとしてこないだろうと。
兄貴のその推測は当たっていた。 それから今まで、ゾンビは家に入ってきていない。]
(29) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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……兄貴。もう、大丈夫だよ。 じっとしてれば……ゾンビは、来ないんだ。
[一階の居間の横の、両親の寝室。 そこにあるクローゼットの前で体育座りをして 目の前で鈍く光る銀色を見つめる。]
「えー、くん………… そ、か……よ、かっ た……」
[獣が唸るような音が混ざった兄貴の声が、 クローゼットの中から聞こえるのに、 僕は膝の間に顔をうずめた。
クローゼットは中から簡単に開かないよう、 外の二つの取手同士を紐で結んである。]
(30) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[兄貴が噛まれてから、五日。
兄貴は最初、僕に逃げるよう何度も頼んで、 僕が逃げないなら、自分を殺してくれと言った。
――まだ、ゾンビになるって決まった訳じゃない。 なってもいないのに、殺すなんてできるもんか。
僕は毎回、そう言って断った。 ワクチンの開発とかが間に合って ゾンビになった人も助かるかもしれないじゃないか。
その言い分が何の気休めにもならないのは、 僕自信がが一番よくわかってた。 だって。毎日、テレビをつけてみても、 ネットのニュースを漁ろうとしてみても。 ここ数日は何の情報も流れてこなくなっていたから。]
(31) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[対策を練る筈の政府や医療機関の人だって 今どうしているかの情報が、何も無いんだ。 今一番、リアルタイムの情報が流れてくるのはSNS。 それも悪い情報ばっかりで、 事態が良くなりそうな兆しは欠片も見当たらない。
両親だってもうゾンビになってしまったんだろう。 兄貴ももう、助からないんだろうか。 ゾンビになってから助かったという情報はない。 こんなんで、希望を持つことなんてできなくて。]
(32) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[そして、兄貴は僕に言った。]
「多分もう、俺には猶予がない。 今のうちに、手を縛って。閉じ込めてくれ。 俺……えーくんや、他の人達を、 食べたりなんて、したくないんだ。 だから、えーくん。こんなこと頼みたくない、けど 逃げないなら……俺のことを、]
……ゾンビに、なっちまったら、だからな。 まだ、ならないかもしれないじゃないか。 でも―――、兄貴。約束、するよ。
[閉じ込めるのは、僕へ考える時間をくれたからだ。 ゾンビになって暫くは、迷えるように。 逃げるか、……兄貴を、殺すか。それとも。
僕は全部わかってた。もう避けられないことだって。 わかってて、兄貴を閉じ込めた。 けれどまだ僕は、どうするか何も決められてなかった。]
(33) 2020/10/24(Sat) 21時頃
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[クローゼットに背を預けたまま、話す。]
なぁ、兄貴。
「な、に……えーくん、」
兄貴は……心残りとか、悔いって、ない? 僕は……後悔ばかりだよ。
「……あるけど、さぁ………… でも、俺は、最後、 えーくんの声聞けて、良かった。 あぁ……そうだ。この後のこと、かな、 俺の分まで、えーくんに生きて、ほし、、 ……げほっ!!ごほ、っ……!!」
[ぜぇぜぇと、背中の下の方から蒸せる声。 クローゼットを開けようとして立ち上がりかけ、 "殺さないなら何があっても開けるな" 兄貴の言葉を思い出し、その場にまた座り込んだ。]
(34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[背中からは、辛そうな息遣いに、笑い声。 僕がしたことは筒抜けだったんだろう。 その後また、咳き込む声と唸り声が続いて、]
僕は、……兄貴だけだったんだ。 兄貴が居なくなったら、僕、
[背中から聞こえてくるのは呻き声ばかりになった。]
(35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[……ポケットで、震える感触がする。 SNSの通知だろうかと、スマホを取り出し。] [通話相手の名前を見て。嘘だ、と思った。]
―――父さん…?
[酷い雑音の中で。発砲音や、呻き声がする。 その中でも近くで聞こえる、荒い息遣い。]
『……エニシ。良かった、無事だな。 ヨスガも、無事か。』
[父親と話したのは、本当に久しぶりだった。 間違いない。本人だ。でも……なんで、"僕"に。]
(36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[こみ上げてきた涙を堪えて 数秒の悩む間を置いてから、震える声で答える。]
大丈夫。僕も、兄貴も、無事だよ。 ……母さんは?
