168 LOVEorDEATH2〜死者は愛を知りたいようです
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お邪魔します。
[一礼して、早川の部屋に足を踏み入れる]
……ああ。 畳はやっぱり、落ち着きますね。久し振りなんです。
[実家に戻ったときくらいにしか、座る機会はない。そして、その実家には滅多に戻らない。 ありがたく座布団を敷いて、腰を落とした。周囲(>>1:529)を見回す。 ちゃぶ台、テレビ。それに、きっと娘さんのものだろう、ウサギの置物。 なんのかの言っても、異性の部屋。少しは緊張する、かと思ったけど 生活感というか、家庭感というか――そういうもので、ほっと安心できた]
(40) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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あ、まずはビールで。
[缶を手に、封を切る。 そのあいだに、早川は手酌で日本酒を注いでいた]
……と、すみません。気が利かなくて。
[酒くらい注ぐべきだったかなと、思いながら]
羨ましいですか……ま、確かに。 倉田さんが羨ましいのは、否定しませんよ。
[苦笑を浮かべ、後を続ける]
気配りが出来て、料理が上手で家庭的。 仕事ばかりのダメ人間には眩いばかり、でしたし。
(41) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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[ここへ来る前は、まともな恋すらできないと絶望して。 届かぬ月へと手を伸ばすだけだった。 それすらも、ここでは否定され。 『人らしく』ありたくて、その資格さえもないことに気付かされて。]
(こんなボクを、好きと言ってくれたあの子には―――)
[はた、と思い出す。 一つだけ、やり残したことがあるとするなら。]
お願いがある。 高校の、君と同じ学年だと思うんだ。 とある女子へ、伝言を頼みたい。
[ここで朽ち果てるなら、せめて真っ直ぐな好意に対して誠意で応えねばと。]
(42) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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その子は…中学の時からあだ名が変わってなかったら、 多分『るり』ちゃんって呼ばれてると思う。
―――大切な人ができたら、帰る前に…教えてね。
[はたして、本田は承諾してくれただろうか。 拒否されようと、承諾されようと。 今の真墨にとっては、なんら変わらないのだろう。 彼にとって、気持ちに応えようとしたことこそが、一歩前進なのだから。 たとえ、本人が気付いてなかろうと。]
(43) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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………――っ!?
[驚きと嬉しさで、声が出なかった。 ただ、顔はもっと真っ赤になって。いずれ家族になるというのは、つまり、そういうことだろうか。
盛大な爆弾を落として戻って行く彼を見送って、思わず机にうつ伏せになった。行儀が悪いのは分かっているが、今だけは許してほしい。]
…うぅ……どんな顔してもっかい会えばいいのこれ…。
[やがて復活すると、少し溶けかけたアイスや美味しいままの苺を頬張り始めた。 考えても仕方ない。それより甘い物食べよう。 あ、そういえば食べ終わったらどこで待っていればいいんだろう。座っててもいい、のかな。]
(+17) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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だよなあ。おっさんこの年になったら恋とかよくわかんねえよ。
[白石が自分のことを「ダメ人間」と称して、少し眉を上げる。]
――なーんでダメなんだよ。仕事頑張ってんだろ? 営業なんていっちばんしんどいとこじゃねえか。 頑張ってるのにダメなわけねーだろ。
[そういってから揚げを一つ口に入れる。]
…俺なんてコブつきで料理もできないおっさんだぞ。 顔がいいわけでもねえし、こんなんだし。
[そう言って白石の目を少し見る。]
できねえことがあってもいいんだよ。 できることから必死に頑張ってんだろ?
[日本酒をぐびりと飲む。喉を通るアルコールの熱が心地よい。]
(44) 2014/03/20(Thu) 22時半頃
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[そういえば、食べ終わった後のこと言ってなかったなと気付いて。 もう一度だけ、ひょっこりと顔を出す。]
裏口から、家入ってて。 二階におれの部屋あるし、あと飼い猫もたまにうろついてる。
ねりきりと、すあまっての。白いのがねりきり、ぶちがすあま。 …すあまも和菓子の名前だとか知らなかったよ、おれ。 どっちも人に慣れてるから、ねこ嫌いじゃないなら遊んでて。
[一時期は看板猫にという案もあったけど、猫嫌いのお客さんへの配慮でぽしゃったりとか。 親父が無類の猫好きだとかは夕食時に話そうかな。]
(+18) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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うーん……社会人としては、まあ。 それなりの評価は得てる自信はありますけど。
[とはいえ、仕事を離れたこんな場では]
女の癖に料理のひとつもしないで、飲んでばかりというのは……と。 ああいう幸せそうなシーンを見たあとだと、まあ、思うところもあるわけなんですよ。
[から揚げに楊枝を突き刺し、もぐもぐと。あら美味しい]
……、ありがとうございます。 すいません、祝杯と言っておきつつ。
[愚痴って、フォローさせてしまった。苦笑い]
コブといっても、小学生ならさして手は……、
……あ、写真とかないんですか? 良かったら、見てみたいですね、ちょっと。
(45) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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[と、そこへかかる野太い誘い声。 声の先を見ると、背中にいかにも作りものな羽根を生やした中年男性が背を向けて立っていた。>>34]
あ…リパブリック・函だ…じゃなくて、さいとうさん…
[喋った…!と驚く間もなく、リパブリック・さいとうの立つ位置の奥に早川の姿が見える。]
…本田さん、呼ばれてるよ。 行かない?
[本田はどう返事をしただろうか。 真墨一人だけとなれば、早川の部屋の中にチラリと見える白石のことを気遣って酒盛りには参加しなかっただろう。]
(46) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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女のくせに、とか思わなくていいと思うんだがなあ。 白石さんはかわいいと思うんだが。
[何の気なしに思ったままを。卑屈にならなくていいのになあと思う。 自分もその気持ちがわかるだけに余計に。]
写真?あんのかな、この部屋。
[ごそごそと普段アルバムをしまってあるはずの押入れを探る。 そこには。]
――あった。
[ピンク色の表紙のアルバムを引っ張り出す。 一番後ろのページからめくる。年長さんのときの遠足の写真。 入園式写真ではぶかぶかの園児服を着たハナと、なれないスーツを着ている自分。 白石とともに、これはああだ、これはこうだと話しながらページをめくっていくと。]
(47) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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あ――
[笑いながらハナを抱く、ユキの写真。 ページをめくる手が一瞬止まる。]
―――懐かしいなあ。
[初めて動物園にハナを連れて行った時だったか。 目を細めて写真をなぞる。
それは恋というよりも、過ぎ去った思い出へのどうしようもない懐かしさ。]
トラの檻の前でハナがぎゃーぎゃー泣いちまってさ。 ほら、まだ泣き顔でぶんむくれてるだろ。
[そういって思い出し笑いをかみ殺した。]
(48) 2014/03/20(Thu) 23時頃
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[早川の部屋には参加しただろうか。 リビングで本田と過ごしたにせよ、早川の部屋で歓談するにせよ、その会話は少しだけ真墨の心に何かを残し。]
[自室へと戻ろうとする真墨は、今にも泣き出しそうな田端とぶつかりそうになった。>>38]
[田端とぶつかっていたら、おそらく部屋の前で。田端が部屋の中に閉じこもってしまったなら、影木と話した時のように部屋の前で扉に向かって話しただろう。]
…何か、あったんですか?田ばさん…じゃない、田端さん。
[この少年どうやら人の名前を覚えることが苦手らしい。 それはともあれ、田端から返事はあっただろうか。 もしかしたら、嗚咽しか返すことができないくらい悲しみを抱えているのかもしれなかった。]
閉じこもってると…あまり、よくないですよ。 何か、ボクらにできることがあったら…遠慮なく言ってください。
[田端にその声は届くかは分からない。 もし田端に真墨と会話する余裕があれば、真墨は会話を続けるためにその場へ留まるだろう。 できることがなければ、真墨は無情にも自室へと戻るだけだった。**]
(49) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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……可愛いって歳じゃないですよ、いやですね。
[とはいえ、褒めらるのは満更でもない。頬が少し緩む]
あ、あるんです? へえ――……ああ、かわいい。 このへんとか、早川さんに似てるような似てないような……、
[など、写真を指してみたりして。そして、]
……え、あ。
[――奥さん、に違いないだろう。どこか遠い、言葉に。何故かとても、動揺した]
そ、そうですね。こんな泣き腫れてちゃ、可愛い顔が台無しで。
(50) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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……幸せ、だったんですね。 奥さんと、娘さんと、三人で……写真だけで、よく判ります。
[一枚一枚の写真に、思い出が篭っているのだろう。 先ほどからの語り口でも、それが伝わってくる。 温かな家族、温かな部屋。心の底では、憧れるもの。 早川は、それを一度は手にしていた。その証拠が、このアルバムで。 だけど、確か。最初に話したとき、嫁は今いないと、言っていなかったか]
……あの、失礼ですけど。その、奥さんは……?