『そうか。……良かった。 母さんは…………無事だ。』
[心配するな、とその後に続いたけれど 僕は、気づいていた。 僕が答えるまでの間と、父親が言い淀んだ間。 その意味が、殆ど同じものだってことに。 父親も気づいていたに違いないのに、 そのことに触れてこなかったのは、優しさなんだろうか。]
(37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ふっと意識が持ち上がる。
さっきまで夕暮れの帰り道にいたはずなのに 目の前にはぼやけた灰色の天井が見えている。
近くにカーテンでもあるのか、 さらさらと光が反射して煌めいて まるで休日部屋で昼寝をした時みたいだった。]
(+33) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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……う、
[ここは。
もしかして、全部夢かな。 ゾンビとか、進が死んだこととか、 父さん母さんが死んだこととか 振られたこととか。
…………振られたことが嘘はさすがに無理か。]
(+34) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ともかくも、
もしかしたら悪い夢でも見てたのかも、と そう思おうとした俺を現実に引き戻すように 左肩がつきりと痛んだ。
うめき声をあげると、近くで身じろぐ気配がする。 のぞき込んできたのは――]
「目ぇ覚めたか?」
あ? ………… ……なんで、あんたが、
[ぼさぼさの黒髪にやつれた顔。 死んだ目をした、体格のいい男。
ネコ元帥がそこにいた。*]
(+35) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ 部屋の前でお隣のご夫婦と鉢合わせたの。]
(+36) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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あら、ちょうどよかったわ。 ご相談したかったの。 これからのこととか……色々と。
[ わたしはそう言って、 彼らのもとへと歩み寄っていった。
お二人ともやつれた顔をしていたわ。 なにか話をしていたようだった。 そうよね。このまま耐えてばかりいても、 どうにもならないことは皆わかっている。]
(+37) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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このままでは、 皆動けなくなるのを待つだけだわ。 でもまだ生きている人はいるはず。 きっとどこかに安全な場所が──、
[ いつも落ち着いているご主人も、 少し気が立っているように見えたわ。 わたしの言葉を遮るようにして言うの。
車はもうほとんどガスが残ってないんです
腕を組んで、しきりに唇を噛んでいた。 薄く剥けた皮を剥がしているのね。 落ち着いた品のある人だったはずなのに。]
(+38) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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ガレージの車。 もうずっと乗っていないけれど、 こまめにメンテナンスには出してるの。 古くて小さい車だから不安だけど……
[ ご主人はゆっくりと首を横に振ったわ。
仮に動いたとして、 とても全員は乗れないでしょう
きっとそんなこと、 もうとっくに考えてたとでも言いたげにね。]
誰かが生き残っている人に助けを求めて、 そしてまた迎えに戻って来ればいいわ。
[ そう言った私に、ご主人は小さく笑ったわ。]
(+39) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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ならキーを渡してください 我々が行きますよ、大人を代表して
(+40) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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それは……、
[ わたしは黙り込んでしまった。
彼らに鍵を渡して、送り出して、 帰ってくる保証がどこにあるの? 戻ってきてくれなかったら、残された側は? 外への連絡手段だってもうないのよ。 今度こそどうしようもなくなってしまう。
ご主人はため息をついたわ。 ……そうでしょう。 近所に食糧を探しに行くとは違うんです わたしの言葉を封じるようにそう付け足してね。]
(+41) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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けれど、そうはいっても、 このままだともう……、 どうにかしないと。何か手はないかしら。
[ 庭で火を焚いてみるとか、 バルコニーから信号を送ってみるとか、 そんなことはもうとっくに試していたわ。
少なくとも今まで、 外界からの反応は何一つとしてなかった。
外をうごめくものの数が、 日増しに増えているように見えるばかり。
私たちだって考えてはいますよ 別に非難したつもりはなかったけれど、 ご主人は少し気分を害したようだった。]
(+42) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ これからのことを考えるはずだったのに、 あっという間に場は静かになってしまったわ。
少しの沈黙のあと、 唇をちろりと舐めてご主人が尋ねたの。
ところで、その車のキーはどこに?
ご主人はじっとわたしのことを見ていた。 胸の内まで見透かそうとするみたいにね。]
……どうしてそんなことを尋ねるの?
[ 戸惑って、問いを返したわたしに、 ご主人はだってアンフェアじゃないですか≠ニ。]
(+43) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ アンフェア? キーの保管場所を教えないことが?
きっとわたしは納得のいかない顔をしたんでしょう。 ご主人は当然だとも言いたげに言葉を続けるのね。
だって、協力すると約束したじゃないですか
なんだか少しまずい空気だった。 わたしとご主人はお互いを見つめあって、 少しの間黙りこくっていたように思うわ。
そうすると突然、 奥さんが仲裁するように口を開いて、 わたしたちの間に割って入ってきたのね。]
(+44) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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[ 彼女ははじめにご主人を窘めたわ。 脅すような言い方やめてちょうだい エドワーズさんが警戒して当然だわ そう言って、彼の前に立ったのね。 わたしのほうを向いた彼女は言った。
ごめんなさいね、夫も気が立ってるの。 あなたの言うとおり、状況が悪すぎて。 けれど、助けを呼びに行くのも、 実際難しいのは分かってくださる?
丁寧な物言いにわたしは当然うなずいたわ。 彼女の言っていることはまっとうに聞こえた。]
(+45) 2020/10/24(Sat) 21時半頃
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