[――なんとなく、察しはするが。つい、問いが洩れた]
(51) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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[自分に似てる、と言われて少し頬を緩め。]
でも最近わがままひでーんだよ。つーか保育園で好きな男の子がいるとかいいだしてよー。 ほんとマジとーちゃんからしたら辛いわ。
[そうぼやきながらも口元は笑っているだろう。 ふいに白石がこちらに問いかけた。>>51]
ああ――死んだ。3年前だったかな。事故で。
[写真を見ながらさらりと答えた。 写真はハナがまだ赤ん坊と言える時の写真になって、自分かユキが抱いている写真ばかりになる。 少しそれを指でなぞり、何か吹っ切れたかのようにぱたんとアルバムを閉じた。]
(52) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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……、その、すいません。なんか。
[予想通りだった答えに、うなだれる。 興味本位で、写真をみたいなどと言うのではなかった]
(53) 2014/03/20(Thu) 23時半頃
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水商売 タバサは、メモを貼った。
2014/03/20(Thu) 23時半頃
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ああ、気にすんなよ。 今は悲しいとかはもうなくってさ。
[うなだれた白石の頭をぽんぽんとなでて、ゆるく笑いながら、日本酒を手酌でコップに継ぎ足す。]
最初はそりゃきつかったけど、娘がいたらそれどころじゃなくってさ。
まあ新しいお母さんを、って親戚には言われるけどな。 若いんだし、母親がいないなんて、みたいな。
でもさすがにコブつきはきついわけよ。
[コップの酒を一口飲みこむ。]
前に進まなきゃなーとは思うんだがなあ。 俺と付き合ったら自動的に子供もついてくるだろ? なかなかそう思ったらこう――悪い気がするんだよな。
[そう言ってまた少し笑った。]
(54) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[キッチンから出たところで、先輩と出会う。 あたしは緑茶を手に、テーブルの椅子に座ると、草餅に手を伸ばしながら声をかけようとする。けれど、先輩が口を開く方が、先だった>>39。]
『…あの。……好きな人、できた?』
[その言葉に、ぴたりと伸ばしかけた手が止まった。 かぁ、と熱くなる頬に、戸惑うあたし。 ちらり、と先輩を見れば、どこか真剣…なんだろうか。真面目な話っぽくて。 追い討ちをかけるように、言葉が続く。]
『……ボクはね、どうやらダメみたいだから。』
[とっさに、フラれた彼女のことが忘れられないんだろうかと思った。 彼女にフラれて自殺してしまうような人だから、そう簡単に新しい恋に何て向かえないだろう、と思う。 あたしは草餅に伸ばしかけてた手を、膝の上に戻した。 しかし、何故だろう。 先輩の紡ぐ言葉には、違和感しか見えなくて。 だって、それは、恋を知らない人のような口ぶりだったから。 …恋に敗れて自殺したはずの人が? あたしの頭は疑問符でいっぱいになる。]
(55) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[その違和感が解消されないうちにも、先輩は淡々と言葉を紡いでゆく。 そして。]
――ッ!!!
[ガタン、と立ち上がった拍子に、緑茶の入った湯呑を倒しそうになり、慌てて手で支えた。 それからまじまじと、先輩を見つめてしまう。 今、先輩の口から出た名前は、あたしの良く知る名前で。 一体どういう事だろう。 るりと先輩は、殆ど面識がないはずだ。 少なくとも、まるで遺言のようなものを、遺す相手には、ふさわしいとはとても言えないような関係。 ならば、先輩は、知ってるんだろうか。 るりの、気持ちを。 何故? あたしの頭の中で、ぱたぱたと何かが組み上がって行く。]
(56) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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……いえ、でも。
[なんとなく、大事にしているものを覗き見てしまったような、罪悪感というか]
あー……、なんとなく。 私も言われますよ、両親に。そろそろ孫の顔を……って。 最近は実家に帰るたび、それですね。
[ビールを乾して、溜息吐いて。 日本酒もらいますと、自分でコップをとって注ぎつつ]
――でも、言わせとけばいいと思います。 お母さんがいなくとも、早川さんがいたら、ハナちゃんは立派に育ちますよ。 上手く言えませんが……この部屋、ちゃんと、温かいですから。全然、荒んでない。
(57) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[殺気の違和感の正体は分からない、けれどとにかく先輩が今ここで恋愛をしようとしていない、あるいはできないと思い込んでいるのは確かで。 多分、るりはあたしに嘘は言っていないと思う。 その過程に、るりの性格を、組み込んで。 そして、あたしの出した答えは。]
…先輩、死ぬ前に、るりに、会ったんですか?
[その答えを得られる前に、別の声がかけられてしまい、話はうやむやになる。 あたしは一瞬躊躇った。 今ここで、先輩を、問い詰めた方が良いんだろうか。 何だかすごく、嫌な予感がするのだ。 けれど、結局あたしは。]
(58) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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……それに、ま。 子供好きの人だって、たくさんいますし。 そんなにハンデじゃないと思いますよ。 なんといっても、ハナちゃん、あんなに可愛いんですし。
[日本酒をちびり舐めながら、そう]
(59) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[年長組の酒盛りに手招きされれば>>34、そちらへとお邪魔させていただくことにするのだった。]
あ、お邪魔しまーす! おつまみ足りてます? おでんもあっためてありますよー!
[言いながら、おでんの小鍋を一つ、戸口にいるおじさん天使に持ってくるよう頼んで、お部屋へとお邪魔した。]
(60) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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だったらいいんだけどさ。 たまにこう、何やってもいうこと聞かなくて喧嘩したりとかもするわけよ。
[本田や進村のことを思い出す。ハナがあの子くらいになったらどうなるのだろう。]
この部屋、ユキが死ぬ前の部屋を再現されててなー。 あの生き物、いやらしいことするわ。 実際はもっとぐちゃぐちゃだし、やべえよ。
[そう言ってくつくつと笑う。]
親になって思ったけどな。 孫の顔見たいとか、そーゆー希望も持つときあるかも知んねーけど…少なくとも娘が元気でいたらそれだけで十分だと思う。 心配する気持ちもわかってきたんだけどな。 でも白石さんが頑張ってんのも、俺は分かるよ。
[そう言ってから]
うわ、おっさんくせえな今の…
(61) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[そんなことをしていたら、おっさん天使がから揚げをまた持ってきた。 ちらりと見えたリビングには、本田がいて。]
――お、なんだ暇してんのか?暇なら来いよー。
[そう言って手招きすれば、本田が元気よく入ってきた。>>60 すでに酒のにおいが部屋には満ちているが、大丈夫だろうか、と少し心配しつつも、まあ何とかなるだろうと楽観的に。]
(62) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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……奥さんが死ぬ前の部屋、って。 そんなところにお邪魔して良かったんですか、私。
[流石に驚いた。なんとも、えげつない神様だ。 もしかしたら、自分の部屋にも何か罠があるかもしれない。あとで調べておくほうがいいだろうか]
……元気でいたら充分、ですか。 そういうものですかね、ん……、でも、 私たち、残念ながら元気じゃないんですよね、いまって。
[苦笑して、コップを呷る]
現実では、ばっちり死んでますし。
(63) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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[手招きに誘われるように、早川さんのお部屋へとお邪魔します。 多分、先輩も一緒についてきてただろう。 飲み物とか、色々準備してから、部屋へと乱入する。]
おっじゃまっしまーす!
[ちょっと、テンション上げ過ぎかな。 けど、ほんの少し前、耳に入った一言が、何故だか胸に突き刺さっていて。]
『…少なくとも娘が元気でいたらそれだけで十分だと思う。』
[ずきり、と痛む胸と、端から見たらしょうもないんだろう悩みとに混乱しながら、空元気でも出さないと、ちょっとやってられなかったのだ。 もしかしたら誰かに不信がられたかもしれないけれど。 あたしを良く知らない人だったら、お馬鹿な女子高生、で通せたんじゃないかと思う。]
(64) 2014/03/21(Fri) 00時頃
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おでん? もしかして、さっきのから揚げも?
[顔を出した本田に、そう尋ね]
……本田さんはどうする? 今あるのは、ビールと日本酒と……飲みやすいカクテル系も、さいとうさんに頼めばもらえると思うけど。
[しれっと未成年に飲酒を勧める。 ここに日本の法律が適用されるのか疑わしいし、固いことはまあ、いいじゃない]
(65) 2014/03/21(Fri) 00時半頃
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[から、と台所と居間を仕切る曇りガラスの戸を引く。 テレビの音。四人掛けのコタツに一人で座ったその人は、ビールのグラスを置いてこちらを振り返った。]
『おお、コウタ。今帰りか。』
…うん。そっちこそ、帰ってたんだ。
[おかえり。言いながら居間に入って、コタツの近くに座る。 おう、ただいま。そう言って、その人はつまらないバラエティを流すテレビじゃなく、コタツの上に置かれた何枚かの紙切れを見詰めている。 心なしか、表情が緩んでいて。なんだろう。そう思った俺はその手元を覗き込んだ。]
なに、それ。なに見てんの。
『これ?これなあ、写真。ばあちゃんが欲しがってたからお棺に入れてあげたんだけどな。俺も気に入ってたから、これ撮ってくれた人にお願いしてネガ探して貰ったんだよ。』
[お前、覚えてるか? そう言われて、その写真を手に取って見る。 制服を着た、今より随分若いその人と、抱き上げられて嬉しそうに笑う子供。その子の頭には警察官の帽子が被せられていて、いかにも上機嫌って感じ。 一緒に写っている同じ制服を来た男性は、仕事仲間だろうか。]
(66) 2014/03/21(Fri) 00時半頃
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うっわ…これもしかもなくても俺?全然覚えてないよ。
[満面の笑みすぎる幼い自分がなんだか恥ずかしくて、写真を押し返す。こんなもの見てにやにやして、なんだよ一体。 俺の心中を知ってか知らずか、その人はとても懐かしそうに、愛おしそうに写真を見詰めている。]
『笑ってるやつこれくらいなんだよ、お前と写ってる写真。小さい頃は原因なんて分からなかったから、俺が抱っこする度泣いちゃってさ。母さんばっかりずるい、って、悔しかったんだ。』
[そう言ったその人に、ふぅん、と気のない風の返事をする事しか出来なかった。 この手の昔話って言うのは、照れ臭いか、飽き飽きするかのどっちかが相場で。前者だった俺はさりげなく話題を変えてみたりする。]
それ、隣の人だれ?同僚さん?
『ああ、この人な。同期なんだよ。お前この後、この人にも抱っこして貰ったんだぞ?』
[ギャン泣きしたけど。そう言って笑う。 もうすぐ子供が産まれるって頃で。お前があんまり泣くもんだから、ちゃんと父親になれるか不安だーって落ち込んでたな。 そんな風に楽しそうに話されると、無碍にして席を立つ事も出来なくて。苦笑いで大人しく聞いていた。]
(67) 2014/03/21(Fri) 00時半頃
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